閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第十六章 どんなに嫌われても構わない、絶対に助けるから

雲雀と他愛ないことで喧嘩をしてしまった柳生は心底落ち込みながら1人学院へと登校していた

 

当の雲雀はというと飛鳥たちよるともう先に学院に行ったとのことらしい

 

しょんぼりとしていながらも学院への道を柳生があるいていた

 

そんな時だった

 

 

シュン!

 

 

「…?」

 

自分の目の前に一つの影が飛来する

 

「きししし…ひさしぶりね柳生」

 

「お前は…!」

 

「会いたかったわ~。善忍であるあんたに負けたせいでこの私。善忍狩りの神久夜の名に傷が付いたんだもの。その落とし前を今日こそきっちり返してもらうわ」

 

彼女、神久夜は以前から多くの善忍を倒してきた悪忍である

 

好戦的な性格であり、蛇女とは別の悪忍育成校の生徒で。善忍を見下しておりハンティングゲームの得物としか思っておらず、善忍を倒すことで名を上げてきた

 

ところがそんな彼女を柳生が打ち負かしたのである

 

それにより彼女は名誉とプライドを傷つけられたのである

 

それ以降というのも彼女は柳生への憎しみを糧に生きてきたのである

 

「ふん。ご苦労なことだが、今俺はお前なんかに構ってる暇なんか無い…相手なら別の日にでもしてやる」

 

柳生はそう言って立ち去ろうとするもそれは想定内とでも言わんばかりにくすりと笑う

 

「いいのかしら?このまま帰っても?」

 

「どういう意味だ?」

 

「あなたと一緒にいたあの桃色の髪の子。なんて言ったかしら~?あ~そうそう"ひばり"だったわね~」

 

「っ!?」

 

神久夜が雲雀の名を口にした瞬間、柳生は耳を疑い、そして次に神久夜を見た時には彼女を激しく睨みつけていた

 

「貴様!ひばりになにかしたのか!ひばりをどおした!?」

 

「うふふふ、相当あの子のことを大切に思ってるのね。大丈夫よ彼女には何もしてないわ。ただ一緒に来てもらっただけでね」ニヤ

 

「貴様!!」

 

激しい怒りを露にする柳生を見て神久夜はさらにくすりと笑う

 

「付いてきなさい。大事なひばりちゃんを返して欲しいならね」シュン!

 

「くっ!まてぇ!!」

 

柳生は神久夜の後を追いかけていった

 

 

 

 

 

 

 

「さ~って今日も張り切っていくか~!」

 

「あら?」

 

「どうしました斑鳩さん?」

 

「いえ、先に行ってるはずの雲雀さんに柳生さんもいませんわ」

 

いわれてみてあたりを見回すと確かに雲雀と柳生の姿がどこにもなかった

 

「おかしいな~ひばりはともかくいつもなら柳生ならもう来ててもいいはずだが?」

 

「…僕、二人を探してきます」

 

「えっ?」

 

「おい。佐介!」

 

葛城の静止を振り切り佐介は二人を探しに行った

 

「(なんででしょう…ひどく胸騒ぎがする。もしかして二人になにか?)」

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ。ついたわよ」

 

「っ!」

 

柳生が神久夜を追いかけて、ついた場所は港にある今は使われてない古い倉庫の中だった

 

「ひばり!どこだひばり!?…貴様、ひばりはどこにいる」

 

「焦らないの」パチッ

 

神久夜が指を鳴らすと

 

「ひひひひ」

 

「やっ、柳生ちゃん!」

 

「ひばり!!」

 

現れたのは神久夜の仲間らしき女性に拘束され身動きの取れない雲雀だった

 

「まってろひばりすぐに助けてやる!!」

 

意気込み、傘を構える柳生だが

 

「おっと動かない方がいいぜ」チャキ

 

「ひっ!?」

 

「ぐっ!?」

 

それを見た神久夜の仲間が雲雀の首元に苦無を突きつけ、雲雀の身を案じる柳生の動きを封じる

 

「いいわよ。そのままその子をおさえておいてちょうだい」

 

「はい神久夜さま!」

 

