閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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それぞれの戦い 

飛鳥、光牙の激闘と活躍により、蓮の人格に支配されていた佐介を救い出すことに成功した

 

 

そして長らくの眠りより佐介本来の人格が目覚め、皆は歓喜に震えた

 

 

悲願を達成し、喜ぶ飛鳥だったが、それも束の間

 

 

斑鳩たちから半蔵が突然行方不明になったと霧夜から報告があったことを聞かされる

 

 

自分たちが佐介奪還に動いている中で半蔵が行方不明だという事態が起こっていたという事実を聞かされ驚きを隠せない光牙たちとそれ以上の不安を飛鳥と佐介は抱える

 

 

だが不安がってばかりもいられない、自分たちにはまだもう一つの目的であるかぐらを救うことができてはいないのだ

 

 

さらには彼女を狙って妖魔衆の生き残りも暗躍している

 

 

やることがまだまだあることを再確認し、半蔵の捜索にあたっている霧夜を信じて自分たちは自分たちのできることをしようと決めるのだった

 

 

 

 

 

 

 

蓮としての人格から解放された佐介が目を覚ましている頃、撤退を余儀なくされ、奈楽とともに逃亡したかぐらは…

 

 

「…っ!」

 

 

 

ビュゥン!ボバァン!!

 

 

 

怒りに唇を噛みしめながらかぐらは近くにあった建造物を無慈悲に破壊した

 

 

破壊された建造物の破片の一部が奈楽の足元に飛んできた

 

 

「か、かぐらさま?」

 

 

「何かしら?奈楽?」ギロッ

 

 

「っ!?」

 

 

声をかけようとした瞬間、奈楽は彼女の見せる鋭い眼光と威圧に思わず身震いをしてしまう

 

 

「…何かしらって聞いてるんだけど?」

 

 

自分に怖気ずいていた奈楽にしびれを切らしたかぐらがイラついた様子で尋ねる

 

 

「…かぐらさま、気を押し詰めください、物にあたったところでどうともなりはしませんよ?」

 

 

脅える心を必死に抑え込みながら奈楽はかぐらに意見を申し立てる

 

 

「わかっている!…わかってるわそんなこと!」

 

 

奈楽の言ってることももっともだ。ものに八つ当たりしたところで何の意味もない

 

 

しかしそうでもしなければ正気を保てそうになかった

 

 

蓮を奪われたこともそうだが、その原因となったあの戦闘の中、飛鳥たちが言っていた「自分を救いたい」という言葉の真意を読むことができず取り乱してしまったがゆえにあの結果に繋がったことに後悔を抱いていた

 

 

「蓮のことがそこまで大事なのですか?」

 

 

「そうよ!蓮は…蓮は私にとってとても大切な人なのよ!」

 

 

「…かぐらさま」

 

 

かぐらの口から蓮が自分にとって大切な人だと聞かされて複雑な思いを奈楽は抱いた

 

 

「何とかして奴らから蓮を取り戻さなければ」

 

 

蓮を取り戻したいと思いながらかぐらは爪を噛みしめながらそう呟いた

 

 

「しかしかぐらさま、無礼を言うようですが未覚醒であられる今のままで乗り込んだとしても多勢に無勢でございます。特にあの光牙なる男は見立てでは奴らの中でも屈指の強者のように思われます。そんな奴がいる中で向かったとしても返り討ちにあう可能性がないわけではありません」

 

 

「っ…」

 

 

確かにそうだ。今の自分はまだ本来の力を取り戻せてはいない

 

 

そんな状態のままで仮に行ったとしてこの姿でも数名は屠ることができる

 

 

だが連中は妖魔衆らと同じくらいの数で誰しも屈強な者たちばかりと記憶している

 

 

さらに光牙はそんな彼女たちと一つ抜いた強さを持っていることが伺えた

 

 

彼と戦闘になればいかにかぐらでも負ける恐れがあった

 

 

厄介なことばかりだと苦虫を嚙み潰したような顔を浮かべる

 

