閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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VS蓮、予期せぬ事態 

佐介を取り戻す、そのために光牙の協力のもと飛鳥が蓮を結界に閉じ込めることに成功する

 

 

負けることのできないこの勝負、飛鳥は自らのすべてを出すべく真影の飛鳥にその身を転身させる

 

 

一方の蓮もまたこれ以上の邪魔をさせないため、そして神楽を守るというおのれの意思を貫くため

 

 

隠し玉である能力強化術「気門開放」によって能力強化を図り、2人を殺すことを宣告する

 

 

果たして飛鳥は同じく覚醒転身した光牙とともに蓮を倒し、その心のうちに眠っているであろう佐介を救い出すことができるのだろう?

 

 

 

 

 

 

結界の中で飛鳥と光牙、蓮との戦いは続いていた

 

 

「はあっ!!」バババババババババ!

 

 

「飛鳥!」

 

 

「うん!」

 

 

蓮が手のひらから連射式の気弾を乱射し、飛鳥と光牙は左右別方向に回避する

 

 

「逃がすものか!」

 

 

それに対し蓮は左右の手を2人の動きに合わせて変えて追撃する

 

 

「……っ!!」タタタタタタタタタタ!

 

 

刹那、飛鳥が蓮に向かって突っ込んでいく

 

 

 

「ふっ!」バババババババババ!!

 

 

そうはさせまいと蓮が光牙への追撃をやめ、火力を飛鳥に集中させる

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

弾幕の中を飛鳥は臆せず進んでいった

 

 

「小癪な!はあっ!!」バキュゥゥン!

 

 

「っ!?」

 

 

 

 

ドバァァァァァァァン!!

 

 

 

 

迫りくる飛鳥を見て蓮が先ほどまでよりも火力を上げた光弾を飛鳥目がけて放つ

 

 

それが飛鳥に向かって飛んでいき、直後大爆発を起こす

 

 

周囲に爆風と爆煙が広がる

 

 

ヒュゥゥゥ~…

 

 

「……っ?」

 

 

 

ブゥオォォン!!

 

 

 

「はあぁぁぁ!!」

 

 

「っ!?」

 

 

刹那、爆煙と湧き上がる炎の中を突き破り、飛鳥が飛び出してきた

 

 

「絶・秘伝忍法!」

 

 

「くっ!?…気爪っ」

 

 

「【一刀繚斬】!!」

 

 

「天凱!!」

 

 

 

ガキイイイィィィン!

 

 

 

凄まじい衝撃が爆煙を吹き飛ばす

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「ぬぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 

互いの技と技が激しくぶつかり合う

 

 

「っつ~~…ぬぅぅん!!」

 

 

「きゃっ!?」

 

 

しかし渾身の一撃ですら蓮に押し切られ、はじき返されてしまった

 

 

「【気爪天凱・突】!!」

 

 

そしてはじき返されて隙が生まれた飛鳥の身に風穴を開けようと蓮が気爪のエネルギーを先端に集約させた突き攻

撃を繰り出してきた

 

 

「っ!?」

 

 

攻撃をはじかれてしまい、よろけた体制となってしまっている飛鳥にはかわす術がなかった

 

 

飛鳥は思わず目を閉じる

 

 

 

ガキイイイィィィン!

 

 

 

刹那、何かがぶつかり合う音が響いたと思いきや自分の身に痛みは感じられない

 

 

おかしいと思った飛鳥が恐る恐る視界を開いてみた

 

 

「ぬっ、うぅぅぅぅぅ!!!」

 

 

「ぐぅぅぅぅぅ!!!」

 

 

「光牙さん!?」

 

 

視界を開いて見た先に映った光景はいつの間にか自分の前に立ち、蓮からの攻撃から守ってくれた光牙の姿だった

 

 

蓮の突き、光牙の手刀による押し合いが繰り広げられる

 

 

「…ぐぅぅぅぅぅ!!」

 

 

「ぐぅっ!」グヌヌ

 

 

しかしながら押し合いが長引くたびに光牙が徐々に押されだす

 

 

気門開放によって全能力を上げている蓮の力が光牙を上回っているからだ

 

 

「~~~っ、ふんっ!」

 

 

「っ!…はぁっ!」

 

 

「っち!」

 

 

この状況を長引かせるのは不利と判断した光牙が空いているもう片方に弓を展開し、それによる斬撃のカウンターを繰り出す

 

 

それに気づいた蓮は押していた自分の手を止め、瞬時に後ろに向かって跳躍し、回避行動を取る

 

 

「…っ!」シュィン!

