焔、詠、未来と蓮華、華毘、華風流による3対3の戦いは両者とも引けを取らない試合運びを繰り広げていく
互いにこれ以上の消耗を避けるためにもここで決着をつけることを決める
決めにかかる巫神楽三姉妹に対して受けて立つべく挑む焔たちだったが
蓮華たちの姉妹のチームワークが織りなす罠にかかり、絶体絶命のピンチに追いやられようとした
だが、間一髪のところで援護に入った未来によってその危機を脱した
罠にかけるつもりだった巫神楽三姉妹は作戦が失敗するとともに華風流にダメージを与える結果となってしまったことに悔やみと怒りを覚える
華風流の敵討ちをすべく華毘が花火玉による攻撃を仕掛け、それを詠が打ち返すことで彼女たちへの危機は回避するも
吹き飛ばされた花火玉が光牙たちのいる方へと飛んでいき、着弾してしまい
勝手に巻き込まれたことに怒った光牙の一撃を食らい、蓮華たちの撃退に成功したが
同時に焔たちにも被害が及ぶという結果になってしまったのだった
他のチームが続々と本格的に戦いを繰り広げている中
未だ動きを見せようとしない月閃は……
サササササササ!!
草が振動と共にカサカサと音を立てる
振動の正体は足音だ
はるか向こうまで続く森の中をひたすらに突き進む複数の影があった
…紫苑たちだ
紫苑たち月閃のメンバーは全速で森をかけたいた
息をする時間すら今の彼らには惜しいと思えるほどがむしゃらに森を進んでいく
よろめきそうになるのを堪えてでも
「紫苑ちゃーん!雪泉ちゃーん!待ってー!」
後ろの方から自分たちを追って来ている美野里の声が聞こえる
皆よりも遥かに速い速度で進んで行く2人を追いかけるのは他の皆にとっては少々きついようであった
「みなさん、頑張ってください!」
雪泉が後ろを振り返り美野里たちにエールを送る
暗い暗い森の中をズンズンと進んで行く紫苑たちの前方に徐々に光が見えて来た
そして森を抜けた紫苑たちがたどり着いたのは海へと続く崖だった
たどり着いたその先で紫苑たちは一斉に歩みを止める
「…みんな、あそこ」
いち早く気づいた紫苑が皆に声をかける
「…やっぱり」
「あれは…」
「…うそっ」
「夢じゃないよね?」
「あぁ…これは現実だ」
皆の視線が一斉に崖の先に向けられる
崖の先には紫苑たちに背を向けて佇んでいる人影が見える
だが紫苑たちには顔を見る必要すらないほどすぐに誰なのか分かった
見知った背中、佇まい、雰囲気
何よりも先ほどからずっと感じるこの上ない懐かしさ
紫苑たちがこのような感情を抱く人物はただ一人
そう、黒影だ
「…来たか、雪泉。それにみんなも」
彼らにとって大好きな人である黒影なのだった
「おじい様ーーーーーーー!!」
雪泉が彼の名を叫ぶとともに紫苑を除く他の四人も一斉に黒影の元へと駆けだし、飛びついた
5人は黒影に甘えるかのように抱きしめていた
「会いたかったよーーーー!!」
「嬉しい、嬉しいんじゃーーー!」
「こんなの…マジありえない…ガチ泣きだよ…」
「えぇい、面が邪魔だ!…おじい様、おじい様、おじい様ーーーー!!」
夜桜、美野里、四季に至ってはすでに涙声になっており、叢は自ら面を外し、素顔を晒してでも黒影に甘えていた
「またこうしてお会いできるなんて…夢にも思いませんでした」
雪泉ですらこれには冷静にいられるような余裕など持ち合わせていなかった
「待て待て、少し落ち着かない」
無我夢中で抱きつく雪泉たちから抜け出すと共に黒影は全員の顔を眺める
「変わらぬなお前たちは?」
自分を慕う眼差しに黒影はこの上ない嬉しさを感じる
「…っ?」
そんな中、黒影の視線が未だ少し離れたところで立ち尽くす紫苑の姿を捉える
