蓮に意識を支配された佐介を取り戻す戦いに身を投じる飛鳥と光牙
最中、蓮がパワーアップを果たし、
その圧倒的な強さの前に真影の飛鳥はおろか竜騎の光牙ですら苦戦を強いられていく
しかし、そんな劣勢な状況下の中、光牙が臆せずに蓮に挑み、おのれの持つ力と技量を駆使して向かっていき、徐々に差を埋め続ける
だが、それでもあと一歩という差を埋めることはできず、長丁場の戦いによって気力、体力が削られてしまった光牙は蓮によって敗れた
文字通り一騎討ちと相成った状況の中、飛鳥はここまでくる中で皆から託された思い、そして自分と共に戦ってくれた光牙の想いに報いるために再び蓮に戦いを挑み
想いの力によって強さを増した飛鳥が蓮を圧倒し、今度こそ佐介を助け出すべく今一度秘伝忍法「意心伝心」を発動させ、それを消し飛ばそうとする蓮との激しい撃ち合いに発展するのだった
ビュオオオオォォォォォォ!!
「「はあああぁぁぁぁ!!」」
結界内では飛鳥の放った意心伝心の波動と蓮の放った気の波が激しくぶつかり合いを見せていた
「「ぬぅぅぅぅぅぅぅ!!」」
両者の放った波による押し合いが続く
互いに一歩も譲らない凄まじい攻防が繰り広げられていた
ピキッ…ピキキキキキキ!!
いたる個所に亀裂が生じていき、2人のぶつかり合うエネルギーが結界の崩壊へのカウントダウンをどんどんと加速させる
「ぐっ、ぐううぅぅぅぅぅぅ!!!」グヌヌヌ
それをどうにか食い止めようと光牙が残った力を使って結界の崩壊を防いでいた
「(飛鳥、何をもたもたしている!?早く決めなければ!?)」
維持に専念しつつ光牙は今も撃ち合いに身を投じている飛鳥に心の声をつぶやいていた
一方でぶつかり合いを続けている飛鳥と蓮の攻防は一進一退の動きを見せる
「う、うううぅぅぅぅぅ!」
「ふっ、どうした?さっきよりもパワーが落ちてるんじゃないかな!?」
「ぐっ、うううぅぅぅぅぅ!?」
蓮のいう通り飛鳥の意心伝心の波動が徐々に蓮の力に押されだし始めてきているのである
力を振り絞って対抗するも差が広がりだすばかりだった
「ううぅぅっ、うぐぅ!?」
「…ふぅぅぅん!!」
「ぬあっ!?」
「飛鳥!?」
そこに畳みかけるように蓮がさらに力を引き出し、波のエネルギーがさらに増していき、少しずつだった差が一気に開きだしていった
「~~っ!?」グヌヌ
「もう、諦めろ。所詮君の力で私をどうにかしようなど無理な話しなのだ!」
追い打ちをかけるがごとく、飛鳥に絶望を抱かせるような言葉を投げかけ、彼女の動揺を誘う
同時に彼の放つ波の押す力が増していった
「飛鳥!…ぐぅ、何とかしてやりたいが今の俺にはどうにもならない!?」
結界の崩壊を防ぐためにも光牙は身動きが取れないため、力を貸そうにも貸すことはできなかった
そんな中でも飛鳥はどんどんと劣勢に追い込まれていった
「(ダメ!もう、これ以上は…持ちこたえられそうにない!?)」
蓮の放つ波の押しこむエネルギーが飛鳥の意心伝心の波動を寸前まで押し込みながら迫ってきていた
「(…みんな、私、もう…)」
想いを乗せた技が押し切られ、もはや抑え込むのも限界、完全なる敗北へのカウントダウンが刻一刻と彼女に迫ってきていた
自分はみんなの想いを背負ってここに来たというのに結果はこのざまでしかない
信じて託してくれたみんなへの期待と信頼を裏切ってしまうことへの罪悪感と後悔が彼女の心を支配する
「(…佐介くん)」
飛鳥は今にも折れそうな思いの中、彼の名を呟く
『「…あ…すか…ゃん」』
キュピィィィィン!
