閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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京都編 第十三章 受け入れがたき事実

妖魔衆を撃破し、かぐらを捕まえようとしたそんな飛鳥たちの前に突如として現れたのは行方不明となっていた佐介だった

 

 

佐介が生きていた。彼の無事を信じていた飛鳥たちはそのことにこのうえない喜びを覚えた

 

 

だが、そんな彼女たちの心が喜びから一気に驚愕に変わる

 

 

なぜなら無事でいてくれたことに安堵し、駆け寄ろうとした直後

 

 

あろうことかその彼が飛鳥に攻撃を仕掛けてきたのである

 

 

それを受けた飛鳥、さらには斑鳩たちも唖然とした

 

 

どうして仲間である自分たちに佐介が攻撃を仕掛けたのかと

 

 

挙句の果てに佐介は自分のことを「蓮」と呼びかぐらの従者であることを告げる

 

 

飛鳥たちの顔を見ても誰かもわからない様子であるようでかぐらたちの撤退を機に制止も聞かずに彼女たちの前から飛び去っていってしまった

 

 

残された飛鳥たちは望まぬ形の再会を受け、その場に泣き崩れるしかなかったのだった

 

 

 

 

 

 

 

あれからしばらくして飛鳥たちは旅館に戻ってきた

 

 

「な、なに?佐介が?」アセアセ

 

 

「…はい」

 

 

旅館に戻ってきた飛鳥たちはこれまでの経験を余すことなく伝えた

 

 

妖魔を撃退する任務の最中

 

 

そこで偶然にも妖魔衆の一体である「十座」が現れ、奴を追った先で標的であるかぐらと守り人である奈楽と遭遇を果たす

 

 

既に奈楽と戦闘を行っていたせいか消耗しきっていた十座が自分たちが来たことを受け

 

 

形勢不利と判断したのか撤退をしようとする

 

 

だが、妖魔衆を見過ごす道理はない

 

 

すかさず斑鳩と葛城が連携プレイで十座にとどめを刺し、十座が断末魔をあげながら消滅した

 

 

漁夫の利のような形とは言え自分たちが勝利を収めたのだ

 

 

その直後、撃破された妖魔衆から何やら赤い球が出現し、それを見たかぐらがその球を拾い上げると同時に飲み込み

 

 

意味深なことを呟きながら去ろうとするかぐらを捕まえようとした直後に佐介が現れ

 

 

自分の名は蓮だと言い張っていること、自分たちのことを忘れてしまっていること、かぐらの従者になっていることを知り

 

 

結局そのままかぐらを追って去っていく佐介を止めることができずで今に至ることを

 

 

「……そうか、そんな事態になっていたとはな」

 

 

話しを一通り聞いた霧夜は冷静さを保ってはいるものの、その顔には自分たちと同じように困惑している様子が見て取れた

 

 

「何なんだよそれ…くそっ、どうしてなんだよ。こんなのわけわかんないって」グスン

 

 

「佐介兄さまが私たちのことを忘れてしまってるだなんて…信じたくありません」シクシク

 

 

一方、チェルシーとレイナに至っては霧夜のようにはいかず、信じられない現実を突き付けられたことがショックで泣き崩れてしまっていた

 

 

そんな彼女たちの姿にこちらもまた哀しみがこみ上げそうな思いだった

 

 

「しかしよう、いったい何がどうなってこんなことになっちまったんだよ?」

 

 

「どうして佐介くんがひばりたちと敵対してかぐらちゃんを守ろうとしてるの?」

 

 

「これはあくまで予想ですが、あの時の佐介さんの言動を聞く限り、恐らく佐介さんは……一種の"記憶喪失"になっている可能性が高いですね」

 

 

「「「「「「記憶喪失?」」」」」」

 

 

斑鳩の語ったその言葉に全員が一斉に声を上げる

 

 

「あぁ、俺も同じようなことを考えていた。あいつが何らかの原因で前の記憶を失ったとするならばお前たちに攻撃を仕掛けたというその行動にも合点はいくからな」

 

 

霧夜も斑鳩のその推測を考えていた

 

 

「斑鳩、佐介が記憶喪失ってマジかよ?」

 

 

「えぇ、おそらく原因はあの時かと」

 

 

「あの時…まさか?」

 

 

「はい、そうです」

 

 

斑鳩の言うあの時と言うキーワードによって思い出されるのは妖魔衆・一座がかぐらに斬りかかり、その前に佐介が現れた時

 

 

『【「っ!!」】』ジャキイィィィィン!

