閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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京都編 第七章 風の名をもつ男

妖魔衆の一撃によって沈黙し、川に落とされてしまった佐介を救い出そうとする半蔵学院の一行だったが

 

 

それを阻まんとするかのように妖魔衆が襲い掛かり

 

 

佐介のことで冷静さを欠いてしまっていた半蔵学院のメンバーはどんどんと追い込まれていった

 

 

そしてとうとう万事休すというところまで追い込まれた

 

 

だが、そんな彼女たちの窮地を救ったのが彼女たちや佐介にとって好敵手にして戦友である焔紅蓮竜隊だった

 

 

焔紅蓮竜隊の加勢によって戦場の流れが一気に変わっていく

 

 

最中、光牙が佐介がいないことを飛鳥に問い、彼女のいたたまれない表情からすべてを察し

 

 

それにより怒りに震える光牙は妖魔衆を断じて許さぬという意思の元、再び戦いに戻るのだった

 

 

 

 

 

戦いが膠着状況を続ける戦場

 

 

焔紅蓮竜隊と妖魔衆との戦いが尚も続けられていた

 

 

【「「「「「っ!」」」」」】

 

 

「来るわよ!」

 

 

「へっ、何度来たって同じだ。全員纏めて返り討ちにしてやらぁ!」

 

 

自分たちを仕留めようと向かってくる妖魔衆を迎え撃つべく焔を先頭に他のメンバーたちも後に続く

 

 

「おりゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

「食らいなさい!」

 

 

「これで、どや!」

 

 

「ハチの巣にしてやるわ!」

 

 

「もっとしてほしいのかしら~?」

 

 

全員それぞれが数体を相手に五部の戦いを繰り広げる

 

 

同時に、愛花も半蔵学院メンバーの手当てにいそしんでいた

 

 

「はあっ!」

 

 

【「ッ!!」】

 

 

そんな中、光牙もまた妖魔衆たちと戦っていた

 

 

「ふっ…っ!?」

 

 

 

パシュゥゥン!

 

 

 

最中、光牙めがけて矢が飛んできた

 

 

【「ッ!」】タタタタ

 

 

「っ!?」

 

 

 

ガキィィィィィン!

 

 

 

さらにすかさず光牙に斬りかかる者が

 

 

「ほ、ほう、なるほど…俺の細胞を使っているようだな」グヌヌ

 

 

攻撃を仕掛けてきたのは光牙と同じ戦闘スタイルの妖魔衆「十二座」だった

 

 

つばぜり合いが繰り広げられるも少しづつ状況に変化がおこる

 

 

「いくら戦い方をまねしようとも所詮は劣化品、本物である俺が負けるものか!」

 

 

本物である自分が負ける道理がないとどんどんとその妖魔衆を押していく

 

 

【「っ!!」】バッ!

 

 

「っ?」

 

 

刹那、つばぜり合いの最中、光牙と妖魔衆の横を別の妖魔衆が追い越す

 

 

その妖魔衆がかぐらに襲いかかる

 

 

「やらせは…うっ!?」

 

 

「奈楽ちゃん!」

 

 

かぐらを庇おうとする奈落だったが膝まづき、怯んでしまった

 

 

妖魔衆がかぐらに襲いかかる

 

 

その時だった

 

 

 

バキュン! バシュン!

 

 

 

「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」

 

 

突如、銃声が鳴り響くとともに妖魔衆が何者かに撃たれた

 

 

「いったいなにが?」

 

 

「ねぇみんな!あそこ!」

 

 

未来が指さした先には

 

 

「おいおい、人が目離した隙に何かってな事してくれてんのかね~?」

 

 

「あいつはっ!?」

 

 

奈落もまた反応を示す

 

 

「えっと確か、疾風だったけ?」

 

 

「知ってるのかあいつのこと?」

 

 

「ち~とな。まぁ、簡単に言えばナンパ男やな」

 

 

建物の屋根の上に座り込んでいる男が

 

 

そう、光牙たちが駅で出会った謎の男、疾風だった

 

 

「よっと!」シュタッ

 

 

疾風は屋根の上から飛び降り、光牙達の前に着地する

 

 

「よっ、またあったな…にしてもさっきよりもかわいこちゃんたちが増えてんじゃねぇか。どの子も育つとこ育ってていいね~♪」

 

 

周りを見わたす疾風は飛鳥たちをみるや品定めするかのような視線を送り、飛鳥たちも疾風にゾッとした

 

 

「なぜお前がここに?」

 

 

「な~に、探し物が見つかったから来ただけさ…さてと、まずはこいつらから片付けねぇとな」

 

 

