閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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新・蛇女子学園編 第十一章 激闘の果てに

月閃を攻め落とすべく戦い続ける蒼馬たちの戦いはより過激さを増していく

 

 

様々な技を駆使し、攻撃をしてくる紫苑に幾度となく苦戦を強いられていた蒼馬だったが

 

 

少しづつ戦況を変えていき、徐々に押し始めていく

 

 

蒼馬の反撃でこのまま蒼馬の勝ちかと思われた時

 

 

紫苑は起死回生として己に秘めた潜在能力を全開させ、身を削るほどの諸刃の力を操り、蒼馬との最終決戦に臨むのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ゴォォォォォォォォ

 

 

「っ、凄まじい力を感じる」

 

 

「当然です。これはいわばドーピングのようなもの、己の潜在能力を一時的に最大限まで引き上げるもの。…さて、あまり時間もないのでさっさと決めさせてもらいます」ブォォォォ

 

 

「やれるものならな!」

 

 

先にしかけたのは蒼馬だった

 

 

攻撃特化形態になるとともにエネルギー弾を連射する

 

 

「そんなもの!秘伝忍法・烈火の夜想曲(ノクターン)!!」

 

 

紫苑も負けじと手のひらから発生させた通常よりも巨大な火球を放つ

 

 

二つの力はぶつかり合い、相殺された

 

 

「まだまだ!秘伝忍法・水撃の前奏曲(プレリュード)!!」

 

 

足元から発生した大量の水が蒼馬に向かって押し寄せる

 

 

「っ!!」シュン!

 

 

咄嗟に上空に飛び上がりそれをかわす

 

 

それとともに必殺技を繰り出す

 

 

「くらえ!!秘伝忍法!!」

 

 

蒼馬は反撃と言わんばかりに秘伝忍法で威力を増した光弾を放つ

 

 

「はぁっ!!」

 

 

それを見た紫苑が咄嗟に水の壁を作り出す

 

 

しかし、蒼馬の放った斬撃はいとも容易く水の壁を貫いた

 

 

「っ!」

 

 

攻撃が当たる直前、咄嗟に身をかがめる

 

 

外れた衝撃波はそのまま背後の壁を砕くのだった

 

 

「っち!」

 

 

「おしかったですね!」ビュォォォ

 

 

「くっ!」シュン!

 

 

紫苑がすかさず攻撃を繰り出す

 

 

それに対して蒼馬は空中を蹴りって移動する技を使って不安定な空中であるにもかかわず機動を変え

 

 

攻撃をかわすとともに地面に着地する

 

 

「やあぁぁぁ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

そこへすかさず紫苑が接近戦をしかけてきた

 

 

蒼馬と紫苑の肉弾戦は時が進むにつれて激しさを増す

 

 

「はあっ!!」シュン!

 

 

「ふんっ!!」ガシッ!

 

 

「っ!?…やあっ!!」フォン

 

 

「ふぅん!!」ガシッ!

 

 

紫苑が繰り出すパンチを受け止め、迫り合いに持ち込んだ

 

 

「なぜ、なぜあなたたちは僕たちの邪魔をするのです!?」グヌヌ

 

 

「なに?」グヌヌ

 

 

突然、紫苑がつぶやいた言葉の意味がわからず、そのせいか一瞬力が緩んだ

 

 

「っせいやぁ!!」

 

 

「っち!?」

 

 

その隙を突き紫苑がサマーソルト式に蹴りをかます

 

 

間一髪のところで顎を霞めながらもそれをかわした

 

 

「悪のない、人々が幸せに暮らせる世界の素晴らしさがなぜわからない!」

 

 

そこから紫苑が怒濤の攻めを仕掛ける

 

 

「僕は雪泉やみんな、正しい人たちが笑顔でいられる世界を作ろうとしてるだけなのに!!」

 

 

「…っ、正しい…人?」

 

 

 

ジジ…

 

 

 

「弱いものを踏みにじり、争い、破壊、略奪を繰り返すようなあなたたちのような輩はこの世界に存在する価値はない!この世界に生きる価値はない!」

 

 

「…俺たちが価値のない存在?」ボソッ

 

 

 

ジジジ…

 

 

 

その時、紫苑の言った一言に蒼馬が反応を示す

 

 

 

ジジジジジジ!

 

 

 

「うっ…な、なんだ?」ズキッ!

 

 

さらにそれとともに突然頭がズキッと痛み出した

 

 

 

ジジジジジジ

 

 

 

「ぬあっ!?」ズキッ!

