閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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新・蛇女子学園編 第二十三章 燃えよ二色の炎 

光牙と戦うことを決めた相馬は自分の考えに共感した蒼馬とともに攻防を繰り広げる

 

 

蒼馬の戦術によって有利に運んでいたはずの戦況は光牙のパワーアップを気に一気に逆転、苦戦を強いられていった

 

 

実力を目の当たりにし、諦めかけようとしていた蒼馬に喝を入れるように相馬が説得する

 

 

仲間たちのためにも負けられないのだと思い出した蒼馬もその言葉によって復活

 

 

改めてこの勝負、勝つという二人の思いが重なった時、蒼馬に新たな能力が発現し

 

 

何が起こるかも顧みず発動した瞬間、全身から光が放たれ、それが消えると

 

 

そこには相馬と相馬、決して見合わせることがないと思われた二人が互をはっきりと直視するという不思議な現象が起こったのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ…あ、アオ?」

 

 

「これは……思った以上に想定外だな」

 

 

確かに何が起こるかもわからないと知りながら力を使ったが、よもやこういった結果になるとは微塵も思っていなかったため、呆気に取られていた

 

 

「でも一体何でこんなことに?てか俺もなんかパワーアップしてるし!?」

 

 

2人に別れて驚くのも束の間、さっきまで手首までしかなかった変化がいつの間にか右全体を覆う蒼馬と継いをなす赤き炎の鎧を纏っていた

 

 

「んっ……もしや?」

 

 

「なんだよ。なんか心当たりあんのかよ?」

 

 

「これはきっと、さっきセットした巻物の力なのだろう。おそらく巻物の効果は俺たちを一つの肉体から解き放ち、2人の存在として新たに作り変えるというものなのかもしれん、そうだとすればこの状況にも説明がつくというものだ」

 

 

今まで使えなかった能力が今になって発現したことに蒼馬は疑問を感じ、そんな彼の言っていることが全く理解できない相馬は目を点にしキョトンとした顔を浮かべる

 

 

「……ところで」

 

 

「「っ?」」

 

 

「いつまで話し合いを続けるつもりだ?」

 

 

「「あっ」」

 

 

自分たちに起きた現象について談義するのに夢中になって光牙のことはそっちのけになっていたことに気が付く

 

 

「戦いの最中におしゃべりとは随分と余裕だな」

 

 

「あぁ、いやいや!ちょっと作戦会議してただけだっての」アタフタ

 

 

「ともかく、ここからは俺たちの反撃開始だ。一気に巻き返させてもらう」

 

 

「そうそう!なにせ戦況はこれで2対1だしな!」

 

 

気を取り直して相馬と蒼馬は身構える

 

 

「…やりにくい」

 

 

こうも違う二人をいっぺんに相手にするのかと思うと少し面倒な気持ちになるも、そこは光牙、割り切るところはしっかりと弁えており、すぐに構える

 

 

「っしゃ!いくぜアオ!」

 

 

「あぁっ!」

 

 

相馬と蒼馬が光牙へと向かって駆け出す

 

 

「おりゃっ!!」ブン

 

 

「ふっ!」スッ バッ!

 

 

「うわっ!」

 

 

光牙が相馬の攻撃をかわし、回し蹴りで吹き飛ばした

 

 

「はあっ!」パキュン!

 

 

「っ!!」ガキィィン!

 

 

「っ!?」

 

 

続いて今度は蒼馬の放った光弾を右手の手刀を盾替わりにして受け止める

 

 

「…ふっ、はあぁぁぁぁ!!」

 

 

 

ジャキィィィィン!

 

 

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「アオ!!?」

 

 

隙きをついた光牙から振るわれた手刀の斬撃波が蒼馬に襲い掛かり、直撃を受けた蒼馬は大きく後方へと吹き飛ばされる

 

 

「くそっ!おりゃあ!うりゃあぁぁぁ!」

 

 

敵討ちと言わんばかりに拳を振り回すも全て光牙によけられてしまう

 

 

「ちくしょう!」

 

 

「遅い!!」ザシュン!

