月閃と蛇女の間では一波乱が起こっていた
蛇女のメンバーは先の四季の件を口実に月閃の拠点に殴り込みをかけてきた
これに対し、最初は盆踊りに関して未だ難色を示していた月閃の面々ではあったが
雅緋の挑発にムッとなった雪泉を筆頭に月閃の面々も受けて立つ構えを取る
そうして交戦が始まったが、現状は雅緋の想像とは真逆の展開に動きを見せ
挙句の果てには蛇女のメンバーは
全員月閃のメンバーに倒されるという蛇女の敗北という形で決着がついた
自分たちが敗北したことが信じられないというような顔をする雅緋だったが
忌夢たち曰くどことなくらしからない様子だったと聞かされてしまい
何とも言えない思いに苛まれてしまった雅緋は場の空気に耐えきれず撤退を口実にその場を去り
先んじて行ってしまう彼女を追いかけるべく、忌夢たちも追ってその場を後にするのだった
月閃と蛇女の間でヤグラ争奪戦が行われてから少し経った時のことだった
「これで全員かしら?」
ビーチにて春花が声をかける
春花の言う全員というのは自分たち紅蓮竜隊の面々だけではなく、半蔵、月閃、蛇女から呼び寄せた面々のことを指していた
「それで春花さん。話しってなに?」
開口一番に声をかけてきたのはひばりだった
ひばりは自分たちがなぜ呼び出されたのかを尋ねる
他のメンバーもそれに関しては全くの同館だった
拠点にて各々が時間を過ごしている中いきなり春花から招集してほしいという連絡を受けたからだ
「とりあえずみんな座って」
説明をするために春花が集まった皆を砂浜に腰掛けさせた
「でね、みんなに相談なんだけど、私思うんだけど…忍の盆踊りって名前ダサいと思わないかしら?」
春花が単刀直入に聞いてきた
一瞬皆ぽか~んとした顔を浮かべる
「…春花、それが私たちを呼び出した理由か?」ムカッ
直後、雅緋がイラついた様子で問いただしてきた
無理もないことだ。先の戦いで敗北したという傷がまだ癒えてないままに呼び寄せられたのだから
「忍の盆踊りじゃなくてもっと別の名前にした方が楽しいかな〜って思ったわけよ。だって今のままじゃ盛り上がりに少し欠けている気がしないかしら?」
今のままのネーミングでは盛り上がりが足りないと春花は忍の盆踊りを別の名前にすることで皆のやる気を出させようと考えたのだ
「そうですか?僕は伝統めいた名前でいいと思うのですか?」
「うんうん、あたしもそう思う」
しかしこの意見に異議を唱える者もいた。佐介と四季だ
佐介は伝統感ある忍の盆踊りというネーミングを自分たちの都合で勝手に決めるのはどうなのかと反論意見を唱え
四季は趣味がそちら方面の子であるがゆえにの意見だった
「もう、佐介くんも四季ちゃんもお堅いんだから~」
「いや、俺も佐介たちの意見に賛同だ」
「光牙くんまでそんなこと言わないでよ~」
「そうしたくもなるわ。あんな内容の話しを聞かされてはな」
どうやらその口ぶりと他の紅蓮竜隊のメンバーの様子からして
光牙だけは春花が提案しようとしていることの内容を知ってる様子だった
「とりあえず二人の意見は置いておいて」
「おい」
「他に異論はないかしら?あるならどんどん言ってちょうだい」
一先ず否定派である3人は置いておくことにした春花は
他にもそういった意見があるかどうかの確認のために皆に聞いて回る
他の者たちに関してはどちらでも特に問題なさげな顔をしていた
「…異論はなさそうね?じゃあ規格通り別の名前にするけどいいわね?」
意見が来ないことを確認して春花は念押しもかねてもう一度皆に聞いてみた
「おいお前たち考え直すなら今だぞ、何しろこいつがやろうとしてるのは」
「DEATH・KISS!」
「ぐぅ!?」ビリリリ
光牙が止めに入ろうとした直後、春花が得意技であるDEATH・KISSを繰り出し
今回彼に罹ったのは麻痺の効果だった
「こ、光くん…っ!?」アセアセ
「春花!貴様、光牙に何をする!!」
「安心して、効果は控えめにしておいてるから話しが終わるころには動けるようになるから」
心配ないという春花だったが
麻痺させられる光牙のほうは昭からに後で覚えてろよと言いたげに春花を睨んでいた
「さてと、話しが少しそれちゃったけどいいってことでいいわよね?」
脱線しかかっていた当初の目的であるネーミング変更の話しに路線を戻した
「う、うん…で、どんな名前にするの?」
飛躍しまくりなこの状況下の中で雲雀が場の空気を変えるように春花に質問をする
「そうね~…例えば私が考えたのは…」
少しもったいぶった言い方をしながら春花がにんまりと笑みを浮かべる
「私が考えたのはこ~れ、名づけて「ドキッ! 忍だらけの水上運動会!」…っていうのはどう?」
どこからともなくタイトルの書かれたカンペを取り出し皆に提示した
「水上運動会?」
「そう、どうかしら?」
「うん!みのり、うんどうかい大好き♪」
「アタイもいいと思うぜ!ただし、その名前の後にポロリも追加してくれよな!」
水上運動会という新たなネーミングにすぐさま美野里と葛城が釣られ、賛同する意を示していた
「ルールも変更して運動会のような形式でヤグラを壊していく、殺伐としてなくて楽しそうだし簡単に終わりそうでしょ?」
「(あれ?以外とネーミング以外はまともそうですね?でもそれだとしたらどうして光牙くんはあんなに否定していたんだろう?)」
少なくとも忍だらけの水上運動会というタイトルからは特に危なげな感じはしない、葛城の意見を除けば
あの光牙がタイトルだけでここまで拒否をするとは思えないと佐介は先の彼の行動に疑問を浮かばせずにはいられなかった
「いいや、早く終わらせるだなんてダメだ。ボクは断固拒否する!」
佐介が考え事をしてる最中、唐突に忌夢が口を開いた
「そんな……私は早く、元の世界に、帰りたいのに」
「黙っていろ紫、ともかくボクはまだこの世界にいたい、でもって雅緋と一夏の時を過ごすんだ!」
忌夢は雅緋との夏をたのしみたいという思いから元の世界に帰るのを早めるという意見に強く反対する
「…うぅ…」
「まぁまぁ紫よ〜。そんな卑屈になるこたねぇよ」
「相馬くん……でも私は…」
元の世界に戻りたくて卑屈になっている紫に相馬が声をかけてきた
「おいおい、いいのか?……ここらで光牙にアピールしとかないと取られっぞ他の奴らに?」
「っ!?」
光牙の名を出した瞬間、紫の目がかっと開く
「…光くんと?」
「この際いい機会なんじゃねぇか〜?誘ってみたりしてみたら。一夏の思い出作れるかもよ〜?」
「……っ」
「ん?」
相馬の言葉に紫は妄想を膨らませながら光牙の方を見る
「……やっぱり、もう少し…いようかな?」
「おぉ、紫。わかってくれたのか!流石はボクの妹だ!」
紫も残りたい派に加わったことを忌夢も嬉しく思う
「(何か言ったわね相馬くん?…本当、こういうことに関しては恐ろしいくらいすごいわね)」
さっきまで否定的な態度をとっていた紫が意見を180度回転させたところを見るに相馬が何か仕組んだなと推察する
同時にこういう時の相馬の人をその気にさせる巧みな話術に同族のような親近感と恐れを抱く春花だった