閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第十九章 くっ、苦しい…

あるところに伝説の忍の孫として生を受けた女の子がいた

 

女の子は日に日に父や母、祖父や祖母。腹違いの兄などと暮らす中で明るく元気な子へと成長した

 

そんな彼女の家に1人の男の子がやってきた

 

男の子は親を亡くしてしまい、彼を祖父が引き取ったのだ

 

それから女の子は男の子と日を追うごとに仲良くなっていき

 

よく兄やその子と日が暮れるまで遊んだ

 

そうして彼と親しくなれば親しくなるほど、女の子の男の子にたいする感情は友に向ける愛ではなく

 

異性として意識するという意味の愛となっていき

 

女の子はいつか男の子に思いを伝えたいと思っていたが…

 

 

そんな彼女たちをある非激が襲った

 

自分たちが慕う兄とその家族が行方不明となり、その後、彼らが死んだと言う報告だった

 

女の子と男の子は涙が枯れるまで泣き続けた

 

そしてそれから時がたちやっと平静を取り戻した女の子に男の子が修行の旅に出ると聞かされた時

 

彼女は男の子を呼び止めた。慕っていた兄を失い、今度は自分の前から最愛の人が行ってしまうということは耐え難い事だった

 

しかし、男の子は女の子に必ず戻ると約束し、彼女を励ますと旅に出ていった

 

そしてこの時、女の子は誓った

 

自分も強くなり男の子が戻ってきた時も安心させてあげられるような人になろうと

 

そう誓い努力を重ねる日々を送っていた…………

 

 

 

 

 

 

 

「佐介くん。お水くんできたよ」

 

「ありがとう飛鳥ちゃん」

 

とある日、佐介と飛鳥は墓参りに来ていた

 

その墓石には3人の名前が書かれていた

 

慕っていた兄とその両親の名前である

 

しかしその墓は中身のない、遺体は発見できずだったため止む無くこういう形にしたのである

 

佐介たちはその墓に花などを添えると墓石の上から水を流した

 

そうして手を合わせて3人の冥福を祈っていた

 

「……もうあれからだいぶ立つんだね」

 

「……そうだね。あれから随分と時が過ぎたね……」

 

二人は兄たちがいなくなってから何年もたったということを思い浮かべる

 

「お兄ちゃん……」

 

「飛鳥ちゃん」

 

悲しい顔をする飛鳥の頭を慰めの意味をこめ優しく撫でた

 

「心配ないよ。ショウ兄さんたちなら今ごろ天国で僕たちを見守ってくれてるよ」

 

「そうだよね。お兄ちゃんたちならきっと……」

 

『まだ生きてるっての!』

 

声が聞こえたような気がしたが空耳だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

修行場では佐介がいつものように自らを鍛えるために修行に明け暮れていた

 

そんな彼を飛鳥は見ていた

 

いつの間にか佐介は(ソウル)転身を4つも手に入れさらに強くなってきているが

 

そんな光景を目の当たりにしていると、自分はまだまだと感じずにはいられなかった

 

 

 

 

 

時刻は真夜中

 

 

「うん……ううん」

 

夜になりみな寝静まる中、飛鳥は1人、夢にうなされていた

 

『あすかちゃん♪』

 

『さすけくん♪』

 

『おいであすかちゃん』

 

姿は幼いころの時の姿となっていた

 

そして飛鳥は自分の名を呼びながらかけていく佐介に追いつこうとした

 

だが、いくら全力で走っても距離は縮まらず、それどころかどんどん距離は離れていく

 

『さっさすけくん!…まってぇ!』

 

飛鳥が手を伸ばし、次に入る光景は成長しきった現在の佐介の姿

 

そして飛鳥もまた現在の姿に

 

『佐介くん!…やだ。行かないでぇぇ!!!』

 

叫びも虚しく佐介はどんどん先に行って、とうとう消えてしまった

 

『いや……いやあぁぁぁぁぁ!!!……はぁ…はぁ…はぁ…」

 

目を覚ますと息を切らしながら汗をかいていた

 

「……夢か」

 

今見たのが夢だと一瞬安堵するも

 

このままじゃさっきの夢が現実となってしまうかもしれない

 

飛鳥は悩んだ

 

「よし!今日からもっといっぱい修行しよう!」

 

そうすればいずれ佐介と肩を並べられると信じた彼女は早速行動にでた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?僕の修行に付き合いたい?」

 

「お願い佐介くん!」

 

学院に着くと今日が自習ということもあり飛鳥は佐介の修行に付き合いたいと申し出た

 

日頃から修行している佐介の修行に付き合えば自分も強くなれると信じて

 

「うん。いいよ…じゃあはじめよっか」

 

「うん!」

 

「じゃあまずは3キロの距離を往復をしたら腕立て伏せから順に腹筋、背筋、スクワットを100回ずつおこなうよ」

 

「…えぇぇ!?」

 

佐介が言った修行メニューの凄さに飛鳥は驚きを隠せなかった

 

※これでも飛鳥のために合わせているので、実際はもっとやってます

 

そんなこんなで佐介との合同修行が始まったわけだが、自分がしている修行よりもハードな課題でそれらをやり終えたころにはもうバテバテな状態だった

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

 

「大丈夫?飛鳥ちゃん?」

 

「うっ、うん。大丈夫だよ」

 

既に息も絶えだえにも関わらず無理をしている飛鳥だが、次の佐介の言葉はそういった自分を悔やむこととなる

 

「そう…じゃあここから本番行くよ!」

 

「えぇ!?あれが訓練内容じゃないの!?」

 

