閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

18 / 605
第十五章 人は誰しも誰かに嫉妬してしまうものです

あるところに妹思いの姉と姉思いの年の離れた妹の仲のいい姉妹がいた

 

二人はいつでも一緒に同じ時を過ごした

 

一緒にいれて楽しい、二人ですることがなんでも楽しい。そんな楽しいさという名の幸せの日々を二人は過ごしていた

 

だが、そんな幸せな日々とていつかは終わる

 

それが例え、望まぬ結末でも…

 

その日、自分の命と同じくらい大切な妹が交通事故で亡くなった

 

姉は悲しんだ。絶望した。死にたくなるほどに

 

それほど彼女にとって妹の存在は大きかった

 

一度は悲しみに耐えかね自害しようとするも親に止められ叶わず

 

気力を失いかけていた彼女は1人の少女とであった

 

それはまるで妹の生き写しとでも言わんばかりにそっくりだった

 

少女と出会いともに過ごしていくうちに、彼女は心から誓った

 

この子は自分が守るのだと……

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁ…獣波拳!」

 

 

ガオォォォォ!

 

 

「はっ、天轟拳!!」

 

 

ドゴォォォォン!

 

 

「ほぉぉぉ…螺旋脚!!」

 

 

ブンブンブンブン! ドカァァァン!!

 

 

「ふぅぅ…」

 

「わ~。さすけくんすご~い、ひばりもさすけくんみたいになりた~い」キラキラ

 

「ううん。たいしたことないよ。まだまだもっと強くならないと」

 

ひばりから修行のこつを教えて欲しいと言われ、佐介はひばりに自分の技を見せてあげていた

 

「…」ムスッ

 

そんな佐介を柳生が恨めしそうに見ていた

 

とうのもこれにはわけがあった

 

佐介は日に日に強くなっていき最近では(ソウル)転身なる力を会得し、さらに力を増していた

 

それには柳生を除く半蔵の全員が佐介を褒めた

 

しかもこれに特に反応したのは雲雀だった

 

それによって雲雀は自分と一緒にいる時間と同じくらい佐介と親しくしていた

 

柳生にとってそれは面白いことではなかった

 

「(くそっ~佐介め、ひばりとあんなに仲良くしよって許せん!ひばりと仲良くしていいのは俺だけだ!)」

 

雲雀をとられまいと柳生はさらに佐介に敵意を向ける

 

 

 

◆◆◆

 

今日の授業のため全員が外の修行場に整列していた

 

「今日の修行は実戦訓練だ。それぞれだせる力を存分にだせ」

 

「霧夜先生」

 

「どうした柳生?」

 

柳生が手をあげる

 

「今日の訓練、最初は俺と…佐介にやらせてください」ピン

 

「えっ?僕?」

 

「ほう」

 

いきなりの出来事故にその場にいた全員が驚きを隠せずにいた

 

「なるほど…佐介、お前はどうする?リクエストがかかっているようだが?」

 

「あっはい。僕は一向に構いません…よろしくお願いしますね柳生ちゃん」ニコ

 

佐介は困った顔一つせずいつもどおりの優しい笑顔で柳生に相対する

 

だが対する柳生は

 

「(後悔させてやる。俺以外のやつがひばりとイチャつくとどうなるかを!)」ギロ

 

佐介に対する嫉妬と敵意全開だった

 

「それでは…はじめ!」

 

霧夜の合図とともに戦闘開始となる

 

「っ!!」

 

先制を決めたのは柳生だった

 

宙に飛んで自身の秘伝動物であるイカの墨に氷の力を秘めた気のような技を無数に放つ

 

佐介はそれを一つ一つかわしていく

 

「たあぁぁぁ!!」

 

その隙に柳生が持っている傘を叩きつける

 

「っ!?」

 

「どうした、その程度か!」

 

それが始まりとなり柳生が怒濤の攻撃をしかける

 

「柳生のやつ、いつになく攻めるな?」

 

「うん。いつになく熱いね?」

 

「それに佐介さんをすごく睨んでるようですし」

 

「柳生ちゃん…佐介くん」

 

いつもの柳生らしからぬ行動に4人は驚いていた

 

「そらそら!」

 

「くっ!」

 

「どうした!守るだけで精一杯か!?」

 

柳生は佐介に攻撃をさせまいと攻め続ける

 

「お前なんか俺の敵ではない!」

 

だが、攻撃にばかりに気を取られすぎると足元をすくわれる

 

柳生が再び傘を叩きつけようとした時

 

パン!

