そして流れも相まって紫苑と雪泉が巫神楽三姉妹と戦いをすることになった
しかし紫苑を除く月閃たちに一度敗北を刻んだ蓮華を含む華毘と華風流の3人を相手に2人は苦戦を強いられてしまう
紫苑に至っては不調の状態ながらの戦いであるが故に苦しい状況に立たされていた
さらには姉妹のチームワークを生かした戦法を駆使して戦う彼女たちによってどんどんと追い込まれていった
最中、雪泉が集中砲火を受けて傷ついている姿を目の当たりにし
これ以上の状況の悪化を阻止し、雪泉を救うべく紫苑は霊子転身を発動し、強化形態へと転身する
不調の中の転身によって負荷を負いつつも雪泉を助けるために放った技によって巫神楽三姉妹は倒され、この戦いは紫苑の勝利に終わった
だが、やはり体に無理をかけすぎてしまった影響からか紫苑は苦しそうな叫びを上げ、直後、意識を失ってしまうのだった
ビュリリリリリリリリ!!
「うわあぁぁぁぁぁ……あぁ…っ」
ドサッ!
「……し、紫苑!?」
苦痛の叫びを上げた直後、紫苑は転身が強制解除されてしまい、その場に倒れこんでしまった
「大丈夫ですか、しっかりしてください。紫苑!?」
「うっ…うぅ…」
それを見て雪泉が駆け寄り、声をかける
紫苑のほうは無理をし過ぎた反動からか体はボロボロになり、とても苦しそうな様子でうんうんと唸り声をあげていた
「(あれが噂に聞く霊子転身というやつか。まさかこれほどの力とはね。恐れ入ったわい)」
一方、そんな2人の様子を見ていた小百合は巫神楽三姉妹を一撃でまとめて倒した紫苑の力に驚きを示していた
戦いを見終えた小百合は巫神楽三姉妹の元にむかう
「ほれおまえさんたち大丈夫かい?」
「さ、小百合さま。うぅ…申し訳ありません」
「やられちゃったっす」
「面目ないです…」
小百合が意識を取り戻した巫神楽三姉妹に声をかける
終盤にかけてあれだけ優勢にいたというのに
力を解放した紫苑に3人同時に倒されてしまったことに悔しい気持ちを小百合に告げた
「お前さんたちはよくやった。そう自分を責めるでない。ご苦労じゃったな」
「小百合様…ありがとうございます」
「うぅ…ぅぅ~」
「次こそはやってやるんだから!」
悔しんでいる蓮華、華毘、華風流は小百合からの労いの言葉をもらい多少は気が安らいだようだった
「……さて」
三姉妹を宥めた後、小百合は再び紫苑と雪泉の方を見る
「紫苑、大丈夫ですか?お体は平気ですか?」
「大丈夫…と言いたいところだけど、ちょっとキツイかな?」
不調にも関わらず力を全開まで出してしまった反動からか
体の自由が思うように聞かなくなってしまった紫苑は雪泉に支えられながらなんとか立ち上がった
「…すみません、私がヘマをしてしまったせいであなたにとんだ迷惑をかけてしまって…」
「雪泉…気にしないで、雪泉はよくやったよ。だからそんなに自分を責めないで」
「…紫苑」
自分のせいで紫苑がこんなになってしまったのだと悔やむ雪泉に対し紫苑は気にする必要はないと訴える
彼のその言葉に雪泉は気が楽になった
「いいや、紫苑がこうなったのは間違いなくお前さんのせいじゃよ」
「「っ!?」」
しかしその直後、小百合が横槍を入れ、紫苑がこうなった原因は雪泉にあるとキッパリと告げる
「…えっ?」
「迷いがあるものの戦いはこんなもんじゃ。迷いを持ったまま戦うからこそあんな無様な醜態をさらしてしまうんじゃ、そのお前さんの尻拭いをしたせいで紫苑はこのようなことになってしまったんじゃぞ?それをわかっておるのかい?」
「っ…わたしのせいで」アセアセ
