閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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臨界点のリスク 

禁術である獅死奮靱を発動させ、己のリミッターを外し、力を得た佐介が疾風との戦いに臨む

 

 

常時激痛の痛みを伴う状況の中であっても僅かに見出した勝機の可能性を逃すまいと捨て身覚悟で佐介は挑んでいく

 

 

そのリスクと引き換えに得た圧倒的な攻撃力とスピードで疾風を圧倒する

 

 

だが、そんな中でも疾風も負けじと応戦し、この状態の佐介と互角の激闘を繰り広げる

 

 

両者ともに猛烈な檄襲による激しい撃ち合いが続き。締めとして放った一発の拳によって2人の距離が一時的に離れる

 

 

しかし、ここで佐介は踏ん張りを見せ、吹き飛びの勢いを軽減させ。踏みとどまることに成功するとともに再度疾風に仕掛けに行った

 

 

これに対し、佐介の行動を読んでいた疾風は自身の持つ強大な大技「エル・ウィンド・バスター」を繰り出す

 

 

大規模且つ凄まじい速度で迫りくるエネルギー波に戦いを傍観していた光牙は焦りを見せる

 

 

それに対し、佐介は獣波拳を構え出す行動を見せ2人を呆気に取らせる

 

 

刹那、迫りくるエネルギー波に対し、佐介は獣波拳の気を使って滝登る魚の如く登りあがると同時に

 

 

至近距離に到達の瞬間に渾身の獣波拳を繰り出し、周囲を光に包み込んだ

 

 

光が晴れ、光牙が目を開けるとそこにはたたずむ佐介の後ろ姿があったのであった

 

 

 

 

 

 

 

限界突破の佐介が放った全力の獣波拳の炸裂し、光が晴れた先にはその場に佇む佐介の姿があった

 

 

「(なんて威力だ?いつものあいつの技の比ではないぞ?)」

 

 

凄まじいエネルギー量からしても通常の獣波拳とは比較にならないほどの威力だった

 

 

「(そうだ。やつはどうなった?)」

 

 

続けざまに光牙は佐介の技を受けた疾風がどうなったのか?

 

 

勝敗の行方はどうなったのか気掛かりな様子だった

 

 

「…っ!」

 

 

最中、光牙の視線が佐介の前方に向く

 

 

佐介の前方に一つの影が見えた

 

 

「…っ……っっ~……」シュ~

 

 

「(疾風!?)」

 

 

そこには吹き飛ばされた方向の中心に立つ疾風の姿があった

 

 

 

「……ぐふぉっ!?」

 

 

 

暫しの間佇んでいた疾風だったが次の瞬間、口から勢いよく唾を吐き出し

 

 

続けざまに地面に膝をつけて倒れた

 

 

先の攻撃によるダメージが残っているのか痙攣して動けない様子だった

 

 

「っ…く、くそが…っ!?」グヌヌ

 

 

「佐介!まだだ、奴の戦意は失われていない、妙なことをしでかさんとも限らん、今のうちに引導を渡せ!」

 

 

「……っ」

 

 

疾風がまだ戦意喪失してないことに気づいた光牙が急ぎ佐介に指示を出す

 

 

その指示を聞いた佐介が数秒後に疾風のもとにゆっくりと歩きだす

 

 

「くっ…っ!?」

 

 

「…っ」シュィィィン!

 

 

目の前までやってきた佐介は右手に力をためだす

 

 

「て、てめぇ…!」

 

 

「悪く思わないでとは言いません。でも、こうしなければあなたはまた僕たちの邪魔をするかもしれない、だからこそ…ここで」

 

 

自分たちの目的の障害となりうる彼をこれ以上放っては置けない

 

 

佐介は静かに溜めたエネルギーを疾風に放とうとする

 

 

「ち、ちく…しょう!?」

 

 

「っ!!」

 

 

エネルギー波が今放たれようとした

 

 

その時だった

 

 

 

ズオォォォォォォ!!

 

 

 

「あ…あぁ…っ!?」

 

 

 

ドサッ!

 

 

 

佐介が突然その場に倒れたのである

 

 

「「っ!?」」

 

 

これには光牙も疾風も驚きを隠せなかった

 

 

「さ、佐介!どうした!?」

 

 

「うっ…うぅう…っ!」グヌヌ

 

 

突然のことに驚きつつも佐介は今一度立ち上がろうとする

 

 

 

ドックン!!

