小百合によって大型結界の世界に飛ばされたと思ったら
半ば強制的に忍びの盆踊りをやらざる負えない状況に追い込まれた佐介たち一行
観念したようにそれに参加することを決めた矢先、蓮華がデモンストレーションとして模擬戦をすることを宣言する
それによって紆余曲折を経て蓮華の相手を雪泉がすることとなり
皆が見守る中、模擬戦は開始された
戦闘開始直後に先制を仕掛ける雪泉だったが
蓮華はそんな雪泉の攻撃をいとも容易くはじき返してしまうという実力の高さを見せつける
さらにはその隙を突かれてしまい、劣勢に追い込まれる
しかし雪泉もやられっぱなしというわけではなく反撃をする
だが、これですら蓮華は退けるとともに雪泉に大ダメージを与える
大きなダメージを受けながらも負けられないと立ち上がる雪泉だったが
最早時すでに遅しであり
気が付いた時には勝敗条件である自軍のヤグラを蓮華によって破壊されており
雪泉はあまり活躍する機会にも恵まれず、模擬戦で敗北を期してしまうのだった
敗北を期してしまった雪泉は自分の元にやってきた紫苑の胸を借りる形で悔しさを噛み締めていた
「っ…」
「(雪泉…っ)」
悔しいという思いを抱きながらも模擬戦で無様な醜態をさらしてしまった不甲斐なさから言葉が出ないといった様子であり
彼女の思いを察している紫苑はどう言葉をかけていいのかと言葉が浮かばなかった
キィィィィン!
「「「「「「っ!?」」」」」」ピクッ
刹那、一部を除く他の者たちは気づいていない様子だったが紫苑たちはそれをはっきりと感じ取った
「ちょ、ちょっと待って…この、気配って?」
「懐かしくて、暖かくて…わしらのよく知る気配…」
「まさか?本当にそうなのか?」
「絶対そうだよ。みのりたちが間違えるわけないもん!」
感じ取った気配に他の四人が反応するとともに声を出す
「紫苑、やはりこれは?」
「……間違いない、この結界内のどこかにいらっしゃるんだ。”黒影様が”」
小百合の話しからしてなんとなくは思っていたが確証はなかった
しかしそれはこの気配によってはっきりとなった
間違いなくこの結界内のどこかに黒影がいるのだと紫苑たちは確信したのだ
「…っち、せっかく盛り上がってきてたのに興ざめだな……まぁでも気持ちはわからなくもないか」
忍装束から元の巫女服に戻り、紫苑たちの様子を見ていた蓮華は
ケンカの盛り上がりが薄れたことに不満を持ちつつもどこか紫苑たちに親近感を抱いているような顔を浮かべていた
「…さて、模擬戦も終わったことだし次のステップに行かせてもらうとするよ…ふぅん!」
模擬戦の結果を見届け、小百合は忍の盆踊りを始めるべく次なる行動に移ることにした
印を組むとともに術を発動させる
すると結界内の空間が歪みだし始めた
「け、結界が!?」
一同がこの状況に啞然とする
シュン!!
次の瞬間、突然の擬音が鳴った
「っ~…っ!?」
ハッと我に返った佐介たちは目の前を見て困惑する
いつの間にか自分たちは先ほどの場所から転移の術によってまた別の場所へと飛ばされていた
しかも飛ばされていた場所というのがどうやら小百合たちの話しに出ていた拠点と思われる場所だということに気づく
根拠はその周辺
周りにはヤグラがたくさんある
他にも人知の周囲を見てみるとヤグラが設置されていた
「おいおい、これって?」
「間違いないだろう、ここは忍の盆踊りにおけるオレたちの拠点ということらしいな?」
この周辺の様子からしてここが小百合たちの言っていた拠点であることは間違いないと思われた
「…ということは、既にほかのみんなも?」
飛鳥は自分たちがこうなっているとなると他のみんなもそうなのではないかと考え、遠くのほうに視線を向けるのだった
実際のところ、飛鳥の予想は当たっていた
既に自分たちと同じように他のメンバーたちもそれぞれの陣営にへと転移させられていた
《紅蓮竜隊・陣営》
「ここが私たちの拠点か?」
「まさかこのような事態になるとは思いもよりませんでしたわね?」
「本当よね?飛鳥のおばあちゃんってちょっと強引すぎじゃない?」
「はい、私もそう思います」
横一列に並びながら拠点を見て焔たちは思い思いの感想を述べる
「まぁまぁ、こうなっちゃったものは仕方がないことだし諦めましょう、あとは流れに身を任せるしかないわ」
「せやな〜、今更何言ってもしゃあないからな~」
「どのみちこの行事を終わらせない以上は帰りたくても帰れないしな」
「そうだな。よし、こうなった以上、とことんまでやってやる!そんでもって他の奴らを全員ぶっ飛ばして私たちがカグラへの道へ一番乗りだ!」
なってしまったものは仕方ないと光牙たちはあくまでも冷静に状況を把握し
焔に至っては考えるのをやめてカグラへの道へと進むために勝ち進んでいくことを決めた
「気合十分ね、焔ちゃんらしいわね?そう思わない?」
「あぁ、そうだな」
いつも通りの焔の様子に和むような感覚を覚えた
「……っ?」ピクッ
「ん?どうしたの光牙くん?」
「急にどないしたん?」
「……いや、何でもない」
突然視線をそらした光牙に春花と日影はきょとんとなるも
光牙はすぐに視線を戻した
「(今の感じ……まさかな?)」
気っと気のせいだと思いながら手に持つグラスに注がれているバーボンをぐびっとのむのだった
《月閃・陣営》
「他のみんながいませんね?」
「おそらくは我らと同様にそれぞれの拠点に飛ばされたのだろうな?」
「ていうかさ、みんなは結局どうするつもり?やっぱり盆踊っちゃう感じ?」
「みのりはやってみたいって思ってるよ。だってまたみんなと忍ごっこできるし♪」
拠点に飛ばされたことで忍の盆踊りに参加せざる負えないと知り
不安を抱く声もあったが、美野里のように乗り気な様子も見せていた
「カグラへの道が開かれるとも言っていましたし、それが本当なら他校の拠点にあるであろうヤグラを壊していくのが正しいと思います」
「それもそうですがおかげで重要なことも知れました…この世界に黒影おじい様がいらっしゃることが」
「「「「「っ!」」」」」
雪泉のその言葉に全員が反応を示す
あの時、紫苑たちは間違いなく感じ取った
この世界に黒影はいる。それが分かったことだけでも紫苑たちにとっては大きな収穫だった
「黒影さまのことも気掛かりではあるけどそれは一先ず保留にしよう、忍の盆踊りが始まる以上、他校のみんながいつ攻めてくるかもわからないからね」
「そうですね。そうしましょう」
「「「「うん」」」」
黒影のことも気掛かりではあるが、盆踊りをやることになった以上、いつ他校が攻めてくるかもわからないため、しっかりと準備をしようという意見で皆もまとまるのだった