閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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新・蛇女子学園編 第二十五章 明かされる両姉弟の秘密

光牙たちから勝利を手に入れた相馬達だったが、その最中突如、雅緋たちが行方を絡ませてしまった

 

 

どうしてこうなったのか理由がわからず困り果てていた彼らの前に

 

 

忍術でカラスに魂を移した鈴音が蛇女が危機な状況になっていると告げ

 

 

さらにその犯人は行方をくらませている雅緋たちだと言うのである

 

 

それを信じられなかった忌夢は自身の目で真実を確かめるべく蛇女に向かい、相馬たちも慌てて忌夢を追いかけた

 

 

蛇女に着いた相馬たちはそこでおぞましい光景を目の当たりにする

 

 

激しい戦闘が行われたことを物語る傷跡や、周辺には傷つき瀕死の生徒たちがいた

 

 

これを見てもまだ信じようとしない忌夢を見かねた蒼馬が彼女を一喝

 

 

ようやく目を覚ました忌夢だったが

 

 

それと同時に蒼馬たちの前に雅緋たちが現れたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

雅緋たちが現れたことで空気が一気に張り詰める

 

 

「雅緋!それに紫!…どうして、どうしてなんだ!どうしてこんなことを!?」

 

 

「そうだよ両備ちゃん!無関係な学園のみんなを襲うだなんてどうしちゃったの!?」

 

 

忌夢と両奈は目の前に立ちはだかる雅緋たちに必死に語りかける

 

 

しかし、いくら待っても彼女たちから返事は返ってこない

 

 

まるで物言わぬ人形のようにただただ自分たちを敵視しているだけだった

 

 

「雅緋!紫!ボクの声が聞こえないのか!」

 

 

「両備ちゃん!何か言ってよ!」

 

 

何度語りかけてもやはり返事は返ってこない

 

 

「その子たちにいくら呼びかけても無駄ですよ」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

その時、何処からか蒼馬ではない別の男性の声が聞こえる

 

 

すると地面の底からすり抜けるかのように何者かが這い出てくる

 

 

「……っ!?」

 

 

『ど、どうしたアオ?』

 

 

蒼馬がその顔を見た途端、とてつもないほど驚いている様子だった

 

 

「ふふふ、随分と勇ましくなりましたね蒼馬。感じますよあなたの体から大きな力を」

 

 

一方、男の方も蒼馬のことを昔から知っているかの言い回しをしており、相馬たちは困惑する

 

 

『おいアオ、きいてんのかよアオ!?』

 

 

「っ!?」

 

 

『やっと気づいたか。いい加減に教えろよ、あのおっさんは何者なんだ?』

 

 

相馬の呼びかけに我に蒼馬は我に返った

 

 

そしてじっと目の前の人物を見据えながら閉ざしていた口を開いた

 

 

「奴の名は道元、あの事件が起こるまでは事実蛇女を支配していた男であり、俺たち妖魔人間を生み出す研究の首謀者だ」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

蒼馬の語った衝撃的告白に相馬たちは唖然となる

 

 

『あいつが…あいつのせいで俺は!』

 

 

相馬が人間を捨てざるおえなくなった原因を作った男が目の前にいる

 

 

考えれば考えるほど怒りが込み上げていく

 

 

「しかしなぜだ?なぜ学園を追放されたお前がここにいる?」

 

 

「ふん、簡単なことですよ。理由はたった1つ…復讐だ!」

 

 

両手を広げ、高らかに道元は叫んだ

 

 

「この私を追放し、蔑ろにしたこの学園の奴ら全てに私の怒りと憎しみを思い知らせてやるのだ!」

 

 

「…貴様が雅緋たちに何かしたんだな」

 

 

「ご名答、いでよ!私の可愛い眷属たち」

 

 

すると道元の周りに無数のハエが湧き出てきた

 

 

「それはお前の術か?」

 

 

「その通り、彼らのおかげで彼女たちは私の命令を忠実に実行する手駒となったのですよ」

 

 

「なんだと!許さない!今すぐ元に戻せ!!」

 

 

忌夢が洗脳を解くようにと怒鳴りつける

 

 

「彼女たちを解放するにはこの私を倒す以外、方法はありませんよ」

 

 

「だったら今すぐお前を!!」

 

 

勢いよく飛び出す。なぜか主人が狙われてるのに自分をスルーする3人に違和感を覚えつつも

 

 

如意棒で道元を狙う

 

 

「くらえ!!」

 

 

忌夢が如意棒を振りかぶり、道元に叩き込んだ

 

 

 

シュウゥゥン

 

 

 

『っ!』

 

 

「な、なに!?」

 

 

だが、道元の体が忌夢をすり抜ける

 

 

どういうことだか理解できず忌夢は困惑する

 

 

「残念でしたね。今ここにいる私は、私が術を使って作り上げた幻ですよ」

 

 

「くっ、くそっ!」

 

 

この時、それらを見ていた蒼馬は考えていた

 

 

きっと道元はこの学園のどこかで身を潜めていることを

 

 

「道元、一つ教えろ」

 

 

「何かな?」

 

 

そして蒼馬は道元に尋ねる

 

 