疾風が妖魔衆を睨みつけ、妖魔衆もまた彼を最重要危険人物と捉え、光牙たちを無視して全力で彼の排除に当たる

 

 

「おやおや、すっかり囲まれちまったな。まったく、人気者は辛いね~…ほんじゃま、行くとするかね」

 

 

すると疾風が取り出したのは先端が鋭利な刃物になっている鎖だった

 

 

「来な。まとめて相手してやんよ」クイクイ

 

 

その兆発にのった妖魔衆が風丸に一斉攻撃をしかけた

 

 

「行くぜ!はっはぁ~!!」シャリリリリリリ

 

 

疾風が鎖を振るうと鞭のように撓った鎖が次々と妖魔衆を蹴散らしていく

 

 

「せいっ!おりゃ!はは~ん!!」シュルルル シャリリリリリ!!

 

 

豪快活、繊細な技の数々が妖魔衆をなぎ払う

 

 

そしてものの数分で飛鳥や光牙たちが苦戦した妖魔衆が風疾風によって倒されてしまった

 

 

「どうした~?もう終わりかよ?もうちょっと歯応えがねぇとつまんねぇよ」

 

 

まだやれるだろと言わんばかりに挑発的な態度を取っていた

 

 

【「……っ!!」】ボン!

 

 

しかし妖魔衆はこの状況が不利と判断したようで直様煙幕を使って目くらましをするとともにその場から姿を消した

 

 

「っち、また逃げんのかよ。白けるな~」ヤレヤレ

 

 

妖魔衆に逃げられたことに疾風は不満をたれた

 

 

「…まぁいいか、さてと」

 

 

そして疾風は武器をしまうとゆっくりかぐらたちのほうへ近づく

 

 

「おう、怪我はねぇか?」

 

 

「う、うん」

 

 

「そうかそうか…そっちの嬢ちゃんは?」

 

 

「へっ、平気だ…うっ」グヌヌ

 

 

平気だといいはるもそうは見えない奈落に茶々をいれる風丸だった

 

 

「おい」

 

 

「あん?」

 

 

「まさか、あんたが探してたってのは?」

 

 

「そうさ、こいつだよ」

 

 

光牙が問うと疾風は探していた女の子がかぐらであることを明かした

 

 

「か、かぐらさまをどうする気だ?」

 

 

「どうもしねぇって言ってんだろ。とりあえず、ここは一旦離れるとするか」

 

 

疾風が2人を連れて行こうとする

 

 

「まってください!」

 

 

するとそれを斑鳩たちが言い止める

 

 

「申し訳ありませんが、わたくしたちは上からその子を捕獲するよう命じられています。大人しくその子をわたしてください!」

 

 

斑鳩は自分たちの忍務の内容を告げた

 

 

「所詮、貴様らも命令にただ従うだけのコマというわけか…戦うべき真の理由も偽りなき正義ももたぬ愚か者どもが!」

 

 

それを聞いた奈落が飛鳥たちに罵倒の言葉を吐く

 

 

「な、なんと言われも結構です…それでもわたくしたちは!」

 

 

「おっと、それ以上はストップだぜお嬢ちゃん」

 

 

すると疾風がそこに割って入る

 

 

「すまねぇなお嬢ちゃんたち。あんたらの言い分もわからなかないがな。だが、こいつに手を出そうってんなら…まずは俺を倒してから行くんだな」キリッ

 

 

武器を展開し、いつでも戦闘準備はOKだった

 

 

「…かぐらさま今のうちに」

 

 

「で、でも」

 

 

「このままではかぐらさまの身が危ないのです…お願いします」

 

 

「…わかったよ」

 

 

奈落の願いを聞き入れ、かぐらたちはその場から立ち去った

 

 

「お、おい待ってって!…あぁ~しまった。俺としたことが」ワシャワシャ

 

 

ヘマしたと疾風が頭を抱える

 

 

「…しゃあねぇ、とりあえず俺もここで遁ずらさせてもらうが、次あいつに手を出すなら全力で来い。俺が片っ端からたたきつぶしてやるからよ」

 

 

そういいながら疾風は飛鳥たちに手を振りながらやがて風とともに消え去った

 

 

「なにものなんだあいつは?」

 

 

ますますなぞを極める風丸の素性に光牙は頭を悩ませた

 

 

そんな中、飛鳥は1人、佐介が落ちていった川を眺めていた

 

 

「……佐介くん」

 

 

「飛鳥さん…」

 

 

「斑鳩…」フルフル

 

 

悲しそうな飛鳥を見て声をかけようとする斑鳩を葛城が止めた

 

 

妖魔衆との戦いは大きな溝と傷跡を残す結果となったのであった


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