 

 

さらにその痛みが激しさを増すとともに蒼馬に不可思議な現象が起こる

 

 

「今だ、はあ〜……はぁぁぁぁぁ!!」

 

 

蒼馬が隙を見せた瞬間を見逃さず

 

 

すかさず気弾を発射する

 

 

「ぐあぁぁぁぁ!!」

 

 

その攻撃をまともに喰らい、蒼馬の身体が宙に投げ出された

 

 

「っ!?」

 

 

 

ジジジジジジジジ!

 

 

 

『これーーー君ーーまー変わる』ジジジジジ

 

 

『君たーーだ命令ーー従えーーいい』ジジジジ

 

 

 

「な、なんなんだこれは…一体何だと言うんだ?」

 

 

吹き飛ばされた際に蒼馬の頭の中にノイズ混じりのイメージが浮かび上がる

 

 

蒼馬の脳裏に浮かぶのはある光景、そこはどこかの施設の中

 

 

そこには自分と同じような白い服を着た多くの中年の少年少女がいた

 

 

中年の子供たちはある部屋に集められ、その部屋には高級そうな服を着た1人の男とその後ろで待機するガードマンらしき黒服の男がいた

 

 

すると男は子供たちにこう話した

 

 

『ふふふ、怖がらなくていいんだよ。これより君たちには我々の用意した治療プログラムを受けてもらう、それに耐え抜けば君たちの病気は治るさ』

 

 

不安がある子供達に大人たちはそう言い聞かせ、少年少女たちは渋々それを受け入れた

 

 

しかし、そこで行われたのは治療などではなかった

 

 

来る日も来る日も実験、実験、実験。その繰り返し

 

 

『今度はこいつで試してみよう』

 

 

『実験番号14号もダメでした。拒絶反応を起こして死んでしまいました』

 

 

『またか。まったく使えん奴らだな。価値のないものはこの研究には必要ないというに。…とっとと捨ててこい』

 

 

ひたすらに科学者どもの研究の材料にされ、何人もいたはずの少年少女たちはその数を徐々に徐々にと減らされていった

 

 

しかし、残った者たちにいなくなった者たちのことを考える暇はなかった

 

 

残された者たちに待っていたのはこの繰り返しを繰り返す日々を送るしかできなかった

 

 

そしてついに実験は最終段階を迎えた

 

 

 

ザシュン!

 

 

 

『はぁ…はぁ…はぁ…』ポタッ…ポタッ…

 

 

閉ざされた密閉空間

 

 

まわりには自分同様、実験材料にされていた仲間たちの屍

 

 

そして自分の手、身体には彼らのものである夥しい大量の血が

 

 

すると室内の一部がスライドし、そこにはガラス越しに自分を見下ろす者たちが

 

 

『おぉ…これほどとは』

 

 

『奴が皆殺しにしたのか素晴らしい』

 

 

『ついに完成したぞ、妖魔の力を得た人間が!!』

 

 

まるで動物園の動物であるかのように自分を見ている者たちを見ると少しずつ怒りがこみ上げてきた

 

 

それとともに浮かび上がるのは彼らに妖魔を埋め込まれたことで戦いを強要され

 

 

死んでいった同胞たちの恐怖と悲しみに満ちた顔だった

 

 

 

「……っ」

 

 

 

多くの犠牲の元に蒼馬は今の力を手にしたことを思い知る

 

 

「この世界に必要なもの、それは弱きものたちを導き、平和をもたらす為の秩序。それを邪魔する悪はみな等しく消えるべきなのです」

 

 

倒れる蒼馬に向けて紫苑は言い放つ

 

 

「…………黙れ」ゴォォォォォォ!!!

 

 

「っ!?」

 

 

しかし、それを聞いた蒼馬はゆっくり立ち上がるとともに全身から黒いオーラをあふれださせた

 

 

「こ、これはっ?」

 

 

その時、紫苑は蒼馬の体から出てくる気から複数の若い男女の苦痛に泣き叫ぶ姿が写っていることに気づく

 

 

「綺麗ごとをいうお前らも…俺たちをもの扱いする奴らも…全部まとめて消してやる!!」ゴォォォォォォ!!

 

 

怒りとともに蒼馬の気がどんどんと膨れ上がる

 

 

今目の前に佇む蒼馬はまるで溢れる憎しみの気に心を奪われている感じだった

 

 

「消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる消してやる」ゴォォォォ!

 

 

「っ!?」

 

 

「消してやるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」ゴォォォォォォォ!

 

 

蒼馬は全身から負の感情から生み出された負の炎に包まれる

 

 

その際、彼の全身から湧き出る炎が蛇のような姿を増していた

 

 

全身全霊の力を込める

 

 

「っ、させない!!」ブォォォォ!!

