閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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新・蛇女子学園編 第二十八章 取引 

相馬と蒼馬、能力にて分裂した2人がそれぞれ雅緋たちを相手に戦いを繰り広げる

 

 

雅緋と両備を相手に蒼馬は持ち前の戦法で二人を翻弄し、見事に勝利を収め、

 

 

方や相馬も荒々しくも直球一本槍な戦いで紫を圧倒し勝利した

 

 

 

 

 

 

蒼馬に案内されながら評議会の間に続く道を相馬は進んでいた

 

 

 

ギギギギ…ギギィィ!

 

 

 

その行く手を阻まんと傀儡達が襲いかかる

 

 

「えぇい!邪魔すんな!!」

 

 

 

ギィィィ〜!!

 

 

 

「なんなんだよあれ?さっきからうざったいな!」

 

 

『あれは警備用の傀儡だ。評議会に許可なく侵入した侵入者を排除するようにプログラムされている』

 

 

「はぁー?なにその面倒なプログラム…たくっ!ともかく突っ走るぞ!次どこ行けばいい!」

 

 

『まかせろ』

 

 

相馬は傀儡達の妨害を諸共せず、蒼馬の指示する道をひたすらに突き進む

 

 

『次の角を曲がったところが議員達のいる間だ』

 

 

「OK!よっ!」

 

 

スライディングしながらようやく目的地に到着する

 

 

「っ?」

 

 

しかし、なぜか議員達のいる間に入るための扉が完全に閉められていた

 

 

『まずいな。この扉は指紋認識や網膜スキャン、暗証番号を解除して初めて開くようになっている』

 

 

「いやいや、なにそのガッチガチなセキュリティー?」

 

 

すごい念の入れように相馬は若干引いていた

 

 

『このままではいたずらに時間を費やしてしまうだけだ』

 

 

「えぇいまどろっこしい!」

 

 

相馬が手に力を込めるとともにそれを引き絞る

 

 

『どうするつもりだ?』

 

 

「決まってんだろ、ドアをぶっ壊すんだよ!見てろ!」

 

 

ヴァイザーを構え力と精神を集中させる

 

 

「うぉりやぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

突き出した拳をドアにぶつけた

 

 

 

ドゴォォォォォォォォォン!

 

 

 

激しく打ち付けられたと同時に轟音が周囲に響き渡る

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

 

ピキッ…ピキキキキ

 

 

 

相馬の渾身の一撃によって扉にどんどんと亀裂が走り出す

 

 

「うりゃぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

ドガァァァァァン!!

 

 

 

「はぁ…はぁ…」ゼェ…ゼェ…

 

 

『まったく、無茶をしよって』

 

 

「だけど…上手く行ったろ」

 

 

無鉄砲にも程があると呆れる蒼馬を他所にやり遂げたことに誇らしげな顔を浮かべる相馬だった

 

 

「ほう、よくここまでたどり着けましたね。さすがは私の可愛い実験体だ」

 

 

「っ!?」

 

 

声のする方へ視線を向けるとそこには身動きできない状況に追い込まれている評議員達とその前に立つ道元がいた

 

 

「今度は幻じゃねぇよな?」

 

 

「えぇ、あなたの目の前にいるのは正真正銘の私、道元ですよ」

 

 

「…おし!だったら、とりあえずぶん殴る!」

 

 

「ふっ、威勢がいいですね」

 

 

本物だとわかると相馬は拳を突き出し、宣戦布告する

 

 

「おい道元!貴様自分がなにをしているのかわかっているのか!」

 

 

「我々に手を出すという意味を本当に理解してるのかしら?」

 

 

「いやはや困った奴じゃな…ですな議長?」

 

 

「はい、そもそも君が蛇女の責任者としての立場を失ったのは君の失態がきっかけ、自業自得というものじゃよ。我々への反逆のために怨櫓血までも呼び出し、その結果…君は負けた」

 

 

議長がニヤリと笑みを浮かべると道元は苦虫を噛みしめるかのような顔を浮かべた

 

 

「ふっ、ふん…そんなでかい口が叩けるのもこれまでですよ」パチン

 

 

道元が指を鳴らす

 

 

すると道元の左右に黒い靄が発生し、その中から影が現れ、道元の横にたつ

 

 

「な、なんだそいつらは?」

 

 

「ふふふ。こいつらは私がある計画を行うために作り出した精鋭部隊…その試作品だ。蒼馬や研究所の者たちに行った研究成果を元に作り上げたのだよ」

 

 

「「「「「「『なんだと』」」」」」」

 

 

道元の語ったその言葉に蒼馬は驚く

 

 

「試作品ではあるがこいつらの戦闘能力はお前たちよりもはるかに上だ。改造手術に加えそこに妖魔の力を取り込ませ、君たちのように心などという邪魔なものを持たず、与えられた命令に絶対に服従する戦士。それがこいつらだ」

 

 

『こいつらも俺たちのように実験に使われたということか……貴様というやつはどこまでも』グヌヌ

 

 

肉体を器にされ、ただ命令に従うだけの存在にされてしまった者たちことを思うと蒼馬は腸が煮え返る思いだった

 

 

「さぁ、お前たちよ。まずは私をこけにするあの老いぼれどもに引導を渡してやれ!」

 

 

道元から命令を受け、人造妖魔人間が議員たちに近づく

 

 

「お、おい!なにをぼけっとしておる!早く我らを助けよ!」

 

 

「これは命令ですよ!さぁ早く!」

 

 

命の危機を感じた議員たちが相馬に自分たちを助けるよう命じる

 

 

それを聞いた相馬はしばらくその場でじっとしていた

 

 

「っ!」ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン バッ!

