閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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忍の盆踊りの開催が宣言され、蛇女陣営は今後の方針についての吟味をしていた


しかしながら元の世界に戻るべく忍の盆踊りを終わらせることを目的としようとしている雅緋や蒼馬の思いとは裏腹に


他のメンバーは彼女ほど乗り気ではない様子を見せていた


おまけに雅緋に至っては母の気配を、蒼馬に至っては得体の知れない気配を感じていた


そんな中、偶然にもそこに四季が現れ


気配の正体が彼女であると感じた蒼馬や、ヤグラを壊しにきたと思った雅緋たちとともに取り囲む


四季を逃がすまいと蒼馬が一対一の勝負を挑み、見事に勝利を収める


だが、四季は本当にただ様子を見に来たということらしくあの気配は誤認によるものだと知り、蒼馬は気を落としてしまう


されどこれを前向きにとらえた雅緋がこれを口実に月閃を攻めることを提示し、一同は行動を起こすこととなった




取り戻せ男の尊厳!紫苑、ビーチの奮闘!

 

 

 

[月閃女学館・拠点]

 

 

 

 

「やっほー!!海ですよ!海!海!青い空に、白いビーチ!これがバケーションなんじゃな!これこそが夏のレジャーなんじゃ!!」

 

 

拠点近くのビーチで燥ぐ声が響く、声の主は夜桜だった

 

 

目の前に広がる夏の風物詩である海や砂浜のビーチなどによって彼女の心は絶好調に達しているようであった

 

 

「うおぉぉぉ!泳いで泳いで泳ぎまくりじゃー!うっほほ~い!」

 

 

テンションが最高潮にまで夜桜の心は高ぶりを見せていた

 

 

「夜桜ちゃんすごい燥いでるね?」

 

 

「いつも弟や妹たちの世話を優先していたからな…自分の時間が持てたことでタガが外れてしまったんだろう?」

 

 

「気持ちははわかりますが、普段とのギャップがすごい気がします」

 

 

普段からは想像もつかない夜桜の行動に雪泉たちは少々困惑気味だった

 

 

「まぁ、いいんじゃないかな?こんな時くらい好きにさせてあげよう」

 

 

続けざまに紫苑が夜桜のことを思ってそうつぶやく

 

 

「「「…っ」」」ジ~

 

 

「ん?…な、なにかみんな?」

 

 

最中、雪泉たちがこちらをじーっと見つめているのを見て紫苑は戸惑ったような態度を見せる

 

 

「紫苑…どうしてジャケットを羽織ってらっしゃるんですか?」

 

 

「うっ…そ、それは~アセアセ」

 

 

「もう紫苑ちゃん、せっかくみんなで海に来たのにそんな恰好じゃダメだよ!」

 

 

「我々全員、水着になって解放感を出しているというのに…お前だけそれとはどうかと思うぞ?」

 

 

どうやら視線の理由は紫苑が海水浴用のジャケットによって露出を避けているようだからである

 

 

せっかくの海水浴、皆で楽しみたいと思う一同にとってはとても由々しき問題だった

 

 

「ということで紫苑」

 

 

「「「脱いで♪」」」

 

 

「嫌だよ!」アセアセ

 

 

三人そろってハモリながら脱げコールをされ、紫苑は即否定の返事を送る

 

 

「どうして拒むのですか?」

 

 

「紫苑ちゃんの分の水着もあるんでしょ?」

 

 

「ジャケットを羽織っては泳げないではないか?」

 

 

「うっ…うぅぅ…」

 

 

一緒に泳ぎたいのにと主張してるのにそれを拒む紫苑は完全に劣勢に立たされていた

 

 

「何をしとるんじゃみんな!早くこっちで遊びましょう!」

 

 

さらにそこに夜桜がやってくる

 

 

「そうしたいのはやまやまなのですが」

 

 

「聞いてよ夜桜ちゃん!」

 

 

「紫苑が我々と泳ぎたくないそうだ」

 

 

「ちょ、そこまでは言ってないでしょ!?」

 

 

いつの間にか自分が泳ごうとしない理由が勝手に盛られてしまっていた

 

 

「なんですと!?…なりませんよ紫苑!わしもみんなも紫苑と泳ぎたいんじゃ!そんなこと言うなんて許しませんよ!」

 

 

「ぼ、僕は別にみんなと泳ぎたくないわけじゃ」アセアセ

 

 

「ではなぜ水着にならないんですか!」

 

 

「そ、それは」アセアセ

 

 

ずいずいと皆に迫られてあとがなくなった

 

 

どうしよう、そう思っていた時だった

 

 

「紫苑さーん!」

 

 

「「「「っ?」」」」

 

 

「来た!」

 

 

刹那、向こうから聞こえる声に雪泉たちはきょとんとし、紫苑に至っては待ちかねていたというかのような顔を浮かべる

 

 

「お待たせしました。頼まれたものを持ってきましたよ」

 

 

「佐介くん、ありがとうございます…本当にありがとう」

 

