道元によって全員が倒されてしまう事態に追いやられる中
意識を失った佐介は自身の精神世界ににて前世の存在である蓮との再会を果たす
この状況でもまだ希望を捨てようとしない佐介に対し、自身が過去に受けた絶望の全貌を教える
民たちに裏切られ、かぐらを守れず惨めに死んでいったことが今の自分を作り上げたのだと
しかし佐介はそれでも尚折れることはなく
今度は自分の生い立ちを蓮に語り、自分がどうしてここまで人を信じ守ろうとするのかを語る
その純粋さ、折れぬ意思を目の当たりし、考えを改めた蓮が彼の行く末を見ることを決め
手を触れ合わせた瞬間光に包まれ、佐介は意識を取り戻す
目を覚ますと道元がまだここにおり、奴を倒す最後のチャンスがまだあることを知る
さらに同じく目覚めた光牙とともに命に代えても道元を止めることを決める
2人の存在に気づいた道元はボロボロなその身で戦うことなどできるわけもないと嘲笑う
だがここで春花が直前まで渡すのを躊躇っていた薬を2人に与え、戦う術をくれた
これを見ていた道元がそうはさせまいと2人に襲い掛かるのだった
ビュゥゥン!
【「ふははは!!」】
「「っ!?」」
「まずいわ!光牙くん!佐介くん!?」
回復などさせてやるものか、そういうかのように勢いよく道元が迫りくる
希望を見いだしたと思いきや早々に危機に直面する
しかし道元はそんな考えなど与える暇も与えず一瞬にして間合いに入ってしまう
【「残念だが、これで終わりだ!!」】
「「ぐぅ!?」」
そしてすぐ目の前まで迫ってきた道元が佐介と光牙に襲い掛かる
ドスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
重く鈍い音があたりに響く
だが、佐介と光牙はその音に対して自分たちが何も痛みを感じていないことに不信感をいだき
恐る恐る目を開いてみる
「…よ、よぉ、大丈夫か光牙?」
「佐介くん。無事?」
「「っ!?」」
視線の先を見て佐介と光牙は驚愕する
前にいたのは道元が繰り出した剛腕の拳による一撃から身を挺して守っている飛鳥と焔の姿があった
【「貴様ら、まだ生きていたのか?」】
「お前のぬるま湯みたいな攻撃で私がやられるわけがねぇだろう、見くびってんじゃねぇよ」
「絶対にやらせない、佐介くんと光牙くんは私たちが守って見せる!」
この場に現れた飛鳥と焔に対して道元が鬱陶しそうに言うと2人はすかさず反論を述べた
「光牙、佐介!今の内だ!」
「私たちがこいつを抑え込んでいる間にその薬を!」
道元を自分たちが足止めしている間に薬を飲むように飛鳥と焔が2人に促す
「飛鳥ちゃん…焔さん」
「佐介、ぼさっとするな。早いとここいつを飲んでしまうぞ」
「で、でも」
「あいつらの思いをむげにしないためにも俺たちが今すべきはこいつを飲んで体力を回復させ、一刻も早く道元を倒すことだ」
2人が時間を稼いでくれている間に薬を飲むように光牙が佐介にいう
苦しそうに道元の攻撃を抑え込んでいる飛鳥と焔が心配な表情を浮かべるも
飛鳥と焔の頑張りを無碍にはするなという光牙の一喝を受けて佐介は飲むことにする
【「小娘どもが邪魔をするな!」】
必死に攻撃を抑え込んでいる飛鳥と焔に道元が空いているもう片方の手で攻撃を仕掛けようとする
その時だった
シュルルルル!ガシャン!
「「「「っ!?」」」」
【「何!?」】
振り下ろそうとしたもう片方の手に鎖がぐるぐると巻きつき、それによって動きを封じられた
「はぁ…はぁ…へっ、つっかまえた~っと!」
【「き、貴様は!」】
「疾風!?」
道元を拘束したチェーンの出所
それはいつの間にか道元の背後を取っていた疾風の仕業によるものだった
【「く、こんなもの!」】
「ぐぅっ、この怪力野郎が!」
チェーンで拘束されている腕に道元が力を込めて引きはがそうともがく
疾風のほうも疾風のほうでそれをさせじと必死になって引っ張り続ける
飛鳥と焔、疾風の3人が道元を抑え込むことに尽力を尽くしていた
佐介と光牙はその光景に圧巻する
「おら、何ぼさっとしてんだ!俺たちがこの怪物を抑え込んでいる間にとっととそいつを飲みやがれ!」
「「っ!?」」」
ここで疾風が啞然としている佐介と光牙に薬を飲むように急かさせる
「…ありがとうございます疾風さん。光牙くん」
「あぁ…恩に着るぞ」
2人は時間を稼いでくれた飛鳥と焔、疾風に感謝しながら受け取った薬をぐいっと飲んだ
【「ええい!いい加減にしろぉぉぉぉ!!」】
「うっ、きゃあぁぁぁぁ!?!?」
「ぬあぁぁぁぁぁぁ!?」
「ぐぅぅ!?」
一方で3人の拘束にしびれを切らした道元が全身から気圧を放ちその衝撃で飛鳥たちはあえなく吹き飛ばされてしまった
【「鬱陶しいハエどもめ…」】
飛鳥たちを引きはがして悪態をつきながら佐介と光牙のほうを向こうとした時だった
「「っ!」」
【「っ!?」】
「「はぁぁぁぁ!!」」
【「〜〜〜っ!?!?」】
視線を向けたと同時に道元の目の前に互いに左右片方ずつの拳を握りしめる佐介と光牙の姿があることに気づき
驚く暇もなく2人の全力から繰り出された拳によって顔面にWのストレートを受けてしまい
大きく後方へと吹き飛ばされていった
「飛鳥ちゃん、焔さん。それから疾風さん。ありがとうございました」
「お前らが時間を作ってくれたおかげだ」
「「……っ」」パァ〜
刹那、飛鳥と焔は自分たちの前に凛々しく佇む佐介と光牙の二つの背中に感極まったような顔を浮かべる
【「ぬぅぅ~…やってくれたなお前たち!」】
一方で2人に殴り飛ばされた道元が激突した瓦礫の山の中から這い出てきたとともに怒りを露わにしていた
「ふん、好きなだけほざけ、この程度なぞ焔や詠たちがお前から受けた苦痛に比べればぬるいものだ」
「そうです。僕らは絶対に許しません、飛鳥ちゃんや斑鳩さんたちや師匠や凜さんや疾風さんに半蔵さま…そしてかぐらちゃんと奈楽さん。これまであなたに苦しめられてしまった人たちのためにも僕らはこの戦い、絶対に勝つ!」
佐介と光牙は大きな声で啖呵を切る
【「笑わせるな。今の今まで死にぞこないだった奴らが、いくら御託を並べたところで私には勝てんぞ」】
道元もまたこれまでで幾多の者たちを葬ったこともあり、また蹴散らすだけだと意気込んでいた
「やれるか佐介?」
「えぇ、ばっちりです。いつでもいけますよ」
「そうか…なら、気合いをいれていくぞ!」
「はい!」
皆から預かった思い、期待と信頼。それらすべてが今この時2人の忍に託されたのだった