「ふふふ。これで分かったでしょ。今のあなたは私に指一本すら手出しできないのよ」

 

神久夜が柳生の前に立つと鼻高らかにそう告げる

 

「姑息な手を…」グヌヌ

 

柳生は悔しさで拳を強く握り締める

 

「でも、ねんにはねんよ!!」ブス

 

「ぐはっ!!」

 

神久夜が人差し指をピンと伸ばすとそのまま勢いよく右肩を突き刺す

 

そして指を抜いて数秒して柳生の体に異変が生じる

 

全身からものすごい痺れを感じ、身体の自由が効かなくなった

 

「きっ…さま…」

 

「忘れてはいないでしょ。私の指は蜂の毒針と同じ。相手を突き刺しそこから体内に毒を注入するのよ」

 

「おっ、のれ…」

 

「さて、お楽しみはこれからよ」

 

再び神久夜が指を鳴らすと周りから人影が集まってくる

 

その数約5、6人ほど

 

そしてそれら全員が不適な笑みを浮かべていた

 

「この子たちは私の可愛い部下たちよ。私の頼みならばどんなこともしてくれる。自分の身を犠牲にしてでもね。そうでしょあなたたち」

 

「は~い。神久夜さまのためならば~」

 

「この身がどうなろうとかまいませ~ん」

 

「すべては神久夜さまのために~」

 

そう言う彼女たちの様子は明らかに普通ではなかった。まるで操られた人形のように

 

「…そうか。きさま…じしんの。のう…りょくで、こいつらを」

 

「えぇそうよ。ついでに言えばあなたの大好きなひばりちゃんを捕まえてくれるあの子もそう。みんなこの私の毒で忠実な駒になってくれてるわけ」

 

「…外道が」

 

「何とでも言うがいいわ。さぁみんな。やっておしまい!」

 

その言葉を合図に部下たちが柳生をボコボコにしていく

 

殴られ蹴られていく柳生

 

「柳生ちゃん!」

 

「あはははは。いいざまね」

 

「ぐっ…」

 

為すすべもなくこのままやられてしまうのか、そう思っていた時

 

「あぁぁぁぁ!」

 

「なに!?」

 

突然、雲雀を捕まえていた部下が真っ逆さまに落ちてきた

 

そして何者かが雲雀をお姫様抱っこし、神久夜たちの目の前に降り立つ

 

「佐介くん!」

 

「もう大丈夫だよ」

 

雲雀を助けたのは佐介だった

 

「このぉぉぉぉぉ!!」

 

「ふっ、せいはあぁ!!」

 

「やぁぁぁぁぁ!!!」

 

「はい!せい!ふぉあ!!」

 

襲いかかってきた敵を佐介はなぎ倒す

 

「さ…すけ…」

 

「佐介くんどうしてここに?」

 

「この子達のおかげだよ」

 

 

ピィィィ

 

 

鳥のディスクアニマルが佐介の手のひらに止まる

 

雲雀たちの捜索のために四方に飛ばしていたのである

 

そしてこの場所を見つけたことにより、ここに駆けつけたのだ

 

「許せません!ひばりちゃんを人質にして柳生ちゃんをいたぶるなんて絶対に許せません!」

 

怒りを露にする佐介は隣にいた雲雀に声をかける

 

「ひばりちゃん。急いでみんなを呼んできてください。ここは僕が引き受けます!」

 

「うっうん。わかった…佐介くん。柳生ちゃんを助けてあげて!」

 

「約束します」

 

雲雀に助けを呼ばせに行くと佐介は構える

 

「よくも人質を」ムッ

 

「柳生ちゃん、ひばりちゃんは助けました。もう遠慮はいりません。二人でこの人たちを倒しましょう!」

 

「グッ…」

 

「柳生ちゃん、どうしたんですか!?」

 

そう柳生に声をかけるもまだ身体が痺れて思うように動けない

 

そもそも佐介は途中から来たので柳生が毒に侵されていること知らなかった

 

「残念ね。この子は今動けないのよ。せっかく人質を開放したのに無意味だったわね」

 

「ぐっ…」

 

「さて、よくも邪魔してくれたわね。そうだわ!…人質交換よ」

 

