閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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ヤグラを壊せ、守れ 雪泉対蓮華

小百合たちから忍の盆踊りが自軍のヤグラをかけたバトルロワイアルだと聞かされた佐介たち

 

 

しかしながらルールは理解したが、それでもまだ難色を示す者たちもいる

 

 

だが、そのことも計算済みだというかのように忍の盆踊りをする以外に道がないことを告げる

 

 

さらには忍の最高称号でもあるカグラの話題も出したりと佐介たちのやる気を引き出しにもかかるなど実に巧妙であった

 

 

もはや彼らは小百合の手のひらの上にいるも同然の状況

 

 

これ以上は無意味であることを熟知し、まだ踏ん切りこそついてはいないが

 

 

忍学生たちも忍の盆踊りに参加する意を固めていく

 

 

最中、それを知ってか蓮華がここにきて動きを見せる

 

 

そして彼女の指鳴らしの合図とともにヤグラが出現し

 

 

自分たちが行う忍の盆踊りを実戦で教えるための模擬戦を開始知ることを蓮華が宣言する

 

 

デモンストレーションとして蓮華と対決する役を担ったのは雪泉であり

 

 

向かい合う両者が小百合の号令で勝負を開始したのだった

 

 

 

 

 

皆が見守る中、号令の合図とともに雪泉と蓮華がダッシュする

 

 

「先手を取らせてもらいます!はあっ!!」

 

 

雪泉が場の流れをつかむべく、氷塊を展開した

 

 

周囲に発生させた氷塊による中距離攻撃で先制を仕掛ける

 

 

「べらんめえ!こんなもんで私を止められる気でいるんだったら大きな間違いだぜ!」

 

 

「なっ!?」

 

 

迫りくる氷塊を前に蓮華は手にしている二本の撥で次々とそれらを砕いていった

 

 

「すごい、蓮華ちゃん雪泉ちゃんの氷を次々と壊して行ってる!」

 

 

「おそらくあれは撥の周囲を振動波をさせることで音の衝撃によって氷を砕いているんだよ?」

 

 

止まることなく雪泉の氷を破壊していく蓮華を佐介たちは分析していた

 

 

「こんなもんか!物足りねぇぜ!!」

 

 

最後の氷を砕いた直後、蓮華が跳躍し、雪泉の頭上へと舞い上がる

 

 

「どっせぇぇぇい!!」

 

 

「雪泉ちん危ない!」

 

 

「っ!?」

 

 

迫りくる蓮華を見て四季が雪泉に警告をする

 

 

辛くもその攻撃を雪泉が回避した

 

 

「まだまだ!!」

 

 

「ぐうっ!?」

 

 

しかし、すぐにも蓮華が追撃を繰り出してきた

 

 

怒涛の連続攻撃によって雪泉は防戦一方を余儀なくされていた

 

 

「蓮華ってやつなかなかやりやがるな?」

 

 

「あぁ、伊達に忍の盆踊りに参加するというだけあるな?」

 

 

蓮華の忍としての腕は相当なもの、雪泉があそこまで圧されているのが何よりの証だ

 

 

「…紫苑、お前はこの戦い、どう見る?」

 

 

「っ…」

 

 

雪泉の劣勢の状況を見て光牙はおもむろに紫苑に尋ねる

 

 

紫苑に至っては気持ちを抑え込んでいることがその動作から見て取れていた

 

 

そんな彼らのやり取りが行われている最中も雪泉はどんどんと蓮華に追い込まれていた

 

 

「おらおら!どうした!手も足も出ないか!」

 

 

「~~…っ!!」バッ

 

 

「なっ、うわっ!?」

 

 

しかしながら雪泉もこのままやられっぱなしというわけではない

 

 

僅かな隙を見抜くとともに手から冷気を放つ

 

 

予想外の攻撃に不意を突かれた蓮華はいったん距離を取る

 

 

「くぅぅ、冷てぇ~」ブルブル

 

 

冷気による攻撃を受けたことで体に霜ができていたので蓮華は体を震わせてこれを払った

 

 

「一気に行きます。秘伝忍法【黒氷】!!」

 

 

「っ!?」

 

 

すかさず雪泉が反撃の黒氷を蓮華に向けて繰り出した

 

 

 

放たれた黒氷はまっすぐに蓮華めがけて飛んでいった

 

 

「へっ、デカかろうと私には関係ないぜ!!」

 

 

迫りくる黒氷を前に蓮華は逃げる素振りを見せず、それどころか迎え撃つ構えをとる

 

 

「っ~~!!」ググググ

 

 

刹那、蓮華が手にしている撥にさらに気を流し込む

 

 

「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

目と鼻の先にまで向かってきていた氷塊に蓮華が撥を叩きつけた

 

 

「ぬぅぅぅぅ~~~~っ!!」

 

 

蓮華と氷塊の押し合いが繰り広げられる

 

 

 

ピキッ…ピキキキキ!

