閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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暴風を操る者

かぐらたちの元に向かおうとする佐介たちの行く手を阻むように疾風が姿を現す

 

 

自分たちの目的を阻もうとする疾風を止めるために戦う佐介と光牙だが

 

 

疾風の実力は二人の想像を超えており、すぐさま劣勢に追い込まれる

 

 

逆転の可能性をかけた超・忍転身ですら疾風にとっては何ら変わらないものであり

 

 

最中、功を焦る光牙が不覚にも不意を突かれて疾風に卍固めを駆けられてしまう

 

 

脱出を試みるも拘束はなかなか解けず、右腕をへし折られそうになったが

 

 

間一髪のところで佐介が割って入ることでそれは回避される

 

 

状況を見て光牙を後退させ1人で戦おうとする佐介だったが

 

 

これを見抜いていた光牙がこれを否定し、最後まで共に戦うことを宣言する

 

 

光牙の覚悟に胸を撃たれた佐介は彼の意思を組んで最後まで共に戦うことを決めたのだった

 

 

 

 

 

互いの覚悟を確認した2人が気持ちを新たに自分たちの前に立ちはだかる疾風と向かい合う

 

 

「「っ!」」

 

 

佐介と光牙が決意を込めた構えをとる

 

 

その様子を眺める疾風の目に一瞬、かつての自分と蓮の姿が重なって見えた

 

 

「(……気にいらねぇ)」グヌヌ

 

 

ふゅ〜……

 

 

「「っ?」」

 

 

刹那、この周囲一帯に風が吹き始める

 

 

吹く風が徐々に疾風の元に集まっていく

 

 

「(…気にいらねぇ!)」

 

 

 

ビュオォォォォ!!!

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

疾風が内に秘めている怒りに好悪するかのように風の勢いが強まり、強風となる

 

 

「佐介、気を付けろ!やつの力がさらに強まったぞ!?」

 

 

「みたいですね!?」

 

 

突然上昇した力の高まりを感じ、佐介と光牙は警戒心を強める

 

 

「…イラッとくるぜ、お前らを見てると…非常にイラつくんだよ!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

その言葉を呟いた瞬間、疾風が飛び出す

 

 

「くっ、はあっ!!」

 

 

行かせはしないと矢を放つ

 

 

「そんなもので…っ!」シュン!

 

 

「なっ!?」

 

 

「俺を止められる訳がねぇって、言ってんだろうがよ!」

 

 

「ぐぅ…がはっ!?」

 

 

 

ドドドドド!ドォォォォン!!

 

 

 

風と共に光牙の矢の攻撃を掻い潜ったと同時に疾風が間合いに入るや嫌な蹴りを喰らわす

 

 

凄まじい力で蹴り飛ばされた光牙はその先にある建物を貫通して吹き飛ばされた

 

 

「光牙くん!?」

 

 

「ぐっ、っ~~~!!!」ザザァァァ!!

 

 

光牙もやられてばかりではないと言わしめるように瞬時に身を回転させ、地面を削りながら勢いを殺していき

 

 

数メートル先で止まった

 

 

「光牙くん大丈夫ですか!」

 

 

「あぁ、問題ない」

 

 

「よかった…っ!」

 

 

光牙の無事を確認すると同時に佐介は疾風を見る

 

 

「よくも光牙くんを、許しません。たぁぁぁっ!」

 

 

佐介が光牙の仕返しを代行するかのように疾風に渾身の思いを秘め、ラッシュする

 

 

「たあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「どうした?そんなへなちょこパンチじゃ俺は俺は倒せないぜ!」

 

 

しかし佐介のラッシュは疾風に読まれているのか当たる気配がない

 

 

「くぅっ!?攻撃が当たらない!?」

 

 

それによって佐介は焦りを覚える

 

 

「何をやっている佐介!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

ここで吹き飛ばされていた光牙が急接近し

 

 

間合いに入るとともに佐介に加勢し、2人で攻め立てる

 

 

2人いっぺんを相手にするという不利な状況にも拘わらず疾風は紙一重でかわす戦法からチェーンを駆使して防ぐ戦法に替えたというだけで状況自体はさほど変わらない

 

 

「このままでは埒が明かない、一気に攻めるぞ!」

 

 

「はい!」

 

 

「「っ!!」」バッ!

