旅館に戻ってきた飛鳥達は自分達の顔を見にきた半蔵から疾風のことを聞かされた
彼がかつて自分達に忍としての技術を教えたことや共に過ごしてきた思い出などを聞かされ
また半蔵も飛鳥達から彼の旅の目的であった探し人と言うのがかぐらのことを指しており、彼が佐介のことを友と呼んでいた獅子丸という自分の名で呼んでいたことを知った
単なる偶然にしてはおかしなところ、謎多き彼らの関係性に皆頭を悩ませるのだった
旅館にて半蔵から風丸との関係を知った飛鳥達はその内容に未だ信じられないと言うかのような顔を浮かべていた
「さて、状況はわかった…して、わしからお前さんたちに今一度問うぞ。お前さん達はこれから何をする?」
まじまじと飛鳥達を見つめながら半蔵は問うた
「私達は佐介くんを取り戻してみせるし、かぐらちゃんのことも助けてあげたい……でも今のままじゃダメだと思う」
「確かにそうだ。佐介たちのこともそうだが、この京都の街は既に多数の妖魔が幅混んでいる。それに妖魔衆どものことも気がかりだ。奴らは並みの妖魔とは違う、気を抜けば私達も命を落としかねん」
「俺もこのままでいるつもりはない、妖魔どもをこの街から1匹残らず消してやる…それに奴に借りを返すためにももっと強くならなければならん」
飛鳥達も光牙達も今のままではダメだと、強くならなければならないのだと告げた。半蔵は彼女達の真剣な眼差しを見てその覚悟に得心した
「お前さん達の思いは大いにわかった。…そこでじゃ、お前さん達を鍛えるべく最強の助っ人を用意したぞ」
「助っ人?」
その半蔵の言葉に皆一斉に小首を傾げた
「えっと〜、場所はここで会ってるんだよね?」
「えぇ、その筈ですが」
飛鳥達は言われるがまま半蔵の指定する場所に赴く
曰く着けば分かるとのことだったので飛鳥達は辺りを見回す
「ようやく来たわね」
「うぬらが来るのを今か今かと首を長くして待っておったぞ」
直後、彼女達にとって聞き慣れた声が聞こえ、その声のする方に目を向けると
「だ、大道寺先輩!?」
「鈴音先生!?」
雲雀と未来が驚いた顔で2人の名を叫ぶ
そう、彼女達の前にいたのは半蔵学院の生ける伝説、佐介の師でもあり、自分たちにとって大先輩である大道寺と
蛇女子学園の教師にして光牙達の元教師であった鈴音が立っていたのだから
「…なるほど、そういうことか」
2人が現れたこの状況にいち早く光牙は気づいたようであった
「お、お二人がなぜここに?」
それとは逆に突然の事態に理解が遅れていた他の皆が何故2人がここにいるのか気になっている顔をしていた
「半蔵さまより頼まれたのだ。お前たちの修行を手伝ってやってほしいとな」
「えっ?じゃあじっちゃんが言ってた修行相手って……」
「そう、我らだ」
鈴音と大道寺が自分たちがここにいるのか、その理由を答える
自分たちが半蔵の呼びかけに応じて共にこの京都に来ていたということを
「なるほど、この2人が相手か。修行の相手としてはこの上ないな!」
「言ってくれるな焔、私も楽しみだ。お前たちが何れ程強くなったのかこの目で見極めてやろう」
「ふっ、あまり余裕を噛ましているようでは痛い目に遭うということ思い知らせてやる」
紅蓮竜隊と鈴音が笑みを浮かべながら互いににらみ合う
「…っ?」キョロキョロ
「どうしたんですか大道寺先輩?」
そんな中、何やら自分たちを見わたす大道寺に雲雀が尋ねる
「…うぬらに一つ問う、佐介はどこだ?」
『っ!?』
大道寺のその言葉に飛鳥たちはビクッとなる
「…そう言えば確かにいわれてみれば佐介の姿が見えないな?」
「どういうことだ?答えよ。我が愛弟子はどこにいる?」
鈴音にとっては顔なじみ、大道寺にとっては愛弟子である佐介がいないことに気づいた2人は飛鳥たちを問いただす
「…じ、じつは」モジモジ
2人の質問に対し、飛鳥たちは今までのこと全てを打ち明けた
自分たちがかぐらを負っていた時、妖魔衆達の襲撃を受けたこと
妖魔衆に襲われそうになったかぐらを庇い、深傷をおって川に落ちていったこと
そして再会したと思いきや彼が自分たちに関わる記憶を無くして今はかぐらとともに行動していることなど
これまでの経緯を包み隠さずに教えた
「まさかそんなことになっていたとはね」
「……」
事情を知った鈴音はあまり信じたくないような顔を浮かべ、大道寺に至ってはえらく思いつめた顔を浮かべていた
「…っ!」バッ
「待て大道寺、何処へ行くつもりだ?」ガシッ
いきなり反転し、どこかへと向かおうとする大道寺を鈴音が肩を掴んで止めた
「大道寺、気持ちはわかるが私たちにはやるべきことがあるだろう。この子達を鍛え、共にこの地に蔓延る妖魔共を退治するということが」
「……」フゥ~
鈴音の言葉に説得された大道寺が力を抜き、大人しくなる
だが、彼女は悔しそうに握り拳しを作っていることに他の皆も気づいていた
「さて、ではそろそろ本題に入るとしようか」
そういうと鈴音が本題である飛鳥達の修行を開始するということを告げる
「うぬらを例えるのならば盾と刀だ。されどまだまだ未熟この上ない」
「大道寺の言うとおりだ。だが、だからこそ2人で1つになりやすいとも言える。お前たちは2人で1人の「盾と刀」になるんだ。それもただの盾と刀ではない、強固な護りと鋭き刃を兼ね揃えたものに。それには互のことを深く理解することが最も重要なことなのだ」
「強固な護りと…」
「鋭き刃…」
鈴音のその言葉が飛鳥達の胸に刺さる
「まぁ、言葉で説明してもすぐにはピンとこない者もいるだろう。だから構えろ」
「えっ?」
「言葉ではなく、お前たちの体に直接叩き込んでやる。盾と刀になることがどういうことなのかをな」
「我らを倒し、見事勝つことができた時、うぬらはその言葉の真なる意味を見出すだろう」
そう言うと鈴音が巨大な手裏剣を両手に装備し、大道寺は鍛え抜かれた肉体と構えで飛鳥たちを迎え撃とうとしていた
「す、すごい。ものすごい気迫…やっぱりあの2人と戦うとなると体に震えが走ってくるよ」
「情けないぞ飛鳥、こんなことで弱きになっている暇はないんだぞ」
「わ、わかってるよそんなこと。ちょっと武者震いがしてただけだもん」
緊張している様子の飛鳥に焔は物申し、飛鳥も負けじと反論する
「お前たち仲良くおしゃべりをするのはそこら辺にしておけ、相手が相手だ。気を引き締めるぞ」
「あぁ、わかってるさ」
「う、うん!」
そこへ光牙が割って入り、それにより我に帰った2人は再び鈴音と大道寺に目をやり、身構える
「準備ができたようだな?……では始めるとするか」
「貴様らの死ノ美、とくと見せてもらうぞ」
「あぁ、見せてやるさ。たっぷりとな」
立ちはだかる巨大な壁を前に光牙を先頭に修行という名の戦いに身を投じるのだった