閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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京都編 第一章 新幹線でいざ京都! 

時は流れて翌朝

 

 

 

 

 

 

ここは東京駅、新幹線やその他の電車が走ったり、乗客を乗せたりしており、慌ただしい雰囲気が広がっていた

 

 

そんな駅のホームにいるのは抜忍集団「焔紅蓮竜隊」であった

 

 

 

 

 

「おいお前たち、しっかりと荷物は持ったか?わすれものとかはないな?」

 

 

電車が来る前に荷物の確認を光牙が促す

 

 

「うん。大丈夫だよ!ちゃんとおやつも300円以内で済ませたし♪」

 

 

「まさか抜忍の身で京都観光が出来るなんてね」

 

 

「それもこれもすべては詠と愛花のお陰だな。商店街の福引で見事1等の京都旅行をを当てるとは流石だな」

 

 

「えへへ」テレッ

 

 

今こうして光牙たちが京都に旅行に行けることになったのもすべては詠と愛花が買い物に出かけていた際に何気なくやった福引で偶然にも1等を当てたことが始まりだった

 

 

その後、それを知った光牙たちはビックリしていたが、1番ビックリしていたのは詠本人であることは言うまでもなかったであろう

 

 

「……ところで、詠、さっきからどうしたんだ?」

 

 

「あぁ…詠お姉ちゃんね~」

 

 

焔の問いに愛花が苦笑いしながら視線を向けるとその先には

 

 

「っ」ガクガクブルブル

 

 

「だ、大丈夫?詠お姉ちゃん?」

 

 

「なんや震えとるな。トイレやったら向こうにあったで」

 

 

「違いますトイレじゃありませんわ!!」プンスカ

 

 

振るえる詠に日影が指さしながらトイレの場所を刺した

 

 

その言葉に詠は激しく反論した

 

 

「じゃあなんだと言うんだ?」

 

 

「聞く所によると新幹線は時速200キロを越えるスピードが出るとか」

 

 

「まぁ、新幹線だからね」

 

 

「し、信じられませんわ!いくらなんでも危険です!スピード違反ですわ!!」アタフタ

 

 

完全に冷静さを失ってしまった様子であった

 

 

「とりあえずおちつけ詠、あまりうるさくしては周りに迷惑がかかる」

 

 

「あっ…すみません」

 

 

そんな彼女を見かねた光牙のフォローによってなんとか落ち着きを取り戻した

 

 

「詠お姉ちゃん。新幹線に乗ったことないんだ」

 

 

「えぇ、みなさんと一緒に普通の電車に乗ったくらいしか」

 

 

「確かに…」

 

 

元は貧民街で育った詠と愛花にとっては新幹線に乗ることなど今までにない経験なのである

 

 

「はぁ…あのくらいのゆっくりさならいいですのに…時速200キロなんて常軌を逸しているとしか思えませんわ」

 

 

「そんなに怖がることはないぞ、外から見てればそう見えるのかもしれないが乗ってみれば案外そんなほどでもないぞ」

 

 

「で、ですが」ガクガクブルブル

 

 

まだどうしても怖いと言う感覚が消えない様子だった

 

 

「……はぁ、仕方ない。そんなに怖いというのなら京都に着くまで俺が隣にいてやる」

 

 

「えぇっ///!?」

 

 

「お前が心落ち着かせるまで隣にいてやるから安心しろ」

 

 

「こ、光牙さん」

 

 

怖がっている詠を少しでも勇気づけてあげるための光牙なりの気使いであった

 

 

「あらあらお熱いわね~」

 

 

「からかうな春花、別に深い意味はないぞ」

 

 

「うふふ。そう、まぁそう言うならそういう事にしておいてあげるわよ」

 

 

「ぶ~、師匠のバカ」

 

 

明らかに自分たちで楽しんでいるだろうと光牙が内心思っていた

 

 

そんな光牙に自分も隣がよかったのか嫉妬の表情を浮かべる愛花が不貞腐れた顔を浮かべる

 

 

「そろそろ時間のようだな、よ~し、みんな、京都旅行存分に楽しむぞ~!」

 

 

『おー!』

 

 

「お、お~」

 

 

「詠…」

 

 

焔のその掛け声の後にみんなが続く中、詠のみ元気のない返事を返すのだった

 

 

「さてと、じゃあそろそろ切符を…ってあれ?」ガサゴソガサゴソ

 

 

「どうしたの焔?」

 

 

「ちょ、ちょっとすまない」ガサゴソガサゴソ

 

 

なにか慌てた様子で背を向けながら体中を調べていた

 

 

しばらくして動きがぴたっと止まり、どうしたのかと思っていると

 

 

「」アセアセ

 

 

ゆっくりとこっちを向いた焔の顔はとてつもなく青ざめていた

 

 

「えっ…ええっと~」アセアセアセアセ

 

 

「大丈夫か焔さん、顔めっちゃ青いで?」

 

 

「いや、あの…その~」アセアセ

 

 

心配するみんなを前にして焔の目が激しく泳いでいた

 

 

そんな焔を見ていた光牙の脳裏にこの状況下での最悪のシナリオが浮かんだ

 

 

「焔、まさかとは思うが……切符を忘れたんじゃないだろうな?」

 

 

「っ!!??」ビビクン!