 

「後先考えずに突っ走るのは危険です。今一度落ち着いてください…心配せずとも覚醒の時は必ず来ましょう。そうなればもはやかぐらさまを邪魔することはできないでしょう」

 

 

「……わかったわ。あなたの指示に従いましょう」

 

 

「ご理解いただきありがとうございます。かぐらさま」

 

 

無事にかぐらを説得できたことにひとまず奈楽は安心したのだった

 

 

 

 

 

時間は流れた一方、無事に佐介を取り戻せた忍学生たちは半蔵の問題を抱えつつも街を襲う妖魔たちを退治しに動いていた

 

 

あれからまた一同は手分けして対処にあたっていた

 

 

いたる各所で忍学生たちと妖魔たちとの戦闘が垣間見えるほどに両陣営の戦いは激化の一途を辿っていた

 

 

そしてその中で各チームの前にあの集団が現れる

 

 

妖魔衆の残りの陣営たちである

 

 

斑鳩、詠の前には四座が、葛城、日影の前には参座が、柳生、未来の前には二座が、そして雲雀、春花の前には一座が立ちはだかってきた

 

 

「「「「「「「「っ!!」」」」」」」」

 

 

【「「「「「「「「「っ!!」」」」」」」」」】

 

 

忍チームと妖魔衆チームとの戦闘が激化する

 

 

しかし、一座から四座のこの妖魔衆たちのスペックは以前の者たちを超えるものだった

 

 

修行をした彼女たちが2人でかかってそれでも互角といったくらいの強さを持つ秀でた力を振るう一座から四座までの妖魔衆の猛威に苦戦を強いられてしまう

 

 

だが、たとえ相手がどれほど強かろうと彼女たちには奴らにはない強みがあった

 

 

そう、「信頼」と「絆」だ

 

 

相手を認め合い、背中を任せ、力を合わせて戦う彼女たちの前にはいかに秀でた力を持つ妖魔衆が立とうと意味はなかった

 

 

「行きますよ詠さん!」

 

 

「はい!」

 

 

「「はああぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 

【「ッ!?」】

 

 

高まった力が刀に風の威力を纏わせ、そしてそのまま2人が刀を振るいそのエネルギーを解き放つ

 

 

放たれたエネルギーが四座を呑み込み、四座は跡形もなく消し飛んだ

 

 

【「ッ!!」】

 

 

「日影、乗れ!」

 

 

「しゃあないな」

 

 

「いっけぇぇぇぇ!!」

 

 

日影を乗せた蹴りを葛城が放ち、蹴りの勢いで吹き飛んだ日影が超高速で参座を翻弄するとともに切り刻み、参座は切り口から体液を出しながら消滅する

 

 

「いくぞ未来、遅れるなよ!」

 

 

「いわれるまでもないっての!」

 

 

「「FIRE!!」」

 

 

【「ッ!?ッッッッッッツ!?」】

 

 

柳生の力と未来の四次元機関銃の合体技でハチの巣にされてしまった二座が跡形もなく消えてしまった

 

 

「ひばり!」

 

 

「うん!」

 

 

「「おしくらまんじゅう!!」」

 

 

【「ッッッツ!?」】

 

 

雲雀と春花の合体ヒップドロップによって押しつぶされた一座が彼女たちのお尻の下で消滅した

 

 

それぞれのチームはパートナーとともに勝ち取った勝利に舞い上がるのだった

 

 

彼女たちの活躍によって残っている妖魔衆の残党は消え去ったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ。一座から十座までの妖魔衆たちが全滅しましたか……ふっ、さすがというべきでしょうね?」

 

 

時を同じくして不敵な笑みを浮かべて動きを見せる者の姿があった

 

 

「ですが喜んでいられるのも今のうち、精々今のうちに笑っていなさい、もうすぐ私があなたたちの心を絶望へと染め会上げる最高のショーを見せてあげましょう」

 

 

ついに道元もまた自らの野望成就のため動きださんとしていた

 

 


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