閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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戦いは終わった。目を覚ませかぐら 

自身の勝利のために佐合牙(サーガ)のみならず

 

 

彼が守ろうとする者たちも消し飛ばすべく大技を繰り出した道元に対し

 

 

決死の覚悟で佐合牙(サーガ)がこれに挑み

 

 

双方の弾幕と弾幕、力と力のぶつかり合い、繰り広げられた

 

 

両者とも一歩も引かずだったが、守るものたちという弱点がある佐合牙(サーガ)がやや劣勢に追い込まれていった

 

 

だが、そんな中で疾風の 咤激励、飛鳥たちの声援が佐合牙(サーガ)に気力を与え

 

 

その思いを込めて技に己の力全てを注ぎ込む

 

 

己がためだけの独りよがりの力と仲間たちとの絆の力

 

 

相対する力のぶつかり合いは大きく差を見せ始め、劣勢に追い込まれていた佐合牙(サーガ)が逆転に漕ぎつけ

 

 

逆に道元は劣勢になるも踏ん張りを見せた

 

 

しかし、やはりというべきか一人だけの力では限界を迎えるのも早く、そのことを理解する間もなく

 

 

道元は光の波の中に消え去り、これによって佐合牙(サーガ)の勝利に終わり

 

 

長き京都を舞台とした戦いは終焉を迎えたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

想像を絶する戦いを終えた佐介たちはその後、光牙や飛鳥たちとともに負傷してしまった仲間たちの救出や介護に勤しんでいた

 

 

春花の指示の元、意識を取り戻し、比較的軽傷だった、チェルシー、レイナ、愛花の3人が手分けして他の者たちの手当てなどに努める

 

 

みんな道元との戦いによって相当ダメージを追っていたが幸いにも命に別条はなかった

 

 

彼女たちの手当ての甲斐もあって徐々に皆意識を取り戻していった

 

 

だが、そんな中、中々目を覚さない者が…そう、かぐらだった

 

 

道元を倒したものの未だに意識が戻る気配がなかった

 

 

「かぐら…」

 

 

意識が戻らないかぐらを心配そうに奈楽は見ていた

 

 

「奈楽さん」

 

 

「っ?」

 

 

その最中、奈楽は自分の名を呼ぶ声に気づき見るとそこには佐介がいた

 

 

「かぐらちゃんの様子はいかがです?」

 

 

「…まだ目を覚さないんだ。くそっ、やはりあの時奴に強引に赤球を抜き取られたのが原因か?」

 

 

かぐらがこのようなことになった原因が道元にあるのではと奈楽は考え、腑が煮えくりかえる思いだった

 

 

「どうしたらいいんだ?」

 

 

「そのことなんですけど、なんとかなるかもしれませんよ?」

 

 

「何?どういうことだ?」

 

 

「これです」

 

なんとかなるかもしれないと言って佐介が差し出したのはなんと道元に奪われたはずの赤球だった

 

 

「赤球!…いったいどうやって?」

 

 

「道元が吹き飛んだ際に近くを捜索したら偶然にも発見したんです」

 

 

佐介が赤球を持っていることの経緯を説明する

 

 

「ともかく、赤球が手に入ったことですからこれでかぐらちゃんが目覚めるかもしれません」

 

 

そういうと佐介は奈楽と場所を変わってもらい手にしていた赤球をかぐらに近づける

 

 

すると赤球が光だしはじめ、それに驚いている2人をよそにかぐらの身に吸収されていった

 

 

赤球がかぐらに吸収されて少してかぐらの身に異変が起こり

 

 

奪われていた赤球が戻ったことで肉体が幼女から覚醒した姿に戻った

 

 

「…っ、んん?」

 

 

「あっ、奈楽さん、かぐらちゃんが目を覚ましましたよ」

 

 

「なにっ!本当か!」

 

 

数秒後、かぐらが目を覚ました

 

 

目を覚ましたかぐら目にしたのは自分の手当てをしている佐介と

 

 

その佐介の声を聴いて大急ぎで駆け付ける奈楽の姿があった

 

 

「…れん?」

 

 

