飛鳥と焔対かぐらとの戦いは熾烈を極めていき
その戦いに終止符を打つべくして双方の大技と大技のぶつかり合いにまで発展していった
結果として技と技のぶつかり合いは相打ちの形という運びとなり、それでも尚戦おうとするかぐらだったが
最中、駆け付けた佐介たちがここに乱入した
説得に応じようとしないかぐらだったが
かぐらの姿を目の当たりにし、迷いを振り切り、自分の本当の思いを告げる奈楽の言葉によって動きを止める
奈楽とともに再度説得を試み
自分にとってかけがえのない友達だと述べる奈楽の思い
転生を繰り返す数奇な運命の中で自分を支えてくれた者たちの思いを代弁する佐介の言葉によって
考えを改めたかぐらはその願いを聞き入れ
これによってかぐらの運命を決める戦いは実質佐介たちの勝利に終わった
戦いが終わったことで次なる課題である半造の捜索に乗り出すことを相談している佐介たちと
新たな道へと歩もうとするかぐらたちだったが
直後、背後から現れた何者かによってかぐらは攻撃を受けてしまったのだった
その瞬間、全員がその場で凍り付いた
「がっ…あがぁ…」
全員の見据える先には苦しそうな顔を浮かべるかぐらの姿があった
「か、かぐら!?」
「「「「っ!?」」」」
突然の事態に呆気にとられていたが、かぐらの悲痛の声にハッと我に帰った奈楽と佐介たちがかぐらの背後にいる者の姿を捉える
「おっ、お前は!?」
「やぁ、また会ったね諸君」
「道元!?」
「「「っ!?」」」
かぐらを背後から襲った者の正体、それはここに来るまでに姿を見なかった道元だった
「ど、どうして?」
「なんであいつまだ生きてるんだよ!?」
「それはどういうことだ焔?」
道元の登場に驚く佐介と光牙とは別の意味で驚いている焔に光牙が尋ねる
「な、何故だ…きさまは、私が
「
かつて佐介たち半蔵学院と抜け忍になる前の光牙たち蛇女の戦いの中で目覚めた巨大なる邪悪な存在の化身たる
その存在は佐介たちにとっても光牙たちにとっても忘れたくても忘れられない出来事である
「そうなんだ。お前たちが来る前に奴はここで
「なるほど、通りで……ここに来る途中で嫌な気配を感じてはいたが、よもやそれが
自分たちが疾風と闘っている間にみすみす
「でもかぐらちゃんが倒したはずの道元がどうして?」
「わかんねぇよ!くそっ!いったい何がどうなってんだよ!」
「そんなこと今はどうでもいい!かぐらが、かぐらが!?」
なぜ道元が現れたのか疑問を抱かずにはいられない様子の飛鳥と焔
それよりも道元に貫かれたかぐらのことが心配でいられない奈楽
いろいろな思いが混ざり合うほど困惑の状況だった
「き、貴様…私に、なにを?」
「このタイミングを待っていたのだよ。お前が体力を極限まで消耗する時をな」
「な、なん…だと!?」
苦しそうな苦悶の表情を浮かべながらもかぐらは決死の思いで道元に問いただすと
道元は自身の目的がかぐらが力を消耗したこのタイミングを待っていたのだと告げる
「私が、力を…消耗させるのを、待っていたとは…どういうことだ!?」
「ふふふふ、私がこれまでやってきたことの意味、それはな。妖魔最強の
「っ!?」
「なんですって!?」
「どういうことだ!答えろ道元!」
二つの最強の力を手に入れるため、その言葉にここにいる者たちはますます理解できなかった
「私は長き眠りからお前が目覚めたことを知り、秘密裏に作り上げていた妖魔衆どもに命じ、潜伏先を突き止め、お前を襲わせた」
「なっ!?」
「そうか…だからあの時」
奈楽はその言葉を聞いてハッとなる
潜伏先を調べられていたがゆえにあの時妖魔衆たちが襲ってきたのだということを知った
「当初は未覚醒のお前を連れてこさせて強引にも覚醒をさせようかと考えていた。だが、あの疾風とか言う男の邪魔が入ったせいで取り逃がしてしまったし、何より逃げた先であるこの京都に光牙たちがいたことも予想外だったが、その反面、光牙、お前たちのおかげでことは大いにすすんだよ」
「なんだと?俺たちのおかげとはどういう意味だ?」
自分たちのおかげだと主張する道元がどの理由を問うた
「ふん」ニヤリ
その時、光牙に電流が走った
「…そうか、そういうことか。まったく悪知恵だけは一級品といったところか?」
光牙はそれによって道元が考えているデ老ことを悟った
「何がだ光牙?」
「奴は俺たちという想定外の事態すら利用しやがったということだ」
「利用しただって?」
道元が自分たちを利用していたと聞かされて皆驚いた
「奴は俺たちの存在に気づいた時には既にシナリオを書き換えやがったんだ。奴は妖魔衆を嗾けることで俺たちをかぐらへと導かせた。さらに俺たちがかぐらと関わったことで妖魔衆と戦わざる負えない状況へと誘導したんだ」
「なんでそんなことをする必要があったんだ?」
「俺たちに妖魔衆を倒させ、そこから出てきた赤球をかぐらが手にし、覚醒へと近づかせるためにだ」
これまで倒してきた妖魔衆から出現した赤球を食べることにより
かぐらは着々と覚醒へと進み、今に至っている
「自分のシナリオであることを悟らせないように巧妙にカモフラージュしながら裏で暗躍し続けていたんだ。この時を狙い続けながらな…くそっ!」
「さすがだよ光牙、君の言う通りだ」
「じゃあ僕たちははなっから道元の手のひらで踊らされていたということ!?」
「そ、そんな」
アクシデントによって当初からずれてしまった作戦
それをすぐにプラン変更によって切り替え、今の状況を作り上げた
想定外のアクシデントすら自身の計画のために利用する
まさに道元という男にふさわしい姑息な手口だと彼以外の面々が思った
「お、おのれ…」
「さぁ、無駄話しはおしまいだ…はぁっ!」
「ぐっ!?がはっ!?」
道元がかぐらの身を突き刺していた手を引き抜いた
引き抜いた手にはかぐらから抜き取られたエネルギーの塊らしきものがつかまれていた
「あ…うぅ…」ユラッ
「「「「っ!?」」」」
「…かぐらぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
刹那、地面に崩れ落ちていくかぐらの姿に佐介たちは驚愕し
奈楽は声を張り上げるのだった