閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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新・蛇女子学園編 第二章 蒼馬の実力

蛇女の上層部である評議員たちの元に訪れた凛はいかなる処分も覚悟の上だった

 

 

しかし、想定外なことに条件を突きつけると共に自分の失態を多めに見ると言い出したのだ

 

 

そしてその条件というのは議員たちが道元の研究所から連れ出してきた少年、蒼馬だった

 

 

議員たちの命により、凛はこれを承諾するとともに他の選抜メンバー共々、忍を学ばせることとなった

 

 

凛は蒼馬を他の選抜メンバーに合わせるべく忍部屋に連れて行った

 

 

そんな2人を待っていたのは他の選抜メンバーたちの驚きの表情だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

忍部屋に入ってきた凛に少女が驚いていた

 

 

「鈴音先生、どういうことなんですか?いきなり来たと思えばその男を僕たちの仲間に加えるなんて」

 

 

「そのままの意味だ。これからお前たちにはこの蒼馬と残り2人を含めたお前たちで選抜メンバーをやってもらう」

 

 

それを聞いた3人は改めて蒼馬を見つめた

 

 

「なんだ?俺の顔に何かついてるのか?」

 

 

鬱陶しと言いたげな顔で蒼馬は言った

 

 

すると雅緋が蒼馬に口を開く

 

 

「お前が私たちと同じ選抜メンバーだと?」

 

 

「そうだ。そういうことになっている」

 

 

「…先生。私は納得いきません。実力もわからない得体の知れない者を私達と同じ選抜メンバーに加えるなど、私は反対です」

 

 

「僕も雅緋と同意見です」

 

 

不満に思ったのか雅緋と忌夢が凛に蒼馬の選抜メンバー入りに異議を唱える

 

 

「これが俺のチームメンバーとはな」

 

 

そんな2人を呆れたような顔で物申す

 

 

「黙れ!私は認めんぞ。貴様のようなやつが選抜メンバー入りすることを!」

 

 

「そこまでだ雅緋」

 

 

「鈴音先生!?」

 

 

凛が蒼馬に突っかかろうとする雅緋を止めた

 

 

「蒼馬の選抜メンバー入りは上層部から下された決定事項だぞ」

 

 

「しかし!」

 

 

やはり納得いかないと言いたげな顔をする雅緋に凛はため息をはくと

 

 

「…そこまで言うならいいだろう。これよりお前たち2人に組手を行ってもらう」

 

 

「組手を?」

 

 

「……」

 

 

凛の言った言葉に雅緋は驚き、蒼馬は凛の方を見つめていた

 

 

「そうだ。これからお前たちには組手をしてもらい、それでもし雅緋が勝てば蒼馬の選抜メンバー入りを取りやめるように私から上に話をつける。ただし、蒼馬が勝った場合はおとなしく従うこと、いいな?」

 

 

「はい!」

 

 

「了解した」

 

 

その提案を2人は飲み、これから組手をすることとなった

 

 

「では今から訓練所に移動してもらうからすぐに来るように」

 

 

そういうと凛は一足先に訓練所に向かって行った

 

 

「この組手でお前に実力の差を見せつけてやる!」

 

 

そういうと雅緋は訓練所に行くのだった

 

 

「ふん…」

 

 

蒼馬も訓練所に行こうと足を動かそうとした時だった

 

 

「くんくん…くんくん…」

 

 

突然、妙な違和感を感じ、見てみるとそこには忌夢の妹の紫が自分の体中を何やら匂いを嗅ぎまわっていた

 

 

「うん?」

 

 

彼女の顔から血の気が引いていく

 

 

「ひぃぃぃ…!」ガクブル

 

 

そして紫は慌てて柱の陰に隠れた

 

 

「(なんなんだあの女は?匂いを嗅いでいたようだが?)」

 

 

紫の行動の真意がわからない蒼馬は小首を傾げながらも訓練所に急いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は演習所へと移り、忌夢と紫は遠くから観戦していた

 

 

演習所にたどり着くやいなや、蒼馬と雅緋は向かい合い

 

