限界突破によって能力を引き上げた一撃を繰り出し
あと一歩のところまで疾風を追い込んた佐介だったが
それでも彼を倒すまでには至らなかったことでタイムリミットを迎えてしまい
力の反動によって動きを取れず、万事休すの佐介たちだったが
大道寺と凛の救援によってこの場を切り抜けた佐介と光牙は飛鳥たちの元に向かって行った
道中でバイクを手にした光牙のおかげも相まって妖魔の妨害もあったがそれも切り抜け、現場へと到達した
到着した佐介と光牙が目にしたのは飛鳥と焔が覚醒したかぐらと戦う様子だった
どのようにしてこのような状況に発展したのか疑問を抱いている中
佐介と光牙はそこで自分たちと同じようにこの戦いを近くから見守る奈楽を見つけ出した
彼女から自分たちがここにきた経緯を語るのと引き抱えに情報を得ることに成功する
故になんとしても止めなければならないと考えた光牙は急ぎ飛鳥たちに加勢しようとするが
当然奈楽がそれを阻止しようとするので緊迫子状況に発展する
だが、その中で佐介が奈楽に話しを持ちかけてきたのだった
飛鳥と焔がかぐらと戦う最中、佐介が奈楽と向かい合っていた
「…自分と話しがしたいだと?」
「はい」
奈楽は佐介のらその言葉の真意が理解できず、今も尚、警戒を続けていた
「(佐介のやついったい何を考えているんだ?)」
佐介がいきなり奈楽と話しをさせてほしいと懇願してきたことに光牙もまた理解できずにいた
「それで、自分に話しとはなんだ?くだらない話しをしようものなら自分は容赦なく貴様を潰す」
警告を込めた言葉を告げ、佐介が自分にとって無意味なことを言うのであれば足の鉄球を使って潰すといった
「構いません。それで」
「っ!?」
それを聞いた瞬間、光牙は焦りを感じた
なぜなら今の佐介は自分以上に力が低下している
もしこのまま奈楽と戦闘に発展しようものなら確実に佐介がやられてしまうと感じた光牙はさらに焦りを感じ、さらに焦りを募らせる
「……あなたは本当にそう思っているのですか?」
「「っ?」」
いきなりのことで光牙と奈楽はキョトンとした様子だったが佐介は構わず続けた
「だってあなたからは言葉とは真逆の思いが伝わってきます。奈楽さん、本当はあなたもかぐらちゃんが消えてしまうなんて嫌なのではありませんか?消えてほしくないと考えているのではありませんか?」
「ッ!?」
奈楽はその佐介の言葉に動揺している様子を見せる
「き、貴様!何を言い出すかと思えばいきなりどう言うつもりだ!かぐらさまの従者として扱えする自分がかぐらさまのご意志を否定するようなことを考えるわけがないだろう!?」
必死に否定する奈楽は自分の意思もまたかぐらと同じだと言うことを必死に言い放つ
「だったらどうしてあなたはそんな悲しそうな顔をしているのですか?」
「じ、自分が悲しんでいる?何をバカな」
「いくら妖魔を滅し、眠りにつくことがかぐらちゃんの考えであってもそれは決してあなたの考えではありません、あなたは自分が従者の立場だからと言う理由をつけて自分の気持ちを押し殺しているんじゃないですか?」
「っ!?」
再び佐介の質問を否定しようとするも彼のまるで自分の心を見透かしているかのような質問の数々に奈楽は動揺を隠し切れていなかった
「あなたは本当はかぐらちゃんともっと一緒にいたいんじゃないですか?だから口ではそう言っていてもそんな悲しそうな顔をしている…違いますか?」
確信をつくように佐介は奈楽にそう問うた
「……くせに」
「っ?」
「何も知らないくせにわかった風なことを言うなぁぁぁ!!」
「っ!?」
刹那、これ以上は聞いてられないと思ったのか奈楽が口封じをするかのように鉄球を蹴り飛ばした
「佐介!?」
ドガアァァァァァァン!
