閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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リミッター解除!佐介対疾風 

疾風の圧倒的な猛威の前に成す術もないまま劣勢に劣勢を重ねていく佐介と光牙の2人

 

 

戦況をひっくり返すため、一気呵成の一手を繰り出すもそれすら決定打にすらならず

 

 

呆気に取られている隙を突いた疾風によって拘束されるという事態となり

 

 

力の差を見せつけ、さらにはいくら悪あがきをしても無意味だと2人に投げかけ、繊維を削ごうとする

 

 

だが、諦めず最後の悪あがきに疾風の言葉をそっくり跳ね返し論破することで一矢報いることができたが

 

 

代償として逆鱗に触れた光牙が彼の制裁を加えられてしまい、戦闘不能になってしまった

 

 

佐介は光牙の無念を、そして強敵である疾風を打ち倒すため、師匠大道寺に使用を禁止された

 

 

禁忌の技を発動させ、それによって戦況は激変の兆しを見せ始めるのだった

 

 

 

 

 

 

 

起死回生の一手として佐介が禁術、獅死奮靭を発動させ、数秒の間に疾風に連続ヒットを決め

 

 

締めに地面目がけて叩き落とした

 

 

圧倒的な力の差を示していた疾風にこれほどの攻撃を決めた佐介に光牙は驚きを隠せないでいた

 

 

「(佐介、お前…何をしでかした?)」

 

 

ここまでの流れで佐介が何かしたのは明らかであり、光牙は佐介の後ろ姿を見ながら心の中で問いただす

 

 

一方、当の佐介はというと地面に叩きつけられたことで発生した土煙のほうに視線を向けていた

 

 

「…っ!?」ドックン!

 

 

だが、すぐさま佐介の体に尋常ではないほどの激痛が襲った

 

 

「ぐうっ!?」ドサッ!

 

 

「佐介!?」

 

 

激痛によってその場に膝をついて倒れ賭け

 

 

その様子を見て光牙も驚く

 

 

跪いて倒れても尚、佐介の体に激痛が迸る

 

 

「(い、痛い。意識が飛びそうになるっ!?…また、この感覚を味わうことになるなんて、仕方なかったとはいえ、きつい!?)」

 

 

佐介は全身を走る激痛に耐えるのがやっとなくらい辛そうだった

 

 

なぜ彼がこれほどまでに苦しんでいるのか

 

 

獅死奮靭、実はこの術は佐介が修行時代、師である大道寺のとある技をヒントに編み出した彼のオリジナルの術である

 

 

この術のは言うなれば命懸と似た能力を持っている

 

 

本来、命懸とは発動することで自身の潜在能力のうち、攻撃力とスピードを強化する術であり、反面防御力を失ってしまうというリスクがある

 

 

対して佐介が使っているこの獅死奮靭という術は命懸の欠点であった防御力の欠如を克服した術であり

 

 

能力面に関しては上位互換ともとれる術である

 

 

だが、もちろんこの術にもリスクが存在する

 

 

それがこの尋常ではない激痛を伴う痛みである

 

 

この痛みは開放し、能力を発動した直後に発生し、以降は使用者に常に痛みを伴うものなのだ

 

 

つまり、今佐介の体はその痛みに支配されている

 

 

常人なら数秒も持たないほどにとてつもない痛みに耐えながら戦っていたのである

 

 

「(今にも倒れそうなほどつらい…でも、この術だからこそこの状況を逆転できる唯一の手段なんだ)」

 

 

激痛を伴うという膨大なリスクと控えに疾風に対抗しうるパワーとスピードを得た

 

 

このチャンスを逃すことはできないと佐介は決死の覚悟でこの戦いにケリをつけようとしているのである

 

 

 

…ブォォォォォォォォ!!

 

 

 

刹那、沈黙を破るかのように土煙の中から空気砲が飛んできた

 

 

「佐介、よけろっ!?」

 

 

「っ!」

 

 

光牙の指示通りに佐介は飛んできた空気砲による攻撃をかわす

 

 

「……っ!?」

 

 

「っ!」

 

 

空気砲による攻撃をかわすことに成功した佐介だったが

 

 

休む間もなく空気砲を囮に背後をとっていた疾風が今まさに佐介に攻撃を仕掛けようとしている瞬間だった

 

 

シュリリン!