 

雅緋は愛用の刀を鞘から抜いて構えた

 

 

「貴様の実力がどんなもんか知らないが、勝つのは私だ」

 

 

「そうだといいな…」

 

 

「なにぃ!」

 

 

蒼馬の小馬鹿にしたような態度に雅緋はムッとする

 

 

「その減らず口、2度と叩けぬようにしてやる!忍転身!」

 

 

雅緋は忍装束をまとった

 

 

「やれるものならやってみろ……」

 

 

そう言い放つと同時に蒼馬はどこからともなく奇っ怪な形をした道具を取り出した

 

 

「っ?」

 

 

一体何だと雅緋が小首をかしげていると

 

 

「転身」

 

 

蒼馬は総つぶやくと同時にその道具を右手に装着した

 

 

 

《TransFormation》

 

 

 

装着と同時に音が鳴り、蒼馬の左半身部分が変化し青い炎を模様した装甲を纏い、左目が蒼に染まる

 

 

「「「!?」」」

 

 

その姿を見た雅緋たちは驚きの表情をした

 

 

「(あれがあいつの転身姿か…)」

 

 

雅緋たち同様、蒼馬の転身姿を目にする凛は内心そう呟いた

 

 

「…ふっふん!いくらそんな風に強そうな風貌を見せようと私は惑わされん!鈴音先生、合図を!」

 

 

雅緋がそう申し出ると凛が勝負の開始を告げるため、手をあげる

 

 

「では…尋常に」

 

 

「「っ…」」

 

 

「始め!」

 

 

戦いの火蓋が切って下された

 

 

「はぁぁ!」

 

 

先に仕掛けたのは雅緋だった

 

 

蒼馬は雅緋の斬りかかる攻撃をかわしていく

 

 

「…せいやぁぁぁ!」

 

 

雅緋は蒼馬を攻めて攻めて

 

 

反撃の隙を与えない

 

 

「っ!」

 

 

「あまい!」

 

 

連続斬りを武器でガードし、その中、彼女からできるわずかな隙を突くも雅緋はそれを防ぐ

 

 

「どうした!その程度で選抜メンバー入りなんてお笑いぐさだぞ!」

 

 

攻め込み、場を作っている自分に慢心する雅緋はそういうも

 

 

慢心は油断を招く

 

 

「調子にのるな……っ!」

 

 

「なにぃ!?」

 

 

再度斬りかかる雅緋だったが

 

 

刀を振り下ろすよりも先に蒼馬が上に飛んでかわした

 

 

さらにその隙に距離をとる

 

 

「ふっ、逃げ足だけは速いようだな」

 

 

「逃げてだのではない。様子を見ていただけだ。戦いにおいて相手を知るのも戦術だ」

 

 

「知った風なことを!」

 

 

「そしてお前の攻撃パターンはだいたいわかった。次はこちらの番だ」

 

 

「っ!?」

 

 

雅緋が怖気付くほどに蒼馬の放つ気迫は高まっていった

 

 

「(なんて威圧感だ。こいつ本当に何者だ?)」

 

 

「行くぞ」

 

 

そして蒼馬はすかさず武器の銃口を雅緋に向ける

 

 

「ふっ、はぁ…っ!」

 

 

バキュン!

 

 

「ぐっ!小賢しい!!」

 

 

襲い来る光弾を弾きながら雅緋は果敢に駆け出す

 

 

「ふっ!せやっ!」

 

 

「っ…はっ!」

 

 

「なにっ!?」

 

 

しかしその時、突き出した蒼馬の空いている反対側の拳から青白い炎が湧き出ると共に雅緋の刀を吹き飛ばした

 

 

「ぬん!」

 

 

「グホッ!?」

 

 

そこから蒼馬は雅緋にボディーブローを繰り出した

 

 

痛みに悶絶しながら後ずさりした

 

 

「みっ雅緋!?」

 

 

「」ガクブル

 

 

蒼馬の攻撃になすすべもなくやられる雅緋を見て忌夢は叫び、紫は怯えていた

 