「っ!?」

 

神久夜が今度は柳生を人質とする

 

「ここからか半蔵学院までは距離がある。あの子が援軍を呼ぶその間にあなたをいたぶってあげる。ちょっとでも抵抗するなら柳生の命はないわ」

 

そう言うと部下から苦無を受け取り柳生の首筋に突きつける

 

「……待ってください!」

 

「あら?命乞いかしら~?」

 

「ちがいます。僕は逃げも隠れもしません。好きにしたければそうすればいい…その代わり柳生ちゃんに手を出さないでください」

 

そう言うと佐介はあぐらをかいて座り込む

 

「ふふふ。潔いいわね…やっておしまい!」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

その言葉を合図に部下たちが一斉に佐介を遅い始める

 

殴る。蹴る。鈍器で叩くなどして佐介をボコボコにしていく。体はボロボロに、頭からは出血していた

 

しかし佐介はそこまでされてるにも関わらずその場から動こうとはしない

 

それを見ていた柳生は佐介の行動に驚きを隠せない

 

「(なぜだ…どうしてなんだ……俺はお前を邪魔者扱いしてたんだぞ?お前のことを嫌ってたんだぞ?…なのになぜ?)」

 

ボコボコにされ続ける佐介の姿に耐えかね唇を噛み締めていた口を開く

 

「もういい!!」

 

「…や、ぎゅう…ちゃん?」

 

「佐介、お前はとっととここから消えろ!」

 

「こら、黙りなさい!」

 

苦無をさらに近づけるも柳生はおかまいなしに喋りつづける

 

「だいたい、目障りだ!お前なんかに助けてもらう必要なんて俺にはない!俺はひばりを奪おうとするお前なんか居なくなればいいと何度思った!死んでほしいと思うくらいな!わかるか!?これが俺の本心だ!さぁわかったんなら俺なんておいてとっとと消えたらどうだ!?お前が俺を助ける理由なんてないんだから!」

 

目から大粒の涙を流しながら今まで思っていたことをぶちまけた柳生はここまで言えば佐介とて怒っていなくなる。もう、あんなことをさせられずにすむと柳生は思っていた

 

「……理由はあるよ」

 

だが、そんな柳生の想像を裏切るかのように佐介は小さくつぶやく

 

「さ、すけ…?」

 

「僕ね。ずっと柳生ちゃんと仲良くなりたいってそう思ってた。君がどんなに冷たく接しても構わない。僕は君が認めてくれるまで頑張るから、君と仲良くできるその日まで僕は諦めないから。だから待ってて、僕が絶対に助けるから」ニコ

 

「っ!?」

 

体や口から血を流し、目は充血し赤く染まっていた

 

そんなボロボロになっても尚、佐介は柳生にいつものような優しい笑みを浮かべる

 

その時、以前自分が言った言葉が脳裏をよぎる

 

『優しさばかり振りかざして周囲の人間をおかしくするようなあんな偽善者』

 

自分は佐介のことをそんな風に思っていたが、しかしそれは違った

 

「(俺はバカだ…知ったようなふりをしても本当はなんにも知らない…あいつは偽善者なんかじゃない。あいつの優しさは……)」

 

そして再び脳裏をよぎるものは今まで自分に接してきた佐介のこと

 

彼は自分がひどいことなどを言ってもめげず負けずに笑みを浮かべてくれた

 

「ごめん…ごめん、なさい」

 

「柳生ちゃん…いいんだよ」

 

普段からは想像もできない顔で涙を垂れ流す柳生に優しく問いかける

 

「なにを和んでるのよ!やってしまいなさい!」

 

痺れを切らした神久夜が部下に命じ再び佐介を襲わせようとする

 

「やめろ…佐介ぇぇぇ!!!」

 

柳生が佐介の名を叫ぶと

 

 

ピカァァァァン

 

 

「なっ、なんなの?」

 

突然、柳生の秘伝忍法書が光り輝き、柳生から浮き出た忍法書が神久夜を攻撃し

 

不意をつかれたため柳生の拘束をといてしまう

 

そして柳生の手元に戻ると

 

