圧倒的な力の差によって消去法では勝てないことを悟った道元が戦法を変え
光弾を囮に
隙を突いてエネルギーを蓄積、破壊力最大の大技である「デウス・エクス・マキナ 滅式」を発動させる
さらにはその射線上には自分はおろか飛鳥たちもいる
道元はそれを見越してこの攻撃に出たのだ
皆を守るべく獣波拳を繰り出すが
さしもの
万事休すという状況まで追いやられる
だが、そんな
それに続くように飛鳥と焔、春花が声援を送る
皆の期待、信頼を再認識した
グオォォォォォォォォ!!!
【「はあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」】
『「「ぬぅぅぅ!!」」』
全てを出し切るとしてもここで
デウス・エクス・マキナ 滅式が獣波拳を圧して圧して、圧しまくる
『「やはり凄まじいな!」』
『「確かに…ですが、これ以上やられる気はありません!」』
『「あぁ、俺たちにはあいつらから託された思いと言葉がある。それを無駄にしないためにもこんなことで引けるか!」』
『「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」」』
両意思がさらに全身に力を込める
グッ…ググググググ!!!
【「なっ?」】
それに伴い、先ほどまで圧されていた獣波拳が勢いを取り戻し始めた
【「くっ、まだ邪魔をするか!いい加減にしろ!!」】
これに気づいた道元が負けじと圧しの力を強める
『「「はあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」」』
だが、 咤激励と声援を受け取った
迷いを絶ったことに好悪してか獣波拳はますます勢いをつけていき
先ほどまで獣波拳を圧しもう直前まで迫ってきていたデウス・エクス・マキナ 滅式を徐々に押し返しだしていく
【「なっ!こ、このぉぉ!!」】
押し返されだす自身の技を見て焦りを感じだし、負けじと踏ん張りを見せる
『「「~~~~っ!!」」』
ゴオオオオオォォォォォォォ!!!
しかし踏ん張りを見せようとするもそれをもろともせず
獣波拳がデウス・エクス・マキナ 滅式を圧していった
少しずつ少しずつ、それでいて着実に獣波拳がぐいぐいと圧して行く
それに伴い、
【「ぐぅ!?ぐぅぅぅ!!」】
先ほどまで押し込んでいた道元が今度はこれ以上の接近を許すまいと必死に堪える立場となってしまっていた
【「ぬぅっ、ぬうう!?」】
何とかしようにも先ほど
力の出し過ぎによる反動によって技のパワーが見る見るうちに落ち始め
獣波拳を抑え込むのが必至なほどにまで低下していった
『「今だ佐介!決めるぞ!」』
『「はい!」』
『「はあぁぁぁぁ~!」』
これを見て好機と捉えた
残っている力の全てをこの一撃に込める
『「「っ…はあああぁぁぁぁぁぁぁ!!」」』
刹那、力の全てを注ぎ込まれた獣波拳が凄まじい勢いを見せ、最後の一押によってデウス・エクス・マキナ 滅式を押し込んでいった
【「ぐっ!?ぐぅぅぅぅぅ!!!!」】
道元が決死の思いで押し返そうとするももはや無意味だった
自分同様に残っている力の全てを出して放たれた獣波拳を前に
威力が低下し始めた道元の技で対抗などできるはずもなく、押し込みは止まらなかった
そしてとうとう目前まで迫ってきた
【「お、おっ、おぉっ!?押され!?」】
フゥン!ブオォォォォォォォォ!!!!
【「ぐっ!?ぐああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」】
邪魔なるものを消し飛ばし、
【「ば、馬鹿な!わ、わたしが…また、しても…お、おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」】
凄まじい気のエネルギーの渦の中、断末魔を上げていくも
数秒も経たず師してその身は光の中に消えていったのだった
やがて放たれた光の一閃は瞬く間に消滅した
「…っ、どうなったの?」
「みんな大丈夫?」
「あっ、あぁ、ちょっとまだ目が痛いがな?」
直撃によって発生した衝撃波と強烈な光の発生が起こり
全体が白く染まった世界がようやく色を取り戻し
飛鳥たちもまた吹き飛ばされそうになった身を必死に耐え抜き、光に遮られてしまっていた視界を取り戻す
この場に残ったのは沈黙と驚愕の視線
「あっ、焔ちゃんあれ!」
「っ!」
そしてその視線の中に佇むはこの戦いを繰り広げた猛者の姿だった
『「「…ふぅっ」」』
猛者はただそこに佇み、ゆっくりと息を吐いた
恐る恐る飛鳥たちが歩み寄るとそれに気づいた
「
まだ少し状況がつかみ切れていない飛鳥がおもむろに尋ねる
『「えぇっ…やり…っ?」』キュゥン!
『「っ?」』キュルル~ン!
「「「「っ!?」」」」
その瞬間、
ギュィィィン!キュピン!
「うわぁっ!?」
「ぬあっ!?」
直後、
元の佐介と光牙へと変わったのである
「こ、これは?」
「合体が…解けた?」
「佐介くん…光牙くん…も、元の姿に戻った?」
「いったい何が起こったんだ?」
急に自分たちの合体が解けたことに佐介と光牙は驚きを見せる
「限界時間が来たんだろう、ただでさえあれだけのエネルギーを使ったんだ。合体が解けてしまったのも仕方がないことだ」
疾風が状況を見て単なるエネルギーを使い果たしたのだと告げる
「なるほど」
「まぁ、俺としても解けてくれたことには感謝だな。いつまでも合体したままでいるなんてことになったら困るしな」
「佐介くん。勝ったんだよね私たち?」
「うん、そうだよ。僕たちの勝利だ」
「…やったー!」
「…うおぉ!やったぞー!!」
自分たちの勝利、その言葉が合図となって飛鳥と焔が盛大に大喜びするとともに
互いに抱き合って祝いの言葉を交わしあった
「まったく大したものね?…いや、あの二人なら当然かしら?」
春花もまたその隣から様子を見てくすりと笑った
「…っ」
一方、疾風もまた勝利に喜ぶ彼らを一目見て不意に視線を向ける
するとそこには自分と同じように彼らを見つめ
その疾風の視線に気づき、彼にニコリと笑みを浮かべる蓮の思念体がいた
「(終わったぜ。お前の期待通りやってくれたみたいだぜ?…これでよかったんだよな?)」
心の中で問いかける疾風の言葉に気づいたのか嬉しそうに頷くとともにその体がまるで砂のように崩れていき
最後は塵となって風に吹かれていった
「(あばよ。相棒)」
飛んでいった蓮だったものを悲しそうに見つめながら疾風は別れの言葉を口にするのだった