 

 

 

「う、があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

しかしそれもかなわずすぐさま先程よりもさらに激しい痛みが佐介の身に襲い掛かった

 

 

佐介の壮絶な断末魔がここら一体に激しく響き渡る

 

 

「……うぅ…」

 

 

ドサっ!

 

 

ついに力の反動によるダメージで佐介は無念にも崩れ落ちた

 

 

「さ、佐介ぇぇぇぇぇ!!??」

 

 

一部始終を見ていた光牙は慌てた様子で彼の名を口にした

 

 

「佐介!大丈夫か!返事をしろ!」

 

 

倒れた佐介に光牙は必死に呼びかけた

 

 

「うぅ…うぅ…」グヌヌ

 

 

「(意識はあるのか?…だが!?)」

 

 

様子からしても力の反動で意識を失ってもおかしくはないほどだと思われたが

 

 

辛うじて意識はあるようである

 

 

しかしだからこそまずい状況でもある

 

 

寄りにもよってこのタイミングで、とどめを繰り出そうとしたこのタイミングで限界を迎えてしまったとは

 

 

ここに来て最大の不運に見舞われてしまったわけである

 

 

「(か、体中が悲鳴をあげて…立つこともできない…獅死奮靭を使いすぎた代償がこれという…わけですか?)」アセアセ

 

 

修行時に獅死奮迅を使った時は大導寺が危険性を見抜いてストッパーとなってくれたこともあり

 

 

当時の時はまだ通常より少しきついくらいの筋肉痛程度であった

 

 

だが今回に至っては大導寺はおらず、ストッパーとなる人もおらず

 

 

何よりこの状況のせいで解除するわけにもいかなかったこともあったため

 

 

あの時を遥かに超える使用時間となってしまい

 

 

そのせいで時間経過とともにリスクの度が上がってしまい、今の結果に繋がってしまったのだ

 

 

意識だけは辛うじて残っていても、その意思を実行に移すべき体が全く言うことを聞いてくれなかった

 

 

「…ふっ、ふふふ…フハハハハハハハハハ、っ…!!」

 

 

一連の出来事を見ていた疾風はしばしの沈黙の直後、高らかな笑い声をあげる

 

 

「はぁ…はぁ…無様だな、正直あと一歩遅かったら俺もちっとやばかったところだった。だが、やはり俺は憑いてるみたいだ。最後の最後でこんなラッキーな展開になるとはな?」

 

 

「うぅっ…ぐぅぅ…」

 

 

「もうお前に残された手はない…俺の勝ちだ…」

 

 

先の攻撃によるダメージで軽くふらつきを見せているものの佐介の目の前まで歩み寄っていく

 

 

「まずい、佐介に近づくな!!」

 

 

それを見た光牙がすかさず弓を構えようとした

 

 

「…っ!?」

 

 

しかし、まだ十分まで力が回復しきっていない光牙が生み出したのは何とも粗末な、今にも崩れてしまいそうな矢

 

 

「くっ…っ!!」パシュン!

 

 

仕方なしにとかまうことなくその矢を疾風めがけて飛ばす

 

 

 

ヒュウゥぅぅぅ……チュピン

 

 

 

「なっ、くそっ!?」

 

 

だが、やはりというべきなのか矢は疾風の元に届くことなく消えてしまった

 

 

「…万策尽きたよう、だな?」

 

 

それらを見ていた疾風は光牙に向けていた視線を佐介に戻し、再びその手を伸ばす

 

 

もはやここまでか、だれもがそう思った

 

 

まさにその時だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何をしておる佐介よ!それでも我が弟子か!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この、声は!?」

 

 

「なんだ…っ!?」

 

 

「ふぅぅぅん!」

 

 

 

ドスゥゥゥゥゥン!!

 

 

 

さらには疾風目がけて飛んできた人影による一撃が地を割る

 

 

「…あっ、あぶねぇな…誰だ!?」

 

 

「…ほう、我が拳を避けたか?なかなかだな?」

 

 

「し、師匠!?」

 

 

「…ふん」

 

 

佐介の目線に先にいるのは彼の師であり、敬愛する大道寺の姿だった

 

 


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