閃乱カグラ 忍たちの生き様   作:ダーク・リベリオン

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時刻が夜を迎えていたころ、蛇女の拠点にて雅緋がいつの間にかやってきていた佐介と柳生の2人と遭遇する


他のメンバーが出払っていることもあり、雅緋はヤグラを死守し、その功績を母に捧げると宣言する


その言葉を聞き、雅緋が母と再会したことを知った柳生は雅緋に別れを迎える前にできることをするようにとアドバイスをする


しかし、再会したことでその幸せに味を占めてしまっている雅緋は母と別れるつもりはないと反論したり、それに対して現実世界に戻る気はないのかと質問を返され、口ごもるなどのやり取りが行われた


やがて柳生の言葉がいい加減耳障りとなった雅緋は力づくで柳生を黙らせるため、臨戦態勢に入り


柳生もまた佐介に自分一人で戦うことを告げ、雅緋とのタイマン勝負に臨むのだった




失っても尚、前へ 

 

 

蛇女の拠点を舞台に柳生と雅緋が戦いを繰り広げる

 

 

「喰らえ!たぁぁぁっ!」シュン!

 

 

「っ!!」バッ!

 

 

雅緋の刀から放たれる斬撃波の応酬が柳生を襲いかかる

 

 

危険と判断した柳生はバク転の要領でそれをかわす

 

 

「柳生ちゃん!?」

 

 

「心配いらない、今度はこちらの番だ!」

 

 

佐介が声をかけると問題はないと回答し

 

 

すかさず身を起こすと共に柳生が反撃の一手を繰り出す

 

 

氷結能力を持つイカ墨を錬成し、そのイカ墨を雅緋目掛けて放つ

 

 

「小癪なことを、だが無駄だ!秘伝忍法!【善悪のPurgatorio】!!」

 

 

向かってくるイカ墨を前に雅緋が秘伝忍法を繰り出し、黒炎を纏いし蛇の渦を発生させそれを防いだ

 

 

「やるな」

 

 

「当たり前だ。私は蛇女の筆頭リーダーだ。何よりママしゃまに褒めてもらうためにもお前なんかに苦戦する訳にはいかんからな!」

 

 

双方ともに技こそ繰り出すものの、未だ明確に決定打を当てるには至ってはいなかった

 

 

「すごいですね、2人とも一歩も譲りません」

 

 

佐介もまたそんな2人の様子を見て両者が拮抗するような試合展開になっていることを感じていた

 

 

「はああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

「ぬぅぅぅん!」

 

 

そうこうしているうちに戦いのほうも進展していた

 

 

再び接近戦を仕掛けてきた雅緋に対して柳生が応戦し、第一打の攻撃が互いにぶつかり合いを見せる

 

 

「いけっ!!」ブォン!

 

 

「っ!?」

 

 

距離を取るとともに傘を投げつける

 

 

 

シュィン!シャキン!ギュルルル~!!

 

 

 

投げつけた瞬間、傘に仕込まれていた刃物が展開し、回転しながら雅緋めがけて飛んでいった

 

 

雅緋は咄嗟に刀でそれを防御する

 

 

展開された刃が回転の勢いも相まって威力を上げており、雅緋も受け止めるのはなかなかに答えるものがあった

 

 

「くぅぅぅ~~~!!……っ、はあっ!!」

 

 

しかし、雅緋はこれを渾身の力を込めて弾き返す

 

 

弾かれた傘が再び柳生の手に戻る

 

 

「さすがだな…だが!」

 

 

「っ!?」

 

 

渾身の力で柳生の技を跳ね除けた雅緋だったが

 

 

すぐさま柳生が墨を周囲に展開し、それを放ってきた

 

 

攻撃を跳ね返した直後による追撃に雅緋は防戦一方を余儀なくされる

 

 

なんとか遅いくる墨をかわしたり刀で弾き返すなどして対処していく

 

 

だが、その最中だった。一つの墨を取り逃してしまったことによりその墨が雅緋の左足に付着する

 

 

パキキという音がとともに着した墨が瞬時に凍結していく

 

 

「しまった!?」

 

 

時すでに遅し、雅緋の左足は完全に凍結し、動きを封じられてしまう

 

 

「くっ、くそっ、動けない!?」

 

 

必死に脱出を試みるべく足を引き抜こうとするもカチコチに凍ってしまっているためどうにもならない

 

 

「これで逃げ場はない、終わりだ雅緋…秘伝忍法!【薙ぎ払う足】!!」

 