 

 

「があっ!」

 

 

動きを見透かされている相馬に光牙の手刀が炸裂する

 

 

「はっ!ふん!せい!やあっ!!」

 

 

「がああぁぁぁっ!」

 

 

そこから息つく暇もなく次々と怒濤の斬撃がヒットし、相馬は地面を転がる

 

 

「ぐっ、ううっ…っ!」

 

 

「さっきのあれには驚きこそしたが所詮はそれだけだ。お前では俺を倒せないことに変わりはない」

 

 

「っ…!」グヌヌ

 

 

「とは言え、二人も相手にするのは流石に面倒なんでな。まずは潰せる方から確実に潰させてもらう」

 

 

光牙はそう言いながら手刀を構えてゆっくりと相馬に近づく

 

 

「(じょ、冗談じゃない…こんなとこで死ねるかよ…俺には待っていてくれてる奴がいるんだ)」

 

 

すると相馬の目に楓の顔が浮かび上がる

 

 

だが、すぐに再び光牙の姿が映る

 

 

「ここまでだな」

 

 

そして目の前まで来た光牙が相馬に向けて手刀を振り上げる

 

 

「(俺は…俺は…)」

 

 

「…終わりだ」

 

 

ここまでかと諦めかけた時

 

 

「ソウ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

「これを使え!」バッ!

 

 

「っ!」ガシッ!

 

 

突如、自分目がけて飛んできたものをキャッチするとそれはヴァイザーだった

 

 

「小賢しい!」

 

 

「っ!?」ガチャン!

 

 

状況からまずいと判断した光牙が急いで相馬を始末しようと手刀を突き出す

 

 

それと同時に相馬は慌てながらもヴァイザーを装着する

 

 

「これで沈め!!」シュン!

 

 

 

「俺は…こんなところで負けられねぇんだよぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

必死の叫びの声を上げながら相馬は一心不乱にヴァイザーを装着させた右手を光牙に突き出す

 

 

 

ドスゥゥゥゥン!!

 

 

 

「っ!?」

 

 

「ぬううぅぅぅぅ!!!」

 

 

生への執念か、相馬の突き出したヴァイザーによる一撃が光牙の手刀よりも先に命中した

 

 

「な、なんだと……!?」

 

 

「うおおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 

ドッゴォォォォォン!

 

 

 

「ぐああぁぁぁ!!!」ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン

 

 

 

ドドォォォォォォォォォン!

 

 

 

ヴァイザーによる一撃を受けた光牙は大きく後方へと吹き飛ばされていった

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

 

 

「大丈夫かソウ!」

 

 

「えっへへ、サンキューアオ、助かったぜ」

 

 

蒼馬のとっさの支援がなかったらやられていたに違いないと相馬は感じていた

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…ゆ、油断した」グヌヌ

 

 

「へへっ、俺もなかなかにやるってことだ。わかったか~?」

 

 

「……図に乗るなよ」

 

 

相馬の態度に若干イラつきを感じた

 

 

「一気に畳み掛けるぞ」

 

 

「おう!」

 

 

ここからが本盤と言わんばかりに相馬と蒼馬が駆け出し、光牙もそれに合わせて駆け出す

 

 

「おりゃあぁぁぁ!!!」

 

 

「はあぁぁぁぁ!!!」

 

 

「っち!!」

 

 

相馬のヴァイザーによる突きと蒼馬の蹴り込みが光牙の手刀がぶつかり合い、劇しい火花を散らす

 

 

「ぐうぅぅぅぅぅ!!」

 

 

「ふんんんん!!!」

 

 

「ちぃぃぃぃぃ!!」

 

 

互いに一歩も譲らない

 

 

 

バキィィィィィン!

 

 

 

「うわっ!?」ザザァァァァァ

 

 

「ぬぅぅっ!」ザザァァァァァ

 

 

「くっ!」ザザァァァァァ

 

 

この勝負は引き分けに終わり、衝撃によって互いに後方へと下がった

 

 

「はっはっはっは~。すんげぇなこの武器!使う度に馴染む!」

 

 

「悠長にしてる余裕はないぞソウ、来るぞ!」

 

 

ヴァイザーの扱いやすさに満足気な相馬に対して蒼馬が手刀を構えて向かってくる光牙を警戒するよう促す

 

 

 

 

 

その後も戦いは熾烈を極める

 

 

「おらよ!」

 

 

「させないぞ!」

 

 

「それはこちらのセリフだ!」ドスッ!

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

鬱陶しく感じた光牙が手刀で斬りかかるもそれを阻止するかのように蒼馬が光牙の脇に飛び蹴りを放つ

 

 

「き、貴様ぁぁぁぁ!!」

 

 

攻撃を邪魔した蒼馬に光牙が迫り来る

 

 

「っ!?」

 

 

「やあぁぁぁ!!」

 

 

「アオ!パスッ!」バッ!

