忍たちの度重なる妨害によって赤球の入手が困難な状況下に置かれたかぐらたちは焦っていた
一刻も早く覚醒を果たさなければという使命の元、かぐらたちは次なる赤球を求めて京都の街を徘徊する
そんな中、妖魔の気配を察知したかぐらとともに反応があった場所に出向いたが
突いたころには妖魔の反応は消えており、さらには彼女たちの到着を待っていたようにこの場にいた光牙、焔、飛鳥の待ち伏せを食らう
戦闘が始まり、攻防が続く中、光牙が蓮の動きを封じ、さらにそこに飛鳥も加わり、3人は彼女が発生させた忍び結界に吸い込まれて
蓮の元に向かおうとするかぐらたちを阻止すべく焔が立ちはだかるのだった
焔が奈楽たちの相手をしている一方、その甲斐あって光牙と飛鳥が蓮を忍結界に閉じ込めることに成功した
「…うん、ううん…ここは?」
転送されてから意識を失っていた蓮が意識を取り戻す
「結界の…中か?」
周囲を見渡し、ここが異空間であることを瞬時に理解する
「お目覚めか?」
「っ!」
蓮は自分に向けられて発せられた声に気づいて視線を向ける
そこにはこちらを見ている光牙と飛鳥の姿があった
「…してやられたよ。まさかこんな手で私を結界に閉じ込めるとは」
「こうでもしなければ邪魔が入ってしまうからな」
結界に閉じ込めればそう簡単に外部からの邪魔が入ることはない
故に効率の良い方法である
「小賢しい、私たちを分断汗手かぐら様を狙う気だな!」
「違う。俺たちの目的はお前だ」
「なに?」
蓮は光牙と飛鳥が自分を結界に閉じ込めたのは戦力を分散させてかぐらを狙うと思っていたため光牙が狙いは自分だと聞かされ、驚いた様子を見せていた
「だろう飛鳥?」
「うん!」
光牙がおもむろに尋ねると飛鳥は即座に返答する
今、彼女の目には迷いはない、今の彼女が望むのはこの戦いを経て今度こそ彼を元の佐介に戻すのだという明確な意思を抱いていた
「っ!」
「佐介くん。私が絶対あなたを元に戻して見せる!はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
想いとともに自身の力を最大限に高めた飛鳥は真影の力を開放した姿「真影の飛鳥」へと転身した
「ほう、最初から本気で行くか?」
「うん、この戦い、絶対に負けられないから!」
「確かにな…ならば行くぞ、俺がサポートする。お前は自分のやりたいようにやれ」
「ありがとう光牙くん…っ!」
2人は打ち合わせを終え、戦う準備は整った
「(急ぎかぐら様の護衛に行きたいところではあるがこの結界がある以上はそれも難しい。結界を解除させる方法は基本的に二つ、術者が結界を解除するかその術者を倒すかだ……ふっ、そんなもの最初から答えは決まっている)」
考えをまとめ上げた蓮は立ち上がる
「どうあっても君たちはこの体の持ち主を呼び戻したようだね?」
「「っ…」」
「いいでしょう、そこまでの覚悟があるというなら私も全身全霊で挑むのみ」
「気をつけろ飛鳥、奴もやる気になったようだ」
「うん、わかってるよ」
光牙が注意を促し、飛鳥もそれを受け、警戒を強める
「思い知るがいい、私の力を…はぁぁぁぁぁぁぁ!!」ゴォォォォォォ!!
「「っ!?」」
蓮は全身に力を籠める
すると彼の体からとてつもない力があふれだしてきていた
「す、すごい…すごい圧迫感を感じるよ」
「俺も感じている。ここまでとはな…さすがあの疾風が友と呼んでいる奴なだけはある」
飛鳥と光牙は蓮から放たれるとてつもない威圧感に武者震いを覚える
「どうした?いまさらになって怖気ずいたか?でももう遅い、先も言ったがこの戦い私もは全力で行かせてもらう、一切妥協はしない。かぐら様を守るため、私はこの場で君たちを…殺す!」
意を決したように明確な意思のもと蓮は2人を殺すことを宣告する
「だそうだぞ、どうする飛鳥?」
「どうするなんて今更だよ。ここに連れてきた時からこうなることなんて百も承知だよ。でもだからこそ私は決めたんだ。何が何でも佐介くんを取り戻すって!」
「…ふっ、いい心がけだ」
さりとて2人もまたそんな言葉で怖気ずくような軟なメンタルなど持ち合わせてはいない
互いに覚悟を決めてこの戦いに赴いているのだから
「さて…飛鳥も向こうも全力で行こうとしているのに俺だけこのままというわけにもいくまい。なればこそ俺も最初から全力を出すまで…
飛鳥と蓮がこの戦いに全力で挑む覚悟でいることを知り、負けじと光牙も竜騎の光牙(りゅうきのこうが)へと覚醒転身した
これにより舞台は整った
「さぁ、やるぞ!」
「うん!」
「君たちの意思がどれほどのものかこの身を持って見極めてあげよう!」
しばしの沈黙と緊迫感が結界内を包む
「…っ!」バッ!
「っ!」
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
先んじて動き出したのは飛鳥だった
真影のオーラを纏った二本の刀による斬撃を蓮に叩きつける
「っ、ふぅん!」
「ぐっ!?」
しかしやはりというべきか能力強化を行った蓮の剛腕によってはじき返されてしまう
「次はこちらの番だ!」
「っ!?」
「金剛撃!」バキィン!
「ぐっ!っ~~~!!??」ザザァァ!!
反撃の拳を受けた飛鳥は咄嗟にガードするも勢いのすさまじさからか大きく後方にまで吹き飛ばされる
「…っ?」
「っ!」シュィン!
飛鳥を吹き飛ばした蓮が瞬時に気配に気づいた次の瞬間、一瞬にして背後を光牙がとった
そしてそこから後ろ回転式の手刀で切りかかる
「っ!?」バッ!
危険を察知した蓮が身を屈めたことで攻撃を回避する
「ふっ!」
「っ!」シュン!
瞬時にカウンターというかのように屈んだ状態からの蹴りを繰り出し
光牙もまたそれを即座に回避する
「っ!」ザザァァ!
「光牙さん、大丈夫?」
「あぁ、問題ない」
自分の元に後退してきた光牙に飛鳥が気遣うような言葉をかけ、それに対して光牙は大丈夫だと返答する
「…ふっ、これが君たちのいう全力なのかい?だとしたらとんだお笑い草だ」
「「っ!」」」
「この程度で私をやれると思ったら大間違いさ」
蓮は今の一連のやり取りから飛鳥と光牙を過小評価するような言葉を吐く
「断言しよう。君たちの実力では私に勝つことは不可能だ。それをその身と死を持って刻み付けてあげるよ!」
そういうと蓮は再び構えを取り、飛鳥たちに布告するのだった