両備と両奈とともに墓参りに参った佐介
お参りの最中、妙な気配を感じ取った3人が草葉の陰から覗き込んでみると
そこには忍結界内で何かを行なっている1人の老婆と3人の少女がいた
様子を伺っていると老婆が念仏を唱えると共に炊かれていた炎が紫色に染まり
さらにはその炎の中から白装束を纏った少女たちが現れた
老婆が1人の少女を浄化する様子を目撃していた両奈が少女たちの中に亡くなった姉の姿を発見する
姉がこの場にいることに驚きを隠さずにいるのも束の間、老婆が姉の元に歩み寄る姿を目にし
このままでは姉が先の少女同様に浄化されて昇天してしまうと思い込んだ両奈はいてもたってもいられず
武器を手に駆け出し、姉の元に向かうのだった
「お姉ちゃんから離れろぉぉぉ!!!」
「っ?」
「両奈!?」
「両奈ちゃん!?」
姉の昇天を阻止するため、銃の弾丸によって結界を破った
「ほ~う?」
その様子を見て老婆はふっと笑う
「はぁっはぁっはぁっはぁ!」
「両奈!」
一方、そんなことなど気にも留めない両奈とそれを追うように両備が後に続く
2人と両姫との距離が縮まっていく
ドゴォォォォォン!
「「っ!?」」
だが、直後に地面から棺桶が出現する
「お姉ちゃん!?」
それを見てやばいと感じた両奈と両備が速度を上げる
しかしそれでも両姫が棺桶に入る速度のほうが一歩勝っていた
バタン!
「「っ!?」」
あと一歩、あと一歩のところだったのに間に合うこと叶わず、両姫は棺桶の中に入ってしまった
「お姉ちゃん!」
「っ、何とかして開けるわよ!」
「うん!お姉ちゃん!!」
閉ざされてしまった棺桶を2人が力を合わせて開こうとする
だがそれでも棺桶はびくともせずうんともすんとも言わなかった
「ダメ、開かないよ!?お姉ちゃんが、お姉ちゃんがこの中にいるのに!?」
「っ…佐介!」
「っ?」
「お願い、力を貸して!あんたならこの棺桶を開けられるかもしれないわ!」
佐介の力は自分たちを遥かに凌駕していることを知っている両備が即座に応援を要請する
「っ…」チラッ
「ふふふ」ニヤリ
両備の必死の呼びかけを聞き、佐介は一瞬視線を老婆のほうに向ける
老婆はそんな佐介を見てにたっと笑う
「佐介!!」
「…っ!!」バッ
沈黙の状況下の中、両備の声を聴いた瞬間
モヤモヤした気持ちを強引に振りほどくとともに両備と両奈の元に駆け付けようとする
ピカァァァァァン!!!
「「「っ!?」」」
刹那、棺桶から眩い光があふれ出す
「な、なに!?」
驚く両備と両奈を他所に光がさらに強まっていった
「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!???」」
「両備ちゃん!両奈ちゃん!?ぐぅっ!?」
光に包まれた2人の悲鳴を聞き
駆け付けたいと思う佐介だったが
それを阻むかの如く光が発光する
凄まじい光によって怯む佐介だったが、その光も徐々に終息していった
「…2人は!?」
視界が回復した佐介がすかさず2人がいた方を向く
しかし、視線の先には先ほどまでいたはずの両備と両奈の姿はどこにもなかった
「遅かった」アセアセ
駆け付けるのが遅かったせいだと自分の不甲斐なさに苛まれる
「まったく、強引な子たちだね?おかげで術が発動しちまったよ?」
「っ…」
佐介が自責の念に取られている中、老婆が話しかけてきた
「久しぶりじゃの佐介よ?」
「…はい、お久しぶりです。小百合さま」ペコリ
老婆の問いかけに対して佐介はその場に跪いて首を垂れながら彼女の名をつぶやく
「情報はわしのほうにも届いておった。あれから相当強くなったそうじゃの、見ればわかる」
「いえそんな」照れ
成長を褒められて内心嬉しいと思ってしまった
「それはそうと佐介!!」
「はっ、はい!?」ビクッ
刹那、唐突に声を荒げて小百合が佐介を呼ぶ
「子供はまだか~?ハァ…ハァ…っ!」
「こ、子供!?」
「飛鳥とお前の子だ~…ハァ…ハァ…!!」
「なっ!?」
まさかの爆弾発言!
