道元の全体攻撃によって重傷を負わされ、意識を失った佐介は
精神世界にて前世である蓮と再会する
諦めない意思を折ろうと自身に起こった出来事を語り
この世界には常に裏切りが付きまとうのだと佐介に蓮は言い聞かせる
しかしそれでも折れぬ佐介に根負けした蓮によって意識が戻る
さらに同じく意識が戻った光牙とともに道元をここで倒すことを誓う
それに気づいた道元がその意思を打ち砕き、命を奪うべく攻撃を仕掛けてきた
佐介と光牙は突然の事態に困惑する
だが、その直後に自分たちに向けて放たれた道元の一撃を突如として現れた飛鳥と焔が食い止める
妨害にあった道元がこれを排除しようとするも、そこに疾風まで加わり
3人による妨害を受けて道元が動きを封じられた
飛鳥と焔、疾風が道元を抑え込んでいる間に佐介と光牙は春花から渡されていた薬をぐびっと飲みほす
直後、拘束を強引に抜け出してしてやったりの道元の顔面にストレートを決め
これに対して怒りを露わにする道元に
復活を果たした2人が戦いに終止符を討つことを宣告するのだった
春花から受け取った薬によって体力を回復を果たした佐介と光牙が道元と相対する
先ほど2人から受けたストレートの一撃を食らって道元も2人ににらみを利かせていた
「やるぞ佐介、覚悟はできてるな?」
「もちろんですよ。いつでも行けます」
気合十分。いつでも行けるという雰囲気を醸し出す佐介と光牙
「待て…お前ら」
「「っ?」」
だが、その最中疾風が2人に声をかけてきた
「なんだ疾風、俺たちはこれから道元を倒さないといけないんだ。水を差すようなことをするな」
せっかくのところを邪魔された光牙が疾風に難癖をつける
「自惚れてんじゃねぇよお前ら、状況を把握してからものを言いやがれ…忘れたのか?お前らは俺に苦戦したことが祟ってろくに動くことができなかったことをよ」
「「っ!?」」
疾風のその問いかけに佐介と光牙は言葉を失う
当然だ。疾風が言ってることは全部本当のことなのだから
2人がこの場にこれたのは単に運がよかっただけ
大導寺と凜が自分たちを助けて先へと進ませてくれたからである
本来であればあの場で自分たちはよくて相打ち、最悪はやられてしまっていたという状況だった
自分たちを窮地に追いやったそんな疾風、さらには大導寺と凜までもがやられてしまうほどに今の道元は強い
つまりそれは回復を果たし、全開の力を出したとしても今の自分たちが束になったところで
道元を倒すことはほぼ不可能に近しいことを意味する
「…それは、くっ!」
光牙は悔しそうな顔を浮かべる
疾風の言うことは正しい、だからといってせっかくここまできたのに
それに自分たちを回復させるために身を挺してくれた焔たちに貢献することさえも敵わないのかと思うほどにその悔やみは強まりを見せる
【「おや?…ふっ、ふははは!!これは滑稽だな、あれだけ息巻いていたくせに結局のところ私を倒す術もないとはな…いや違うな、今の私があまりにも強すぎるからかな~?」】
この様子を見ていた道元が佐介たちにそのような言葉を述べ、煽りに煽ってきた
「(…どうしたら?)」
何か打つ手はないのか
佐介はどうすべきなのかを必死に考える
『悩む必要はない』
「…えっ?」
刹那、脳裏に過る声がする
同時に佐介の胸あたりから光が飛び出した
光が一定の高さまできたとともにさらに輝きを増すとともに
その光の中から蓮が現れた
「蓮!」
『…やぁ、疾風』
疾風が現れた蓮に声をかける
蓮のほうも疾風のほうを見て返事をする
「お前は蓮、なぜここに?お前は飛鳥の技で消えたはずじゃ?」
「その口ぶりからして知ってたのか?どういうことだ佐介?」
「それが違ったんです光牙くん、飛鳥ちゃんの技を喰らったことで消えかけたらしいはらしいんですけど、まだ僕の中にいたみたいなんです。でもって僕が目を覚ませたのも蓮さんのおかげってところもありましてね」
驚いている光牙に佐介が軽く説明をする
【「(なんだ?奴らこれから私と戦おうとしているというに急に驚いたような顔を浮かべだしたぞ?)」】
佐介たちが驚いている最中、蓮の姿を直視できない道元には彼らの驚きは謎めいたものであった
そんな道元を尻目に2人のやり取りを眺めていた蓮だったが
少ししてその視線を疾風に向ける
「蓮…」
『疾風、ありがとう。この子たちを助けることに協力してくれて、それから重症な君にこんな役割をさせてしまったこと、本当にすまない』
疾風に申し訳なさそうに蓮は告げる
「…はっ、水くせぇこと言うなよ。俺とお前の仲だろ?」
『…疾風』
自分のせいでもあるのにそれを責めることをせず逆にそう投げかけてくれたことに蓮はとても心が軽くなる
「でもどういう風の吹き回しだ蓮。なんでお前が折れに頼んでまであいつらを守ろうとするんだ?」
浮かび上がった疑問を疾風はぶつける
あの蓮がわざわざ自分の意識を呼び起こさせてまで佐介と光牙を守るように言ってきたことが理解できなかった
『私は…この子に賭けてみることにしたんだ。ここまで逆境を乗り越え何度俺かけても立ち上がっていったこの子なら…とね』
「…蓮」
かぐらを失うことになったあの惨劇から自分以外の者を信じられなくなっていた蓮が
佐介を信じてみたくなったと口にしたことに疾風はわが目を疑った
しかし佐介を信じてみるといった蓮の顔はあの頃の
皆や平和を愛していたころの彼の顔になっていた
「蓮さん、さっき言ってたことってどういう意味なんですか?悩む心配はないって?」
『それはね、君たちに私の力のすべてを与えるからさ』
「「「っ!?」」」
蓮は佐介たちに自分の力を捧げることを告げる
「おい蓮、お前、それは!?」
『分かっているさ、今のこの状態となってしまった私がこの子たちに力を与えるということが“自身の消滅”を意味してることくらい』
「なに?」
「しょ、消滅するってどういうことですか蓮さん!?」アセアセ
消滅するというキーワードを聞いた佐介と光牙は驚きのあまり蓮に問いただす
『言葉通りさ、今の思念体である私が君たち力を与えるということはこの肉体が消えるということさ』
「そ、そんな…そんなのって」
蓮は自分が消えることを承知で自分達に力を与えようとしている
だが佐介は納得できていない顔をする
『ありがとう、私にまでそんな風な顔をしてくれて…君は本当に優しい子だ…そして、だからこそ私はこの身を捧げ、君に力を託すことを選んだんだ』
「…蓮さん」
『受け取ってくれ。これが私の最後の力だ!』
キュイィィィィィン!!
「「「っ!?」」」
刹那、蓮から眩き光が放たれ、佐介たちを驚愕させるのだった