小百合の指摘を受け、雪泉は先ほどまでの後ろめたさの気持ちがぶり返し、ぐうの音も出ないくらいその言葉が心に突き刺さってしまった
「さ、小百合さま。何もそこまで言わなくても!」アセアセ
これに対して言い過ぎではないかと紫苑が小百合に異議申し立てをする
「甘やかしは優しさとはいわんぞ。それに紫苑、お前さんとて人のことは言えんぞ?」
「ぼ、僕もですか?」
「当然じゃて、なにせ今回の勝利の要因は並の忍では体得しえないお前さんのその能力の恩恵があったからこそギリギリ勝ち取ったようなものじゃった。そうでなければ敗北していたのは間違いなくお前さんたちじゃった」
「うっ…」
あくまで勝利できたのは他の忍にはない自身の能力のおかげであるも、雪泉同様に迷いを抱いたまま戦い
不調のまま挑んだがゆえに自分は今こんな状態になってしまっているのだから
「不甲斐ない、実に不甲斐ないのぉ。そんな根性では忍の盆踊りをやり遂げることなど到底できやせん。迷いを抱え込んだままに戦う者たちの力なんぞたかが知れておるからの」
『「ぅ…」』
迷いがあってはまともに戦うことすらできないという小百合の言葉に一同、特にこの世界に来てから悩みを抱く者たちには尚更刺さる言葉だった
「…っ」
「両備ちゃんどうしたの?もしかして何か悩みごとがあるの?」
そんな中、小百合の言葉に人一倍敏感に反応していた両備の様子を見ていた両奈が尋ねる
両奈も両備が両姫と再会してから妙にソワソワしていることはなんとなく気づいていた
故に小百合の言葉を聞いてから一段と暗い顔を浮かべている両備のことが気がかりだったのだ
「両備は…両備は迷ってなんかない!」
「りょ、両備ちゃん!?」
「「っ!?」」
自分が迷っているということを否定するかのように感情的になって両奈に否定の言葉を吐く
突然怒鳴るように言ってきた彼女の様子に両奈はもちろんのことそれを見た他の皆もドキッと言った顔を浮かべていた
驚きつつも自分に語り掛けてきた両奈の言葉を聞いて両備はハッと我に返るとともに自分に向けられている皆の視線に気づいた
「……くぅっ!」バッ!
「あっ、両備ちゃん!?」
場の空気に耐えられなくなったのか両備はそそくさとこの場から逃げてしまった
「ちょっと待って、どこいくの両備ちゃん、待っててば~!」
「お、おい両奈!…行っちまった」
逃げ出した両備を追うべく両奈も駆け出し、相馬の静止も虚しく2人はこの場から去っていった
「まったくなっとらんの~…今のお前たちを見てれば到底忍の盆踊りはできそうにないね?…だったら今からいいものを見せてやろうかの」
「それはどういう?」
「まずは全員集合してからじゃ。揃ったところでお前さんたちのその甘っちょろい考えを吹き出してやるわい!」
小百合はこれ以上忍の盆踊りに迷いを抱く忍学生の姿を見るに堪えないと思ったのか奥の手を使うことを宣言する
そうしてこの場にいない他の面々も集結させるとともにいつまでも甘々な気持ちでいる彼らに喝を入れることにしたのだ
「紫苑、雪泉、相馬。お前さんたちも拠点に戻ったら他の連中にこのことを伝えるんじゃ、いいな?わしらは他のチームを呼びに行くからの。ではまた後での」
「あっおいちょっとばあさん!…まったくどいつもこいつも…しゃあね、俺は先に行って雅緋たちを呼んでくるとするわ。じゃぁまたな~」
やれやれといった顔を浮かべながらとりあえず事情を伝えに相馬は拠点に戻っていった
自分たちの拠点にあるであろう他の面々にこのことを伝えるように言い残して小百合は巫神楽三姉妹を引き連れて他のチームに招集をかけに向かっていった
いったい小百合のいう奥の手とはなんのことなのだろうか…