由々しき事態が続く京都市内にて妖魔衆が各地で暴れる事態が発生し
それをどうにかすべく半蔵学院組と紅蓮竜隊が対処にあたっていた
斑鳩と詠が九座と遭遇し、戦闘を開始した
トリッキーな動きを見せる九座に苦戦を強いられるも
二人の連携によって辛くも勝利をおさめ、無事、その地域で暴れる妖魔衆の撃退に成功したのだった
一方、別の場所では葛城と日影が向かった先で妖魔衆と遭遇した
【「キシャアアァァァ!!」】
二人の前に立ちはだかるのは妖魔衆・七座
「妖魔衆や、いくで葛城」シャキン!
「あっ、あぁ…」
「ん?葛城?」
妖魔衆を前に浮かない顔をする葛城に気づいた日影がキョトンとした顔を浮かべる
「どないしたんや葛城?…そないにボーッとしてたら死ぬで?」キリッ
「わっ、わかってる、わかってるよ!でも正直わかんねぇんだよ、霧夜先生はあぁ言ってたけど好きにやれっていわれても困っちまうんだ。それじゃアタイの……」アセアセ
「なんか言ったか葛城?」
「…何でもない、いくぞ日影!」バッ!
俯いてばかりもいられないと気を取り直して葛城と日影は七座との戦闘に身を投じる
【「キシャァァァァ!!」】
「おらっ!」
「っ!!」
柳生を思わせる遠距離攻撃タイプの七座は接近戦タイプの2人には少々厄介な相手にほかならなかった
【「キシャァァァァ!!」】
「そんなもん!」
【「キシャ!?」】
「当たるかっての!!」
修行を経て強くなった2人にはさほど問題にならない程だった
それを知らしめるかのようにまず葛城が攻撃を掻い潜り、すかさずそこから強烈な飛び蹴りを叩きこんだ
【「キ、キシャア~」】グヌヌ
「からの~!!」
隙を与える間も与えず、七座の間合いに入った
「おりゃあ!!」
【「キシャッ!?」】グヌヌ
足具の蹴りが七座の顔面にクリンヒットする
「隙をみせたらあかんで!」
【「キシャ!?」】
よろけた拍子にできた隙きを逃さず日影がナイフによる斬撃を続けざまにヒットさせた
七座は2人の連携攻撃にたまらず後退る
「葛城、わしを投げ!」
「っ!わかった日影!アタイの足に乗れ!」
「おう!」
葛城が回転し、同時に日影が彼女の足に飛び込む
「ぶっ飛べ!おっりゃあぁぁぁぁ!!」
すかさず葛城が回転を加えた勢いの蹴りで乗っかった日影を七座に向かって飛ばす
「…いねや!」
日影は風を切る速度でナイフを持った手に力を込める
ザシュザジュザシュザシュザシュザシュ!!
まるで弾けるピンポン玉のような怒濤の連続切りが七座を容赦なく切り刻んでゆく
「っ!おっと!」キキィィィ
「おぉ、ナイスキャッチやな?」
「へっ、あたぼうよ!」
そして跳ね返ってきた日影を葛城が見事にキャッチする
七座はしばらくその場に佇んでいたがやがて力尽きその場に倒れた
数分もしないうちに体が気化し、またたく間に消滅してしまった
何もなくなった場所にただ一つ赤球だけが落ちていた
「赤球やな…さっさと壊しとくか」
神楽の覚醒の妨害のため、日影が赤球を壊そうと歩き出そうとした時
「」ヒョイ
「葛城?」
それよりも早く葛城が赤球を回収する
「…何してるんや葛城、早うそれを壊さな」
「……日影、わりぃ!!」バッ!
「っ?…葛城、何してんねん?」
すると葛城が赤球を手にその場から走り去ってしまった
慌てて日影も葛城の後を追っていった
日影の前から赤球を持ち去った葛城は道をひたすら走っていた
「待てや葛城」
「っ、日影っ!」
しかし、日影が追いつくと同時に自分の前に立ちはだかった
「説明してもらおうか?なんでこないなことしとるんや?赤球を壊して神楽さんの覚醒を阻止するんじゃないんか?」
「…わかってるよ。赤球を壊せばかぐらは覚醒しない、覚醒しなければ処分命令を聞く必要もない。アタイたちのしてることは命令を無視してることだ。…それはいいんだ、自分で決めた道なんだから。でもこの忍務が成功して功績が認められれば両親を救う手立てに一歩近づけれるかもしれない、そう考えるとアタイの心は揺れちまうんだ。両親か忍の道、どっちをとればいいのかってな」
葛城はありのままに思いを告げる
「なるほどな。まぁ、それを決めるのは葛城、あんた次第や、あんたが自分で決めたらええ」
「日影」
「…ただ、一つ言っておくで、あんたが忍務をとれば両親を救う一歩になるかもしれん。せやけどその代償にあんたはかぐらを…いや、かぐらだけやない。佐介さんを殺さなあかんことになるがな」
「っ!?」
だが、日影の放ったその言葉が葛城の胸に突き刺さる
「あんたは両親か佐介さんの命を天秤にかけてる状況ってことや」
「佐介を殺す……」
確かに日影の言うとおり、他の者たちはどうであれ忍務をこなすことができれば両親を救う一歩に繋がるかもしれない、しかしそれは佐介を殺すという大きな代償を伴うことでもあった
葛城は必死に考えを巡らせる…だが
「……無理だ」
「っ?」
「………無理だ!父さんと母さんのことは大事だけど、アタイにとって佐介は同じくらい大切な存在なんだ!」
地面に四つん這いに倒れる葛城は涙を流しながら呟いた
「…あいつと始めてあって最初のころはただ可愛い弟分ができたくらいの感じだった。でも両親のことで悩むアタイを慰めたり励ましたり抱きしめてくれた時、アタイはどこか安心するような想いを抱いたんだ。それからアタイの中であいつの存在は次第に大きくなった。あいつと一緒にいるとすんげぇ楽しいしなによりそばにいてくれるだけで嬉しかった……あいつはアタイにとってそれだけ特別な存在なんだよ」
佐介を手にかけることなど出来るわけがない、葛城の思いはそれを物語っていた
「…だったら迷う事ないやん、あんたが進もうとしてる道は最初から決まってたってことやろ。なんにせよわしは何があっても葛城の考えを支持するで」
「日影……ありがとな。よし!考えるのやめた!やってやるぜ絶対佐介にアタイ達のことを思い出させて今まで迷惑をかけさせた罰を与えてやるんだ!」
「その息や、それでこそわしの知る葛城や」
日影のおかげで葛城は迷いを振り切った
「待ってろよ佐介!絶対に思い出させてやるからな!…ふん!!」
フォン!バリィィン!
決意を込めたと同時に葛城は持っていた赤球を踏み潰すのだった