 

「なっ、なに!?」

 

それを佐介が白羽取りで受け止める

 

気を取られた隙に柳生の足に自身の足を絡め引く

 

バランスを崩された柳生が地面に倒れる

 

「がはっ!くそっ!…!?」

 

起き上がろうする柳生が見たものは拳を突きつけようとする佐介の姿だった

 

佐介が拳を突き出すと柳生はやられると思いとっさに目を瞑った

 

しかし、いつまでたっても痛みはこないので恐る恐る目を開けると佐介の拳が寸止めで止まっていた

 

「そこまで!この勝負、佐介の勝ちだ」

 

霧夜の号令により、試合は佐介の勝ちで終わった

 

「ありがとうございます柳生ちゃん。いい勝負でした」

 

佐介が立てるようにと手を差し伸べるも

 

柳生は苦虫を噛み潰すかのようにそれを拒み、自力で立ち上がる

 

「…柳生ちゃん?」

 

彼女の顔を見て佐介は心配そうな表情を浮かべた

 

「おう佐介!」

 

「うわっ!?かつ姉!?」

 

そんな中葛城たちが絡んできた

 

あっという間に佐介はみんなに取り囲まれ、褒め讃えられた

 

その時、柳生の傍に霧夜が寄ってきた

 

「どうしたんだ柳生、いつものお前らしからぬ行動だったぞ?」

 

「…」

 

「確かにお前の攻めはなかなかだったが攻めに集中しすぎて回りを気にしなさすぎていたぞ。戦場ではたった一発の攻撃で勝敗が決まることもある。あれが実戦ならお前は間違いなく死んでいたぞ」

 

「!?」

 

霧夜の実戦なら死んでいたという言葉に震えを感じた

 

「次はそうならないようもっと精進しろいいな?……では次は誰に行ってもらおうか」

 

そう言うと霧夜は柳生から離れ佐介たちのほうに行った

 

柳生は先ほどの戦いのことを思い出していた

 

「(くっ。俺はあの時、ほぼ全力をだしてあいつに挑んだのにあいつに傷一つ負わせることすらできず、あいつはたった一発で俺を…くそっ!)」

 

元々は佐介を倒して雲雀にいい格好を見せる程度の考えだった

 

だがまさかここまで実力差があった。ありすぎたとは思いにもよらなかった

 

柳生の考えでは自分の腕ならそれなりに追い込めれば勝機は十分あると思っていた

 

しかし結果は違った。

 

佐介はあれだけ攻撃を受けたにも関わらず無傷、自分は大した攻撃こそ食らってはいないものの

 

もし食らっていればどうなっていたかしれない

 

「(俺ではあいつに勝てないというのか…)」

 

雲雀にいい格好どころか逆に圧倒的敗北感を味あわされ柳生は悔しさでどうにかなりそうだった

 

「…柳生ちゃん?」

 

そんな柳生を雲雀が不思議そうに見たのだった

 

 

 

 

授業を終えて寮に戻った柳生たちはそれぞれの部屋に戻っていった

 

しかし先ほどの訓練でのことを気にしていた柳生は自分の部屋でベットの上で体育座りをしていた

 

そんな時だった

 

コンコン

 

「…だれだ?」

 

『柳生ちゃん。まだ起きてる?』

 

「ひばり?」

 

ドアを開けてみるとそこには雲雀がいた

 

そんなこんなで部屋に入れてあげた柳生だが

 

いつもは喜んでいるはずの雲雀との時間も訓練の時のことを思い浮かべてしまうため素直に喜べなかった

 

「柳生ちゃん。元気ないけどどうしたの?」

 

「…なんでもない」

 

その異変に気づいた雲雀が尋ねるもそう言うとまた俯く柳生だった

 

「…ねぇ柳生ちゃん」

 

「なんだひばり?」

 

「前から聞きたかったんだけど、どうして柳生ちゃんは佐介くんと仲良くしないの?」

 

「えっ?」

 

雲雀からの突然の質問とその内容に驚きを隠せなかった

 

「みんな佐介くんと仲がいいのに柳生ちゃんだけ違うから…ひばり、柳生ちゃんも佐介くんと仲良くなってほしいな~ってず~っと思ってたんだ~」

 

「…俺はあいつと仲良くする気はない」

 

「どうして?」

 

「だって…」

 

出会った時から今までのことを思い出す

 

「優しさばかり振りかざして周囲の人間をおかしくするようなあんな偽善者と仲良くなんて出来ない」

 

そのせいで雲雀との関係が変わったのだと

 

逆恨みにも取れるような思いを思いつつ柳生は言い放った

 

「柳生ちゃん!」

 

「っ!?」

 

「ちがうよ!佐介くんはそんな人じゃないよ!」

 

雲雀が柳生を説得しようとするも

 

「…っえぇい!違わない!現にひばりだってあいつの肩を持つじゃないか!」

 

言い放ち後にひけない柳生は本音をぶちまける

 

「あいつが来てからみんなおかしくなったんだ!あいつさえ来なければ『バシッ!』…!?」

 

そんな時、雲雀の平手打ちが柳生の頬に炸裂した

 

「…ひば、り?」

 

「酷いよ…柳生ちゃんのバカ!柳生ちゃんなんてもう知らない!!」

 

「まっ、まてひばり!?」

 

静止も聞かずに雲雀は自分の部屋に戻っていってしまった

 

「俺はただお前と一緒に…」

 

柳生は一人ぽつんと立ったまま悲しそうにつぶやくのだった

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。