「なぜ雅緋たちをこうもあっさりと洗脳できた?いくら貴様でもそう簡単には」

 

 

「この術は対象者の心の闇が深ければ深いほど洗脳しやすくなるのです」

 

 

「なんだと?どういう意味だ?」

 

 

言葉の意味が理解できず蒼馬は質問すると道元はニヤリと笑った

 

 

「どうも何も簡単なこと、彼女たちがこうもあっさり洗脳されたのは彼女たちが秘めていた闇がそれほどに深かったからなのですよ」

 

 

「なに?」

 

 

「雅緋、彼女は今回の任務をずっと否定していた。愛する弟である光牙と戦うことなど出来ないと。そして彼女は思った自分にこんな命令を下した上層部が許せないと。上層部への強い恨みが彼女を闇に染めたのです。次に紫、彼女もそう。自分にあんな酷なことをさせようとする奴らが許せないと、その思いが彼女に闇を産ませた。そして最期は……これはもうわかってますよね両奈?」

 

 

「っ!?」

 

 

道元が問いかけると両奈は過剰な反応を示す

 

 

「どうした両奈?」

 

 

「あっ…あの…その…」

 

 

明らかに両奈は動揺していた

 

 

「両備が闇に染まった理由はそこの両奈も関係しているのです」

 

 

「なんだと?」

 

 

「では教えてあげましょう。彼女たちの心の闇、そして彼女たちがこの学園にきた本当の理由をね」

 

 

「っ!?や、やめて!!」

 

 

それ以上話してほしくないと両奈は必死に叫ぶ

 

 

「彼女たちがこの学園に来のは……そこにいる雅緋に復讐するためなのですよ」

 

 

「っ!?」

 

 

「な、なんだって!?」

 

 

「雅緋に復讐?」

 

 

両奈の思いも虚しく今まで隠していた両備と両奈の目的が知られてしまった

 

 

「どういうことだ両奈!雅緋に復讐するって!?」

 

 

「それは…」アセアセ

 

 

話しを聞いた忌夢が両奈に突っかかる

 

 

「言えないなら私が代弁してあげましょう。彼女たちがなぜ雅緋に復讐をしようとしていたのか、それは彼女たちの姉の死が関わっているからなのですよ」

 

 

「姉の死?」

 

 

「…両奈ちゃんたちのお姉ちゃんは任務中に暴走した雅緋ちゃんの手で……殺された」

 

 

「っ!?」

 

 

両奈は沈んだ顔を浮かべながらはっきりと告げた。姉が雅緋によって命を絶たれたと

 

 

しかし、その話しに一番反応したのは蒼馬ではなく忌夢だった

 

 

「だから、両奈ちゃんと両備ちゃんはお姉ちゃんの敵を撃つためにこの学園に転入した。いつか訪れるかも知れないチャンスを待つために」

 

 

「…両奈」

 

 

「違う。違うんだ両奈」

 

 

「い、忌夢ちゃん?」

 

 

するとその時、忌夢が申し立てる

 

 

「雅緋はお前たちの姉を殺してない」

 

 

「えっ?」

 

 

忌夢の語ったその言葉の意味がわからず両奈はあたふたする

 

 

「あの時、任務に出ていた雅緋たちは突然現れた妖魔の襲撃を受けた。多勢の死者、負傷が出る中。最後の手段と雅緋は「深淵血塊」を発動し妖魔と戦った。でも雅緋は力に溺れ暴走し、暴れまわった。そんな雅緋を救うためボクは「血塊反転」を発動させ、なんとか雅緋の暴走は食い止めた。……さっきのお前の話しを聞いて確信した。あの中にいた人物の中にお前たちの姉がいたんだって、すまなかった!」

 

 

「忌夢ちゃん…」

 

 

「お前の姉を死なせてしまったことは決して償えるようなものでもない、ただわかってほしいんだ!雅緋は誰かを殺めるような人じゃないってことを!」

 

 

必死に頭を下げ、謝罪を述べた

 

 

すると両奈がゆっくりと忌夢に近づく

 

 

「……顔を上げて忌夢ちゃん」

 

 

両奈が忌夢に語りかける

 

 

「もういいの…本当は両奈ちゃんわかってたんだ。こんなことしてもお姉ちゃんは喜ばない、一緒に過ごしていく内に復讐は何の意味もないって気づけたから、だから……両奈ちゃんは忌夢ちゃんも雅緋ちゃんも許すよ」

 

 

「両奈…」

 

 

その言葉に忌夢はどこか救われた気持ちになれた

 

 

「素晴らしい、最高に美しくて…本当に反吐がでる」

 

 

道元が冷酷な顔を見せつけながら呟いた

 

 

「そろそろ茶番は終わりとしよう、さぁ我が忠実なしもべたちよ。奴らを倒すのだ…ただし蒼馬だけは生け捕りにしろ!」

 

 

命令を受けた雅緋たちが一斉に武器を構える

 

 

「忌夢、両奈!」

 

 

2人が呼びかけに応じ、蒼馬たちも武器を手にする

 

 

「待ってろ、今すぐ助けてやるからな!」

 

 

道元に操られた雅緋たちに向けて蒼馬は語りかけるのだった


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