閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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荒ぶる風の猛威 

道元による上位クラスの妖魔の開放、かぐらの覚醒、様々な事態に見舞われる中

 

 

佐介たちはこの未曾有の危機を食い止めるために街を掛けて行き

 

 

道中で襲いかかる妖魔たちを蹴散らしながら先を進む

 

 

しかし、そんな彼らの行手を阻むが如く発生した竜巻に一行はひるむ

 

 

そして竜巻の中より現れたのは疾風だった

 

 

最初こそおちゃらけた様子を見せていた疾風だがそれもすぐに鋭いものに変わる

 

 

疾風は光牙と飛鳥たちに佐介を引き渡すように言い出し

 

 

街の妖魔も全部自分がかたずけるから飛鳥たちには去れと物申してきた

 

 

当然納得できるわけもなく飛鳥たちは反論する

 

 

だがそれで引き下がるような男ではない疾風は交渉が決裂したことを受け

 

 

最後の手段として実力行使に出ることを決める

 

 

今、佐介を巡って疾風との戦いが幕を開けようとしていた

 

 

 

 

 

燃え盛っていた炎が消えてしーんと静まり返った街、その中心で佐介たちと疾風が互いにいつ始まるかもわからなし戦いの火ぶたが切られる時を待ちかねていた

 

 

「お前たち気をつけろ。奴は生半可な相手ではないぞ」

 

 

「わかってる。一度やられているおまえがいうんだ。間違いはないな」

 

 

「えっ?光牙くんが…やられた?」

 

 

その出来事を知らない佐介はその話しを聞いてとても驚いていた

 

 

「うん、でもそれだけじゃないんだよ」

 

 

「それだけじゃないってどういうことなの?」

 

 

「…実は」

 

 

佐介に言葉の意味を問われた飛鳥は彼に半蔵から告げられたことを説明した

 

 

「ま、まさか、そんなことが?」

 

 

「うん、じっちゃんが言ってたから間違い無いと思う」

 

 

「……っ」

 

 

話しを聞いてもにわかには信じられないが半蔵本人がそう言っていたのであれば間違いはないのだと佐介は納得をした

 

 

「お〜い。作戦会議は終わったか〜?」

 

 

最中痺れを切らしたかのように疾風が声をかける

 

 

「せっせと知恵を絞ってるところ悪りぃが俺もそこまで暇じゃないからよ。そっちが来ないってんなら……こっちからいかせてもらうぜー!!」

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

刹那、疾風が先陣を切るかのように仕掛けてきた

 

 

腕からチェーンを生成し、それを振りかぶる

 

 

本来ならこんな狭い場所で鎖を振るうなんて非効率なことに思える

 

 

だが、そんな常識は全く通じないことなのだと次の瞬間理解する

 

 

なぜならチェーンが建物に触れた瞬間

 

 

チェーンが建物をすり抜けると同時に通り抜けた後から線が刻まれていった

 

 

「っ、伏せろ!」

 

 

「「「っ!?」」」

 

 

これを見て光牙が咄嗟に佐介たちに伏せるように指示し

 

 

それを受けた佐介たちは言われるままにしゃがみ込んだ

 

 

佐介たちがしゃがみ込んだと同じタイミングで建物をすり抜けていたチェーンが彼らの頭上を横切り

 

 

もう反対側の建物をもすり抜けていき、疾風の手に舞い戻る

 

 

しばしの沈黙が包み込んでいたが、それもつかの間だった

 

 

 

ボゴォォォォォン!バゴゴォォォォン!!

 

 

 

激しい騒音と共にチェーンによってすり抜けた個所から崩壊し、あっという間に粉みじんになってしまった

 

 

次に佐介たちがハッとなった時には周囲は瓦礫の山と化していた

 

 

「な、なんだよあれ?」

 

 

「建物がバターみたいに?」

 

 

焔と飛鳥がチェーンの威力を目の当たりにし、驚愕したような顔を浮かべる

 

 

「狼狽えるな。こんなものではない、奴の力はこんなものではな」

 

 

一度戦っているからこそ光牙はそれを身にしみてわかっているのだ

 

 

