閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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第二十八章 ついに怨桜血が…!

「道元、貴様…!」

 

「ふっ!」ヴゥゥゥ~ン

 

「超秘伝忍法書が!?」

 

「貴様!?」

 

道元が念力で超秘伝忍法書を浮かび上がらせると自分のもとに引き寄せ奪い取った

 

さらに飛鳥たちのいる下の階からももう一つの超秘伝忍法書である陰の超秘伝忍法書が飛んできた

 

「あれは…?」

 

「佐介くん!」

 

「光牙!!」

 

「「っ?」」

 

困惑する二人のもとに戦っていたはずの飛鳥と焔が駆けつけた

 

「いきなり超秘伝忍法書が飛んでいったから急いで駆けつけてきてみれば、どういうことなんだこの状況は?」

 

焔が理解を求めているとそれに道元が答える

 

「ふふふふ。教えてあげよう、君たち二人にそれぞれ秘伝忍法書を渡したのも最初から私の計画どおりだったのだよ。君たちはよく働いてくれた。おかげで陰と陽、二つの秘伝忍法書の力は最大限にまで引き上げられた」

 

そう言うと道元は天守閣へと向かった

 

佐介と光牙も飛鳥と焔に抱えながら連れて行く

 

「これで準備は整った。今こそ怨櫓血(オロチ)の復活の時。さぁ、秘伝忍法書の力と少女たちの血と肉を贄とし、この世に甦れ!いでよ怨桜血(オロチ)!!」

 

道元が超秘伝忍法書を天に掲げると秘伝忍法書が地面にむけて光を放った

 

その瞬間、地鳴りと轟音が鳴り響く、そして天守閣が大きく揺れ、建物が崩壊していく

 

「っこれは!?」

 

それを見た道元は不敵に笑うと逸早く天守閣から逃げ去った

 

そんな中、佐介たちの足元にも大きな亀裂が走っていき

 

「ぬあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「光牙!?」

 

「光牙くん!?」

 

光牙の足元が崩れていきそのまま落下した

 

「光牙ぁぁぁぁぁ!!」

 

「ダメだよ焔ちゃん!危険だよ!」

 

「えぇい。離せ!もうこれ以上仲間を失いたくないんだ!」

 

そういうと焔は光牙を救わんと危険を顧みず、後を追って落ちていった

 

「焔ちゃん!」

 

「飛鳥ちゃん。ダメだ。これ以上は危険だよ!」

 

とうとう立ち上がることもできなけいくらいに崩壊していった

 

このままでは自分まで生き埋めになってしまう

 

二人を救えなかったと悔み、唇を噛み締め、飛鳥に手を借りて屋根から脱出した

 

蛇女子学園は、もはや見る影もない、ただの瓦礫の山へと姿を変えてしまった

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

「大丈夫佐介くん?」

 

「うっ…うん」

 

力の反動により激しい息切れをおこす佐介を気遣う飛鳥のもとに

 

「「「「佐介(くん)(さん)!飛鳥(ちゃん)(さん)!!」」」」

 

斑鳩たちが駆けつける

 

「みんな無事だったのね!ひばりちゃんも!」

 

「よかっ…た」

 

みんなが無事に戻ってきたことと、その中に雲雀がいる

 

戻ってきたのだと安堵した

 

「佐介、おいどうしたんだよお前?」

 

「すごい衰弱していますわ!?」

 

「大丈夫なの?」

 

「まさか、魂《ソウル》転身を多様したのか?」

 

柳生が問うと佐介は静かにうなずいた

 

「なんて無茶な、あれは体力を消耗するって言ってたじゃねぇか!?」

 

「すみません…」

 

「っ!みんなあれ見て!!」

 

雲雀が指さした先には宙を舞う人影が

 

「こう、がくん?」

 

「焔ちゃん!?それに他のみんなも!?」

 

その正体は先ほど落ちて死んだと思っていた光牙と焔、さらにその中には斑鳩たちが倒した他のメンバーたちもいた

 

「…望み通り…力を…やろう」

 

「…仲間の恨みを…晴らす…力」

 

「…鯨髭でひとくくり…二度とは解けぬ」

 

「劫と業…」

 

それは詠、日影、未来、春花がそれぞれおかしなことを口走る

 