「っ……///」
黒影の視線に気づいた紫苑はどこか照れくさそうな顔を浮かべている
「あれ?…紫苑ちん何そこで突っ立てるのさ?」
「えっ?」
すると黒影の視線に気づいた四季が紫苑に気づいて声をかけてきた
「もう紫苑ちん、そんなところにいないでさ、一緒に黒影様と甘えようよ♪」
「そうですよ、せっかく黒影様に会えたんじゃ、紫苑もこっちに来てください!」
「うんうん、ほら紫苑ちゃん、行こう!」
「わっ、ちょ、ちょっとみんな!?」アセアセ
未だ自分たちのとともに黒影の近くに来ない紫苑にしびれを切らした四季、夜桜、美野里の3人がすかさず彼の手を取ったり背中に回って押したりして半ば強引に黒影の元に連れて行った
抵抗することもなく少し困った顔を浮かべる紫苑は彼女たちに後押しされて黒影の前に立つ
「えっ…えっと……」ソワソワ
「…元気にしていたか紫苑?」
「…は、はい」
いざ黒影を前に、心の準備ができておらずどこかそわそわしている紫苑に対して元気にしていたかと語り掛け、それに対して紫苑も答える
「……っ」ぽん
「っ?」
するとその時、紫苑の頭頂部に感触がするのに気づく
感触の正体は黒影の手だった
大きく、それでいて心安らぐ黒影の手が自分の頭を優しく撫でているのを全身で感じる
「お前には感謝している。俺のいない間、よくぞ雪泉たちを導いてくれたな」
「……も、もったいない、言葉です」ウルッ
今までの自分の頑張りを認め、褒めてくれる
そんな言葉を投げかけられてはさしもの紫苑も限界だった
瞳からは溢れんばかりの涙の雫がぽろぽろとこぼれ落ちる
「皆もそうだがお前も元気そうで何よりだ」
「ぼぐも…です、おじいさま、あいたかった…です。ひくっ…」
涙ぐんで声がかすれながらも紫苑は黒影に感謝の思いと再会できたことへの感謝の思いを述べる
「…さて、立ち話しもなんだ。そこに座ろうか」
せっかく再会できたのだからと
立ったままで会話を続けるのもなんだということで近くにあった岩を指さしそこに座って話そうと提案する
もちろん紫苑たちは快くそれを了承する
「よっこらしょ…っと」
黒影が岩に腰掛けると、彼の隣の場所を取り合いを始める
「黒影おじいちゃんのとなり、とったー!」
「ダメですよ!そこはわしです!」
「じゃあもう片方のほうは我が!」
「うーん、じゃああたしは後ろからしがみつくー!」
美野里と夜桜がどちらかが座るかの話しをしている隙に叢が開いているもう片方のほうに座ろうとし
直後に四季の言った言葉を聞いて3人ともずるいっと愚痴をこぼすという光景を見せ、和やかな空気がこの場を包み込んでいた
嬉しそうに隣を取り合っている彼女たちを邪魔するのも野暮と思ったのか紫苑と雪泉は黒影の正面に陣取ることにした
「紫苑ちゃん、雪泉ちゃん。そんなとこ座ったら黒影おじいちゃん前が見えなくなっちゃうよ」
「あっ」
「わたくしたちとしたことが」
美野里の指摘にハッとなる紫苑と雪泉は慌てた様子を見せる
「いいんだ。最高の眺めじゃないか……少なくとも俺にとってはこの上なくな」
黒影は気にすることなく、それどころかこうしていることをこの上ない喜びと言ってくれた
紫苑たちにとってこれほど嬉しいことはなかった
「さて、では何から話そうか…そうだな。まずはお前たちが今どのような暮らしをしているかとかを俺に教えてくれないか?」
落ち着いてところで黒影は話題を振る
今の紫苑たちがどのようにしているか、元気に過ごしているのかなどのことを紫苑たちに尋ねたりしながら
そうして紫苑たちと黒影は思い思いに話しに花を咲かせるのだった