「ふぅん、わかってるじゃねぇか光の字?ならもっと見せてやんぜ!くらえ、【突槍(スピア)】!!」

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

疾風が突き出したチェーンが標的に向かって真っ直ぐに飛んでいく

 

 

慌ててそれを避ける佐介たち

 

 

「あまいぜ?…【奇術師(イリュージョン)】!!」

 

 

「なにっ、ぐぅっ!?」

 

 

「うわっ!?」

 

 

「きゃあっ!?」

 

 

かわしたと思っていたが直後疾風がチェーンを操り、左右に湾曲したことでそれによって瓦礫のほうまで吹き飛ばされた

 

 

「ぶはっ!?…み、皆さん大丈夫ですか?」

 

 

「あっ、あぁ…大丈夫だ」

 

 

「な、なんとか」

 

 

吹きとばされ、埋もれていた佐介たちが瓦礫の中から勢いよくなんとか接い出した

 

 

「どうだい?あいさつ代わりの一発は効いたか~?」

 

 

「ちぃっ!」

 

 

「舐めやがって!もう許さねぇ!」

 

 

「焔ちゃん!?」

 

 

瓦礫に吹き飛んでいった佐介たちを小馬鹿にするような発言をする疾風に怒った焔が勢いよく飛び出し向かっていく

 

 

「たあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「おっ、積極的だね~?いいぜ、俺の胸に飛び込んでおいで~♪」

 

 

「ふざけんな!その減らず口、黙らせてやるぜ!おりゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

そういうと焔は自身の六爪を構えながら身を回転させ

 

 

自らを特攻弾として突っ込ませる

 

 

「くらえー!!」

 

 

「こらまた随分と熱烈的だな、でも悪りぃな、それをまともに受けたら俺の身が危ないんでねっと!」

 

 

特攻する焔に対してチェーンを放つ

 

 

放たれたチェーンは焔の周りを取り囲む

 

 

ガシッ!

 

 

「なにぃ!?」

 

 

さらに取り囲んでいたチェーンが瞬時に焔に巻きついたことで特攻弾の威力を殺されてしまい身動きが取れなくなってしまった

 

 

「こ、こんなもの!ふぅぅぅぅん!!」

 

 

巻きついたチェーンから抜け出そうともがく焔だったが頑丈に巻きついたチェーンをどうにもできずだった

 

 

「焔ちゃん!大丈夫!?」

 

 

「ぐがー!ちくしょう!解けねぇ!!」

 

 

「慌てないで焔ちゃん、今なんとかしてあげるから!」

 

 

飛鳥が身動きの取れない焔を自由にするために尽力する

 

 

「焔のことは飛鳥に任せよう、俺たちはやつを迎え撃つぞ」

 

 

「はい!光牙くん!」

 

 

焔を助けることを飛鳥に任せ、佐介と光牙は疾風と対峙する

 

 

「次はお前らが相手か、いいぜ、かかってきな」

 

 

「言われずともそうするさ。いくぞ佐介!」

 

 

「はい!」

 

 

疾風のその言葉を合図に佐介と光牙は行動を開始する

 

 

佐介が駆け出し、光牙が後方から援護に回る

 

 

「はあぁぁぁ!」

 

 

「おっと!危ない危ない」

 

 

繰り出す佐介の攻撃を余裕そうにかわす

 

 

「まだまだ!てやぁぁぁ!!」

 

 

だが、佐介はすかさず浮かんだままに起動を変え、蹴りを繰り出した

 

 

 

バシコーン!

 

 

放たれた蹴りによる打撃音が響く

 

 

「……っ!?」

 

 

「ぬりぃな?」

 

 

しかし手ごたえがあったと思った一撃は疾風の片手によって防がれてしまう

 

 

「ぬりぃ、ぬるすぎんだよ!!」

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

「佐介!?」

 

 

ガードされたことに動揺した佐介を疾風が勢いよく投げ飛ばし瓦礫に衝突させる

 

 

「うっ…うぅぅ…」

 

 

「…っ!」

 

 

数分の間に劣勢に立たされてしまい、光牙は改めて目の前にいる疾風という男が只ものでないことを再確認するのだった

 

 


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