「…さぁ我のもとに…」

 

「今こそ…一つに…!!!」

 

焔のあとに光牙が叫ぶと瓦礫から濃い紫の気体が立ち上がり、光牙達の体を包む

 

すると今度は、辺りの瓦礫が光牙達に引き寄せられる

 

瓦礫の固まりはどんどん大きくなっていった

 

そして瓦礫はどんどんと形をなし怪物へと変わっていった

 

 

【グエィィウォォォォォォォ!!!!】

 

 

凄まじい唸り声があたりに響き渡る

 

その怪物の体からは腕とも首ともわからない物が何本も生えていた

 

しかし、どれも不完全で、皮膚が腐って落ちるように、瓦礫がボロボロと剥がれていく

 

 

 

 

 

「なんということだ…あれでもまだ完全な復活とはならんとは…」

 

遠くからこれを見た道元はそうつぶやいた

 

 

 

 

 

ぎこちなさそうに立ち上がろうとしていた

 

だが、手足の役目をしている瓦礫が激しい音ともに崩れ落ちる

 

それでも諦めずに再び瓦礫を引き寄せ腕を再生させる

 

口を開くと、そこには怨念に歪んだ人の顔がのぞいていた

 

とても恐ろしいものだった

 

「なっ、なんなの…あれ」ガクブル

 

「ばっ、化物だ…」ガクブル

 

それを見た飛鳥たちは恐怖にかられる

 

「(なんてことだ…みすみす怨桜血(オロチ)の復活を許してしまうなんて…光牙くんたちも取り込まれてしまった)」

 

佐介は悔しさで拳を握り締める

 

【こ……コ、この城に……う、渦巻く無数の、お、お、怨、怨念。そ……ソ、そ、それが我!】

 

怨桜血(オロチ)は語る自身が怨念や憎悪、怒りや恐怖、その負の感情の産物であることを

 

【全ての命に、し、し、死、シ、死を…全ての魂を、ム、む、ム、無、無にぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!】

 

咆哮とともに邪悪な気を撒き散らす

 

「止めなきゃ、うっ…」

 

「佐介くん無茶しないで、まだ動けるような状態じゃないんだから!」

 

「でも、このままじゃみんなが……ぐっ」

 

立ち上がろうにも体が思うように動かない現状に佐介は悔しい思いだった

 

「佐介くんはここにいて」

 

「えっ?」

 

ふいに飛鳥の言った言葉に佐介は驚いた

 

「そうですわ。佐介さんはそこで休んでてください」

 

「斑鳩さん…?」

 

さらにそれからすぐに斑鳩が庇うように佐介の前に立つ

 

「ボロボロでも諦めようとせずに戦おうとしてるお前の思い、アタイたちの心に響いたぜ!」

 

「かつ姉…」

 

葛城も斑鳩と同じように前に立つ

 

「佐介、お前はいつでも俺たちを助けてくれた。今度は俺たちの番だ」

 

「柳生ちゃん…」

 

次に柳生が

 

「ひばり、佐介くんやみんなにたくさん迷惑かけちゃった。これはひばりの罪滅ぼしでもあるの。佐介くんはそこで休んでて!」

 

「ひばりちゃん…」

 

それに続いてひばりが

 

「絶対に倒してみせる。佐介くん。私たちを信じて!」

 

「飛鳥ちゃん…」

 

そして最後に飛鳥が前にたつと全員が構える

 

【お……お、お、オ、愚か…な、な、ナ、なり!】

 

「いくよみんな!!」

 

飛鳥が先陣をきり

 

「えぇ!!」

 

「おっしゃあぁぁ!!!」

 

「っ!!」

 

「負けないもん!!」

 

5人が怨桜血(オロチ)に向かっていく

 

怨桜血(オロチ)もまたその巨体を活かし飛鳥たちを攻撃していく

 

「ぐっ、飛鳥ちゃんたちが戦ってるのに…なにやってるんだ僕は…」グヌヌ

 

飛鳥たちの戦う姿を見て佐介は動けない自分に不甲斐なさを感じた

 

 

 

「やあぁぁぁぁぁ!!」

 

ザシュ!ザシュン!

 

【ぐ、ぐ、グ、グゥゥウ~!!?】

 

「はぁぁぁぁ!」

 

シュン! シャリリリリリリリン!!

