激化の一途を辿る道元との死闘
度重なる戦いによって疲弊してしまった佐介と光牙
かぐらとの戦いにより消耗した飛鳥と焔の代わりに道元と戦う疾風たち3人
しかし屈指の実力を持っていた3人ですら怪物と化して強大な力を得た道元の前に苦戦を強いられ
抵抗も虚しく大導寺と凜、そして疾風の順に道元によって倒されてしまった
3人を倒したことによって標的を佐介たちに変えて迫りくる道元に対し
まだこの面子の中で唯一体力に余裕があった奈楽がかぐらを逃がすべく単身道元に挑む
だが、疾風たちを倒した道元に奈楽1人が敵うまずもなく屈指の抵抗も全く意に返さないほどに追い詰められてしまう
首を絞められ、自分の不甲斐なさを呪う奈楽を亡き者にしようとする道元だったが
直後、不意を突いた佐介が繰り出した一撃で奈楽を助けることに成功した
道元はそんな佐介、さらに後に続くように歩み寄ってきた光牙たちに対して
彼らを貶すように無駄な抵抗は無意味であることを諭させようとする
それでも佐介たちの意識が折れることはなく、さらにはその思いと言葉が形を成すかのように
今ここに彼らの元に信じあえる仲間たちが舞い参じるのだった
絶対に負けないと言う意思の旗のもと、戦場に集うは今を舞う忍たちだった
「みんな、来てくれたんだ！」
飛鳥がこの戦場に到着したチームメイトたちの元に駆け寄る
「はい、少し時間がかかってしまいましたがね」
「お前らばっかりにいい格好させてたらアタイたちの存在感無くなっちまうしな。出来るだけ飛ばしてきたんだぞ？」
「オレたちだってまだまだ暴れ足りないんでな」
「うん！ひばりたちだってやれるってところ見せてあげるんだから！」
斑鳩、葛城、柳生、雲雀は佐介たちばかりにいい格好させないんだからという建前の元、佐介たちの危機に馳せ参じてくれた
「光牙くん、焔ちゃん。大丈夫？えらく派手にやったみたいね？随分ぼろぼろじゃない？」
「あぁ…まぁな」
「べっ、別にやられたからってわけじゃないからな？そこんとこ勘違いするなよ！」
披露している自分たちの姿を見た春花の発言に対してあくまで素直に頷く光牙と素直になれない焔だった
「…あれ？」
「どうしたの焔ちゃん？」
「春花、お前の傀儡はどうしたんだ？」
焔の素朴な疑問に光牙もハッとなる
確かに今の彼女はいつも戦闘時に連れ歩いている傀儡を連れてきておらず単身だった
どういうことなのか疑問を抱かずにはいられなかった
「あぁ、そのことね。実は「ししょー！」…噂をしたら来たみたいね？」
「っ、この声はまさか？」
春花が説明をしようとした直前に上空から声が聞こえる
「ししょー！焔お姉ちゃ～ん！！」
「「愛花！？」」
声のするほうに視線を向けるとそこには春花の傀儡に持ち運びされる形でここにやってきた愛花の姿があった
驚く光牙たちを他所に愛花が傀儡の手を借りて地面に降り立つ
「春花お姉ちゃん、お待たせしました。いわれたものを取ってきましたよ」
「ありがとう愛花ちゃん」
愛花が差し出したのは春花のカバンだった
「愛花、なぜ来た？ここが危険だとわかっているのか！」
「し、ししょー」アタフタ
「まだお前は経験も浅いし、何よりまだ早い、なのにどうして！」
光牙は愛花に強く問いただす。しかしそれは愛花のことを思えばこそなのだ
「…ししょーの言う通りです。ここがどんなに危険なところなのかもわかってるつもりです」
「だったら」
「でも！そんな危険な場所でししょーたちが戦ってるのに私だけ安全な場所でぬくぬくしてるなんて出来ません！私だって紅蓮竜隊の一員なんですから！」
「っ！」
心配してくれている光牙に対して愛花は自分の意思を真っ直ぐに告げる
そんな彼女の真剣な眼差しが光牙の心を揺るがした
「まったく、困ったやつだ……無茶だけはするなよ？」