「なななななななな、何を言ってるんですか小百合さま!?ぼ、僕と飛鳥ちゃんは友達ですよ!?そんな子供だなんて!?」
「なんじゃいまだなのかい!!」
「で、ですが…子供って赤ちゃんってことですよね!?そ、そんなのまだ早いですよ!いつコウノトリさんが見つけて運んでくるのかわからないのに!?」
カッコー!カッコー!
「「「…えっ?」」」
その時、佐介の放った一言で場が凍り付く、さらにはここまで無言でいた3人の少女たちも思わず声を出す
「…へっ?」
場の空気がおかしなことに佐介も気が付いた
「ちょ、ちょっとマジなのあいつ?」アセアセ
「いやどう見てもあの反応からして本気臭いぞ?」アセアセ
「おぉ!やっぱり赤ちゃんはコウノトリさんが運んでくるんすね!」キラキラ
「あぁ、ちょっと黙ってて余計ややこしくなるから…」
話しを聞いていた3人の少女の内2人は佐介のその発言に衝撃を受け
もう一人に至っては佐介と同じことを考えるタイプなのかそのことを聞いて目をキラキラさせており
2人はややこしいものを見るかのように宥めていた
「…お前さん、その年にもなってまだそんな思考なんじゃな?」ジド~
「そ、それはどう言う?」
「何でもない、まったく、飛鳥の奴も大変じゃの~」ヤレヤレ
何やら残念なものを見るかのような視線と言い分に佐介は苦い顔を浮かべていた
「…って、そうではありません!小百合さま、両備ちゃんと両奈ちゃんはどこに行ってしまったんですか!?」
しかしここで肝心なことを聞いていないことを思い出しすぐさま訪ねる
「…心配には及ばん、あの子たちなら無事じゃよ。しかし強引に死者を棺桶から引っ張り出そうとしたことで術が発動してしまったようじゃ?」
「術とはどういうことですか?」
「あれは転移の術じゃ、対象者を別の場所に飛ばすというな」
「別の場所?」
小百合のいう言葉に佐介は小首をかしげる
「さて、思わぬ来客のせいで少々シナリオが狂っちまったの。じゃが問題ない、そろそろ始めるとするかの」
「始める?」
「そうじゃ…っ」
意味深な言葉をつぶやいた直後、小百合は両手で印を結びだす
そして印を結び終え、術が発動する
ギュィィィン!!
「なっ、こ、これは!?」
刹那、佐介たちの背後に光の穴が出現する
あっけにとられる佐介だったが、すぐにさらなる事態に気づく
自身の体が徐々にその穴に吸い寄せられているのだ
「さ、小百合さま、これはいったい!?」
「安心せい、お前さんにもあの子たちと同じ場所に行ってもらうだけじゃ。”他の者たち”もの」
「そ、そんなの聴いてませ…っ、うわあぁぁぁぁぁぁ!!!???」
話しが途中にも拘わらず、佐介は結局穴の中に吸い込まれてしまった
「お前さんたちも行け、わしもすぐに行く」
「わかったっす!」
「了解だよ!」
「しょうがないわね」
小百合の指示を聞いた3人もまた穴の中に自ら飛び込んでいき
ここで穴は一旦消滅したのだった
「さて、お膳立てはしてやったが、本当にこれでよかったのかい?」
不意に小百合が一人気に話しかけるように声をだす
…と思いきやいつの間にか彼女の背後には先ほどまで居もしなかった2人の人物がいた
「はい、お手をお借りすることとなり申し訳ありません」
「我ら2人とも小百合さまの寛大なご厚意に感謝いたします」
「なに、わしはただ機会を与えただけにすぎんよ。”罪滅ぼしのためにもな”…あとはお前さんたちがどうするかはこれからじっくりと見せてもらうぞ?」
「「はい」」
謎の2人と小百合は何をしようとしているのであろうか?