「…違いますよ。僕は佐介です」

 

 

「…さ、すけ?」

 

 

まだ意識が朦朧としているのか佐介を見て蓮だと思ったようであり

 

 

これに対して佐介は優し気な言い方で否定をした

 

 

「かぐら、よかった…目が覚めたようだな!」

 

 

程なくして駆け付けた奈楽が心配そうに自分を見ているのを理解した

 

 

「…奈楽?…私は今までどうなって?」

 

 

自分がどうなっていたのかの記憶が今一思い出せずにいるようで困った様子を見せていた

 

 

「道元から力を抜き取られちまったってたせいで意識を失ってたんだよ。ともかく目が覚めたようで何よりだぜ」

 

 

すると直後に佐介と奈楽の後ろから疾風が顔を覗かせ、なぜこうなっているのかの経緯を伝える

 

 

意識を失ってしまっていたかぐらの意思が戻ったことに奈楽と疾風が安堵の表情を浮かべていた

 

 

「…あれからどうなった?」

 

 

「安心しろ、終わったよ。何もかも…な」

 

 

「そっか、終わったのか…」

 

 

かぐらの問いに疾風はそう答える

 

 

それを聞いたかぐらは嬉しさの反面、今まで背負っていたもの

 

 

自身の行動原理が無くなったことによる虚無感を抱いていた

 

 

「心配ないさかぐら。これからのことはゆっくりと考えて行けばいい。私が傍にいる。どんなことでも協力するぞ」

 

 

「奈楽…あぁ、そうだな」

 

 

戦いが終わったことは喜ばしいことだったが

 

 

同時に目的がなくなってしまったことに不安を感じるかぐらに対し奈楽は優しく語りかけ

 

 

共にこれからのことを考えようと言ってくれたことにかぐらは心救われた思いだった

 

 

「そうだぜかぐら、お前にはこれからもしっかり生きてもらわなきゃならないしな…そうすれば蓮のやつも喜ぶはずさ」

 

 

「…蓮」

 

 

この戦いを、そして何よりかぐらを運命の因果から救い出すために自らの消滅を顧みず、この勝利に貢献した

 

 

蓮の思いを無碍にしないためにもかぐらは生きなければならないのだと疾風は告げる

 

 

「心配はいらねぇよ。これからは俺が側に居るからよ。大船に乗ったつもりで何でも任せろよ♪」

 

 

「おい貴様、なにを勝手なことを!かぐらを守るのは自分の役目だ。お前のような奴はすっこんでいろ!」

 

 

その話しを聞いた瞬間奈楽が異議申し立てをしてきた

 

 

かぐらと今後を共にし、彼女を守るのは自分がすることだと言って疾風に突っかかる

 

 

「はん、そらこっちの台詞だぜ奈楽ちゃんよ〜?付き合いで言ったら俺の方がお前さんなんかよりも長いんだからよ〜」

 

 

「そんなものは関係ない!昔がどうであろうが自分がかぐらを守ると言ったら守る。だからお前の出番はないと言っているんだ!」

 

 

これからのこと、かぐらを守るという同じ意思を持つ者だというのにつまらない言い争いをしていた

 

 

「二人とも喧嘩はそこまでにしろ!そんなことでもめても意味ないがない!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

様子を見て痺れを切らしたかぐらが起こった様子で2人に物申し、説教をこぼし

 

 

彼女のお叱りを受けた2人はぐうの音も出せず言葉を失い、恥ずかしそうな顔を浮かべていた

 

 

「ふふふ、まったく仕方ない人たちですね」

 

 

「…佐介」

 

 

「ん?どうしました?」

 

 

当然に語り掛けてきたかぐらに佐介はキョトンとなる

 

 

「…実はね私、気を失っている時に蓮が来てくれたの」

 

 

「えっ?」

 

 

急に自分が意識を失っている時のことを語りだし、その際にかぐらはそこで蓮と会ったのだと主張してきた

 

 

「蓮さんに?」

 

 

「あぁ…そうだ」

 

 

かぐらは嬉しそうに、それでいて寂しそうな顔を浮かべていた


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