「な、何が起きた?…何だその姿は!?」
蛇女への復讐を誓った悪の根元の前に立つは学園を救わんとする1つの体に2つ魂を宿す男
そう、相馬と蒼馬、その2人だった
「これが、俺達の新たなる力。学園の全てを滅茶苦茶にし、みんなを悲しませた貴様を断罪する……そのために得た力だ!」ドン
「ぐっ、なにを調子のいいことをっ!やれ!今度こそやつの息の根を止めるのだ!」
【【グオォォォォォォ!!】】ドドドドドドドド
命じられるがままに人造妖魔人間が
『「勝つぞこの戦い」』
「わかってるって!」
蒼馬と意思疎通を取りながら迫り来る人造妖魔人間に備える
「ふっ!はっ!」
再び自分たちを吹き飛ばしたあの豪腕と鋭い爪で攻撃を繰り出すも、
「はっ!ふん!!」ドゴォォォォォォォォォン
【グオォッ!?】
反撃と言わんばかりに突き出した
「ば、馬鹿なっ…」アセアセ
さっきまで攻撃してもビクともしなかった人造妖魔人間を簡単に吹き飛ばすほどに短期間で強くなったこの現象に理解できるものはここにはいなかった
【グオォォォォォォ!】ブォン
『「後ろだ」』
「避けて見せら!」スッ
背後から仕掛けてきた攻撃も意思の伝達を駆使して回避する
【グッ、グオオッ!!】
「へっ!」
攻撃をかわされ、再度、仕掛ける
「はっ!おりゃあぁぁぁ!」
爪による突きを当たる直前に叩き落とし、その隙きを突いて右ストレートでぶっとばす
耐久値を超えるほどのダメージを受け、人造妖魔人間たちは怯んでいた
「まだまだ。ここからだぜ」キュピーン
「はっ!」ドン
すると相馬が徐ろに足元の床に手を突っ込んだ
ブォオオオオオオ!!
直後、床から二色の炎が
「っ!!」ググググ…バッ!!
そしてなんと突っ込んだ地面から手とともに抜き出したのは斧状の武器だった
「な、なんだそれは!?」
「これか?こりゃう~ん……おっ、閃いた。こいつは「デュアルガンフレード」だ!」
『「名前はともかく、畳み掛けるぞ!」』
「おう!」
出現させたガンフレードを構え、突っ込む
「おりゃぁ!でりゃぁぁ!」
鋭利な先端が直撃すると同時に二色の炎が人造妖魔人間の身体を焦がす
『「まだまだ。これだけではないぞ」』
「こりゃいい!…さぁ、盛り上がっていくぜ…はあっ!」
続けざまに
「おりゃよ!」ザシュン
【グアッ!?】
「せい、うりゃっ!」ザシュン
【ゴアアァァッ!?】
斧の斬れ味は凄まじく硬い装甲のような皮膚に覆われた妖魔人間の体をなんのことなく切り裂いていった
「ふっ、おりゃあぁぁぁ!!」ザシュコーン!
【【グアアァァァァ!!】】
「すげぇ、すげぇよ…これが俺たちの力か」
『「あぁ、この力をもって終わらせるぞ」』
「おう、あいつらや学園のみんなの居場所を取り返してみせるぜ!うぉぉぉ!!!」
【【グゥゥ…ウオオォォォォォ!!!】】
負けられない意思を胸に走り出す
「ふっ!はっ!せいっ!えいや!!」
しかし、もはや今の
『「決めるぞ」』
「OK!」
「「…はあぁぁぁぁ!!」」ゴォォォォォォォォォ
決着をつけるべく
そして高まった力が相馬の両足に集中していくと同時に両肩についているジェット部分から二色の炎を吹き上がらせる
「はっ!!」バッ!
十分に力が集まったと同時に
『「「でぃやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」』ギュイィィィィィィィン
【【ッ!?】】
『「「はああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」』
バキィィィィィン! ボバアァァァァァァァァン!!
その身は大爆発し後には灰以外何も残ってはいなかった
「…そ、そんな」ドテッ
人造妖魔人間が倒され、道元はショックでその場にへ垂れ込む
「俺たちの…勝利だぜ」
『「あぁっ!」』
「やっぱりお前は最高だぜ!」
『「お前もな」』
他の人には見えないが相馬と蒼馬は精神世界にて互いに手を叩いて健闘をたたえ合った
「や、やった…やりおった」
「まさか、これほどの力とは」
「野放しにするには危険ではありませぬかな…ですな議長?」
「ふむ。皆の者たちの意見も最もじゃが…現にわしらは彼に救われた。今更グダグダも言ってはおれんじゃろうて」
確かに助けられたことに変わりはない、議長のその言葉に議員たちは何も言えなくなった
「さて…ところでいつまでそこにへ垂れ込んでおるつもりかな?」
「っ!?」ビクッ
議長の声でようやく道元は我に帰った
「君の切り札だったあの化物どもはそこにいる相馬くんの活躍で消し炭になってしまった。それにより我々を亡き者にする手段を失ってしまったわけじゃな」
「ぐっ、ううっ…」
「おっと、正しくは君自身でやろうと思えば出来るかもしれんが…果たしてそううまくいくかの?」
正直、議長の見透かした通りだった。この復讐の切り札だった2体の妖魔人間は相馬たちに灰にされ
残された手は自身の手で議員たちを殺すということ
しかし、相馬が邪魔に入れば自分が戦って勝てる可能性は限りなく0に近かった
「ここらが年貢の収めどきじゃよ」
もはや道元に打つてはなかった
「…ふっ、ふはははははははははははは、あははははははははは!」
するとどうしたことか道元が狂ったように笑いだした
「認めよう。今回は完全に私の負けだ…だが、今に見ていろ!私は必ずや戻ってくる!更なる力をもって貴様らを恐怖と絶望の渦に叩き込んでやる!その時が来るのを愉しみにしてるがいい。ふはははははは、はははははははは!」
ブゥゥゥゥ~~ン!