 

 

「ナイスタイミングだ!」ガチャン

 

 

 

ガキィィィン!

 

 

 

光牙の手刀が迫り来る中、相馬が先ほど蒼馬がしたのと同じように持っていたヴァイザーを投げつけ

 

 

それを手にした蒼馬がそれを盾にして攻撃を防ぎ、そこからつばぜり合いになりその場から動かなくなる

 

 

「ぐうぅぅぅ!!」

 

 

「ぬうぅぅぅぅ…でやっ!」

 

 

「うわっ!」

 

 

力比べを征し蒼馬が光牙を弾く

 

 

「今だ!秘伝忍法!」

 

 

このタイミングだと言わんばかりに蒼馬がヴァイザーのボタンを押し、銃口からエネルギーがチャージされる

 

 

「はああぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

バキュゥゥゥゥン!

 

 

 

「ぐあっ!?があぁぁぁ!!??」

 

 

ヴァイザーから放たれた極大の光弾による直撃弾が光牙を地べたに転げさせる

 

 

「決めるぞ、ソウ」

 

 

「OK!派手に決めるとするか!」

 

 

光牙が動けないうちに2人は隣り合わせに佇む

 

 

そして蒼馬が一本の巻物をヴァイザーにセットし、相馬がボタンを押すことにより二人同時に秘伝忍法が発動する

 

 

「うぉぉぉぉ!!!」ギュオォォォ!

 

 

「ふんんん…!!!」ギュォォォ!

 

 

両者共に構えを取りながら相馬の足からは赤い炎が、蒼馬の足からは蒼い炎が灯りエネルギーがチャージされていく

 

 

「「はっ!!」」バッ!

 

 

「っ!?」

 

 

さらに両者は同時に空に飛び上がるとともに光牙に蹴りをかまし、さらにそこから息のあった怒濤の蹴りの連撃を決めていく、両者の足に纏わる炎が美しくアーチを描くかのように輝かしく燃える

 

 

「これで!!!」

 

 

「終わりだ!!!」

 

 

「「はああぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

 

「しまっ!…ぐあああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

そして二人の止めの技が見事命中、その数秒後、光牙は大爆発した

 

 

「うぅっ!」ドサッ

 

 

変身が解け、光牙は地面に倒れた

 

 

「っしゃあ!勝ったぜ!」

 

 

「あぁ。そうだな」

 

 

「これもお前のサポートのおかげだ。ありがとな…"相棒"」

 

 

「…ふっ、こちらこそ」

 

 

互いに感謝を述べながら二人は拳と拳を合わせた

 

 

すると戦いが終わったとともに相馬と蒼馬の体が光り出し重なり合うとともにまた1つの肉体に戻った

 

 

「ぐうっ…」グヌヌ

 

 

「さぁ光牙、勝負は俺たちの勝ちだ。宣言通りお前を雅緋たちのとこにつれてくぜ」

 

 

「…ふ、俺は敗者だ。もはや語るまい、好きにしろ」

 

 

「けっ、気障な野郎だな。じゃ遠慮なく」

 

 

そして相馬が光牙を連れてこうとした時だった

 

 

 

『うまー相馬、聞こえるか!』

 

 

「ん?忌夢から通信?」

 

 

突然、忌夢からの通信が入った

 

 

「どうしたんだ?」

 

 

『大変だ!雅緋がいないんだ!』

 

 

「えっ?」

 

 

慌てた様子の忌夢からそう聞いた相馬は思わず声をだす

 

 

『それに雅緋だけじゃない、紫もいないんだ!』

 

 

『あとあと、両備ちゃんもいないの~!』

 

 

通信先から両奈の声も聞こえる

 

 

「とっ、ともかくまずは一旦合流してからだな。俺たちの方から行くから行きながら場所を教えてくれ」

 

 

『そ、そうだな』

 

 

『うんうん。了解』

 

 

そう言うと相馬は通信を切った

 

 

「姉さん達に何かあったのか?」

 

 

「わかんねぇけど、ひとまず俺は忌夢たちのとこに行く。いいか?話が終わったらお前を雅緋達のとこ連れてくから逃げんなよ?」

 

 

「わかってる。男に二言はない」

 

 

「しっかり聞いたかんな。忘れんなよ!」

 

 

相馬は光牙に約束させると忌夢たちに合流すべく先を急ぐのだった

 


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