閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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妖魔を呼び出す者 

無事、佐介を取り戻せた飛鳥たちは半蔵が消息を絶ったという事態を受け困惑する

 

 

しかし今もまだ街には妖魔たちが暴れている

 

 

さらには自分たちにはもう一つの目標であるかぐらを救うという悲願がある

 

 

悲しみを押し込め、一行は手分けして街で暴れる妖魔たちを討伐に向かった

 

 

そんな彼女たちの前に生き残りである一座から四座までの妖魔衆たちが襲い掛かってきた

 

 

他の妖魔衆たちよりも秀でた一座から四座までの妖魔衆たちに追い込まれそうになった

 

 

だが、持ち前の負けん気、ともに戦うパートナーとの信頼

 

 

妖魔衆たちが決して持っていないものを武器とし、畳み掛けることで形成を逆転させ

 

 

それぞれの組が合体秘伝忍法を発動させ、それを食らったことで妖魔衆たちは跡形もなく消滅した

 

 

一方そのころ、忍学生陣営が妖魔退治に奮闘している中

 

 

ついに道元が動きを見せるのだった

 

 

 

 

 

忍学生たちが妖魔衆を倒して油断している隙に無事に赤球を回収した奈楽はかぐらの元に戻ってきた

 

 

「奈楽、無事だったようね?」

 

 

「はい、心配をおかけしました。ですがこれをご覧ください」

 

 

奈楽はかぐらに心配をかけたことを詫びながら回収してきた赤球を差し出す

 

 

「お受け取り下さいかぐらさま、最後の赤球です。これを食べればかぐらさまは完全に覚醒なされるでしょう」

 

 

「……」

 

 

「…かぐらさま?」

 

 

回収してきた赤球を差し出し、彼女の覚醒を後押しする奈楽だったが当のかぐらは何か浮かない様子を見せていた

 

 

「奈楽はどう思う?」

 

 

「えっ?」

 

 

唐突にかぐらの口から出たその言葉に奈楽は思わず声を出す

 

 

「どう思うとは、どういう意味でしょうか?かぐらさま?」

 

 

「…もし私が覚醒をして奈楽のことを全く意に介さなくくなってただ妖魔を滅ぼすだけの存在になってしまうだろう。もしそうなったとして奈楽はどう思う?」

 

 

「…そ、それは」

 

 

かぐらのその質問に奈楽は言葉を失う、どう答えるべきなのか?いやそもそそれは自分が答えられることなのかという自問自答までしてしまうほどに考えが思いつかなかった

 

 

「…どうして?どうしてそんなことを言うんですか?」

 

 

いい答えなど見つけられず結果的に質問を質問で返してしまった

 

 

「…すまない奈楽」

 

 

そんな彼女の顔を見て心境を察したのかかぐらはそれ以上の問い詰めをやめた

 

 

「いこう奈楽、この赤球は私が預かる」

 

 

「…はい」

 

 

かぐらの命に従い、奈楽は彼女の後をついていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次なる妖魔衆を探し求め、2人が街を行く

 

 

戦いが始まってからその激化に巻き込まれた街の景色が2人の目に映る

 

 

「これは…」

 

 

「ひどい有様だ」

 

 

建物は半壊、倒壊し、人の気配は全くなく、道にはひっくり返った車や物などが散乱しており

 

 

あたりには煙が立ちこんでいた

 

 

「…っ」ピクッ

 

 

「かぐらさま?」

 

 

「…っ!」

 

 

【「「「「シャアァァァァァ!!」」」」】

 

 

2人はそんな街中を道中の間、妖魔が襲い掛かってきた

 

 

「ここは自分が!」

 

 

「いや、私が行こう」

 

 

「えっ?」

 

 

妖魔から主人を守ろうと前に出ようとする奈楽を追い越し、かぐらが妖魔たちの前に立つ

 

 

【「「「「シャアァァァァァ!!」」」」】

 

 

その間にも妖魔たちが迫りくる

 

 

しかしかぐらはそんな妖魔たちを前に余裕の表情を浮かべる

 

 

「……滅せよ!【ホノイカヅチ】っ!!」

 

 

 

ザシュン!

