これまでの京都での一件を振り返り飛鳥たちはついに答えを見出し、消滅を運命づけられている神楽の覚醒を防ぐため、そしてなにより今も記憶を無くし彼女たちと共に行動している佐介を取り戻すため
半蔵が呼び寄せた大導寺と鈴音による修行が行われた
修行は実に厳しいものであったが、これにより飛鳥たちは以前よりも格段に力を増して行ったのであった
飛鳥たちが大道寺、鈴音らとの修行を終えた直後、霧夜から妖魔衆たちが再び行動を開始したとの報告を受ける
そのことを受け、皆が京都の街を守るべくそこで暴れ狂う妖魔衆を撃退にへと向かった
各自、半蔵学院と紅蓮竜隊のツーマンセルペアを組んで現場に赴いた
そんな中、斑鳩と詠の2人が街に繰り出した
「どこにいるのでしょうか妖魔衆は?」
「わかりません、ですが一刻も早く見つけて倒さなければ!」
「そうですわね。急ぎましょう!」
京都市内を捜索しながら斑鳩と詠はこの混乱の根源である妖魔衆を倒すことを固く誓う
妖魔衆を捜索し始めて少しした時のことだった
「あっ、斑鳩さんアレを!」
「っ?」
詠が指し示すほうに目を向けると
【「キシャッ、キシャァァァァ!!」】
街中で建物を破壊している妖魔衆を発見する
「行きましょう詠さん!」
「はい斑鳩さん!」
2人は急ぎ妖魔衆のもとに急行する
「見つけましたわよ妖魔衆!」
「これ以上、あなたたちの好き勝手にはさせませんわよ!」
【「グググ……キシャアアァァァ!!」】
斑鳩と詠が目の前に現れたことに気が付いた妖魔衆がうなり声をあげながら2人のほうを睨み据えていた
「詠さん、ご注意くださいね」
「承知しております。アレは一筋縄ではいかない相手ですもの」
「えぇ、その通り」
妖魔衆を前に互いに注意を促しながら武器を手にする
【「グルル、キシャァァァァ!!」】
しびれを切らしたように妖魔衆がうなり声をあげながら斑鳩と詠に襲い掛かってきた
「いきますよ詠さん!」
「はい!」
それを合図に斑鳩と詠対妖魔衆の戦いが開始された
「はっ!せぇぇい!」
【「キシャッ!!」】
「はぁぁぁ…たぁぁぁ!!」
【「キシャァァァァ!!」】
斑鳩達と妖魔衆の激しい攻防戦が繰り広げられる
【「キシャッ!キシャァァァァ!!」】
「くっ!?」
【「グルル、キシャァァァァ!!」】
「きゃっ!?」
怒涛の攻撃を仕掛ける妖魔衆に斑鳩と詠が押されていった
「大丈夫ですか斑鳩さん?」
「詠さんこそ」
隣に居合わせ、お互いに身を気遣いあっていた
【「グルルルル!」】
そんな二人を視界にとらえながら不気味なうなり声をあげていた
斑鳩と詠が苦戦しているのは妖魔衆・第九座
どこか雲雀に親しい攻撃方法を仕様してくる九座の戦法が2人を苦しめている
「さすがに一筋繩では行きませんね…ですが!」シャキン
「はい、鈴音先生たちの修行によってより息のあった戦いができるようになった今のわたくしたちに掛かれば!」シャキン!
「「どうってことありません!」」
【「グル?」】
九座の実力は確かなもの、しかし2人はそれに怖気ずく様子はなかった
大道寺たちとの修行を経た2人の闘志がこんなことで折れるなど微塵もありはしないのだ
2人は立ち上がるとともに互いの持っている武器を九座に突き出しながら高らかに言い放つ
今の自分たちは前の自分たちとは違うのだと
【「グググ、キシャァァァァ!!」】
何かを危惧したのか九座が二人に襲い掛かってきた
「「はぁぁぁぁぁ!」」
対して2人もまたそれに向かって突っ込んだ
【「キシャッ!」】
「はあっ!」
「やあっ!」
ザシュゥゥゥゥゥン!
双方のぶつかり合う音が響く
【「キ、キシャアァァァァ!?」】
しかし、ダメージを負ったのは九座だけだった
2人の同時攻撃に九座は思わず悲鳴をあげる
【「グググ、キシャア~!!」】
今度こそと言わんばかりに攻撃を繰り出す
「はあっ!」カキン!
【「キシャッ!?」】
「今です詠さん!」
「はい、たああぁぁぁぁ!!」
斑鳩が攻撃を防ぎ、詠が懐に一撃を浴びせた
【「キシャァァァァ!?」】
九座がその攻撃によって吹き飛ばされた
「さすがですね詠さん!」
「いいえ、斑鳩さんこそ!」
「では止めと参りましょう!」
「はい!」
斑鳩と詠はこの戦いに終止符を打つべく互の武器に力を込める
飛燕に炎が宿り、大剣がスライドする
「参ります!」
「「たあぁぁぁぁぁ!!」」
2人の斬撃波が合わさり巨大な竜巻きとなって九座を飲み込んだ
【「キ、キキキ、キシャァァァァ!!!」】シュゥゥゥ…
九座は斑鳩と詠の手によって消滅したのだった
「やりましたわね斑鳩さん」
「はい……あっ、あれは?」
「見てください、赤球です」
不意に斑鳩が向けた視線の先には赤球が落ちていた
「斑鳩さん」
「わかっています……はあっ!!」
シュン!パリィィン!
神楽の覚醒を阻止するために斑鳩は手にした赤球を空に投げると飛燕を振るいそれを粉々に砕いた
「これで神楽さんの覚醒を一歩食い止めることができましたわね」
「はい…必ず神楽さんの覚醒を阻止してみせます。…それにいずれ佐介さんも」
斑鳩はボソリと総つぶやいた
「やはり心配ですか?」
「…詠さん、あなたはわたくしの一番大事なお友達、だからこそあなたにだけは話しますが。佐介さんが記憶を失ったと知った時、わたくしは心が張り裂けそうな思いでした。佐介さんがわたくしのことを忘れてしまったのだということが信じられないと思わずにはいられませんでした」
「…御察ししますわ。もし記憶を失ったのが佐介さんではく光牙さんだったらわたくしたちは斑鳩さんたちと同じ思いを抱いていたと思います」
詠は彼女の不安に同調し、励ましの言葉を送る
「始めのころは飛鳥さんたちと変わらない仲間としての認知でした…でも、佐介さんがわたくしを身を呈してまで助けようとしてくれたあの時、わたくしの中で佐介さんの存在は大きく膨れ上がったのです。そしてあの人が笑う顔を見るたび、わたくしはとても安心できた。あの人と一緒にいられるのが何よりも嬉しい、そう感じられもしました」
「斑鳩さん」
「だからこそ佐介さんがわたくし達との記憶を失ったと知った時、佐介さんがどこか遠くに行ってしまったかのような思いが頭をよぎりわたくしはどうしようもないくらい心がざわついたのです。……わたくしは、わたくしは……佐介さんが、恋しいです」
「……斑鳩さん」
自分の思いを語り、涙を流す斑鳩を詠は優しく抱きしめ、慰めるのだった