 

 

次の瞬間、相馬は駆け出し、その勢いにのせ道元めがけて跳躍しパンチを放とうとする

 

 

【【っ!】】バッ バキン!

 

 

それに気づいた人造妖魔人間がすかさず道元を守った

 

 

攻撃を止められたとともに人造妖魔人間が攻撃してきた

 

 

【っ!】スッ

 

 

「はっ!」バッ

 

 

 

ドスゥゥゥゥン!

 

 

 

豪腕から繰り出されるパンチをジャンプしてよけ、そのまま議員たちの前に着地する

 

 

「よしいいぞ。そのままやつらを倒してしまえ!」

 

 

議員の1人がそう言い放つ、すると相馬は義長に目線を向ける

 

 

すると次の瞬間

 

 

「っ!」ガシッ

 

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

 

突然、相馬が議長の胸ぐらを掴んだ

 

 

「ぎ、義長!?」

 

 

「貴様。なんの真似だ!?」

 

 

「うるせぇな!少し黙ってろ!」

 

 

思わぬ事態に驚く議員たちを他所に義長のみは今まで通りだった

 

 

「これはどういうわけじゃ蒼馬くん?」

 

 

「今の俺は相馬だ。んでもって、じいさん、俺と取引だ」

 

 

「…取引?」

 

 

相馬の真剣な目を見て義長は相馬の話しに耳を傾ける

 

 

「お望みどおりあんたらを守ってやるよ。その代わり俺の出す条件を飲め、飲まなければ俺はあんたたちを助けない、あんたたちが道元になぶり殺されようとも見て見ぬ振りをする」

 

 

もし条件を聞き入れなければ今の無防備な議員たちを守るものはなくなり、やすやすと道元に殺されてしまうということになる

 

 

「ほう……して、その条件とは?」

 

 

「今、あんたたちが選抜メンバーたちに下している紅蓮竜隊討伐任務。それを取り下げろ。もう一つは俺を自由にさせろ…それが条件だ」

 

 

「な、なにを言うか!」

 

 

「そのような条件を飲めると思うのか!思い上がるのも大概にしろ!」

 

 

無論、その条件を聞いた他の議員たちはそれに反論する

 

 

「だったらどうする?このままやつに殺されたいか!」

 

 

「ぬっ…うう」

 

 

相馬の言うことに議員たちは徐々に言葉を失う

 

 

「正直、俺はあんたらに怒り心頭なんだよ…任務だからって一言で片付けてそれをやらされるやつのことなんかこれっぽっちも考えてねぇ……忍だろうがなんだろうがあいつらはそれ以前に人間なんだよ!人形じゃねぇんだよ!わかるか、あいつらは泣いてたんだよ!大切な人を…思っている人と戦わされなきゃならないということにずっと苦しんでたんだよ!お前らのせいであいつらが何れ程苦しんでたと思ってんだ!」

 

 

「それが忍というものじゃよ…感情に縛られるようではいざという時動けなくなるようでは一流にはなれんよ。嫌な命令には従わん、自分の手は汚したくない…きれいごとが通るほどこの世界は甘くはない」

 

 

「…確かに任務が大事だってのはなんとなくわかる。ルールや掟を破るやつは屑呼ばわりされるっていうのも聞いてる。……でもな、俺には人や仲間をただ道具としか見てないあんたらのほうがよっぽど屑に見えるぞ」

 

 

「……」

 

 

そう語りかける相馬の目を見て義長は何かを感じた

 

 

「なんと言われようともそんな条件を飲めるとわけがない、ですな義長……義長?」

 

 

いつものように義長に同意を求めようと声を掛けるもなぜか義長からの返答が帰ってこなかった

 

 

見てみると義長はどこか深々と考えごとをしているようだった

 

 

そしてしばらくすると義長は再びニッコリとした顔で語り始める

 

 

「君のその心意気、見事じゃ……負けたよ」

 

 

「っ?」

 

 

「よかろう。その条件、飲もう」

 

 

『っ!?』

 

 

義長のその言葉に他の議員たちは驚く

 

 

「ぎ、義長。本気ですか!」

 

 

「こんな小僧の言う条件を飲まれるなどと!?」

 

 

「気は確かですか!?」

 

 

「今一度お考えを!」

 

 

なんとか義長の考えを改めようと説得を試みる

 

 

「皆の者、落ち着け…わしは彼の言葉に心打たれたんじゃよ。一見むちゃくちゃなことを言ってはいるがかれの言うこともまた一理あるのかもしれんとの、彼も…光牙もそうじゃった。最初こそ任務で動いていた彼がいつの間にか蛇女の者たちが慕う存在になっておった。わしはこの相馬くんにも同じようなものを感じたんじゃ。学園のことを本当の意味で真剣に考えておるのは誰か、それを改めて考えさせられたよ。……この件の一切の責任はわしがとる。かまわんかな?」

 

 

義長の語りかけに議員たちは何も言えなくなった

 

 

「相馬くん。わしらは条件を飲んだ。今度は君が約束を果たす番じゃ」

 

 

「おう、任せとけ…道元は俺たちが倒す」

 

 

話がまとまり、相馬は道元のほうに視線を向けた

 

 

「いやはや、随分と長々と話してくれましたね~。お陰でこちらは退屈でしたよ」

 

 

「そいつは悪かったな。だけどもうそんな心配いらないぜ。ここからは退屈する暇なんざ無いんだからよ!」

 

 

「ではそろそろはじめましょうか。…やれ」

 

 

道元の命令を聞き、妖魔人間が相馬に向かって歩き出す

 

 

「かかって…こいや!!」ドン

 

 


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