疾風との戦いに決着をつけるために禁術を発動させた佐介
極限魂の状態で身体能力を上乗せしたことで疾風を圧倒し
そしてとうとう最後の大勝負の末
起点を欠かせた佐介の放つ全力の獣波拳の一撃によって疾風をダウンにまで持ち込んだ
しかし直後タイムアウトを迎えてしまったが故に今までの能力強化の反動によって体の自由が効かなくなってしまった
起死回生から再び絶体絶命まで追い込まれしまったその最中
そんな2人の危機に颯爽と現れたのは大道寺と凛の2人だった
大道寺と凛は疾風を自分たちに任せて先に行くように申告し、2人をこの場から離そうとする
当然佐介と光牙は2人のその申し出に反論するが、彼女たちの一喝によってその考えを悔い改める
2人の意思を組み、動けない佐介を背負う形で光牙はこの場を大道寺と凛に任せて先に進む
佐介と光牙を追おうとする疾風の前に凛と大道寺が立ちはだかるのだった
窮地の最中、大道寺と凛によってなんとか危機を脱し、佐介を背に背負ったまま光牙が先を急いでいた
ドゴォォォン!
「「っ?」」
直後、後方から凄まじい音が聞こえた
「どうやら向こうはおっぱじめたようだな?」
「えぇ、みたいですね?」
少し離れているにも関わらずこの地鳴りと衝撃波からして大道寺と凛が今まさに疾風と繰り広げており
それがどれほどのものなのかを痛感させられる
「……」
「…心配か?」
「っ?」
じっと大道寺と凛が戦っているであろう方を向いている佐介に対して光牙が尋ねる
「……いえ、心配なんかしてません。師匠と凛さんは強い方たちです。それは光牙くんもわかってるですよね?」
「あぁ、当たり前だ。あいつらは強い、たとえ相手が奴であろうと負けるはずがないさ」
「ですよね!」
2人の強さと偉大さを知ってるからこそ出る言葉である
大道寺と凛なら負けはしないと感じればこそ、些細な不安など考えることではないと思えるほどに
その2人に背中を押されて今自分たちはかぐらやそれを追った飛鳥たちがいるであろう新たな戦場に向かっていく
しかし、いくら光牙でも手負いの状態でさらに自分よりもさらに重症な佐介を抱えながらの移動は流石に答えるものがあった
「(ことは一刻を争うと言うに!)」
早く目的地に行かねばと言う思いを抱きつつも先はまだある
どうするべきかを走りながらに光牙は考えていた
「っ?」
最中、ふとあるものが光牙の目に留まる
光牙が目にしたもの、それはほかの場所よりはまだ比較的に建物の原型を保っているバイク屋らしき店だった
「…っ」スタタタ
「っ、光牙くん?」
それを見た光牙が咄嗟に閃き、その建物のほうに進んでいった
佐介はいきなり光牙が方向転換したことに驚いているようだった
店の中に入るとともに光牙が店内を見渡す
見たところラインナップはかなりいい店であることが伺える
「光牙くん、何を探してるんですか?」
「…っ!」キュピン
目を凝らしながら店内を見ていた光牙の視線に一台のちょうどよさげなバイクがあった
光牙はそのバイクのほうに駆け寄ると後部座席に佐介を座らせる
そうして手にしたキーを差し混んでエンジンをかける
ブルン!ブルルルルル!!
ギアを入れると同時にエンジンが勢いよくかかりだした
「よし、いける!」
「あまり感心できるようなことではありませんけどね」アセアセ
「仕方なかろう、緊急事態だ」
「…お店の方ごめんなさい」
事態が事態とはいえ人様の店の物を盗むような形になってしまったことに佐介は名も顔もわからず、今どこにいるともわからない店主に対して謝罪を述べる
「さぁ、行くぞ。しっかりとつかまれ!」
「はい、わかりました」
「…っ!」
ブルン!ブロロロォォォォォォ!!!
バシコォォォォン!
「っ!!」
佐介が後部座席にしっかりと座り、自分のお腹に手を回したのを確認した光牙はバイクのアクセルを踏む
アクセルが踏まれたことでバイクは勢いよくタイヤを回転させて加速し、入り口から颯爽と外に飛び出した
地面に着々と同時にスタートダッシュの勢いでさらなる加速によって瓦礫の街を颯爽と駆け抜ける
「こいつで焔たちのとこまで突っ走るぞ!」
「はい!」
バイクを飛ばしながら突き進む佐介と光牙
目指すはもちろん飛鳥たち、そしてかぐらたちが待っているであろう戦場である
街中をバイクで移動し始めてから数分が経過し、目的地へと徐々に距離を狭めていく
「「っ?」」
最中、目的地が近づいてくるごとに周りの景色、ひいては空気が変わり始める
同時にその中に漂う異様な気配に二人が気づいた
「…光牙くん?」
「…あぁ、お出ましのようだな?」
悟ったように2人が言葉を交わした直後だった
周囲に無数の黒い靄が発生し、そこから妖魔たちが現れた
妖魔たちは佐介と光牙を睨みつけている
【「「「「ッ~~!!!」」」」】
そしてうんを言わさぬかのように現れた妖魔たちが佐介と光牙に襲い掛かる
「っ!?」
「ここは俺に任せろ」
「光牙くん、でも?」
「この状況で対処が可能なのは俺だ。お前はかまわずしっかりと俺を支えていろ!」
こちらめがけて飛んでくる妖魔の大軍を前にどうすべきかとうろたえる佐介に対して光牙は自分が何とかすると宣言する
光牙はそういった直後、バイクのハンドルから手を放し、弓を構える
「…っ!」
弓先に神経を集中させ矢を生成する
先ほどよりも体力に余裕ができたおかげもあってかそこそこの矢を生成することができた
「(本調子というわけにはいかんが…っ!)」
生成した矢の出来に少々不満を抱くもそんなことを考える暇はないと割り切って
今一度矢の先端を妖魔たちに向けて集中する
「…っ!」パシュン!
そして最大限まで集中をしたと同時にその弓を引く手を放す
放たれた矢はまっすぐに飛んでいき、数メートル先で拡散する
【「「「「「ッ~~!?」」」」」】
拡散した矢は妖魔たちの体に刺さり
下級はその一撃で消滅、中級は一部まだ残っていたが矢の一撃のダメージで思うように動けない様子だった
「よし、このまま一気に抜けるぞ!」
「はい!」
妖魔たちがひるんでいる隙にバイクを加速させ、この場を速やかに突っ切っていった
今の自分たちではあそこにいる妖魔たちを全滅させること自体はできるが
それでは時間がかかってしまう
故にここは無駄な戦闘は避けつつ目的地に向かっていくのが最善の手だった
「気を引き締めておけよ。目的地にはもうすぐだ」
「はい!」
あれほどの妖魔がいるということは神楽の存在を感じ集まったということ
つまり妖魔が多ければ多いほど近くにかぐらがいるということ
もう目指す場所は目の前まで来ていることを痛感させられた
「(待っててね飛鳥ちゃん…待っててくださいかぐらちゃん!)」
目指す場所で戦っているであろう彼女たちのことを思いながら佐介は光牙の操るバイクで先を進むのだった