光が佐介の秘伝忍法書に向けて放たれると佐介の秘伝忍法書が白い光を放つ

 

「これは!…っ、螺旋脚!!」

 

「「「「「「ぐあぁぁぁ!!!」」」」」」

 

柳生の拘束が解けたため襲いかかってきた敵を螺旋脚で吹き飛ばすと柳生の前に駆けつける

 

「おのれ!」

 

「佐介…お前」

 

「…柳生ちゃん。ありがとうございます。君が僕を信じてくれたおかげで、君を守る力を得られた」

 

「へっ?」

 

佐介はゆっくりと目を閉じると目の前に柳生の秘伝忍法動物のイカが現れた

 

 

ニュルルルルル スィスィ

 

 

佐介の周りを泳ぐかのように回ると

 

佐介に新たなイメージを浮かびあがらせた

 

巻物を突き出し、佐介は高らかに叫ぶ

 

 

「忍…(ソウル)転身!!」

 

 

すると冬でもないのに佐介の周りを雪がまう

 

「こっ、これは…?」

 

冷気で床から氷柱が突き出し佐介を包み込んだ

 

 

 

「ハアアァァァァァァァァァ!!!!!」

 

氷柱の中から佐介の声が響き

 

「ハアァァ!!!」

 

勢いよく氷を砕くと、そこに現れたのは

 

「孤高なる凍気 佐介・(ソウル)柳生!!」

 

現れた佐介は瞳と髪が白く染まり、手にはイカを模様したような傘と片眼には眼帯がついていた

 

「さっ、佐介なのか?」

 

「柳生、そこでおとなしくしていろ。やつらは"俺"が倒す」

 

姿ともに雰囲気も変わり、一人称が『俺』へと変わり、柳生のようにクールな感じになっていた

 

「倒すですって?さっきまでぼろぼろになってたやつが偉そうに!やっておしまい!!」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

部下たちが佐介に襲いかかってきた

 

だが、佐介は焦る様子もなく傘を先端を下に向けると

 

「秘伝忍法…薙ぎ倒す足!」

 

そのまま傘を突き刺す

 

すると床からイカの足が十本生えでて

 

 

バシンバシンバシンバシンバシン!!

 

 

「「「「「「きゃぁぁぁぁ!!!」」」」」」

 

その足で部下たちを薙ぎ倒してしまった

 

「うっ、うそよ…たった一人に一撃で」ガクブル

 

「あとはお前一人だな」

 

「くっ、舐めるなぁぁぁぁ!!!」

 

指から湧き出るほどの毒をだし、手刀を突きつけるも

 

バシン

 

「なんですって!?」

 

傘を軽く振るっただけで神久夜を宙へとはねとばす

 

「秘伝忍法」

 

佐介はそこを逃さず傘の先端を神久夜に向けると先端部分に冷気が集まる

 

「やっやめ…」

 

「氷結の弾丸!!」

 

叫ぶとともにそれを放つ

 

「きゃあぁぁ!!」パキキキキキキ

 

直撃と同時に神久夜の身体は氷に閉じ込められたのだった

 

 

 

 

 

 

 

「柳生ちゃん。体は大丈夫?」

 

「俺のことよりも自分の身体のことを気ずかえ…まったく俺以上にボロボロのくせにこんなことして」

 

「あははは…」

 

あの後、神久夜たちはお縄でぐるぐるにしたので逮捕されるのは時間の問題となり

 

佐介は動けない柳生をおんぶして帰り道をあるいていた

 

ちなみに最初はお姫様だっこしようとしたら柳生が顔を赤らめて断った

 

「それにしても今日はいい日だったな~」

 

「いい日だと?」

 

「だって柳生ちゃんとやっと仲良くなれたんだもん。これからもよろしくお願いしますね柳生ちゃん」

 

「……バカ」ボソッ

 

佐介の言葉に照れる柳生は佐介の背中に顔をよせる

 

「(佐介の背中…大きくて。暖かい)」

 

これが佐介の温もりなのかと思うと柳生の心の中で変化が芽生え始める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずっとこの温もりを感じていたいという感情が……

 

 

 

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