閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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新・蛇女子学園編 第八章 いざ、月閃へ

半蔵学院との戦いを終え、少しばかりの平穏を送る蛇女子学園

 

 

しかし、そんな平穏も上層部から伝えられた月閃女学館壊滅命令の名のもとに崩れ去り

 

 

新たなる戦いが始まろうとしていた

 

 

そんな中、上層部の意向を聞いた鈴音から雅緋たちよりも先んじて内容を知った蒼馬は

 

 

月閃女学館壊滅を円滑に進めるために自身の肉体の強化をするため

 

 

上層部が極秘に捕らえ、実験などに使用し用済みとなった妖魔たちを片っ端から狩りまくり

 

 

それとともに自身のもつ妖魔を喰らい、その能力を自分のものとする能力を使い

 

 

狩り尽くした妖魔たちを根こそぎ吸収した

 

 

それにより蒼馬は無事に力を高め、パワーアップ果たすことができた

 

 

そしていよいよ月閃を攻め落とさんとする蛇女子学園の戦いが幕を開けるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼馬が研究所の妖魔を狩り尽くし、力を高めてから3日後

 

 

上層部の命じた月閃女学館殲滅任務当日の日

 

 

忍部屋に一通の手紙が届いた

 

 

いち早く雅緋がその手紙を手にし、その内容を調べていた

 

 

「雅緋、手紙にはなんて書かれていたんだ?」

 

 

忌夢が緋に手紙の内容について尋ねる

 

 

「これを見てみろ。これはさき程届いた月閃女学館から我々への果たし状だ」

 

 

「…月閃から」ボソッ

 

 

その問にこれが月閃から送られた果たし状であることを雅緋が告げ

 

 

話しを聞いた両備がボソリとつぶやいた

 

 

「月閃から果たし状だって?」

 

 

「あいつら私たちと学炎祭をしたいらしい。おおよそ私たちに半蔵学院を潰すのを先越された払いせからだろうな」

 

 

手紙の内容を知り、少々小馬鹿にするような態度で雅緋はそうつぶやいた

 

 

「(月閃から果たし状とは…こちらの動きを見越してということか?)」

 

 

実はまだ蒼馬以外の面々は上層部からの月閃女学館殲滅任務を聞かされてはいない

 

 

にも関わらず月閃から果たし状が届いたことが蒼馬にはどうにも解せなかった

 

 

「で、雅緋。どうするんだ?」

 

 

忌夢が雅緋にこれからどうするかを問う

 

 

「どうもこうもない。向かって来るやつは叩きのめす。それが蛇女だ」

 

 

「さっさと月閃を叩き潰しちゃおう」

 

 

「そのつもりだ」

 

 

雅緋が意気込んでいた時だった

 

 

「ならばちょうどいい。お前たちに上からの指令を言い渡す」

 

 

「鈴音先生」

 

 

そこにタイミングよく鈴音が現れ、次の任務を言い渡すべく話しかけてきた

 

 

「これよりお前たちには月閃に赴き、奴らの戦力を奪い月閃を殲滅せよとのことだ」

 

 

「なるほど、了解しました。よしみんな、今度の学炎祭も私たちの勝利を飾るぞ!」

 

 

「…月閃なんてどうでもいい…私は光くんを連れ戻すために戦う。ただそれだけ」ボソッ

 

 

雅緋の掛け声に皆がうなづく、そんな中、紫は自身の悲願を叶えるべく戦うことを決意するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで蒼馬たちは死塾月閃女学館付近に到着した

 

 

 

 

「あそこが死塾月閃女学館か」

 

 

「…見張りのカラクリどもがいるみたいだね?」

 

 

「簡単には侵入できないわよ、なんたって両備たちの元母校だもの」

 

 

双眼鏡で学館の様子を伺っていた雅緋たちだったが侵入するにしても見張りが邪魔だった

 

 

「…雅緋、どう攻める?」

 

 

「このまま正面からと言うのもありだが、見張りどもを相手に余計な体力を消耗するのは望ましくはない。ここは穏便に潜入し、先に選抜メンバーたちの方を潰し、その後残った連中を片付ける」

 

 

「わかったよ雅緋」

 

 

