閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

343 / 606
他のチームがヤグラをかけた戦いに本腰を上げている頃


佐介たち半蔵学院は拠点に集まっていた


忍の盆踊りが本格化しているこの状況を見て自分たちも精進しなければという話しになっていた


しかしそんな中、ひばりが唐突に忍の盆踊りを長引かせることができないかと持ち掛け話し合いは思わぬ方向に


ひばりは自分がこの考えに至った経緯を打ち明け、それを聞いた佐介たちも思うところはあり、複雑な心境を抱いた


これからどうするべきかを考える一同だったが、なかなか答えが出てくるわけもなかった


そんな中、意を決したように佐介は直に小百合と会って話し合いをすることを告げる


佐介の意見に賛同した他のメンバーもまた一緒に小百合の元に向かうことになったのだった




呼び出されるは「一騎当億」

 

 

佐介たちは小百合に直接話しをするべく千年祭執行部拠点にやってきていた

 

 

「ばっちゃん!」

 

 

「小百合さま!」

 

 

到着早々、開口一番に飛鳥と佐介が小百合を呼ぶ

 

 

「おや、飛鳥に佐介、それに他の奴らまで、なんじゃいぞろぞろと?」

 

 

突然の来訪にさしもの小百合も少し驚いた様子を見せていた

 

 

「アタイたちちょっと小百合さまに聞きたいことがあってきたんだよ」

 

 

「聞きたいこと?ハレンチな質問だったらぶっ飛ばすよ?」

 

 

質問したいという葛城の台詞から小百合がハレンチなことを聞こうとしてるのかと思い圧をかける

 

 

その圧に佐介たち皆が怯む

 

 

「い、いえ、違います。わたくしたちは小百合さまの真意…忍の盆踊りの真実を知りたいのです」

 

 

斑鳩が慌てながらに自分たちがここに来た理由を小百合に聞かせた

 

 

「真実ねぇ…実際のところこの世のいろんなものには往々にして隠された真実が存在している。ほとんどの人が知らない真実がね」

 

 

その質問に対し、小百合は真実とは何かを語る

 

 

この世界において真実とは様々なものがあるのだと

 

 

「妖魔のこととかもそんな感じだよな?」

 

 

「そうじゃな。何で知らないのかといえば知る必要がないと判断されているからじゃよ」

 

 

「判断してるって誰が?」

 

 

「頭の良い佐介や斑鳩ならわかるじゃろ?特に斑鳩に言うならば特権階というやつじゃよ」

 

 

小百合のその一言に斑鳩はピクっとなり佐介はその言葉の意味を理解した

 

 

忍の敵とも呼べる妖魔、しかしその存在を知るものの殆どは一部の上忍や忍の最強の称号「カグラ」などであり

 

 

本来であればまだ忍学生である佐介たちが妖魔の存在を知っていることは異例でもあるのだ

 

 

「それでも隠された真実を知りたいのなら、これはもう力づくしかないじゃろうな」

 

 

特権階級のような地位もない佐介たちが隠された真実を知るためには力を示すしかないと小百合は言った

 

 

「どれ、わしがお前さんたちの意気を確かめてやろう」

 

 

「えっ?」

 

 

意味深な言葉を言うと共に小百合は親指の一部を犬歯で噛みちぎる

 

 

物言う暇も与えさせないままに素早く印を結んでいく

 

 

「忍法【口寄せの術】…はぁっ!」

 

 

小百合が血のついた手を地面に叩きつける

 

 

すると地面に術式が展開されていく

 

 

 

ポン!!

 

 

 

描かれた術式から煙が発生した

 

 

数秒後、その煙の中から何やら人影が浮かび上がっていた

 

 

佐介たちが何事かと困惑していると

 

 

煙が風によって吹き消され、その中にいた人影が露わになった

 

 

「えっ?」

 

 

「嘘?」

 

 

「おいおい、マジかよ?」

 

 

一同が露わになった人影の姿に度肝を抜く

 

 

「…うん?何が起こっている?」

 

 

「し、師匠!」

 

 

「「「「「だ、大道寺先輩!?」」」」」

 

 

 

煙の向こうから姿を現し、今自分たちの目の前にいるのは佐介の師であり、飛鳥たちにとっても先輩でもある大道寺だった

 

 

「ん?…佐介?それに飛鳥たちも?…なぜうぬらがここにいる?」

 

 

「い、いえそれはこちらのセリフでもあるといいますか」アセアセ

 

 

「わしがお前さんを呼んだんじゃよ大道寺」

 

 

「っ?」

 

 

突然この場所に現れたことに大道寺も何が起こっているのか分かっていない様子だった

 

 

そんな大道寺に小百合が声をかけたことで振り返った

 

 

「よもやこのような場所で小百合様にお会いしようとは、お久しぶりです」

 

 

小百合の姿を見た大道寺は敬意を示すかのようにその場に跪いた

 