 

 

 

「っ!?」

 

 

しかし一秒一秒ごとに状況に変化が起こる

 

 

雪泉の繰り出した黒氷に亀裂が生じだしたからだ

 

 

「どっせぇぇぇぇぇぇぇい!!!」

 

 

勢いを乗せて掛け声とともに蓮華は力強く押し切った瞬間

 

 

 

 

バリイィィィィィイン!!!

 

 

 

 

彼女のパワーに圧倒された黒氷が瞬く間に砕け散ってしまった

 

 

「そ、そんな!?」

 

 

『「っ!?」』

 

 

起死回生の一手として繰り出した技が蓮華に敗れ、跡形もなくなってしまった

 

 

これには本人はもちろん、皆も度肝を抜かされた

 

 

「べらんめい!よそ見してる暇が!」

 

 

「なっ!?」

 

 

「あんのかぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

どすっ!!

 

 

 

「がふっ…きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 

 

『「っ!?」』

 

 

「雪泉!?」

 

 

呆気にとられている隙を突いた蓮華の攻撃が雪泉に直撃し

 

 

その一撃によって雪泉は忍装束が半壊の状態まで破れてしまった

 

 

雪泉がそのようなことになった様子に紫苑が声を荒げる

 

 

「雪泉!?」

 

 

「大丈夫か!?」

 

 

「しっかりして雪泉ちん!?」

 

 

「雪泉ちゃん!?」

 

 

同じく彼女のことが心配な他の月閃メンバーたちも心配そうに声をかける

 

 

「だ、大丈夫です…ぐぅぅ」

 

 

傷ついた身を必死に起こして雪泉は倒れた身を起こしていく

 

 

「まだ…勝負はついて…ません!」

 

 

まだ負けたわけではないという意思の元、雪泉はなんとか立ち上がる

 

 

「…いや、雪泉。残念だけど、この勝負は君の負けだ」

 

 

「えっ?…紫苑?」

 

 

しかし、そんな雪泉に対して紫苑は雪泉が負けたと告げる

 

 

どういうことなのか理解ができていない様子だった

 

 

「雪泉よ、あれを見るがいい」

 

 

理解が追いつかないまま小百合の言葉に促されながら視線を向ける

 

 

視線の先には破壊されたヤグラの上に立ちこちらを見下ろす蓮華の姿があった

 

 

その瞬間雪泉はようやくことを理解した

 

 

この模擬戦のルールは双方のヤグラを破壊すること

 

 

故に雪泉は守るべきはずの自軍のヤグラを蓮華によって破壊された

 

 

つまり、その結果は自ずと分かることだ

 

 

「そこまで、この模擬戦、勝者は蓮華じゃ!」

 

 

「っしゃ!私の勝ちだ!」

 

 

刹那、小百合の号令によって模擬戦は蓮華の勝利が告げられた

 

 

「やったっすね蓮華お姉ちゃん!」

 

 

「おうよ!まっ、私の実力ならこのくらい余裕だけどよ♪」

 

 

「もうお姉ちゃんたち、あくまでもこれは模擬戦で本番じゃないんだから浮かれる必要ないでしょうに?」

 

 

蓮華の勝利となり、そこに華毘と華風流がやってきてそれぞれの思いを告げていた

 

 

「…っ」

 

 

一方、雪泉はというといくら模擬戦とはいえ、こうも圧倒的にやられてしまったことに不甲斐なさを感じる

 

 

 

とんっ…

 

 

「っ?」

 

 

「よく頑張ったね雪泉」

 

 

「紫苑…っ」

 

 

「…っ」なでなで

 

 

自分の元にやってきた紫苑の顔を見るなり雪泉は縋り付くように彼の胸に顔を埋め

 

 

そんな彼女の今の心境を察してか紫苑は優しく頭を撫でたのだった

 

 

 


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