閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

215 / 598
眠りからの目覚め

飛鳥と光牙が結界内にて蓮と戦いを繰り広げている最中、結界の外では焔がかぐらと奈楽の足止めを行っていた

 

 

奈楽との戦いによって徐々に疲弊していく焔だったが持ち前の負けん気で戦い続けていった

 

 

そんな2人の戦いに乗じて結界の解除を試みようとするかぐらだったが予想以上に結界のロックが硬すぎるがゆえに進入できないことに手をこまねく

 

 

だが、そんな矢先に結界内から光が漏れ出し、激しく膨張していき

 

 

危機感を覚えた奈楽がかぐらを抱えて離れた瞬間、膨張した光の勢いに耐えかねた結界が爆発した

 

 

しばらくして視界が回復した視界の先には結界から出てきた飛鳥と光牙、そして飛鳥に抱えられた佐介の姿があった

 

 

かぐらはこれを見て蓮を取り返そうと怒りに打ち震えるも直後に現れた半蔵学院チームと紅蓮竜隊チームの登場によってやむなく撤退し、この場を去っていったのだった

 

 

 

 

 

 

形勢不利と判断したかぐらたちが去ってから少しして

 

 

場所を替えた飛鳥たちは連れ戻すことに成功した佐介の安否を心配する

 

 

飛鳥、斑鳩、レイナが佐介の看病を請け負っていた

 

 

「…佐介のやつ本当に大丈夫なのかな~?」

 

 

「どういう意味だチェルシー?」

 

 

「だってさ、あれから一向に目覚めてくれないんだよ?…ひょっとしたらあいつこのまま」

 

 

「おいおい、なに縁起でもないこと言ってんだよ?」アセアセ

 

 

連れ戻してからというもの未だに意識が戻ってはおらず、不安がよぎっていた

 

 

もしかしたら佐介はこのまま目を覚まさないのではないかと考えてしまいたくないことも想像できてしまうほどに

 

 

「ふん、何を弱音を吐いているんだお前たち?」

 

 

「「「っ?」」」

 

 

「情けないぞ?」

 

 

そんな彼女たちの元に詠に支えられながら歩み寄ってくる光牙がいた

 

 

「で、でも、だって現に佐介は」

 

 

「お前たちはこいつがこんなところで終わるような軟な奴だと思っているのか?」

 

 

「そ、それは…」

 

 

「…不安に思うのは勝手だ。だが、一番身近にいるお前たちがあいつのことを信じてやらなくてどうする?」

 

 

光牙のその言葉を聞いた3人はハッとなったように目を見開く

 

 

「…そうだな。あぁ、そうだ」

 

 

「確かにその通りだ」

 

 

「…うん」

 

 

不安を言い訳に仲間を信じてやらなくてどうするんだと3人はさっきまでの自分たちのことを悔い改める

 

 

「皆さん元気を取り戻されたようですわね?」

 

 

「あぁ……」チラッ

 

 

3人が調子を取り戻したことに安堵したことに詠がよかったと声をかけ

 

 

光牙はその言葉に返事を返し終えると視線を佐介のほうにと向けた

 

 

「(…お前がこんなところで終わるようなタマではないことを証明して見せろ、なぁ、佐介?)」

 

 

心の中で未だ意識を戻さない佐介に光牙は語りかけた

 

 

 

 

 

皆が佐介の目覚めを今か今かと待ちわびているそんな時

 

 

「ん…んん…」

 

 

「「「っ?」」」

 

 

意識を失っていた佐介の体がぴくぴくと動きを見せる

 

 

飛鳥たちもまたそれに気づいた

 

 

「うぅぅ…」

 

 

そしてついにその時がきた。意識を失っていた彼が目覚めかけているのだ

 

 

「佐介くん」

 

 

「待て飛鳥、まだ油断はできないぞ?」

 

 

「っ?」

 

 

「もしかしたらまだかぐらたちが言ってた蓮ってやつの人格のままかもしれないぞ。ここは慎重に行ったほうがいい?」

 

 

焔のいう意見も一理あった

 

 

確かに彼が今目覚めようとしていることはわかる

 

 

だが、それが必ずしも"佐介が目覚める"ということには繋がらない

 

 

場合によっては未だに乗り移っている蓮によって支配されているままかもしれない

 

 