 

「いえいえ」

 

 

やってきたのは佐介であり、その手には何かを詰め込んでいると思われる風呂敷が握られており

 

 

紫苑はそれを受け取るととてつもないほどに感謝の言葉を送る

 

 

「あの、佐介さん、どうしてこちらに?」

 

 

「すみません。ちょっと紫苑さんに頼まれたものを届けに来ただけです。もちろんヤグラを壊しに来たとかではありませんのでご安心ください」

 

 

「頼まれたものだと?」

 

 

佐介の言うことの意図が掴めずにいる雪泉たちを他所に紫苑は風呂敷を開ける

 

 

風呂敷の中に入っていたもの、それは男性用の水着だった

 

 

「おお!佐介くん、君は僕の救世主だよ!」

 

 

「あはは…そ、それはよかったです」

 

 

男性者の水着を手にしたことで紫苑はさらに佐介に感謝のを示す

 

 

「し、紫苑、これはいったい?」

 

 

「どうも何もようやく水着が届いただけだけど?」

 

 

「水着ならすでに用意されてるではないか?なぜわざわざ佐介に届けさせた?」

 

 

紫苑がなぜこのようなことをさせたのか雪泉たちは問い詰める

 

 

「用意されてる?…ふっ、冗談はやめてくれ…だって、あそこにあるのは全部女性ものじゃないか!」

 

 

「はい?」

 

 

「調べてみたらここの拠点の更衣室の中にある服はみんな女性ものばっかりで男性用の服が一個もない、それなのに佐介くんたちの拠点には用意されてるんだよ?明らかにおかしいよ!僕は男なのに!…だから佐介くんにお願いしてこうして持ってきてもらったっていうわけさ」

 

 

わざわざ佐介に水着を持ってこさせたのはここの拠点には女の子用の服しかない

 

 

月閃にいる間ならいざ知らずここにはその縛りもないということで紫苑は助走の日々から自らを解放しようとこのような手に出たのだという

 

 

「これでようやく私服も水着も男ものを着れる。なんて素敵なんだ!」

 

 

自分のありのままでいることのすばらしさを盛大にぶちまける

 

 

「さてさっそく」

 

 

持ってきてもらった風呂敷の中の服を手に取ろうとする

 

 

「だ、ダメです紫苑!?」

 

 

「紫苑、早まってはいけません!?」

 

 

「思い留まれ紫苑!?」

 

 

「そうだよ!紫苑ちゃん!!」

 

 

慌てて雪泉たちが止めにかかる

 

 

「離せ!離して!!僕は、僕は女装の呪縛からは移封されるんだぁぁ!!」

 

 

「考え直してください、あなたにはかわいい服のほうが似合うんですから!?」

 

 

「嫌だ。僕は僕は男らしくなりたいんだぁぁ!!」

 

 

「「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」

 

 

執念を燃やす紫苑が拘束を跳ねのける

 

 

「これで、ようやく…」

 

 

呪縛から解放されるまであと少しという思いのまま紫苑が風呂敷の服に手を伸ばそうとする

 

 

 

ガシッ!

 

 

 

「…えっ?」

 

 

突然後ろから肩をつかまれた

 

 

「ダメダメ、そんなことあたしが許すと思ってるのかな~?」

 

 

「…っ」アセアセ

 

 

聞きなれた声に恐る恐る振り返るとそこには四季がにっこりと笑っていた

 

 

「し、四季…っ?」

 

 

「まったく、あたしがちょっと留守にしてる間に何しようとしてるのかと思ったらこんな事企んでたんだね~?」

 

 

こちらを見てにっこり笑っている四季ではあるが、その笑みには恐怖しか感じられなかった

 

 

「い、いや…その~」アセアセ

 

 

「佐介ちん、悪いんだけどこれは返却ね」

 

 

「えっ?あっはい?」

 

 

すかさず四季が佐介に持ってきてもらった服一式をすべて返す

 

 

「さ~て、あたしたちの思いをわかってくれないわがままっ子な紫苑ちんにこれからた~っぷりとお仕置きしないと♪」

 

 

「ぎゃう!?」

 

 

そして紫苑の手を強引に引きながら移動を開始する

 

 

「ど、どこに連れてく気!?」

 

 

「もちろん更衣室だよ。実はね、さっき紫苑ちんに似合う”とっておきの水着”を探しておいたんだ~♪きっとかわいさ倍増間違いなしに違いないよ♪」

 

 

紫苑に煙管水着があるといって引き連れた先は更衣室

 

 

「さぁ、紫苑ちんたのしいたのしいお着替えの時間だよ~♪」

 

 

「えっ!?ちょ、四季さん!?ま、待って!ぼ、ぼぼぼぼ、僕が、僕が悪かったから謝るからそれだけは勘弁して!?」

 

 

「だが断る」

 

 

「い…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

必死に叫び声を上げる紫苑だったが、抵抗も空しくその声は扉が閉まるとともに消え去ったのだった

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