 

柳生が秘伝忍法を発動させ、自分の秘伝動物であるイカを召喚し

 

 

イカとともに傘を広げて大回転を行う

 

 

「あ、あぁ――っうあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

凄まじい回転が雅緋を襲い、それを食らった雅緋は大きく後方へと吹き飛ばされていった

 

 

「ぐはっ!…うっ…ううっ…」

 

 

「勝負、ありですね」

 

 

技を止め、傘を閉じると柳生は雅緋に視線を向けていた

 

 

その様子を側から見ていた佐介はこの状況を見てこの勝負の勝者は柳生であることを呟いた

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ……ぐっ、ぬぅぅ!」ズズッ

 

 

「「っ?」」

 

 

「まだ…まだだ。まだ私は負けてなど…!」

 

 

刀を支えに立ち上がりを見せる雅緋だが、その様子はとても平気そうには見えなかった

 

 

「いや、お前の負けだ…っ!」パシュン

 

 

「っ!?」

 

 

負けを認めようとしない雅緋に対し、柳生が勝敗は既に決したと告げる

 

 

さらにその直後、イカ墨を生成してそれを放つ

 

 

放たれたイカ墨の向かった先にはヤグラがあった

 

 

 

ビチャ!パキキキ…バリィイイイン!

 

 

 

驚きの顔を受けている間にイカ墨の直撃を受けたヤグラが凍り付き、直後に粉微塵になって破壊されてしまった

 

 

「わ、私たちのヤグラが…」ガタッ

 

 

目の前でヤグラを破壊されたことにより雅緋はガクッとその場に崩れる

 

 

自分のせいでまた数個数を減らす結果に追いやってしまったこと

 

 

あれだけの大口を吐いていたにも関わらずこのような醜態を晒し、敗北を刻まれてしまったことに雅緋の心は折れそうになった

 

 

「…悪く思うなよ、勝負は勝負なんでな。ヤグラは破壊させてもらった」

 

 

「……っ」アセアセ

 

 

そんな雅緋に対し、これが勝負なのだと柳生が雅緋に無情でありながらも現実を行きつけた

 

 

雅緋は目の前で起こったことを前に茫然自失していた

 

 

「…オレの妹はな、交通事故にあって命を落としてしまったんだ」

 

 

「えっ?」

 

 

項垂れる雅緋に柳生が妹のことを語りだした

 

 

「いつもオレの後を妹はぴょんぴょんとうさぎのようについてきて…小さくてかわいくて、オレにとっては宝物のような存在だった……」

 

 

語りながらに柳生は生前の妹との楽しかった日々を思い出す

 

 

「今でも妹のことを思い出すだけで胸の奥がギュッと締め付けられそうな思いに駆られる。でも、だからこそオレは逃げない。どんなに辛く、痛く、苦しくても、それらよ痛みと共に前に進もうと思うんだ。もしここで立ち止まってしまうようではオレは一生妹に顔向けできない」

 

 

そして悲しげな顔を浮かべながらも柳生はその辛さや苦しみを捨てることも否定することもせず、ただ受け止めて前を向いて歩いていくことを雅緋に語る

 

 

「なぜだ…なぜお前はそこまで……ぐっ!」

 

 

「あっ!雅緋さん!?」

 

 

柳生の話しを聞いた雅緋は自身の気持ちが揺れに揺れて落ち着かせることもできず、居ても立っても居られず逃げるように飛び去ってしまった

 

 

「…雅緋」

 

 

「どうしましょう?」

 

 

「いや、放っておこう。きっと今のあいつには考える時間が必要なんだ。オレの話しを聞いてあいつがどうするかはあいつ次第だからな」

 

 

「…わかりました」

 

 

言いたいことはいったので後はこれからの彼女の判断に任せるのみと柳生は告げる

 

 

「さて、帰るとしよう。ひばりたちも待ってるだろうしな」

 

 

「えぇ、そうですね」

 

 

やることを終えた佐介と柳生は自分たちの拠点に帰っていった

 

 

『…』ニッコリ

 

 

そんな2人の様子を陰ながらに見守り、笑みを浮かべる影があった

 

 

「っ?」

 

 

「どうしました柳生ちゃん?」

 

 

不意に気配を察知した柳生が振り返るとそこには誰もいなかった

 

 

「…いや、なんでもない」

 

 

不思議な感覚を覚えつつも帰路につくべく、再び歩き出したのだった

 

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