 

 

「「っ?」」

 

 

回避行動によって宙を舞う最中、蓮が両手をクロスさせるしぐさを取った直後、すでに展開されている気爪の光が色合いを増す

 

 

「気爪天凱・零刺!!」

 

 

次の瞬間、蓮がクロスさせていた両手を振りかぶったと同時に気爪から無数のレーザーのようなものが放たれ2人目がけて飛んでいく

 

 

「飛鳥、俺の後ろにいろ!」

 

 

「はっ、はい!」

 

 

自分たち目がけて飛んでくるそれを見て光牙が咄嗟に飛鳥を自分の後ろに行くよう指示する

 

 

飛鳥が後ろに下がったことを確認した光牙がすかさず弓を構えた

 

 

迫りくる無数のレーザーを前に光牙は臆せず引手を目いっぱい引き狙いを定める

 

 

「射貫け!【閃光竜雨】!!」パシュン!

 

 

 

ヒュゥゥゥ!ギュィン!!シャァァァァ!!

 

 

 

放たれた矢が数メートル先で拡散し、無数の竜のエネルギーへと変換され、それらが迫りくるレーザー目がけて飛んでいった

 

 

 

 

ボバババババババ!!

 

 

 

 

互いの攻撃が直撃とともに相殺されていった

 

 

弾幕同士のぶつかり合いによって発生した衝撃波があたりに散らばる

 

 

「(やはりあの男…厄介だ)」

 

 

蓮は一連の動きから光牙が危険であることを再度、そしてさらに警戒すべきだという考えに至る

 

 

「(この戦い、奴をこのまま野放しにするわけにはいかない…)」

 

 

光牙をこのまま放置するのは危険だと判断した蓮は意を決したように頷く

 

 

「さすが、といってあげるよ。君たちの連携攻撃は見事だ」

 

 

「ふん、今更褒めても状況は俺たちの優位に変わりはないぞ?」

 

 

現段階では戦況は覚醒転身した光牙と飛鳥に部がある

 

 

それをわかっている光牙は若干挑発気味に答え、飛鳥もまたその意見に同意するように頷く

 

 

この状況を打破するのは今のままでは困難と思われた

 

 

「…さて、それはどうかな?」ニヤリ

 

 

「なに?」

 

 

「どういうこと?」

 

 

しかしそれは蓮の不敵な笑みによって覆ろうとしていた

 

 

「君たちのいう通り今のままでは私が劣勢のようだが、そろそろこの状況を覆させてもらうとしよう」

 

 

「えっ?」

 

 

「臆するな飛鳥、口から出まかせの可能性もある。そうして俺たちの油断を誘う気かもしれん」

 

 

「いいや、ハッタリなんかではない。その証拠に……見せてあげよう、私の"とっておき"を!」

 

 

蓮はこの現状を覆すと宣言し、すかさず有言実行に移すべく印を結びだしたのだ

 

 

「飛鳥、気をつけろ、奴は何かを仕掛けてくる気だぞ」

 

 

「うっ、うん」

 

 

その蓮の行動を見た光牙の直感が危機感を覚え、それを飛鳥にも注意するように促す

 

 

直後、蓮が印を結び終える

 

 

「…ふっ」

 

 

「「っ?」」

 

 

「待たせたね、覚悟しなさい」

 

 

準備が整ったと蓮が2人に宣告する

 

 

それを聞いた2人は蓮が起こそうとしている行動に細心の注意を払う

 

 

「(…秘伝忍法【気門開放】!)」

 

 

沈黙する中、蓮が心の中で術の名をつぶやく

 

 

 

 

ギュオオオオオォォォォォォォ!!!

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

刹那、光牙と飛鳥は絶句した

 

 

「な、なんだこれは!?」

 

 

「わ、私でもはっきりと伝わる。なんてすごい気なの!?」

 

 

蓮から高まり、あふれ出る気のオーラとプレッシャーが光牙と飛鳥を震え上がらせる

 

 

「…はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

再度雄叫びを上げた瞬間、まばゆい光があたり一面を包み込み、視界を奪う

 

 

「~…っ!?」

 

 

視界が戻り、飛鳥は恐る恐る目を開けた

 

 

「…はぁ~」プシュ~

 

 

張り上げた力を抜くように息を吐く蓮、そしてそんな蓮の姿を見た飛鳥は絶句する

 

 

「ど、どういうことなの!?あ、あれって!?」

 

 

「これは驚いた…いや、むしろ必然だったか」

 

 

焦りの面を浮かべる2人の反応は無理もないものだった

 

 

なぜなら今の蓮の姿は彼女たちが見知ったものだったからだ

 

 

「…(オーバー)限魂(ソウル)?」アセアセ

 

 

蓮の変化した姿、それは佐介の切り札でもある大名手の技、極限魂(オーバーソウル)の姿に告知していた

 

 

「驚いたかい?これが私のとっておき……ん?」

 

 

自分の発動させた技を得意げに説明しようとした蓮だったがすぐに自分の身に起きていることに気づく

 

 

「(なんだこれは?この技にこんな姿になるような要素はなかったはず?……もしやこれは器が私に何かしらの影響を与えたのか?)」

 

 

予想外の状況に多少驚くもすぐに状況を察して再び光牙たちに視線を向ける

 

 

「「っ!」」

 

 

「さぁ…続きを始めようか?」

 

 

囁くように第二ラウンドの開始を蓮は告げるのだった

 

 


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