「……となると、まずは侵入ルートを探さねばな」

 

 

この任務を遂行するにいたり、まずはその障害となり、尚且つこの任務にとって欠かせない選抜メンバーを叩くことを最優先事項とすることに決まった

 

 

そうなれば警備のカラクリたちを掻い潜り、安全に選抜メンバーたちの元にたどり着けるためにはどうするべきかを蒼馬に尋ねられ、それを考えていると

 

 

「ふふーん。ここは両備たちの出番のようね?」

 

 

「うんうん。ぜーったい、両奈ちゃんたちの出番だよ〜」

 

 

秘策ありと言うような顔で両備と両奈が名乗りをあげる

 

 

「何か策でもあるような顔だな?」

 

 

「言ったでしょ、ここは両備たちの母校だったのよ?当然、ここの中は知り尽くしてるんだから」

 

 

えっへんと偉そうな態度をとりながら両備はそう告げた

 

 

「それはわかったが。では具体的にどう潜入するつもりだ?」

 

 

「はーい、それは両奈ちゃんが教えてあげるよ〜ん♪」

 

 

蒼馬が尋ねると今度は両奈が語り出す

 

 

「月閃にはね、いくつかの隠し通路があってね〜、そこから忍び込めば楽々学館に忍び込めちゃうんだよ〜♪」

 

 

「なるほど、確かにそれなら見張りを掻い潜りながら校内に忍び込めるな。でかしたぞ両奈」

 

 

両奈が学館の中の隠し通路のことを説明し、これは使えると雅緋たちが思い、両奈を褒めるも両奈の方はちょっと不満気な顔を浮かべた

 

 

その時、両奈の顔を見て蒼馬が何やら本を読み、書かれていることを確認すると本を閉じ、両奈の近くに歩みよる

 

 

「ふん、駄犬風情が得意げそうな顔をするな。虫唾が走る」

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

「きゃわ〜ん♪蒼馬くん、いい!その罵り方いいよ〜ん♪両奈ちゃんこれを待ってたよ〜ん♪」

 

 

「黙れこのメスブタが」

 

 

バキン

 

 

「キャイ〜ン♪」

 

 

突然、蒼馬が両奈を罵倒したことに雅緋たちは驚き

 

 

両奈の方は罵倒&仕打ちを受けて嬉しそうな顔をしていた

 

 

「いつまでくねくねと横たわっているつもりだ?犬ならおすわりだろ?」ドン

 

 

「は〜い、だワン♪」

 

 

蒼馬がそう言うと両奈はすぐさまおすわりの姿勢をとった

 

 

「ぼさっとするな!ほら。おて、おまわり、ちんちん」

 

 

「ワン、ワン、ワ〜ン♪」

 

 

「最後は服従のポーズ」

 

 

「くぅ〜ん♪」

 

 

両奈は言われるがままに犬の芸を披露し、最後はあざとかわいい感じに服従のポーズを決める

 

 

「よし、それでいい、最高にいい格好だぞ両奈」

 

 

「ワンワ〜ン♪両奈ちゃん幸せ〜♪」

 

 

しかし、それ以上に両奈にそれらをやらせているのが蒼馬であることに2人を除くこの場の全員が驚きを隠せない様子だった

 

 

「はっ!?ちょ!?何してんのよあんた!?」

 

 

「っ?何って、見ての通り両奈を褒めているだけだが?」

 

 

「ほ、褒めてる?いやどう見たって両奈を仕打ちしてるだろうが!?」

 

 

「ひ、人は見かけによらないって言うけど、まさかこんな形でそれを目の当たりにするなんて」

 

 

蒼馬の想像を超えるほどの予想外の行動に引き気味な雅緋たちを見て蒼馬は訳が分からないと言うような顔を浮かべた

 

 

「なぜそんな顔をする?おまえたちも相手を褒める時はこうやってるのではないのか?」

 

 

「「はぁ!?」」」

 

 

キョトンとした顔で、人を褒める時はこんな風に人を褒めるのではないのかと問う蒼馬に雅緋たちは驚く

 

 

「この本に書かれている通りにしたのだが……なぜだ?」

 

 

「ちょっと蒼馬、その本貸して見せてくれない?」

 

 