 

 

『っ…』ユラッ

 

 

 

ヒュゥゥゥゥ…バチャァァン!

 

 

 

一座の一太刀を浴びせられた佐介が川に転落した時のことだった

 

 

「あの時、川に落ちた佐介さんは何かしらの原因でわたくしたちと過ごしていた時の記憶を失ってしまったんだと思うんです」

 

 

「ま、マジかよ」アセアセ

 

 

「そ、そんな…」アセアセ

 

 

せっかく生きていることが確認できたのに、今の佐介の頭には自分たちと過ごした思い出も何もないと思うととてもやるせない気分にかられる

 

 

「なんとかして佐介の記憶を取り戻すことってできないのかよ?」

 

 

「記憶喪失の事例はいくつかあるがそれが佐介に通じると言う保証はない」

 

 

「でもそれじゃもしかして佐介くんはこのままひばり達のことを忘れたままでいるかもしれないってこと?」

 

 

「っ!?」ビクッ

 

 

そのひばりの一言を聞いた瞬間、飛鳥はとてつもない不安に抱かれた

 

 

もしこのまま佐介が記憶を失い続けたまま、自分たちを忘れてしまったらと思うととても気が気でなかった

 

 

「…そうとなると事はそう簡単にはいかなくなってきたな。かぐらを捕獲しようにも付き人の奈落やかぐらのことを知っていると言う男に加え佐介までもが付いたとなると相当厄介だぞ?」

 

 

「で、でも霧夜先生!佐介くんは記憶を失って自分を見失ってるだけなんです!なんとかして佐介くんの記憶を取り戻すことができるなら!」

 

 

「俺とてできることならそれがいいと言う事は分かっている。だがな飛鳥、佐介の記憶を元に戻す方法がわからない以上、今は何もできんよ」

 

 

「そ、それは…」

 

 

霧夜のその言葉で飛鳥は言葉を失ってしまった

 

 

「ともかく俺はまずこの件を上に報告し、今後の対策を模索してくる。お前たちは俺が戻ってくるまで部屋で待機していろ、以上だ」

 

 

そう言うと霧夜はそそくさと部屋を後にする

 

 

部屋に取り残された飛鳥たちはもどかしさで胸が張り裂けそうな思いを募らせる

 

 

「これからどうなっちまうんだ?」

 

 

「わかりません、どちらにしろ今のわたくしたちには何もできませんから」

 

 

待機を言い渡された以上は勝手な行動はできないからと斑鳩は無理やり自分に言い聞かせていた

 

 

「…もし」

 

 

「「「「「「っ?」」」」」」

 

 

「もしも最悪な決断をせまられたらお前たちはどうする?」

 

 

唐突に柳生が皆に尋ねる

 

 

「な、なんだよ柳生、いきなり何言ってんだ?最悪な決断っていったいなんだよ?」

 

 

「お前たちだって薄々わかっているだろう。最悪の場合オレたちはあいつを「柳生!」っ!?」

 

 

最後まで言い終わる前に葛城が胸倉をつかんだ

 

 

「お前、なに縁起でもないこと考えてんだよ?」

 

 

「オレは…ただ事実を述べてるだけで」

 

 

「…わかってんのか、お前、自分が何をいようとしてんのか?」

 

 

「…すまない」

 

 

柳生は弱々しく謝り、葛城が手を放した

 

 

室内に緊迫の空気が流れるのだった

 

 

 

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