 

 

「っ!」バッ!

 

 

間一髪のところで身をかがませることで薙ぎ払いによる攻撃を回避する

 

 

「はあっ!」

 

 

回避したと同時に反撃というかのようにしゃがみからの回転蹴りを繰り出す

 

 

「っ!」

 

 

しかし、疾風もまたそれを読んでいたのか着弾する前に地面を叩き、宙へと飛んだことでこれを回避し

 

 

バク転を数回繰り返して一度後ろに宙返りの後に地面に着地した

 

 

「(すごい、なんて速度の乱戦だ?…普通のやつでは目で追うのさえやっとなほどだぞ?)」

 

 

一連の戦闘の流れを見ていた光牙は2人の尋常ではない速度で行われる戦いに見入ってしまっていた

 

 

「…っ?」

 

 

ふとここで光牙は疾風の方を見る、

 

 

先の戦闘の様子では速すぎるせいでまじまじと見れなかったが今はその様子がはっきりと見て取れた

 

 

「…ふぅ」

 

 

露になった疾風の姿は上の服が半分以上敗れており、その下の肌が露になっていた

 

 

十中八九佐介の攻撃によって受けた手傷である

 

 

「(あの化け物のような疾風にあれほどのダメージを与えている。ひょっとしたらこのままいけば奴を倒すのも難しことではないのかもしれん?)」

 

 

疾風のあの手傷の度合いからして今の佐介であれば疾風に対して有効な決定打を与えられる

 

 

とすれば疾風を倒せるかもしれないという可能性が見えてもくる

 

 

「(…だが?)」

 

 

しかしながらそれには懸念すべきこともある

 

 

佐介のコンデションのことだ

 

 

ここまでで佐介は少なからず疾風といい勝負を繰り広げている

 

 

されどそれとともに光牙は佐介が苦しそうに跪いた光景も目の当たりにしている

 

 

明らかに相当な負荷を背負っているというのは誰の目から見ても明らか

 

 

今はまだ優位かもしれないが戦いが長引けばまずいことにもなりかねない

 

 

「佐介、その勢いだ!そのまま疾風を追い込め!」

 

 

「っ、光牙くん……はい」

 

 

光牙のエールに佐介はさらに気合を入れる

 

 

…本当なら光牙とて今の佐介の状態からしたら戦いをやめるように促すべきなのかもしれない

 

 

言うことだけならどうとでも言えることだ

 

 

しかしながら自分や仲間たちのために身を削ってでも負けられないという佐介の意思を思えばこそ止めることはできなかった

 

 

だからこそ、せめてとして佐介に早期決着を促したのだ

 

 

「…ずいぶんと好き放題言ってくれてるみたいじゃねぇか?」

 

 

「「っ?」」

 

 

最中、2人の会話を聞いていた疾風が茶々を入れる

 

 

「いい気になってんじゃねぇよ。ちっとばっかし威力が上がったくらいでよ!」

 

 

「なら、今一度その身で確かめさせてあげますよ!」

 

 

そう言うと佐介は疾風に向かって駆け出し、一直線に向かっていく

 

 

「舐めるなよ!対突槍(ツインスピア)!!」

 

 

対して疾風は両手のチェーンを佐介手掛けて飛ばしてきた

 

 

「っ!」

 

 

当然それを佐介はかわす

 

 

「あまい!竜巻(トルネード)!!」

 

 

しかし、攻撃をかわすことを読んでいたのか疾風はすかさず突き出した両手を勢いよく左右に向けるとともに体を一回転させる

 

 

同時にそれにもとなってチェーンもまた左右に引く力によって周囲横一線を回転し、辺のものを次々と破壊していった

 

 

「っ!?うわぁぁっ!?」

 

 

左右同時の長払い攻撃を止めなかった佐介は苦しくもその攻撃を食らってしまい、建物の瓦礫に向かって吹き飛ばされた

 

 

「佐介!?」

 

 

それを見ていた光牙は慌てて佐介の名を呼んだ

 

 

「どうだ思い知ったか?…さっきのテメェの言葉そっくり返してやるぜ、いくら強さをあげようが俺には勝てないってことをその体にたっぷりとわからせてやるぜ」

 

 

疾風はまだまだ倒れる気はないと佐介たちにそう言い放つのだった

 

 

 

 


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