墓参りと儀式と姉と…
歴史とは幾多のことが重なって紡がれていく
栄光、発展、争い、滅亡…
遥かなる長き時の中で繰り返された世の理
この世界が歩んできた長き歴史
災厄の因果を背負い、それでも尚、表舞台に立つことなく
隠れ平和の礎を築いた影の立役者、それが「忍」である
この大いなる厄災に己の全てをかけて挑むこと
それが忍として生きる者たちにとって究極の忍務である
忍の教授にはこのような言葉がある。「忍とは生き様ではなく死に様の世界」と
数多の命が消える。それが忍の世界
紡がれる歴史の中でいくつもの屍の山が築かれていった
それでも忍たちはその命を落とす最後の瞬間まで戦う、自分たちの生き様と死に様に悔いを残さぬために
…これより始まる物語はそんな忍たちの魂を鎮める祭と宴
若き忍たちの新たなる物語の幕開けである
―――森――――
ここはとある森の中
辺り一面に木々がうっそうと広がり、その隙間に太陽から照らされた木漏れ日があたりを照らしていた
そんな森の中を歩く三つの人影があった
三つの人影、それは両備、両奈、そして佐介という組み合わせだった
どこまでも続く森の中を3人は歩き続ける。手に花束を持ちながら
やがて3人は森の中に建てられた一つの墓岩らしき場所に到着した
「両備ちゃん両奈ちゃん…これは?」
「…これはね両備たちのお姉ちゃんの墓よ」
「お姉さん?…まさか?」
「うん、そう、妖魔に殺されちゃった両奈たちのお姉ちゃんの墓なんだよ」
両備と両奈の姉の墓と聞いて佐介はハッとなる
元々2人は姉を失った背景に雅緋がいたことを知ってその復讐として
月閃の忍としての自分たちを捨て、蛇女に編入し
編入後、選抜メンバーとして雅緋の動向を監視して隙あらば狙う計画を企てていた
最中、鈴音から真相は別にあったことを聞かされるも
様々なごたごたによって結局一旦は雅緋たちと対立したものの
結果的に和解をして今に至るという経緯がある
そんな事態を引き起こしたきっかけとなった人物の墓の前に自分は立っているのだと佐介は痛感する
「しかしよかったんですか?こんな大事な場所に僕なんかを同行させて?」
佐介は2人にとって大切な存在である姉の墓参りに自分が一緒にいていいのかと疑問を浮かべる
「全然問題ないよ~ん♪そもそも両備ちゃんが言い出したことだし、お姉ちゃんに両備ちゃんの想い人を紹介すr」
「な、何言ってんのよこの馬鹿犬!?余計なこと言ってんじゃないわよ!いい加減にしないとそのおしゃべりな口を縫い合わせて一生しゃべれなくしてやるわよ!」
「はう~うん♪」
「っ?」
何か両奈が言いかけていたがそれを両備が即黙らせたことで
結局何のことかわからずの状況で佐介はただ困惑するのだった
「「「…っ」」」
会話の最中にちょっとしたごたごたがあったものの
3人は気を取り直して墓に駆ってきた花束を添え、祈りを捧げていた
キーン!
「(っ…この気配?)」
「なによ?この声?」
だがその時、3人は突如、妙な気配と声を察知する
「両備ちゃん、佐介く~ん、こっちこっち、こっち見て~♪」
「って、りょりょりょ、両奈さん何やってるんですか!?ぱ、ぱぱぱ、パンツが丸見えですよ///!?」汗
「ん~?見えてる?見えちぇってる~?いいよ、好きなだけ見て~♪両奈ちゃんの水玉おパンツたっぷり見て~♪」フリフリ
「はわわわわわわ///!?」
気配を感じ取るや否や、いつの間にか両奈が草葉の中に頭を突っ込んでおり
頭隠して尻隠さず状態になっているため、両奈の下着が佐介たちの位置からは丸見えだった
下着を見てしまったことに赤面し、隠すように促すも
ドMな両奈にとって見られることはむしろご褒美になるため
逆にもっと見てもらおうとお尻をフリフリしてアピールをしてくる始末であり、佐介はほとほと困り果てる
「こっちこっちじゃない、なんて恰好してんのよこのアホ犬!」ペチン
「はう~ん♪」
みっともない恰好をしている両奈に両備が折檻の意味も込めてお尻にビンタをする
両奈に至ってはビンタされ他ことで嬉しそうな喘ぎ声をあげている
「あんたもあんたよ佐介、いつまで顔赤くしてんのよ!」
「で、ですが~…///」
さらには現時点でもトマトのように真っ赤に顔を赤くしている佐介にビシッと物申した
「たくもう…で、いったい何が見えるのよ?」
そんなこんなで3人は草葉の陰から声のする方へ顔を覗かせる
覗き込んだ先では歳行った老婆と若い3人の少女の計4人の人物が火を焚いており
内、老婆は何やら念仏を唱えているようであった
「忍結界を張って何やってんのかしら?」
「あの日の中に飛び込んだら絶対に熱いよね?両奈ちゃん、絶対気持ちいよね!」
「馬鹿言ってんじゃないっての」ペチン
「はうん」
こんな森の中で忍結界を張ってまであの4人は何をしようとしているのかと両備が疑問を浮かべている横で
めらめらと燃えている火を見てあれやこれやを妄想し、興奮する両奈に両備が静止のチョップを与える
「ねぇ佐介、あんたはどう思う…佐介?」
「っ…」
両奈ではまともな会話にならないと両備が佐介に声をかけるも
佐介は何やら驚いた様子の顔を浮かべている
「〈…まさか、いや間違いない、あの方は〉」
草葉の陰から佐介は視線を念仏を唱える老婆に集中させていた
そうこうしているうちに老婆が念仏を唱え終わる
ボオォォォォォ!!
「「「っ!?」」」
刹那、炎が勢いを増すとともにその色が紫色に変わり、周囲に散らばる
散らばった炎たちに徐々に変化が起こり、白装束を纏った少女たちの姿に変わる
「願わくば、新しい命として生まれ変わり、幸せな人生を…」
老婆が白装束を纏った少女の1人に頬に手を当てながら優し気にささやくと少女は笑みを浮かべながら昇天していった
目の前で起こっている光景に3人はあっけにとられる
「…っ、両備ちゃんあれ?」
「っ?」
最中、両奈が何かに気づいて両備もそれにつられて視線を向ける
そこには他の者たちとともに列に並んでいる白装束を纏った1人女性が立っていた
「っ?」
「嘘…あれって?」
「…お姉ちゃん?」
「えっ?お姉ちゃん?」
両備と両奈の様子に佐介が疑問を浮かべていたが
続けざまに両奈が言った言葉を聞いてことを察した
「っ…」プルプル
死んだ姉が、自分たちにとって最愛の姉が目の前にいることに両奈は
脳裏に生前の姉の姿を思い出し、動揺を隠せずにいた
「…両姫よ」
「っ!?」
最中、老婆が2人の姉、両姫の頬に手を当てようとする
先ほどの光景を見ていた両奈はこのままでは両姫が昇天させられてしまうという焦りに支配される
「…お姉ちゃんに触らないでぇぇぇぇっ!!」バッ!
「っ?」
「両奈!?」
「両奈ちゃん!?」
焦りと不安、そして何より物言わぬとはいえ、姉の姿を見て両奈は最早歯止めが効かず、特攻を仕掛けてしまうのだった