閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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新・蛇女子学園編 第十二章 波乱を呼ぶ再会

激しい死闘の末に紫苑を倒した蒼馬

 

 

しかし、戦場にたどり着いた鈴音が見たもの

 

 

それは自分の知る蒼馬とはあまりにも違う姿だった

 

 

自身の置かれた状況が理解できず、怯え、あわてふためく彼の姿に鈴音は戸惑っていた

 

 

すると蒼馬は何かを思い出したのか鈴音の静止も聴かずに

 

 

そのまま何処かへと走り去ってしまうのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇女子学園 忍部屋

 

 

 

今、忍部屋の中は重苦しい空気が漂っていた

 

 

「っ、蒼馬のやつ、我々が勝利したというのにどこに行ったのだ」グヌヌ

 

 

「あいつが居なくなったって鈴音先生から聞いた時は驚いたよ」

 

 

「蒼馬ちゃん、どこ行っちゃったんだろうね~?」

 

 

「あいつのことだから少ししたらきっといつもみたいに無愛想な顔して帰ってくるわよ」

 

 

などと雅緋たちは話し合っていた

 

 

そんな彼女たちを他所に鈴音は1人、上層部との会話を思い出していた

 

 

 

 

 

 

 

『これは忌々しき事態である』

 

 

『まったくだ。みすみすやつを逃がしてしまうとは、君はやつの価値をわかっているのかね?』

 

 

『左様、あれを強くするために我らがどれほど手を回したと思っていおる…ですな議長?』

 

 

『はい、ともかく我々としては速やかに彼を連れ戻さなければならん。鈴音くん。君にもこの事態の責任をとってもらいますよ』

 

 

こうして評議会の指示により、直ぐ様蒼馬の搜索が開始され、鈴音もそれに協力するよう命じられていた

 

 

「鈴音先生、蒼馬の行方はわからないんですか?」

 

 

「…今のところ手がかりはない、だが、すぐに見つかるはずだろう。お前たちは気にせず自分のことに専念しろ」

 

 

そう言い残し、鈴音は部屋をあとにする

 

 

廊下を歩いていながらも鈴音の頭にはあの時の蒼馬の顔が浮かび上がる

 

 

自分がどうしてこんなところにいるのか、わからず、ただ怯えていた彼の姿を思うとやるせない気持ちに襲われる

 

 

「もしあのままなら…いっそ戻らないほうがいいのかもな」

 

 

ボソリとつぶやきながら鈴音は再び歩きだした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、蒼馬は…

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

 

 

道に迷い彷徨う人のようにただまっすぐに道を歩いていた

 

 

「あいつが待ってるんだ…俺を…待ってくれてるんだ」

 

 

おぼつかない足取りで先を急ごうとするも

 

 

「…っ!?」ガツッ

 

 

不意に足をつまずき、その場に倒れた

 

 

「くそっ…なんなんだよ…いったい何がどうなってんだよ?」

 

 

自分の置かれた状況がわからず訳がわからない、頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだった

 

 

しかし、そんな彼の脳裏に少女の姿が浮かび上がる

 

 

「…戻んなきゃ、あいつが俺の帰りを待ってるんだ」

 

 

壊れそうな心に僅かな希望を見出し、彼は再び歩きだした

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……っ」

 

 

歩き疲れながらもようやく目的地の近くまで到着した

 

 

「この角を曲がれば…」

 

 

目的地は目の前、そう思い角を曲がった時だった

 

 

ドカッ!

 

 

「きゃっ!」

 

 

「うわっ!」

 

 

曲がった瞬間、誰かとぶつかってしまった

 

 

「いたた…もう何すんのよ!…っ?」

 

 

「ご、ごめん!わざとじゃないんだ!…っ?」

 

 

「「えっ?」」

 

 

ぶつかりあい、互いの顔を見た直後、2人は時が止まったかのように固まる

 

 

「~……そう、ま?」

 

 

「か、…かえで」

 

 

互いに名を呼び合う

 

 

すると徐々に楓の身体がプルプルと震え出す

 

 

「お、おい…楓?」

 

 

「バカ…」

 

 

「っ?」

 

 

「バカやろう!」

 

 

涙ぐんだ顔で罵声を浴びせる

 

 

「4年間、ずっと待ってたのに…病気を治したらまた元気に一緒にいようって言ったのに……今までどこに行ってたのよ!バカ!!」

 

 

「か、楓!違うんだ俺は!」

 

 

「っ!!」バシッ

 

 

「っ!?」ヒリ

 

 

ものすごい剣幕とともに楓がビンタをかまし、ビンタされた頬は赤く腫れ上がっていた

 

 

「っ!」ダキッ

 

 

「…えっ?」キョトン

 

 

しかし直ぐ様、彼女にぎゅっと抱きしめられる

 

 

「か、楓?」

 

 

「~‥私の…悲しみなんてわかんないわよ」シクシク

 

 

泣いていた。彼女は溢れんばかりの涙を流しながら

 

 

彼女の涙で服は濡れていた

 

 

「ごめん…」ギュッ

 

 

自分のことを心配してくれた彼女を優しく抱きしめた

 

 

 

 

 

 

 

 

落ち着きを取り戻した楓とともに彼女とともに道を歩いていた

 

 

「楓、おじさんたちは元気か?」

 