 

【の、の、ノ、のぁぁ〜!!!】

 

「どっせぇい!!」

 

ダダダダダダダダダダッ!

 

【が、が、ガ、ガグァァ〜!!】

 

「っ!!」

 

バババババババババ!!

 

【こ、こ、コ、小癪な〜!!】

 

「忍兎!ゴーゴー!!」

 

ビュゥゥゥゥゥゥゥ~~ン!!!

 

【ぬ、ぬ、ヌ、ヌァァァァ〜!!!】

 

次々と飛鳥達が攻撃を仕掛けると怨桜血(オロチ)は悲鳴をあげる

 

「これでどうだぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

隙を突いた飛鳥の斬撃が炸裂すると怨桜血(オロチ)の体からあるものが飛んできた

 

「これは超秘伝忍法書!?」

 

そう、陰の超秘伝忍法書だった

 

【ウガァァァァァァ!!!!!】

 

怨桜血(オロチ)が怒りのままに巨体で飛鳥を吹き飛ばした

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!?」

 

「「「「飛鳥(さん)(ちゃん)!?」」」」

 

「……飛鳥ちゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!」

 

目に映った飛鳥の姿に佐介は彼女の名を叫ぶ

 

「がはっ…!」

 

吹き飛ばされた飛鳥は地面に叩きつけられ相当なダメージを負ってしまう

 

「「「「飛鳥(さん)(ちゃん)!?」」」」

 

戦闘中の4人も吹き飛ばされた飛鳥に驚き、声をあげる

 

「あす…かちゃん…」グヌヌ

 

佐介は立てない体をほふく前進で動かしながら進んでいく

 

「飛鳥ちゃん…」

 

佐介はようやく飛鳥の元にたどり着くとなんとか体勢を座るような体勢まで立て直すと飛鳥を抱き抱える

 

「大丈夫飛鳥ちゃん、しっかりして!」

 

「うっ…さ、すけ…くん」

 

「ひどい、ボロボロだ」

 

怨桜血(オロチ)の攻撃によるダメージは予想以上にひどかった

 

しかし、事態はこれだけにとどまらなかった

 

 

【グアアアアァァァァァァァ!!!!】

 

 

荒れ狂う怨桜血(オロチ)が今度は残る4人にその牙を向ける

 

尻尾を鞭のように振るう

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

「斑鳩!?」

 

尻尾の餌食となった斑鳩に葛城が叫ぶも怨桜血(オロチ)の次の狙いは葛城だった

 

破壊と再生を繰り返しながらも巨大な両方の手で逃げ回る葛城を追い詰めていく

 

「ぐっ!?」

 

【ウォォォォォォォ!!!】

 

「しまっ!?うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ついに避けきれずに怨桜血(オロチ)の巨大な腕に叩かれ地面に叩きつけられた

 

「こいつ!!」

 

柳生がこれ以上はさせまいと傘を使い攻撃するもどれも怨桜血(オロチ)に決定打は与えられなかった

 

「くそっ!」

 

【ガァァァァァァァ!!!】

 

「なっ!?」

 

怨桜血(オロチ)が油断した柳生を腕で押しつぶしてしまった

 

「柳生ちゃん!?ひばり怒った~!忍兎!!」

 

雲雀のもとに駆けつける忍兎の後ろに跨り空中から攻撃を仕掛ける

 

「いっけぇぇぇぇ!!!」

 

雲から雷を発射し怨桜血(オロチ)に攻撃を浴びせていく

 

「よし、効いてる!もっといくよ忍兎!!」

 

手応えがあることがわかり、雲雀が忍兎にさらに強い一撃を与えるように支持すると忍兎はそれに答え雷の威力を高めそれを放った

 

予想どおり効果は抜群だった

 

しかし、それにより油断した雲雀は隙を作ってしまい

 

【ギュルルルアァァァァァァ!!!】

 

怨桜血(オロチ)が巨大な口を開けてそこから魔光線を放ってきた

 

「っ忍兎!?」

 

急いで避けようとするも

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

かすっただけでもダメージを受けてしまい地面に落下した

 

これにより、5人全員が怨桜血(オロチ)の前に敗れ去った

 

 


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