かぐらと道元を止めるために街中を急ぐ佐介たちの前に疾風が立ちはだかるように現れ
佐介を渡すように要求する疾風に拒否する姿勢を貫くと交渉が決裂したことで強引に奪い取るという強硬手段に出る
そうして疾風との佐介をかけた戦いが幕を開ける
しかし開始早々に先制を取ろうとした側である焔があっという間に動きを封じられ
続く佐介の攻撃にも怯むことなく追いたて
疾風に序盤のペースを握られてしまうという最悪なスタートを決められてしまう
これを見て光牙は飛鳥と焔に安全な場所までの避難を支持し、それを受けた2人はごねこそしたが指示通りに離れていった
2人が避難したことを確認したこちで佐介と光牙は強化形態へと転身し疾風に挑む
だが、強化形態になっても尚、戦況はあまり変わらない様子であり、疾風が場の流れを掴んでいたのだった
戦いは未だ不穏な空気の中続いていた
「「っ…」」
「ふぅん」
佐介と光牙は攻めあぐねていた
2人がかりでこの常態になっているにも一向に優勢は向こうにあるからだ
「さて、どうしたものか?」
「攻撃といい防御といい、どちらもバランスよく行っているせいか隙がよめませんね?」
「わかっている。くそっ」
次なる手を考えようにも攻守ともに優れている疾風とどう戦えばいいのかなかなか案が浮かばない様子だった
「どうした?威勢が良かったのは最初だけか?拍子抜けだぜ!」
そう言うと同時に疾風が地面に両手をタッチさせる
「
疾風が手を地面に付かせ、そう唱えた瞬間
ジャリリリリリリリ!!
「「っ!?」」
地面から突き出すように無数のチェーンが飛び出してきた
佐介と光牙はバックステップなどで回避する
「っ、はあっ!!」
埒が明かないと感じた佐介がある程度の距離を確保したと同時に力を込め
両手を思いっきり左右に広げた際に発生させた衝撃波によって押し寄せるチェーンを粉砕する
「ふぅ…っ?」
「粉砕玉砕ご苦労さん!」
「っ!?」
「おらよっと!!」
ドゴォォォン!ドドドドド!!
チェーンを吹き飛ばすこと意識を集中させてる佐介の隙をついて間合いに入った疾風が彼を蹴り飛ばし
その勢いで佐介は瓦礫の山々を貫通しながら吹っ飛んでいった
「貴様!!」
「っ!?」
「はあっ!!」
「くふっ!」ザザァァ!
佐介がを蹴り飛ばされたことで光牙が疾風に報復の一手として右手の手刀を突き出しながら飛んできた
さすがに回避が間に合わなかった疾風だったが機転を利かせてチェーンを盾代わりにして光牙からの攻撃を防いだ
「ぬt、ぐぅぅぅぅ!!」グヌヌ
「~~~っ!!」グヌヌ
そのまま光牙と疾風の鍔迫り合いが続く、全力で手刀を突きつけようと力を強める
対して疾風もそれを阻止すべく必死にガードする
ピキッ…ピキキキ
「っ!?」
しかし聖剣を宿す光牙の手刀を防いでいるチェーンに少しずつ亀裂が入っていく
このままではいずれチェーンが砕けてそのまま胸を貫くのも時間の問題だった
「終わりだ。ふぅぅぅん!」
光牙もそれを把握しているからか一気に畳み掛ける
「…っ!」スッ
「なにっ!?」グラッ
だが、ここで疾風が形勢をひっくり返すべくわざと力を抜かせ後ろにそれる
疾風のこの戦術にはまってしまった光牙が溜まらずよろけてしまう
「はっ!おりゃ!」
「ぐっ、しまっ!?」
瞬時に行動を開始した疾風に対応する暇もなく光牙は次の瞬間
彼が繰り出した卍固めによってがっちり関節を決められてしまった
「っ、ぐぅぅぅぅ!?」
「どうだ?苦しいか?」
綺麗に決められてしまった卍固めによって聖剣である右手は封じられ
さらにはじわりじわりと間接を締め上げられる痛みが光牙を襲っていた
「お前の聖剣とやら、これ以上振るわれても敵わないからな…このままへし折ってやるよ」
「さ、させるか!…ぬぅぅ!!」
折られてなるものかと意気込みながらなんとか動こうにもそれすら疾風は許してはくれなかった
締め付けはまたさらに強くなるとともに骨がみしみしという音が聞こえる
このまま卍固めを決め続けられてしまったら右手の関節が外れてしまうのも時間の問題だった
「ぐうっ…ぐぅぅ!?」
「ぬふふふ~…っ?」
着々と光牙の関節が折られようとしていた最中、疾風が反応した
その直後だった
「っ!!」
「っ!?」
疾風の頭上から飛んでくるように佐介が現れた
「光牙くんを離しなさい!やぁぁぁぁ!!」
落下の勢いに身を任せ、勢いよく突き攻撃を繰り出した
「ちぃっ!」
これにはより疾風は慌てて距離をとってその場を離れる
直後、地面に激突した佐介が三点着地の体制で疾風を威嚇していた
「うっ…うぅ…」
「光牙くん、大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ない。助かったぞ佐介」
「礼には及びません。無事でよかった」
光牙が無事な様子に安堵したようにそう囁いた
「……っ」
一方で、そんな2人の光景を見ていた疾風は2人の様子を見て何か思っているような顔を浮かべる
「光牙くん、あとは僕がやります。だからあなたは」
「馬鹿をいえ、そんなことさせるわけがないだろう」
佐介が光牙の体を気遣って自分1人でも戦おうとするも
それに対して光牙が真っ向からそれを拒否する
「で、ですが」
「奴の強さはもう身に染みて理解できたはずだ?」
「そ、それは…」アセアセ
光牙の言うことは最もだ
現に自分たちは未だ彼に有効打を与えられてはいない、それどころか2人がかりでようやくと言ったところであるのが現実である
にもかかわらず1人で戦おうとするのは無謀ともとれる判断に他ならない
「俺の身を気遣っているつもりなのならば不要なことだ。俺はまだやれる」
「光牙くん…」
「お前とてかぐらを助けたいんだろ?だったらまずはこいつを退けることだけ考えろ。そうでなければそれは叶わないとしれ」
叱咤をかけるように光牙は佐介にそう告げる
自分たちが先に進むには疾風を退ける以外に道はない、自分たちがかぐらを助けるためにはそれしか方法はないのだと
「ごめんなさい光牙くん、僕少し焦っていたかもしれませんね」
「気持ちは整理できたか?」
「…はい、もう大丈夫です。だから一緒に戦ってください」
「ふっ…言われずともそのつもりだ」
光牙の叱咤によって気持ちを切り替えた佐介は彼に感謝の言葉を送り、共に戦うことを懇願し、光牙もそのつもりだと告げ
疾風を倒してでも先を進むことを決めるのだった