 

 

 

【「「「「「ギャアアァァァァァ!?」」」」」】

 

 

かぐらが腕を振り上げると彼女の持つ妖魔を滅する力が具現化した技が発動し

 

 

その攻撃を受けた妖魔たちは断末魔の悲鳴を上げながら消滅

 

 

彼女のたった一手によって妖魔たちは屠られたのだ

 

 

「(これがかぐらさまのお力、妖魔を滅する者の力…)」

 

 

奈楽はかぐらの力を間地かで見て内心心の中で呟いた

 

 

「さぁ、先を急ごう奈楽」

 

 

「…はい、かぐらさま」

 

 

妖魔を屠り終えたかぐらが奈楽に進むことを申告し、彼女もそれに同意し、再び道を行く

 

 

「…っ」

 

 

崩壊した街中を歩き続ける中、奈楽はおもむろに隣を歩くかぐらを見る

 

 

ここまでの道のりを自分は彼女が目覚めて以降、ずっとその腹心としてそばに仕えた

 

 

かぐらに覚醒してもらって妖魔を滅してほしい

 

 

しかしなぜ覚醒したはずなのに未だにこのままなことも気になる

 

 

だが、真に奈楽が思っているのはそんなことではない

 

 

彼女が本当に気になっていること、それは先ほどの彼女の言った言葉だった

 

 

『もし私が覚醒をして奈楽のことを全く意に介さなくくなってただ妖魔を滅ぼすだけの存在になってしまうだろう。もしそうなったとして奈楽はどう思う?』

 

 

この彼女の言葉が自分の脳裏に引っかかって引っかかって仕方がなかった

 

 

本当なら自分の立場を考えればかぐらに「妖魔を滅する存在」になることを後押しすべきはずなのに

 

 

かぐらのあの表情を見た奈楽はそれを言うことができなかった

 

 

自分は本当は彼女のことをどう思っているのだろうか?どうすればよかったんだろうかと頭の中がごちゃごちゃしてきそうな感覚に襲われる

 

 

「(私は…私は…かぐらさまの…)」

 

 

彼女の顔をながら目ながら自分の彼女への想いが何なのかを考えていた

 

 

「っ?」ピクッ

 

 

「っ!」ピクッ

 

 

刹那、異様な気配を察知したかぐらとこれにより物思いから奈楽がハッと我に返った

 

 

「なんだこの気配は?」

 

 

ビンビンと気配を感じる

 

 

しかしながらこれは妖魔のものではないように感じる

 

 

人のもののように感じられなくもないが若干別の何かなのだと感じ取れもした

 

 

「これは…妖魔を呼び出す術者のものだな?」

 

 

「妖魔を呼び出す?」

 

 

「あぁ…近くからそのような者の気配を感じ取れる」

 

 

覚醒が近いからなのだろうか妖魔に関わるものの感知能力が向上しているのだろうことが伺えた

 

 

「近くにそのような者が?」

 

 

「間違いない、私の本能がそういっている気がするんだ」

 

 

それを聞いた奈楽は先ほどの自問自答のこともあって複雑な思いを浮かべる

 

 

…だが、彼女は迷いながらも自分の立場として言うしかなかった

 

 

「行ってみましょう。赤球を手にすることができるかもしれません」

 

 

「……うん」

 

 

奈楽の言葉を聞いたかぐらは少し間を置きつつも頷く

 

 

「(…心を殺せ、自分には使命があるんだ!)」

 

 

赤球を取りに行こうとすることに消極的なかぐらだったが

 

 

これ以上気の迷いで自分の役目を見失うわけにいかないという思いに駆られた奈楽が半ば強引に彼女を連れてその場所に向かっていった

 

 

もう迷わないためにも、彼女の想いを考えないよう、心を鬼にしてでもと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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