道元が笑い声を上げている最中、どこからともかく現れたハエが道元の周りを渦巻く
「ま、待ちやがれ!」
逃すまいと追いかけようとする相馬だったが、風圧に押されて思うように進めなかった
そして渦が消えるとさっきまでそこにいた道元の姿は綺麗さっぱりなくなっていた
「…っち、逃がしたか」
悔しそうに力を抜くと相馬の姿が元に戻るのだった
その頃、蛇女のほうでは
「うっ、うう…」
「…あ、あれ?」
「み、雅緋、紫!?」
「忌夢どうして?…な、なんだこれは!いったいなにが?」
道元の呪縛が解け、元に戻った雅緋と紫に忌夢が涙ぐみながら安堵の表情を浮かべていた
「両備ちゃ~~ん!よかった~本当によかったよ~~♪」
「あ~もう!わかったから抱きつくんじゃないわよこの駄犬!」
「はうぅ~ん!やっぱりいつ聞いても両備ちゃんの罵倒は最高~♪」
一方の両奈も無事に両備がいつもの調子を取り戻したことを喜んでいた
そしてそんな彼女たちを少し離れた場所から鈴音は眺めていた
不意に何かを感じたかのように視線を向けるとその向こう側からこちらに向かって歩いてくる人影が
「…見事だぞ相馬、蒼馬」ボソッ
それから数日の時が過ぎた
今回の事件によって半壊されてしまった蛇女はほぼ元の形にまで修復されていった
雅緋への復讐を誓っていた両備も鈴音から真実を聞かされ、それともに両奈の説得、雅緋の純粋なる謝罪を聞き
互いに気持ちを伝えあったことでついに和解を果たすことができ、より一層仲間としての結束を強めた
そして評議会が約束どおりに紅蓮竜隊の討伐任務を中止したことによって雅緋たちはそのことにホッと胸をなでおろしたのだった
これまでの活躍を認められた相馬は選抜メンバーや学園のみんなにも認められ、称号として2人には「赤き拳」と「蒼い連撃」の異名が与えられ、選抜メンバーの一員として相応しい存在になることができた
彼らの勇姿を誰よりも称えてくれたのは最初から最後まで自分たちを見守ってくれた鈴音であったことは言うまでもなかった
「…はぁ、あれからしばらく経つけどどうしてるのかしらあいつ?」
学校の帰りに本屋に続く道を歩き続けているのは相馬の幼馴染である楓だった
楓はふと相馬のことを思い浮かべていた
ようやく再会出来たというにすぐに彼はまた遠くに行ってしまった
いつかまた会いに来ると言い残してから数日の時が経っていた
以前は長い時でも待ち続けられたというに、今はなぜか待ち遠しいと思えてい方がない
だが、所詮そんなことを考えてもどうしようもないと気持ちを切り替えて本屋に行こうとした時だった
「楓!」
「っ?」
後ろから自分を呼ぶ声が聞こえる
恐る恐る振り返ってみると
そこにはなんと相馬がいた
「…そう、ま」
「あっ、あぁ…よっ、元気だったか?」
相馬は楓を見て照れくさそうに笑みを浮かべていた
楓はしばらく呆然としていたが
「っ!!」バッ!
次の瞬間、目にも止まらぬ速さで相馬を抱きしめる
「そうま…そうま…」ウルウル
「あぁ、いろいろ心配かけたな」
「べ、べつに…し、心配なんてしてないんだからね!」
「そっか……でもいいさ、お前が元気でいてくれんならさ」
優しい言葉を囁きながら頭を撫でてあげるのだった
吹く風を受けながら高いところから街を眺める5つの影があった
「みんな、気合を入れていくぞ。なんたってこの任務は本当の意味でチームとなった私たちの初任務なんだからな」
仲間の結束をより強固なものにと雅緋は張り切っていた
「あ~やっぱり雅緋はいつ見てもかっこいい~、ボクはいつでも雅緋についていくよ!」
「本当、あんたってやつはどこまでいっても雅緋の忠犬なのね」
そんな雅緋に興奮する忌夢を両備が呆れた様子で見ていた
「両奈ちゃんはみんなの忠犬だよ~♪」
「うっさい、黙りなさいこのバカ犬!」
「きゃい~ん♪」
こちらもこちらで相変わらずの両姉妹である
「はぁ…早く終わらせて帰りたい」
そんな中で紫は気乗りせず速やかに終わらせたいと切に願っていた
「ところで…相馬はどうしたんだ?」
「ちょっと野暮用とかで遅れるって言ってたよ~」
「まったくあいつは、ちょっとばかし褒められたからって浮かれすぎなんだよ。大事な任務に遅刻なんて」
任務の開始が迫っているにも関わらず姿がない相馬に忌夢は悪態をたれた
その時だった
シュタッ!
彼女たちの前に駆けつけるように現れる影が一つ
「や~すまんすまん遅れちまったよ」
「遅いぞ相馬、こんなになるまで何してたんだ!」
「あっ、いや、ちょっと向こうでおばあさんが困ってたからその手伝いを」
「「「「「はい嘘」」」」」
言いわけをしようとしたが、即論破されてしまうのだった
「ともかく、全員揃ったな……任務の開始時間だ。では行くぞ!」
「「「「「おー!」」」」」
雅緋を先頭に選抜メンバーたちは夜の街を駆け巡る
己が誇りと思いを胸に抱きながら…
次回はいよいよSHINOVI VERSUS編を締めくくる最後の物語、紅蓮竜隊編の最終回です
では次回の投稿の日をお待ちくださいませ