「っ!?」
「な、なんだ!?」
「何事だ!?」
突然、まばゆい光が発生し、この場にいる全員が驚いた顔を浮かべる
みんなが注目した光の発生源、どうやらそれは飛鳥から、正確には飛鳥の胸元からだった
「どういうことだ?」
光の発生源が飛鳥であることに気づいた光牙はこの現象について疑問を抱く
装甲しているうちに飛鳥の胸元の内側から光り輝く何かが出てきた
「こ、これは?」
飛鳥は出てきたものに驚きの声を上げる
彼女の視界の先に映る光り輝く何かの正体
それはこの戦い前に彼女がお守りとして持ってきていた佐介の秘伝忍法書だった
一人でに動く秘伝忍法書の行動に驚いていると更なる動きが
シュルルル…バサッ!
秘伝忍法書が一人でに開く
ギュィン!バババババ!
そして巻き物の中から青、赤、緑、白、ピンクの色の5つの光が飛び出してきた
さらに光たちは徐々に形を成していく
「あ、あなたたちは!?」
光たちが形を成した姿、それはこれまでに紡いできた自分たちとの絆を象徴する
「なにっ!?」
「まさか、こんなことが!?」
驚く者たちを尻目にそれぞれの
再び更なる輝きとともに彼女の元に集まる
「な、なにこれ!?」
刹那、飛鳥は自分の身に起こったことを感じ取る
「すごい…力が体の中から湧き上がってくる?」
自分の元に集まった光たちの力によって飛鳥は自分の体から信じられないような力の高まりを感じた
マケナイデ…アキラメナイデ…
「っ!?」
その最中、飛鳥は自分の脳裏に浮かび上がる声に驚く
「(…さすけ、くん)」
脳裏に浮かぶ声は彼女にとってとても大切な人の声、佐介の声だった
「(佐介くん…ありがとう!)」
飛鳥は思いの言葉を受け取り、閉じていた瞳の奥から決意の目を開く
「っ~~…はあああぁぁぁぁ!!」
ギュゥゥゥ!ビュオオオオォォォォォォ!!!
腹の底から声を上げ、飛鳥が力を引き絞った瞬間
今までからは想像だにできないほどの膨大なエネルギーが波動の力を高めていった
「な、なにっ!?」
そしてその力が一気に蓮の放った波を押し込み始めていく
いきなりのことで蓮も驚きを隠せなかった
「そ、そんなはずはない!?お前はすでに限界を超えてたはずだ!なのにどうしてそんな力が!」
「これは…思いの力だよ!」
「思い?」
「うん、佐介くんを救いたいと思いみんなの心が、願いが私に力を貸してくれてるの!」
飛鳥がそうつぶやいた瞬間、蓮の目に映るものが
彼女の周囲に無数の影が
斑鳩たち仲間たちと焔たちライバルたちが彼女を支えているのだ
「だから、みんなの想いに答えるためにも私は負けられない!はあああぁぁぁぁ!!」
その思いに答えるために飛鳥はありったけの力を放つ
「私とて負けるわけにはいかない!ふぅぅぅん!!」
蓮も負けじと力を籠める
しかしもはや彼の力では皆の想いが詰め込まれた意心伝心の波動を打ち負かすことはできなかった
「いっけええええええ!!!」
「ぐぅ!うううぅ…うああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
そしてついに意心伝心の波動が再び蓮を直撃した
「「っ!?」」
「ああああああああ!?うああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
波動のエネルギーを全身に受け、断末魔のごとき叫び声をあげる
「佐介くぅぅぅぅぅぅぅん!!!」
同時に飛鳥は彼に向かって声を張り上げるのだった