「あっ、両備ちゃんまっT「あぁ、構わんぞ?」」

 

 

蒼馬が自分がどこか間違えたのかと、確認のためにもう一度本を読み直そうとする

 

 

その時、両備が蒼馬に持っている本を貸すように要求する

 

 

それを見てまずいと言う顔を浮かべた両奈が割って入ろうとするも時すでに遅し

 

 

本が両備の手に渡り、両備がその本のページを開く

 

 

「っ///!?」

 

 

「どうしたんだ両備……っ///!?」

 

 

「こっ、これは……っ///」

 

 

両備に続いて本の中身を確かめた雅緋たちも両備同様顔を赤くする

 

 

カバーを引き剥がし、表紙を見るとそこには

 

 

『豚でもわかる!ドM罵り褒め言葉集』

 

 

と表紙に書かれていた

 

 

「……あんた、この本、どこで手に入れたの?」

 

 

「両奈からもらった」

 

 

「いつ?どこで?」

 

 

「この前だ。あれは確か……そうだ。確かこの前の時だったな」

 

 

本を閉じるとともに両備が蒼馬にこの本を手にした経緯を尋ねると、蒼馬は本は両奈からもらったとのこと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼馬が言うにはこの本を両奈から渡されたのはついこの間の事だと言う

 

 

 

『ふん…なるほど、他者と交流するに至り、相手を褒めることも大事なことである。相手を褒める時は「すごいね」「よくできたね」と言ったりするのが効果的である…なるほどな』

 

 

いつものように参考書を読みながら廊下を歩いていると

 

 

『ふんふふ〜ん♪あれ?蒼馬くんだ〜♪』

 

 

『ん?両奈か?』

 

 

そんな蒼馬は途中で両奈と鉢合わせた

 

 

『あれれ?蒼馬くん何読んでるの〜?』

 

 

『これか?これは鈴音から渡された他者とのコミュニケーションを取るための参考書だ』

 

 

『へー面白そう、ねぇねぇ、両奈ちゃんにも見せて〜』

 

 

『構わんぞ』

 

 

そう言うと蒼馬は両奈に参考書を渡すと両奈はその参考書を読んだ

 

 

ある程度読んだ途端、両奈が本をパンと閉じた

 

 

蒼馬はそれを見てキョトンとする

 

 

『蒼馬くん』

 

 

『なんだ?』

 

 

『こんなんじゃダメだよ。こんな古い参考書なんかじゃ誰も喜ばないよ!』

 

 

そう言いながら蒼馬に言い寄ってくる両奈

 

 

『そっ、そうなのか?』

 

 

『そうだよ!今の時代こんな褒め方じゃダメなんだよ…てな訳で蒼馬くんに両奈ちゃんからプレゼントをあげるよ〜ん♪』

 

 

『プレゼント?』

 

 

そう言うと両奈は自分の服をガサゴソとあさり、一冊の本を取りだした

 

 

『はいこれ、これを読めばぜーったい、相手とのコミュニケーションもうまくいくよ♪』

 

 

『……随分と内容が違うんだな?』

 

 

『とーっておきの参考書だからね〜、これでみんなとのコミュニケーションもバッチリだよ♪』

 

 

『了解した』

 

 

と言うのが経緯であった

 

 

 

 

 

 

 

「てな訳で参考書通りに両奈を褒めたわけだが?」

 

 

と、蒼馬が経緯を語り合えると

 

 

「この駄犬!あんた何変なこと教えてんのよ!?」

 

 

「はぅぅ〜ん、首締まってて…うう〜ん♪…だってだって〜蒼馬くんならうまく丸め込めばぜーったい、両奈ちゃんをいっぱいいじめてくれると思ったんだもん〜」

 

 

「あんたってやつは!!」

 

 

「はぅぅ〜ん」

 

 

両備が両奈に関節技でお仕置きをしている姿が見えた

 

 

すると雅緋が蒼馬のもとによってくると肩に手を置く

 

 

「蒼馬、とりあえずこの参考書は金輪際読むな、頼むから」

 

 

「っ?……了解、した?」

 

 

蒼馬はどうしてこうなったのかが未だに分からないと言うような顔を浮かべるのだった

 

 


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