「あれはただの準備運動だよ。本番はここからだよ。頑張ろうね飛鳥ちゃん」

 

「あ…うっうん」

 

自分が頼んだことでもあり、佐介の表情を見た直後でもう無理と言えるはずもなく結局その後、佐介の大ハード修行が始まり。気力、体力ともにボロボロな状態となってしまうのだった

 

 

その夜

 

「あぁぁぁぁ~…身体が~…あっちこっちが痛いよ~」

 

想像以上の修行によって全身筋肉痛になっていた飛鳥はベットに倒れ込んでいた

 

「…これが佐介くんがやってきた修行なんだ」

 

体感してみてよくわかった

 

この5年もの間、佐介がどんなに辛い日々を送っていたのかを

 

「…こんなところで諦めたくない。…もう守られるだけの存在でいたくない。今度は守る存在になりたいから」

 

小さい頃から兄や佐介に守られていたころの自分とは違うということを証明したい飛鳥は屈しないと内心自分に言い聞かせる

 

 

 

その後も修行の日々が続く中、ある日2人に任務が言い渡された

 

 

 

「飛鳥ちゃん!そっちに行ったよ!」

 

「うん!まてぇ!!」

 

「ちっ、しつこいやつらだな!」

 

今、佐介と飛鳥は任務により悪忍をおっていた

 

「待てぇぇ!!」

 

「飛鳥ちゃん。早まらないで!」

 

この悪忍は力はそれほど強くはないがさまざまな場所から金品などを盗み、薬品や爆弾を駆使して逃げ追うせるという厄介なやつであった

 

「(これはチャンス、佐介くんに修行の成果を見せるための!)」

 

張り切る飛鳥は佐介の制止も聞かず林の近くでとうとう悪忍を追い詰めた

 

「ぎっ、ぎえぇぇ…」

 

「さぁ、もう逃げられないよ!おとなしく捕まりなさい!」

 

少しずつ距離を詰めていく

 

「まて、まってくれぇ!」

 

悪忍は怯えて尻餅をつきながらずるずると後退していく

 

「おっ、俺が。俺が悪かった…頼む許してくれ!…罪を償うからよ!」ガクガクブルブル

 

怯えた様子で背中を見せる悪忍を見た佐介たちは構えるのをやめた

 

「あっ、あんたにさからうなんて……これくらいでもしねぇとな!」

 

「…っ!?」

 

バン!

 

「きゃっ!」

 

「飛鳥ちゃん!?」

 

「ぎえぇぇぇぇぇぇ~!」

 

飛鳥は誘い込んだつもりが逆にまんまと敵の罠にはまってしまった

 

悪忍はあらかじめ隠しておいた拘束用のネットガンで飛鳥の動きを封じた

 

「っ飛鳥ちゃん!!」

 

佐介は飛鳥を助けに行こうとする

 

「ちょうどいいてめぇには俺様の新兵器をお見舞いしてやるぜ。喰らえおっら!!」

 

悪忍が何やら機械の虫のようなものを撃ってきた

 

「がはっ!?」

 

引っ付き、勢いで佐介を後ろの木にぶつけると虫は佐介の胸に自身の足をがっちりと固定させてしまった

 

「ぐっ…があっ!!」

 

「ぎえぇぇぇぇぇぇ~。そいつは引っ付いた者の体内に徐々にウィルスを注入していく。無理に外せば即座にボン!ってしろものよ。この解毒剤を射たなきゃテメェの命はもって後24時間ってとこよ。まぁそれまで存分に苦しんでくれよじゃあな!」

 

そう言うと悪忍は逃げ出す

 

「ん~…はぁぁぁぁ!!」

 

飛鳥はなんとかネットを切って脱出した

 

「危なかった…佐介くん!?」

 

「うっ…うわぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

あれから飛鳥がなんとかして佐介を忍部屋に連れて帰ってきた

 

そして佐介を奥の部屋に寝かすと全員で話し合いをしていた

 

「ごめんなさい…」

 

「謝る必要はない。しかしマズイな…」

 

謝罪する飛鳥を慰める霧夜だが、ことがことだけに早々に手を打つべきかと考えていた

 

「早くしないと24時間すぎたら佐介が死んじまうんだろ?」

 

「飛鳥さんが佐介さんを連れてきて3時間経ちましたから…リミットは明日の夜5時」

 

「それまでに解毒剤を射たないと佐介の命が…」

 

「そんな…ひばりやだよ。佐介くんが死ぬなんて」

 

ここにいる少女たちにとっては佐介はもはやただの仲間という枠では収まらないほど大切な存在であり、彼の死は自分たちにとって絶望とまで言えるほどだった

 

「私のせいだ…私のせいで佐介くんが…」

 

「そんなことありませんわよ飛鳥さん。なんとかしてあの爆弾を取り外す方法w『ドン!!』なっ、なんですの!?」

 

部屋に響く音と振動、それは佐介を寝かしつけていた部屋からだった

 

ドン!ドコン!ドン!ドココン!!

 

音と振動が回数が増える度に大きくなっていく

 

さらに今度はドアを体当たりで壊そうとしているような音が

 

そして…その刹那

 

 

 

 

 

ドコォォォォォォォォォォォォン!!

 

 

 

 

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

ドアが勢いよく吹き飛ばされ、中から出てきたのは

 

「はぁ…はぁ…どいつだぁ!!ぼくの…相手はぁぁぁぁ!!?」

 

いつもとは違う恐ろしい顔をした佐介の姿だった

 

「ほっ本格的に私のせいだぁぁぁぁ!!!」

 

 

飛鳥は罪悪感を抱きながらそう叫ぶのだった

 

次回に続く!

 


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