 

「(くそっ!?…なんなんだコイツは!?)」

 

 

雅緋は蒼馬が内にこんなに凄まじい力を保有していたことを知り、驚きを隠せなかった

 

 

その時、やられ状に雅緋が横に目を向けると先ほど蒼馬に飛ばされた自分の刀が近くで刺さっているのにあることに気づいた

 

 

「(よし、それなら!)」

 

 

そして雅緋はとっさに懐から苦無を取り出す

 

 

「やぁぁ!」

 

 

「っ!?」

 

 

突然の雅緋の反撃に思わず距離をとる

 

 

「今だ!」

 

 

「!?」

 

 

その隙に雅緋は刀をその手に取り戻した

 

 

「うぉぉぉ!さっきはやってくれたな!ここからは私の攻撃だ!ぁぁ!」

 

 

「っ!」

 

 

「やあぁぁぁぁ!」

 

 

 

ザシュン!

 

 

 

「っ!」

 

 

「どうだ!!」

 

 

雅緋の刀が蒼馬の肩に刺さった

 

 

「いいよ!すごいよ雅緋!」

 

 

それを見た忌夢は発狂したように声を上げた

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし…状況はそれとは真逆だった

 

 

 

 

 

 

「この程度か?」

 

 

「なっ、なに?」

 

 

蒼馬のその一言に雅緋が驚いていると

 

 

自分の肩を刺している刀を剣から腕に戻した右手で掴むと

 

 

それを無理やり引き抜いた

 

 

「なっ!?」

 

 

唖然とする雅緋だったがすぐに我にかえる

 

 

そして刀を引き戻そうとしても蒼馬の握力でがっちり掴まれているためびくともしない

 

 

「これで終わりだ」

 

 

そういうとともに蒼馬は武器の銃口を腹部に押し付ける

 

 

「はぁぁ!」

 

 

「がはっ!?」

 

 

至近距離からの光弾による銃撃が雅緋を襲う

 

 

放たれた衝撃波によって雅緋は大きく後方へと吹き飛ばされ、蒼馬の勝利で戦いの幕は閉じた

 

 

「そこまで、勝者は蒼馬」

 

 

凛が勝者宣言し、この試合は蒼馬の勝ちとなった

 

 

「雅緋、大丈夫か?」

 

 

「あっ、あぁ…」

 

 

倒れた雅緋の元に忌夢が駆け寄り彼女の身を案じた

 

 

「これでわかっただろう、蒼馬の実力は上からの折り紙付きだ。実力の程は理解しただろう?多少の不安要素はあるだろうが、そこは受け入れてもらう。いいな?」

 

 

「でも先生「忌夢」みっ、雅緋?」

 

 

「いい、いいんだ」

 

 

反論しようとした忌夢を雅緋が止める

 

 

「何と言っても、私が負けたのは事実だ」

 

 

素直に雅緋は負けを認めた

 

 

そして立ち上がるとともに蒼馬と目を合わせる

 

 

「確かにお前の実力なら選抜メンバーに入るのに申し分ないようだな」

 

 

「では認めるんだな?」

 

 

「…あぁ、しかあるまい」

 

 

どうやら雅緋は蒼馬の選抜メンバー入りを認めたようだった

 

 

「さて、当面の問題は残りのメンバー確保だ。6人そろってこそ初めて選抜メンバーは完成するのだからな」

 

 

「はい、わかってます」

 

 

「でもどうするんだい?僕のあては紫だけだから僕はもう手伝うことができないよ?」

 

 

「そうだな……」

 

 

残りのメンバーのことで頭を悩ませていると

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが秘立蛇女子学園ね」

 

 

「はうぅぅーん。ここなら絶対、両奈ちゃんを気持ちよくしてくれるかな?」

 

 

突然、2つの声が蒼馬たちの耳に聞こえた

 

 

「誰だ!?」

 

 

雅緋たちは周りをキョロキョロすると

 

 

「こっちよ!」

 

 

呼ぶ声に目を向けるとそこには2人の女子の影があった


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