「はい！精一杯頑張ります！」
心突き動かされた光牙が愛花の意思を尊重し、許しを得た愛花もまた張り切っていた
「さてと、じゃあ私たちはこれから光牙くんたちのバックアップに努めるからその間のことはお願い出来るかしら？」
「はい、お任せください！光牙さんたちはわたくしたちがお守りしますわ！」
「ほんならいっちょ光牙さんと焔さんの分まで派手に暴れたるかな？」
「あたしだってやってやるわ！光牙と焔をこんな目に合わせた道元に目にもの見せてやるわよ！」
春花が披露している佐介たちをサポートすることを告げ、その間、道元を任せることを申告する
詠、日影、未来はこれを承諾し、思い思いの言葉を呟きながら武器を手にいつでも動ける体制を整えていた
「レイナちゃんとチェルシーちゃんは鈴音先生たちの救護をお願いするわ」
「ＯＫ、任せといて！」
「わかりました」
この場に同行していたレイナとチェルシーに春花は指示を出し、それを受けた2人が早速行動を開始した
その間に佐介と飛鳥を除く半蔵学院組とともに道元に視線を向け、臨戦態勢を取っていた
【「ほう、これはまた、勢ぞろいとは恐れ入る？…だが、だからといってそれ以上でも以下でもない。なぜなら今更集まったところでこの圧倒的な力を得た私にとってお前たちなど所詮は烏合の衆にしか過ぎんのだからな？」】
この場に集った半蔵学院組と焔紅蓮竜隊に対して道元は大したことはないと余裕の顔を見せている
「烏合の衆とは随分ないいようじゃねぇか？」
「あぁ、まったくだな？」
「なんや少し会わない間に随分とわしらもなめられたもんやな？」
「だったら見せてやろうじゃない？本当に烏合の衆なのかどうかをね！」
しかしこの発言が彼女たちの闘志に火をつけたようであった
「しゃあっ！行くぜ！！」
『「おー！！」』
葛城の号令を合図に皆が一斉に道元に向かっていった
【「来るがいい、返り討ちにしてやるわ！」】
それに対して道元も迎え撃つべく攻撃を仕掛ける
「たあぁぁぁぁぁぁ！とう！おりゃぁぁぁぁ！！」
「いくでっ！」
【「ふっ！！」】
臆せず進んでいく中、葛城と日影が火蓋を切り
これを狼煙とし、彼女たちと道元の戦いが開始された
「頼んだわよみんな…さて、私もやることを果たさないとね」
みんなが戦ってくれてるのに自分だけぼーっとするわけにもいかないと春花は自分が今すべきことに取り掛かる
佐介たちのケアである
「みんな、これからあなたたちを回復してあげるからね」
「ありがとうございます春花さん」
「面倒かけちまったな」
「何言ってるのよ。さぁ早速取り掛かるから楽にして頂戴」
春花から支持を受けて佐介たちはリラックスをする
落ち着いたところで春花が早速取り掛かる
そうして春花は傀儡、愛花と共に手当てに取り掛かる
「ししょー、焔お姉ちゃん、大丈夫ですか？」
「心配するな愛花、俺たちなら平気だ」
「そうだぞ、こんなの私たちにしてみたらかすり傷と大差な…痛っ！？」
「ほ、焔ちゃん！？だっ、大丈夫！？」
「もうまたそんな無茶をして…ダメよ？すでにあなたたちかなりボロボロなんだから痩せ我慢して強がってるんじゃないの」
不安そうな愛花に優しく語りかける光牙と腕を回しながらアピールをする焔だったが
かなりガタが来てる体を無理矢理動かして痛みに悶える焔に春花が説教を垂れるのだった
春花と愛花に手当てを受けながらも佐介たちは道元と戦っているみんなの様子を見ていた
大道寺と凛のように善忍と悪忍の枠を超えたチームワークで道元と戦っている
「皆さん、待っててくださいね。回復が終わり次第僕らも参ります」
「それまでなんとか持ち堪えてくれ」
回復を受けつつ、早く自分たちも皆と一緒に戦いたいという思いが募るばかりだった