 

 

紫苑はそれに対抗すべく四つの紋章を出現させる

 

 

「消えろおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」ビュゥゥゥゥゥン!

 

 

「秘伝忍法・四元素の鎮魂曲(エレメンタル・レクイエム)!!」ジュウゥゥゥゥン!

 

 

四つの紋章から四色の光の弾幕が放たれる

 

 

「ふっ、はああぁぁぁぁぁ!!」

 

 

二つの力がぶつかり合い、周りを巻き込むほどに

 

 

「ぬうぅぅぅぅぅ!!!」

 

 

「ぐぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

 

徐々に蒼馬の光弾が紫苑を押し返していきすぐそこまで迫り来る。紫苑も負けじとパワーを上げる

 

 

しかし徐々に中心から光が発生し、それはどんどんと広がり、あたりを飲み込んでいく

 

 

「「うっ…うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」」

 

 

ついに光りは二人をも飲み込んでしまうのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

時間を少しタイム・タイラント!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「…このあたりと聞いていたが、どこだ蒼馬は?」

 

 

蒼馬と紫苑が激しい、現場に到着し、戦いに勝利した雅緋たちから蒼馬が戻っていないことを聞いた鈴音は

 

 

1人蒼馬の搜索をしていた

 

 

その時

 

 

 

ピカアアァァァァァァァァァン!!

 

 

 

「な、なんだ?」グヌヌ

 

 

突然遠くからも眩しく光る場所を見つけた

 

 

「まさかあそこに蒼馬が?」

 

 

それを確認すべく鈴音は急いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ…これは?」

 

 

鈴音が到着してみるとそこは騒然としていた

 

 

まさに激しい戦いがあったことを物語るほどに荒れていた

 

 

しばらくその付近を調べていた鈴音はそこであるものを見つけた

 

 

「こいつは…月閃の?」

 

 

そこにいたのはぼろぼろに傷つき、気を失い倒れている紫苑が

 

 

「…こいつがいるということは蒼馬も近くに?」

 

 

鈴音が再び搜索していると

 

 

「っ、蒼馬!」

 

 

紫苑同様気を失っている蒼馬を発見し、駆け寄る

 

 

「おい、おい蒼馬、しっかりしろ」ユサユサ

 

 

気を失った蒼馬に声をかけゆすってみると

 

 

「うっ……ううん?」パチパチ

 

 

ゆっくり目を開き、意識を取り戻した

 

 

「蒼馬、目が覚めたか?」

 

 

「…っ!?」ワタワタ

 

 

「っ?」

 

 

しかし、目を覚ました瞬間、明らかに様子がおかしかった

 

 

怯えたり慌てふためいていた

 

 

「ど、どうした蒼馬?」

 

 

「こ、来ないでくれよ!?…だいたいあんた誰だよ?ここどこだよ!?」アタフタ

 

 

「えっ?」

 

 

ガクガクと小動物のように震え自分のことがわかならいようだった

 

 

明らかにおかしいと思った

 

 

「ど、どうしたんだ蒼馬?」

 

 

「お、俺…俺はたしか病気を治すために施設にいって…そこで……っ!?」ガタガタガタ

 

 

蒼馬?が自身の記憶を呼び起こした

 

 

『次はお前だ』ジジジジジ

 

 

嫌だ…

 

 

『大人しくしろ!』ジジジジジ

 

 

嫌だ…

 

 

『これより、手術を開始する』ジジジジジ

 

 

嫌だ…

 

 

『次に目覚めた時』ジジジジジ

 

 

よせぇ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もうお前は人ではない』ニヤ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして恐ろしい日々の数々を思い出し、震え発狂した

 

 

「お、落ち着け蒼馬!」

 

 

「来るな!近づくなって言ってんだろ!あんた、俺を連れ戻しに来たんだろ!?」

 

 

状況が理解できず興奮している相馬を説得しようと試みるもなかなか落ち着かない

 

 

「っ!…行かないと…こんなことしてる場合じゃない…俺には待ってる奴がいるんだ!」

 

 

「ちょ、ちょっとまて!」

 

 

「っ!?」

 

 

急にどこかへ行こうとする相馬を慌てて止める鈴音

 

 

「離してくれ、俺は戻んなきゃいけないんだ!」バッ

 

 

「あっ!?」

 

 

そう言うと相馬は鈴音の手を振りほどき、どこへともなく消え去っていった

 

 

いったい彼になにが起きたのか?

 

 

 

 


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