 

 

「っ?」

 

 

このままではいけないと判断した2人は距離を取るとともに左右にばらける

 

 

その間に佐介は両手に気を、光牙は手刀に力を込める

 

 

「食らえ疾風!!ふぅん!」

 

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

 

佐介と光牙は左右同時に獣波拳と斬撃波を放ち

 

 

疾風目がけて飛んでいったそれらは瞬く間に彼を呑み込み、大爆発を起こす

 

 

「やった!やりましたよ!」

 

 

攻撃が直撃したと佐介は喜びの表情を浮かべる

 

 

しかし次の瞬間だった

 

 

 

ビュオォォォォォォォ!!

 

 

 

「「……っ!?」」

 

 

突如として火柱を中心にそれをかき消すほどの強風が竜巻を生成して巻き起こる

 

 

風の勢いはすさまじく立っているのでさえやっとだった

 

 

そして次の瞬間だった

 

 

吹きすさぶ竜巻が一瞬にして消え去った

 

 

驚く2人だったが、その後に目に映る光景が更なる驚きを生む

 

 

竜巻が消えた中心にはそれを払いのけたようなそぶりを見せている疾風が無傷の状態で佇んでいた

 

 

「うっ…嘘…っ?」

 

 

「…本物の化け物か?」

 

 

あの攻撃を受けて無傷でいることが2人にはこの上ないほど信じられない様子だった

 

 

「2人がかりで本気を出してこんなもんかよ?」

 

 

「「っ!?」」

 

 

「…くだらねぇ」

 

 

つまらないと言った顔を向けながら手をクロスさせる

 

 

すると両手の掌から風のエネルギーが発生する

 

 

「ソニック・バスター…」

 

 

疾風が技の名を口ずさんだ瞬間、クロスさせた手を佐介と光牙のいる左右に向け

 

 

掌から生み出されたその風のエネルギーが2人目掛けて勢いよく放たれる

 

 

「はやっ…っ!?」

 

 

「ぐはっ!?」

 

 

風のエネルギー波の攻撃を避けることが出来ず、直撃をもろに受けてしまった

 

 

2人は勢いよく飛ばされてしまい、地べたに倒れる

 

 

「くっ、くそっ…っ!?」

 

 

シャリリリリリ!!

 

 

「しまった!?」

 

 

隙を疲れて光牙はチェーンで動きを封じられてしまう

 

 

「光牙くん!」

 

 

佐介が急いで駆けつけようとする

 

 

「光牙くんを離しなさい!はぁぁぁぁ!!」

 

 

光牙を助けるべく疾風に特攻する

 

 

「そんなに返して欲しけりゃ返してやるよ!ほらっ!」

 

 

「なにっ!?うわっ!?」

 

 

「えっ!?うわっ!?」

 

 

 

これに対して疾風が拘束していた光牙を佐介に投げつけ

 

 

それに動揺した佐介だったが慌てて光牙をキャッチする

 

 

「ソニック・バスター」

 

 

「「っ!?」」

 

 

 

ボビュゥゥン!

 

 

 

「「うわぁぁぁぁ!?!?」」

 

 

しかしその直後、隙を突いた疾風の2度目の風圧波がまたも2人を直撃した

 

 

佐介と光牙は地面を転がるように吹き飛ばされ、倒れてしまった

 

 

「ぐっ…がぅ…」

 

 

「こ、こうが…くん」

 

 

ダメージにもがき苦しむ光牙を見て佐介は彼の身を案ずる

 

 

刹那、とすっと言う音が聞こえ、振り返るとそこには倒れる自分たちを見下ろす疾風の姿が

 

 

「くっ…っ!?」

 

 

まずいと感じた佐介だったが先のダメージのせいで動くことができない

 

 

「っ!」ガシッ

 

 

「がっ…うわ!?」

 

 

「さ、佐介!?」

 

 

疾風が抵抗もできぬ佐介の首根っこを掴み持ち上げ、宙吊り状態にする

 

 

「うぅっ…あぐぅ…」

 

 

首根っこをしめられ、佐介は苦しみの声をあげる

 

 

そんな佐介を疾風は首根っこを締め上げながら睨み付けるのだった

 


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