閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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京都編 二十二章 嫉妬 

半蔵の計らいにより共に京都に来ていた鈴音と大道寺に飛鳥たちが修行を付けてもらっている頃、(佐介)たちかぐら一行は……

 

 

 

 

 

 

京都のとある茶店にて3人は歩き通しで疲れた体を休ませていた

 

 

「……」

 

 

だが、そんなまったりと出来る場所のはずなのに奈落はムスっとしていた。…というのも

 

 

「うふふっ、蓮。はい、あ~ん♪」

 

 

「ちょ、か、かぐらさま?何をなさってるんですか?」アセアセ

 

 

「何って蓮にお団子を食べさせてあげようとしてるだけですが?」

 

 

先ほどからかぐらが蓮にベタベタであり、楽しそうなシチュエーションが広がっているからだ

 

 

蓮が自分たちと行動をしてからというもの事あるごとにこう言った場面が起こるのである

 

 

「(蓮め!)」

 

 

それを見てる奈楽にとってこれ以上面白くないものはなかった

 

 

「(だいたいかぐらさまもかぐらさまだ。私という従者がいながらあんな奴を仲間に迎え入れるだなどと)」イライラ

 

 

奈楽は内心さらにイライラを募らせる

 

 

「ーーどの。奈落どの?」

 

 

「っ!?」

 

 

そんな時、自分を呼ぶ声がしていることに気がついた奈楽が振り向くと蓮が心配そうな顔でこちらを見つめていた

 

 

「どうしたんですか奈楽どの、さっきからぼーっとして?」

 

 

「もしかして熱があるのですか奈楽?」

 

 

釣られたかのようにかぐらも心配の眼差しを向ける

 

 

「も、問題ありません!…そろそろ出発いたしましょう。長居は禁物ですので…店主、勘定を」

 

 

「へいへい……はい、確かに、まいどあり♪」

 

 

勘定を確認し、一礼をすると店主は店の中に戻っていった

 

 

「では参りましょうかぐらさま」

 

 

「えっ、えぇ…」

 

 

若干強引なような感じにとれるエスコートだったが、かぐらはそれに従った

 

 

その際、チラッと連を見た奈落はふんと鼻で笑いながらかぐらとともに先に行こうとしてしまう

 

 

「あっ、まっ、待ってくださいよ〜!」

 

 

呆気にとられていたが、ハッと我に返って2人を追う蓮だった

 

 

 

 

 

 

だが、奈楽の不満はさらに募っていった

 

 

観光すれば

 

 

「蓮、これかわいいですね」イチャイチャ

 

 

「はい、とってもかわいいですねかぐらさま」イチャイチャ

 

 

「……」イライラ

 

 

土産屋で仲良く品物を見て楽しむ2人の姿にイライラが募っていく

 

 

「今度はあっちを見てみましょう」

 

 

「はい、仰せのままに」

 

 

かぐらに手を引かれながら蓮は彼女とともに次の店を見て回っていった

 

 

「ぐぅぅ…蓮め~!」メラメラ

 

 

取り残された奈楽は怒りと嫉妬の炎を滾らせた

 

 

 

 

 

そしてそんな彼女の火の勢いは旅館に戻るとより一層強まっていった

 

 

「蓮♪」スリスリ

 

 

「か、かぐらさま〜」アタフタ

 

 

「……」メラメラ

 

 

部屋で甘えるように抱きつくかぐらに慌てふためく蓮という光景を見続けなければならないことは奈楽にとっては一種の拷問であり、その度に嫉妬と怒りの炎はさらに激しさを増していくのだった

 

 

「すみませんかぐらさま。自分は少し用を足してきいます」

 

 

「あら、そうですか。行ってらっしゃい」

 

 

「行ってらっしゃい」

 

 

「っ…」イラッ

 

 

奈楽はムスっとした顔で部屋から出ていった

 

 

「…どうしたのかしら奈楽は?」

 

 

「…さぁ?」

 

 

彼女がなぜああいった態度をとるのか2人には生憎検討がつかなかった

 

 

 

 

 

 

旅館の廊下を奈楽は1人歩いていた

 

 

「(蓮のやつ…っ!)」グヌヌ

 

 

嫉妬の怒りでぎゅっと握りこぶしを作る

 

