閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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京都編 第二十七章 解決策 

露天風呂にてかぐらと奈楽に出くわすという騒動の後

 

 

飛鳥たちは帰ってきた霧夜から上層部の意見は未だ変わらずといったところだという詳細を得た

 

 

それに不振を抱いた霧夜はたとえ何を言われようとも自分の地位を投げ捨てることになろうとも

 

 

彼女たちにすべてを話し、その後を自分たちでどうするかを尋ねた

 

 

話しを聞き終えた皆は消滅を運命ずけられたかぐらを救い出し、そして今は蓮となりてかぐらたちと行動を共にする佐介を取り戻す決意を固めるのだった

 

 

 

 

 

 

 

自分たちの今後についてを固める飛鳥たちはやる気いっぱいな様子を浮かべている

 

 

「さて、話しはまとまりましたが、とすれば今後の具体案をどうしましょうか?」

 

 

「確かにかぐらを助けるも佐介を取り戻すもこれといった案がまだないからな?」

 

 

理由はわかったがだとすればそれをどうすべきかと皆が何か言い手はないかと考える

 

 

 

ガラララ!

 

 

 

『「っ?」』

 

 

最中、部屋の戸が開く音に務名の注意がそれる

 

 

「お前たち、ちょっといいか?」

 

 

皆が見る先には話の中で欠席中だった光牙が返ってきたところだった

 

 

「光牙、遅かったな?」

 

 

「まぁすこしあってな…ん?なにかあったのか?」

 

 

「実はね」

 

 

戻ってきて状況がまだ把握しきれていない光牙が尋ねると飛鳥が代表して口を開く

 

 

「なるほど。大体事情は分かった」

 

 

飛鳥からある程度の説明を聞いた光牙はふむふむと納得したように頷く

 

 

「話しはわかったが、実は俺のほうからもお前たちに言わなければならないことがある」

 

 

「なんですかそれは?」

 

 

「…佐介を取り戻せるかもしれない情報を得た」

 

 

『「っ!?」』

 

 

光牙のその言葉に皆が驚いた顔を浮かべた

 

 

「さ、佐介くんを取り戻せるかもしれないって本当なの?」

 

 

「落ち着け、あくまでも可能性の範囲だ。確たる証拠はない」

 

 

話しを聞いて興奮する飛鳥を光牙がなだめる

 

 

「どこでそのような情報を得たんだ?」

 

 

「風呂場を後にしてここに戻る途中で偶然にもあいつと疾風が会話しているところに出くわしたんだ」

 

 

「疾風と?」

 

 

皆は光牙の話しの中にあの疾風の名が出たことに驚いた様子を見せる

 

 

「それでその会話の内容というのはどういったものだったの?」

 

 

春花が尋ねると光牙は皆に自分が盗み聞いた内容を説明した

 

 

佐介が蓮と名乗っているのは単に記憶を失ったというわけではなく

 

 

疾風の手によって彼の前世、つまり蓮の人格を植え付けられた故にということ

 

 

その蓮はかつてかぐらの守り人であり、疾風とともに彼女を守っていたということ

 

 

つまり彼が自分たちのことを忘れているのではなく

 

 

最初から別人格になっているがゆえにかぐらたちと行動を共にしているのだということを説明した

 

 

「なるほど、そういうことだったのか」

 

 

「では今の佐介さんは佐介さんであって佐介さんではない存在ということですか?」

 

 

「ざっくり言うならそういうことになる」

 

 

俄かには信じられないような話しではあるものの

 

 

これまでの彼の行動を振り返ればその話しにも信憑性があると思われた

 

 

「でもそうだとしてそれが佐介くんを取り戻すことにどうつながるっていうの?」

 

 

話しのないように際してそこからどうやって佐介を取り戻すのかという素朴な疑問を抱いた飛鳥が光牙に問うた

 

 

それは皆も同じ考えのようであった

 

 

「問題なのは今あいつは別人格によって体の支配権を奪われ、意識もまた失っている状態であることが伺えた。だとするならどうにかして蓮の人格を無力化し佐介の意識を取り戻すことができたなら」

 

 

「なるほど、つまり佐介を取り戻すには今あいつの肉体を支配する蓮の人格による支配から解放することが最善の策であるということか?」

 

 

「そういうことだな」

 

 

少なくとも光牙は会話の内容からしてその判断が今自分たちが佐介を取り戻せるかもしれない最善の方法なのだということを説明した

 

 

「故に悩むことはない、俺たちのすべきことは既に決まっている。今俺たちがすべきことは主に二つだ。まずかぐらについてだ」

 

 

「かぐらちゃんの?」

 

 

かぐらを救うためにはどうすべきかという悩みについても光牙は意見を申す

 

 

「俺たちがこのまま何もしなければいずれあいつは完全に復活し、力を取り戻し、この地にはびこる妖魔たちを街もろとも消滅させ、そして最後は自らもその代償に消滅する。こういう流れだったな?」

 

 

その問いに皆がうんと頷く

 

 

「ならば答えは簡単だ。そうさせないようにするにはこの地に蔓延る妖魔共をかぐらが殲滅するよりも先に俺たちの手で消しさればいいのさ」

 

 

光牙の言葉に焔がポンと手を叩く

 

 

「なるほど、つまり私たちがかぐらたちよりも先に妖魔共を狩りつくせばいいということか!」

 

 

「その通りだ」

 

 

「さすがだよ光牙くん!」

 

 

これまでどうしたらいいのかと思っていたかぐらを救う手立てが見つかったことに飛鳥たちは歓喜の声をあげる

 

 

「次に佐介のことだがこれはもう説明したから問題はないな?」

 

 

「うん、大丈夫だよ。どうすべきかは理解できたから」

 

 

「ならばいい、この作戦、成功すればまさに一石二鳥。だからこそ俺たちにとってこれは何としても成功させなければならない忍務となる」

 

 

かぐらを救い、佐介を取り戻す。これ以上の話しは他にはない

 

 

「私やってみせるよ。必ずかぐらちゃんを助ける。そして佐介くんも取り戻す!」

 

 

「よく言った飛鳥、それでこそ私が見込んだライバルだ!」

 

 

まさに自分たちがこの現状を打破できる最善最高の策であると誰しもが思った

 

 

「あっ…でもそれだとひばりたち、命令違反をしちゃうことになるんだよね?」

 

 

そんな中、ひばりがそのことを指摘すると飛鳥たちも思い出したように悩みだす

 

 

「佐介のことであんなに異議申し立てて何を今更なことをいう?安心しろ…全ての責任は俺が取る。だから心置きなく自分たちの納得出来ることを全力でしろ」

 

 

「き、霧夜先生!?」

 

 

「この件の全てはお前たちにかかっている。かぐらを救い、そして佐介を連れ戻せ!……それができるのはお前たちだけだ」

 

 

「…はい!」

 

 

自分達に全てを委ねる。霧夜のその言葉を聞いた飛鳥たちは公庫の憂いが消えたように安心していた

 

 

「ほ~、ずいぶんと言うようになったの霧夜よ?」

 

 

『「っ!?」』

 

 

「こ、この声は!?」

 

 

聴き慣れた声がした瞬間、部屋の窓からものすごい風が吹き荒れ、風が止んだとともに次に視界に写ったのは

 

 

「よう、お前さんたち」

 

 

「じ、じっちゃん!?」

 

 

『「半蔵(さま)!?」』

 

 

飛鳥の祖父であり、伝説の忍「半蔵」だった


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