 

「よいよい、そんなにかしこまらんでもいい」

 

 

「…わかりました。して小百合様、先ほど我を呼んだといっておられたようですが?」

 

 

「そうじゃ、お前さんに協力してもらうためにこの結界内にお前さんを口寄せしたんじゃ」

 

 

「なるほど、そういうことでしたか」

 

 

ある程度の話しを聞いて大道寺は納得した様子だった

 

 

「さて、待たせたのお、お前さんたち。改めて言わせてもらうぞ、真実を知りたいのであれば力づくでそれを手にしてみせい」

 

 

「っ…!」

 

 

佐介たちに向けて小百合が言い放つと同時に大導寺が彼らの前に立つ

 

 

この状況を見て佐介たちもことを理解する

 

 

真実を知りたくば大導寺と戦い、勝てということだと

 

 

「皆さん、相手は師匠です。生半可な相手ではありません。最初から全力で行きますよ!」

 

 

「うん、そうだね佐介くん!」

 

 

紆余曲折を経て思いがけない形になったものの、真実を知るための

 

 

自分たちに課せられたこの試練を乗り越えるべく佐介たちは戦う覚悟を決める

 

 

「ふん、皆よき面構えだ。それでこそ我も戦い甲斐があるというものぞ!」

 

 

佐介たちのやる気に満ち溢れた様子を見て大導寺も気持ちの高鳴りを感じ、それに応えるべく身構える

 

 

「ふふっ……」パチン

 

 

 

ギュオッ!

 

 

 

小百合が指鳴らしをした瞬間、空間が別の場所に変わる

 

 

舞台はアリーナへと変化した

 

 

「双方とも準備はよいかの?」

 

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

 

「できております」

 

 

佐介たちと大導寺を交互に見定め、小百合が声をかける

 

 

双方は既に準備万端の様子だった

 

 

「よろしい、では…」

 

 

「「「「「「っ」」」」」」

 

 

「っ」

 

 

「始め!」

 

 

小百合が号令の合図を送るとともに手を振りおろした

 

 

「「「「「「はああぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」

 

 

それを合図に佐介たちが一斉に大導寺に向かって駆け出した

 

 

「一気呵成か…受けて立つぞ!」

 

 

大道寺は右足で地面を踏みつけ、受けて立つ構えを取った

 

 

「はっ!!」

 

 

「っ?」

 

 

「先手必勝。やあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

先制して飛鳥が斬りかかる

 

 

しかしそれを大道寺は両手で受け止める

 

 

「なっ!?」

 

 

「あまい…ふぅん!」

 

 

「きゃあ!?」

 

 

片手ずつで白羽撮りという芸当を見せるとともにそのまま飛鳥をどこぞの方向に投げ飛ばした

 

 

「今度はアタイたちだ!」

 

 

「いくぞ大道寺先輩!!」

 

 

葛城と柳生が飛びかかる

 

 

「ふん!はっ!!」

 

 

「ぐおっ!?」

 

 

「なあっ!?」

 

 

しかし回避から繰り出される拳と蹴りを受け、葛城と柳生が吹き飛ばされる

 

 

「【飛燕抜刀】!!」

 

 

「はぁぁぁ…はあっ!」

 

 

「そ、そんな、きゃあっ!?」

 

 

斬りかかる斑鳩の剣技と大導寺の拳がぶつかるもパワー負けした斑鳩が押し込まれた

 

 

「このこのこの~!!」

 

 

「…ふん」

 

 

ひばりに至ってはぐるぐるパンチを仕掛けるも頭を押さえつけられ、全然前に進めなかった

 

 

「「「「「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」」」」」

 

 

ものの数分というにもかかわらず、飛鳥たちは息を切らしていた

 

 

「つ、つよい…」

 

 

「以前手合わせした時よりも強くなってますわ」

 

 

息を切らしながら飛鳥たちは大道寺の強さが上がっていることに驚愕する

 

 

「当り前だ。我はいついかなる時も精進を怠ることはない、以前のことを引っ張り出したとて無意味なことだ」

 

 

大道寺は自分が今も強くなるために努力していることを告げ、なめてかかることなどできぬことを諭した

 

 

「そうですね。師匠の言う通りです」

 

 

「っ?」

 

 

「ですが、師匠が強くなっているように僕らも強くなっているんです。そう簡単に流行られませんよ」

 

 

するとその後ろから大道寺に向かって物申す佐介がいた

 

 

「ほう、大きくでたな?なればこそ、この師に今のうぬの力を見せてみよ」

 

 

「言われずとも…っ!」バッ!

 

 

「っ!」

 

 

「そのつもりです!!」

 

 

刹那、佐介と大道寺の拳がぶつかる

 

 

激しい火ぶたが切られる中、佐介たちは大道寺を倒すことができるのだろうか?

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。