 

「(あいつさえ、あいつさえ居なくなれば…)」ギリギリギリギリ

 

 

もはや奈落の嫉妬と怒りは頂点に達し、それはやがて殺意へと変わっていった

 

 

「(…今に見てろ。貴様ではかぐらさまの従者は務まらないということを直に分からせてやる!)」

 

 

何かをしでかそうという顔を浮かべながら奈楽は用足を済ませに行った

 

 

 

 

 

ガララララララ…トン

 

 

「ただ今戻りました」

 

 

「あら、お帰りなさい」

 

 

「お戻りになられたか奈楽どの」

 

 

部屋に戻るとおしゃべりで盛り上がり中の2人が奈楽を出迎える

 

 

そしてそれから時は経ち

 

 

「ではそろそろ寝ましょうか、2人とも明日もよろしくお願いしますね」

 

 

「「はい、おやすみなさいませ、かぐらさま」」

 

 

 

就寝をすべく3部屋の明かりを消し、3人は床に付くのだった

 

 

 

 

 

 

それからしばらくしてのことだった

 

 

外からは鈴虫らしき虫の鳴き声などが聞こえ心地よい感じがする真夜中の時間

 

 

すると目を瞑っていた奈落がパッと目を開け布団から身を起こすと静かに部屋を出た

 

 

数分後、部屋に戻ってきた奈落はいつもの格好に着替え終えていた

 

 

彼女は視線の先で寝息をたててスヤスヤと眠っている蓮に目を向けた

 

 

そして奈落は決意を決したかのように蓮に近づくと

 

 

「ん…蓮、起きろ」ユサユサ

 

 

「…っ?…ならくさん…?何ですか、こんな真夜中に?」クシクシ

 

 

体を揺すられ眠っていた蓮は目を擦りながら自分を起こした奈落に尋ねる

 

 

「少し話しがある。着替えてついてこい」

 

 

「っ?」

 

 

意識がはっきりし始めた蓮は奈落の様子がおかしいことに気づいた

 

 

何かあったのか?そんなことを考えながらもそれを確かめるべく彼女の言うことを聞くことにした

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして着替えを終えた獅子丸は先に外に出ていた奈落の元に駆けつけた

 

 

「お待たせしましたな奈落どの。…それでどうしたんですかこんな夜分に?」

 

 

蓮は何故こんな夜遅くに自分を呼び出したのかを奈落に尋ねる

 

 

するとその時だった

 

 

 

 

パッチン!

 

 

 

 

背を向けていた奈落が夜空に向けて手を突き出し、指を鳴らす

 

 

 

ギュイィィィィィィン!

 

 

 

すると周囲の時空が歪み、世界が現実から忍結界の世界に変わった

 

 

「こ、これは忍結界?…奈落どの、これは何の真似だ?貴行は何をしている?」

 

 

何がどう言うことなのか分からず奈落に尋ねると

 

 

奈落は冷たい視線と殺気に満ちた表情を向けていた

 

 

「蓮、貴様にはここで自分と決闘してもらう!」ビシッ

 

 

「決闘?何を唐突に?どういうことか説明を乞うぞ奈落どの?」

 

 

「私はお前が目障りで目障りで仕方ないのだ。新参者のくせに私からかぐらさまと楽しそうにしているお前がどうしても許せないんだ!」

 

 

日頃の心に秘めていた思いと不満をついに蓮に打ち明けた奈落はしばしの沈黙の後、即座に構えをとった

 

 

「だから、今ここで自分が貴様に引導を渡す。そしてかぐらさまにふさわしい従者は自分だけなのだと分からせてやる。さぁ、構えろ!」

 

 

「…何かと思えばそのようなことか、まったく。そのような理由で貴殿と戦って私になんの得がある?悪いが私は貴行のその申し出を聞く理由はないので失礼させてもらう。むろんこのことはかぐら様にも報告させてもらう」

 

 

あくまでも奈落の申し出に応じようとはしなかった

 

 

「お前がそうすると言うのならそれでも構わない……だが、このまま貴様を返すなどするものか!貴様はここで…散れ!」

 

 

「っ!?」

 

 

蓮の思いも聞く耳持たず、奈落は攻撃を開始するのだった

 


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