佐介目掛けて鉄球が飛んでいくのを見た光牙が駆けつけようとするも
一足遅く鉄球が佐介目掛けて飛んで行き、直後、凄まじい衝撃と土煙が発生する
「ぐっ……佐介!?」
勢いが止み、急ぎ状況を確認しようと光牙が土煙が舞う方向へと視線を向ける
やがて土煙が風に煽られていき、徐々にその全貌を露わにする
「っ?」
「……うっ、うぅ…っ」
見ると佐介は鉄球を受け止めていた
ろくに力も出せないながらにも必死で鉄球による一撃を堪えているのだ
「…っ佐介!」
「…なぜだ?」
「っ?」
急ぎ助けに行くべく向かおうとする光牙だったが、奈楽の声にピタッと留まる
視線の先には信じられないものを見てるかのように驚いている顔を浮かべている奈楽がいる
「自分の渾身の一発を!?」
どうやら奈楽は先ほど放った鉄球に渾身の思いを込めて放ったようである
しかしその一発は佐介を倒すどころかここに来た直後から弱り切っているはずの彼に受け止められてしまっていたのだ
その事実が奈楽には屈辱的なことだった
「くっ、だったら!!」
「っ!?」
「直接攻撃でねじ伏せてやる。覚悟しろ!」
鉄球による攻撃で仕留められなかった以上、かくなる上は直に攻撃というかのように奈楽が佐介に向かって飛んで行った
「てやぁぁぁ!」
「っ!?」
「たぁぁぁっ!」
飛び込んだとともに奈楽が蹴り込んできた
佐介は奈楽の攻撃をよける体力もないがゆえに彼女の攻撃を受け続けるしかできずにいた
「(まずい、このままでは!?)」
さっきのは運よく踏ん張れたみたいだが直接攻撃ともなればそれも通じない、すぐにでも佐介を助けなければと光牙は考え、すぐにでも佐介の元に向かおうとする
「っ?」
だがその時、佐介のある行為で光牙は動きを止める
それはやられながらにこちらに向かってフェイスコンタクトをしている佐介の様子だった
佐介は光牙のほうを見て自分の状況がまずいことになっているにも拘わらず首を横に振る
まるで「僕なら大丈夫です。心配しないで」と訴えるかのように
「っ…」
光牙は暫し考える
しかし佐介がん無策でいるはずがない、きっと何か考えがあるに違いないと見出し
ならばと佐介の好きにさせてみることにした
「ふっ!はっ!てやぁぁぁ!」
「っ!?」
その間にも奈楽の怒涛の攻撃を佐介はひたすら耐え続けていた
「くそっ!なぜだ!なぜ倒れない!?」
「っ~~!?」
攻撃しても攻撃してもそれらを全て塞いでいく佐介に対して奈楽の方が焦りを覚えていった
「何故だぁぁぁ!!」
「ぐぅぅぅ!?」ザザァァ!
焦りとともに放った蹴りの一撃で佐介は大きく後方へと飛んだ
繰り出される攻撃の数々のダメージで跪いてしまう
「はぁ…はぁ…はぁ…っ?」
「…っ、ぐぅぅ!」
しかし、それでも尚、立ち上がりを見せる
その姿に奈楽はさらに驚く
「はどうして…倒れない!?何故そんなボロボロになりながらも立ち上がれる!?」
理解できないと奈楽は思いを吐き出す
「救いたい人がいるからです…」
「なに?」
「絶対に救いたいと思う人がいるから…立ち上がれるんです」
佐介はそんな奈楽の言葉に対してそう受け答える
「救う?」
「はい、そうです。救いたい人、それはかぐらちゃんと……あなたです奈楽さん」
「自分もだと?」
「あなたは今心の中で迷いを覚えています、だから僕たちがあなた達を救うと決めたんです!」
強く、そして芯の乗った言葉ではっきりと佐介は告げる
「……っ」
その佐介の言葉に奈楽は動揺を隠せない
「…ような」
「っ?」
「わかったようなことを言うな!!【秘伝忍法】!!」
しかし揺らぐ心を再び押し込めて佐介に対し、秘伝忍法を発動する
「てやぁぁぁ!」
奈楽の繰り出される蹴りが佐介目掛けて飛んでいくのだった