閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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勝負に勝っても戦いは終わらない 

飛鳥の決死の行為と囁きの言葉によって佐介は見事復活を果たした

 

 

復活を遂げた佐介は十一座と十二座を相手に果敢に挑む

 

 

2体を相手にするという状況下に身を投じる佐介が打開策として繰り出したのは

 

 

彼と飛鳥たちと紡いできた絆の結晶の象徴でもある秘儀「(ソウル)転身」を発動させる

 

 

(ソウル)斑鳩、(ソウル)葛城、(ソウル)柳生、(ソウル)雲雀、(ソウル)飛鳥

 

 

今まで苦難を乗り越えた彼女たちとの間に接ぐんだ絆の力によって十一座と十二座が追い込まれていった

 

 

そしてこの戦いに終止符を打つべく、〆として切り札である極限魂(オーバーソウル)へと転身する

 

 

ダメージの蓄積によって動きが鈍くなっている隙を突いて佐介は大技である「獅子王獣波拳」を繰り出した

 

 

獅子を模様したエネルギーの波動を放ち、その波に飲み込まれた十一座と十二座はその身を消滅させていくのだった

 

 

 

 

 

ボバァァァァァァァァン!!!

 

 

 

「「「っ~~!?」」」

 

 

「~~っ!?」

 

 

十一座と十二座を呑み込んだ佐介の技が凄まじい爆発を起こし、その衝撃波が光牙たちと道元のほうにも伝わった

 

 

衝撃波が納まりを見せ始め、飛鳥たちが恐る恐る視界を開く

 

 

「……っ」

 

 

彼女たちの視界に映ったのは極限魂(オーバーソウル)が解かれ、獣波拳の構えを取っている佐介の姿があった

 

 

佐介の佇む向かい側、十一座と十二座がいたはずのそこには2体の姿はなくなっており

 

 

代わりにそこには赤球が2つ転がっていた

 

 

「さ、佐介くんが…」

 

 

「勝った?」

 

 

目の前に見える光景に飛鳥と焔はすぐに状況を理解できずにいた

 

 

「あぁ、そうだ…佐介の勝利だ」

 

 

「…っ、やった~~!!」

 

 

佐介が勝利をしたことに飛鳥は思わず駆け出す

 

 

「佐介く~ん!!」

 

 

「飛鳥ちゃん?うわっ!?」

 

 

いきなり抱きつかれ、一瞬倒れかけるも踏みとどまり、彼女を受け止める

 

 

「やった。やったね佐介くん!」

 

 

「うん、ありがとう」

 

 

「すげー!すげーぞ佐介!!」

 

 

「あっ、あははは…ありがとうございます」

 

 

強敵である十一座と十二座を佐介が倒したことに飛鳥も焔もとてつもない喜びに浸る

 

 

「(…見事だ。それでこそ俺が認めたライバルだ)」

 

 

2人が佐介を称える光景を眺めながら光牙は内心で彼の勝利を称えていたのだった

 

 

「ば…バカ」

 

 

一方で道元の心境はとても焦っていた

 

 

倒されると思っていなかった十一座と十二座が佐介によって倒されてしまったことはとても信じがたいことだった

 

 

「さて、どうするつもりだ道元?」

 

 

「っ?」

 

 

「お前のご自慢の妖魔衆はこれで全滅してしまったぞ?もうお前を守る奴はこれで消えてしまったな?」

 

 

十一座と十二座を失ったことに動揺を隠せていない道元に光牙はそう問いかける

 

 

「…ふっ、ふっふっふっふっふっ」

 

 

「っ?」

 

 

しかしここにきて光牙は道元が自分の予想外の反応をしだしたことに驚く

 

 

「……何がおかしい?」

 

 

「…何を勝った気になっている?何を終わった気になっている?…まだ何も終わってなどおらん!」

 

 

光牙が反応に対して疑問を抱いていると道元がそう語り掛けてきた

 