 

 

「…図星だったか」

 

 

予感が的中したと光牙は呆れた様子で頭を抱えた

 

 

「えぇぇぇぇ!!???ちょ、本当なの!?」

 

 

「どうやら隠れ家に忘れてきた、それとも落としてしまったのか、とにかく今手元に切符はないな。うん」

 

 

「冷静に分析している場合じゃないでしょ!!」

 

 

焔に未来が激しくツッコミをいれた

 

 

「どうしよう、これじゃ新幹線に乗れないじゃない」アセアセ

 

 

「まぁそうなるわな」

 

 

「ふふふふ、そうですかそうですか~、切符がないのでしたら仕方ないですわね~。では京都旅行は諦めましょう」

 

 

「詠お姉ちゃんまで何言ってるの!?」

 

 

「そ、そうですよ詠お姉ちゃん!?」

 

 

新幹線に乗れないと聞いた瞬間、先ほどまで暗い顔をしていた詠が急に元気を取り戻した

 

 

「うわ~~ん!あ、あたし京都旅行すっごい楽しみにしてたのに~!八ツ橋見に行ったり映画村に行ったりとかしたかったのに~!!」ワシャワシャ

 

 

「生まれて初めての京都が~」

 

 

未来と愛花が京都旅行にいけないという事実に絶望しかける

 

 

「はぁ、仕方ないわね。それじゃ私だけで行こうかしら」

 

 

『えっ?』

 

 

焔たちが慌てふためいめいている中で平然としている春花の口からでたその言葉に驚いた

 

 

「ちょっとまって、どういうことなの春花さま?」

 

 

「どうもって言われても、わたしはちゃんと切符を持ってるもの。こういうのは自分で管理しなきゃね」

 

 

「えぇぇぇぇ!!??」

 

 

そう言うと春花は持っていた切符をみんなに見せた

 

 

「ということはあたしたち6人は留守番ってこと!?」

 

 

「そう言うことね。仕方ないからわたしだけで京都を満喫してくるわね」

 

 

「ず、ずるいよ春花さま!」

 

 

「そ、そうだぞ春花!焔紅蓮竜隊は家族同然、7人揃って行動するのが基本だ!」

 

 

1人でそそくさと行こうとする春花を未来と焔が必死にいいとどめた

 

 

「でも切符がないんじゃどのみち一緒にいけないじゃない」

 

 

「いや、手はある!」

 

 

「本当!」

 

 

「あぁ、もちろんだ!」

 

 

もっともなことを言っている春花に焔はまだ手があると告げた

 

 

「…焔、一応聞かせてもらうがそれはなんなのだ?」

 

 

焔の言う手に底知れぬ不安を感じる光牙は尋ねてみる

 

 

「切符はなく、座席に座れないのなら…」

 

 

「座れないのなら?」

 

 

「新幹線の屋根にいればいい!!」

 

 

「………はぁ!?」

 

 

そのとてつもない焔の一言に一同はビックリ仰天し、光牙にいたってはやっぱりかと呆れ顔を浮かべた

 

 

「しょ、正気ですか?」

 

 

「あぁ!」

 

 

「あぁ!…じゃないでしょ!新幹線の屋根にいればいいって何考えてんのよ!馬鹿なの!?死ぬの!?」

 

 

「じゃあほかにどんな手があるんだ!?」

 

 

当然、そんなことはできないと未来達から反論を受けてしまい、言い争いが始まる

 

 

 

『まもなく1番に京都方面行きの電車が参ります。危ないですから黄色い線の内側までおさがりください』

 

 

 

そんな時、丁度アナウンスが鳴り響く

 

 

「ど、どうすんのよ新幹線来ちゃうよ~!」

 

 

「だから屋根の上にだな!」

 

 

「常識を考えてください!」

 

 

いよいよどうすべきかと慌てふためく焔たち

 

 

「おいお前たち……うるさいぞ!」ゴゴゴゴゴゴ

 

 

『っ!?』

 

 

すると見かねた光牙が放ったプレッシャーによって一同は静まり返る

 

 

「はぁ…、念には念を押しといて正解だったな」

 

 

そう言いながら光牙が懐から取り出したものに焔たちは驚く

 

 

「こ、光牙、それは!」

 

 

「あぁ、新幹線の切符だ。こんなこともあろうかとアジトを出る前に再度確認しておいたんだ」

 

 

誰かが忘れてしまうかもしれないということを考慮にいれた光牙の判断は正しかった

 

 

「「…光牙(師匠)~~!!!」」

 

 

「うわっ!?」

 

 

「ありがとう!ありがとう光牙~!」

 

 

「やっぱりお前は頼りになる!」

 

 

「さすが師匠です!ますます憧れます~」

 

 

これで全員で新幹線に乗れる。あまりの嬉しさに光牙に抱きついた

 

 

「まったく。いつまでたっても世話の焼ける奴らだな……」

 

 

そんな彼女たちの喜びの顔を見て光牙も満更でもない顔を浮かべた

 

 

すると、ようやく新幹線が到着した

 

 

「さて、では行くぞ」

 

 

『おー!』

 

 

改めてここに紅蓮竜隊の京都旅行が始めるのであった

 

 

 

 

 


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