故に焔は飛鳥に警戒をするように促したのだ

 

 

焔からの忠告を聞いた飛鳥はうんと頷きながら再び目覚めかけてうんうんと唸っている佐介のほうに視線を向けなおす

 

 

「ん、んんっ…」

 

 

そしてついにその時がきた

 

 

長らく意識を失い、閉ざされていた瞼がゆっくりと開いたのだ

 

 

「…こ、こは?」

 

 

意識を取り戻したとともに軽く首を傾け、あたりを見る

 

 

目を覚ましたことで皆に緊張が走る

 

 

果たして今の彼はどっちなのかと

 

 

「…佐介くん?」

 

 

「……っ?」

 

 

意を決するように飛鳥が語り掛ける

 

 

その声に反応した彼が顔を飛鳥に向ける

 

 

緊張にこの場が包まれる

 

 

皆が2人を見守る

 

 

「……すか」

 

 

「っ?」

 

 

「あ…すか…"ちゃ、ん?"」

 

 

「っ!?」

 

 

刹那、その第一声に飛鳥はもちろんのこと皆も驚く

 

 

微かに、しかしはっきりと聞こえる

 

 

彼の口から「飛鳥ちゃん」と問いかける声が

 

 

「さ、佐介…くん?」

 

 

「あすか…ちゃん?」

 

 

もう一度聞き返してみても同じだ

 

 

今度は明確に自分を飛鳥ちゃんと呼んでくれた

 

 

つまりそれがどういうことかはこの場の全員がすぐに理解できた

 

 

「……佐介くぅぅぅん!!」

 

 

「…っ?」

 

 

「佐介くん!佐介くん!佐介くん!佐介くんぅぅぅ!」

 

 

自分の名を呼んでくれる

 

 

飛鳥はいてもたってもいられず抱き着いた

 

 

今目の前にいるのは間違いなく自分の知る大切な人、佐介なのだとわかって今までに抱いていた感情のすべてが爆発したからだ

 

 

「佐介くん…ぐすっ、よがっだ…よがっだよ~」

 

 

「…どう、したの?…あすかちゃん?」

 

 

まだ自分の置かれている現状が理解できずにいるせいで佐介は困惑する

 

 

「…佐介さん!!」

 

 

「佐介兄さま!!」

 

 

「いかるが…さん?レイ、ナ?」

 

 

そのすぐ後に今度は同じくそばにいた斑鳩とレイナも涙ぐんでいた

 

 

「佐介ー!!」

 

 

「っ?」

 

 

最中、正面から声が聞こえてみるとそこには

 

 

「さ~す~け~!!」

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

飛鳥たちに負けず劣らず喜びのあまり笑顔と涙ぐんだ顔を浮かべて駆け寄ってくる葛城たちだった

 

 

「って、み、みんなちょっとまっ!?」

 

 

「さ~~ず~~げぇぇぇ!!」

 

 

「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」」」

 

 

 

ドンガラガッシャァァァン!!

 

 

 

制止をかけるも皆佐介が目覚めて嬉しさのあまり我を忘れて飛び込んだことでものすごい音が鳴り響く

 

 

「もう、みんなったら~!?」きゅ~

 

 

もみくちゃになって目を回しながら飛鳥が皆に文句を言う

 

 

「う~、わりぃわりぃ」きゅ~

 

 

「す、すまん」きゅ~

 

 

「ご、ごめんね~」きゅ~

 

 

「う、うう~」きゅ~

 

 

皆も目を回しながら謝罪を述べていた

 

 

「み、みなさん!?」

 

 

「どうしたの?レイナ?」

 

 

「た、大変です!佐介兄さまが!?」

 

 

「「「「「「「えっ?」」」」」」」

 

 

慌てた様子で声をかけるレイナに気づいて同じ視線を向けると

 

 

「あ、あう~」きゅ~

 

 

「「「「「「「「「きゃぁぁぁぁぁ!?さ、佐介(くん)(さん)(兄さま)!!??」」」」」」」」

 

 

皆に押し倒されて目を回して気を失ってしまっている佐介に皆が慌てふためいた

 

 

「…何やっているんだあいつらは?」

 

 

「…バカ者どもが」

 

 

「あははは」アセアセ

 

 

そんな飛鳥たちのやり取りにあきれ顔を浮かべる光牙たちだった

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。