 

「十一座と十二座を倒した程度で何を粋がっている!街にはまだ妖魔どもがあふれている。暴れているぞ?」

 

 

「っ、だが詠たちが今それらの鎮圧にあたっている。妖魔どもはあいつらが何とかしてくれるはずだ」

 

 

そのために皆、チームに分かれて行動したのだから

 

 

街から妖魔を殲滅するために皆が動いているのだ

 

 

「ふん、残念だな。その考えは徒労に終わるだけだ」

 

 

「なんだと?」

 

 

今頑張っている皆の働きが徒労に終わると豪語する道元に光牙はムッとなる

 

 

「貴様らは最初から勘違いをしているに過ぎない」

 

 

「勘違い?」

 

 

さらに道元は続けざまに光牙たちが勘違いをしていることを指摘してきた

 

 

「いつから私の切り札が妖魔衆だけだと思っていた?言っておくが奴らは断じて切り札などではないよ」

 

 

「なに?」

 

 

自分の戦力を誤認していると道元はそう告げる

 

 

「この期に及んで」

 

 

「及んでなどおらん。なぜなら…すでに仕込みは完了したのだからな」

 

 

「仕込み?」

 

 

 

ギュオオオオオォォォォォォォ!!!

 

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

突如、遠くのほうから怪しげな光と邪な気が周囲に広がるのを佐介たちは全身から感じた

 

 

「な、なんだこの嫌な感じは!?」

 

 

「いったい何が起こってるの!?」

 

 

突然の事態に飛鳥たちは理解できずに困惑する

 

 

「貴様の仕業か!いったい何をした!?」

 

 

この状況を見てすかさず道元にこのことを問いただす

 

 

「ふふふふ、貴様らはまんまと私の罠にはまったんだよ」

 

 

「罠だと?」

 

 

「私がここで行っていたのはただ弱小か中級クラスの妖魔を呼び寄せていただけのこと、本命のほうはすでに仕込みを加えておいたのさ。万が一にも妖魔衆たちが全滅させられた場合、それをトリガーとすることで術が発動するように細工した置いたのだよ」

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

それを聞いた佐介たちは驚愕する

 

 

ここまでで彼らは押し寄せる妖魔衆たちを一座から十座まで倒し、そして今回、佐介が十一座と十二座を倒したことで妖魔衆は全滅した

 

 

だが、実はそれをも計算に入れていたようで別の策を講じていたのだった

 

 

「ここまでの事を読んでやがったってのか!?」

 

 

「あぁ、もっともお前たちが十一座と十二座を倒したことには少々驚かされたがね。当初の思惑では十一座と十二座に手も足も出せずに貴様らは殺され、私は邪魔ものの存在を気にせずに術を発動するという算段だったが、まぁこの程度、些細なことだ」

 

 

十一座と十二座が倒されたことは予想外ではあったがそれによって計画に支障はないと告げる

 

 

「さぁ、いよいよ私の計画も最終段階を迎えるぞ。これより召喚されるのは今までのような奴らではない、上位クラスの妖魔たちが街を襲い、ゆくゆくは…ふふふ」

 

 

「そんなことはさせんぞ!」

 

 

「ボロボロの状態で何を粋がっている?…まぁいい、どの道私はもうお前たちにかまってる暇がないんでここで失礼させてもらうよ」

 

 

道元がこの場から去ろうとする

 

 

「待ちなさい!逃がすわけには!」

 

 

 

ドガァァァァァァン!!

 

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

この場から立ち去ろうとする道元を止めようとするも遠くのほうから大きな音が聞こえてきた

 

 

「どうやら早速上位妖魔が暴れているようだな?…いいのかな?私にかまってて?」

 

 

「くぅ!」

 

 

「まぁ精々頑張ることだな…ではな」

 

 

そう言い残し悔しそうな佐介たちをバックに道元は去っていったのだった

 

 

 


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