 

「あぁ、うん…今はちょっと離れて暮らしてて、今は学校近くの寮で暮らしてるの」

 

 

「そうなのか?」

 

 

長らく会ってなかったせいか彼女が寮で暮らしてると聞いてびっくりしていた

 

 

「寮には霞もいるのよ」

 

 

「霞か〜、あいつも相変わらずなんだろ?」

 

 

「えぇ、相変わらずパソコンいじくりまわしてるわよ」

 

 

「そう言うお前だって漫画描いてんだろw」

 

 

まるで昔に戻ったかのように他愛ない話で笑い合う二人

 

 

懐かしさ、そして何よりまた会えたことが嬉しかった

 

 

「もうすぐ寮に着くから、着いたら他のみんなのことも紹介してあげる、まぁ、なんだかんだ言ってもあいつら私の仲間だからさ」

 

 

「仲間か…確かにいいもんだよな仲間って」

 

 

そう呟いた時だった

 

 

「っ?」

 

 

『こいつは蒼馬、特別転入兼、お前たちの仲間として選抜メンバーに入る今後は共に任務に当たってもらう』ジジジジジ

 

 

「ぬぐっ!?」

 

 

突然、頭に頭痛が走り、その場に倒れこむ

 

 

「そ、相馬?ねぇ、ちょっと大丈夫!?」

 

 

「痛てぇっ!…な、なんだよこれっ?」

 

 

頭痛に苦しんでいる彼を心配そうに見ていた楓がふと自分たちに向けられる視線に気づく

 

 

それとほぼ同時に二人の元に複数の影が降り立つ

 

 

「な、何よあんたたち!?」

 

 

現れたのは複数の忍だった

 

 

「貴様に話す必要はない、大人しくそこにいるそいつを渡せ」

 

 

「いきなり出てきたと思ったら、相馬を渡せとか、意味わかんないんですけど?」

 

 

「わかる必要ない、とにかくそいつを渡せ」シャキン

 

 

忍たちは武器を手に二人を脅迫する

 

 

「(相馬がいる前で見られたくはなかったけど…仕方ない!)」

 

 

背に腹は代えられない楓は巻きものを取り出す

 

 

「か、楓?」

 

 

「相馬、ごめん。今まで秘密にしてて…隠れてて、こいつらは私がやっつけてやるわ!」

 

 

「いきがるなよ小娘」

 

 

「そんな口が叩けるのも今のうちよ!忍、転身!!」

 

 

手にした巻きものを空に投げ

 

 

巻きものが楓を包み、一瞬にして忍装束を纏った

 

 

「楓、お前…」

 

 

「行くわよ!楓、我が道を突き進む!」

 

 

無数の忍具を手に楓が敵に突っ込んでいく

 

 

「やつは連れて帰るが女は殺せ」

 

 

『おう!』

 

 

「これでもくらえ!」

 

 

忍具を左右の敵に向かって投げつける

 

 

敵がそれを散開しながらかわす

 

 

「シャァ!」

 

 

「ふん!」

 

 

楓はなんとか踏ん張りをみせるも、やはり数を相手にするには力不足

 

 

「ぐっ!?」

 

 

「にひっ」

 

 

「っ!?」

 

 

「リャア!」

 

 

隙をついた敵の1人が楓に強烈な一撃をお見舞いし

 

 

楓が相馬のもとに転がってきた

 

 

「か、楓!しっかりしろ!?」

 

 

「ご、ごめん相馬、ちょっと…ドジッた」

 

 

「くそっ!テメェら!!」

 

 

相馬は楓をかばうように前にでる

 

 

「大人しくついてこい」

 

 

「うるせぇ!うりゃぁぁ!!」

 

 

忠告を無視し、殴りかかる

 

 

しかし、それは見事にかわされる

 

 

「粋がんなよ!」

 

 

「っ!?」

 

 

「相馬!!」

 

 

武器を構え、それを相馬めがけて突きつける

 

 

死の恐怖を感じた相馬

 

 

 

 

 

その刹那

 

 

 

 

 

バキィィィィィン!

 

 

 

「ぐあっ!?」ドサッ

 

 

『っ!?』

 

 

突然、リーダー格が吹き飛んできて隊員たちは驚く

 

 

「…っ!!」ギロッ

 

 

いつの間にか瞳が蒼く染まっており

 

 

鋭い眼光を見て隊員たちが震え上がる

 

 

「怯むな!!」

 

 

「うりゃあぁぁ!!」

 

 

隊長の仇討ちをせんと隊員たちが襲いかかる

 

 

「ふんっ!!」

 

 

『ぐああぁぁぁぁ!!!』

 

 

しかし、隊員たちは1人残らず返り打ちにあい、地べたに這いつくばった

 

 

「くっ、この場は一旦引くぞ!」シュン!

 

 

リーダーに続いて隊員たちもその場から消え失せた

 

 

「……」

 

 

それを見届け、ふと視線を楓にむける

 

 

楓のほうはなんとも言えぬこの状況にそわりとしていた

 

 

すると再び瞳の色が黒に変わる

 

 

「…っ、あっ、あれ?」

 

 

「相馬…?」

 

 

「楓…俺はいったい?」

 

 

われに返って自分が何をしたのかわからず困惑するのだった

 

 

 

 

 

 

 


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